新卒偏重が悪いなんて、そんなことはわかってるんだよ。

真面目な話、この新卒一括採用という慣行のせいで、たまたま卒業年次によって大変な不平等が生まれ、運の悪いときに卒業したというだけで、キャリア形成が非常に難しくなってしまうし、学生だって就職活動ばかりに精を出して真面目に学問できない。大学3年の後半から就職活動に精を出し、というのもさることながら、修士1年の後半から就職活動って、お前いつ研究してるんだ!って話になるよね。できれば卒業してから、せめて大学4年の後半から就職活動くらいでいいんじゃないの?逆に学生であっても通年で中途入社できるとか。
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20081211/lg

今のロスジェネの問題はここにあって卒業した年というか、
生まれた年が違うだけでなぜこれほどまでに差がうまれるのかが問題になっている。
そういった問題がこの国の全体に広がったのはここ数年の話だと思う。


そもそも、なぜ新卒一括採用というか日本的雇用慣行みたいなものが定着したのかといえば
1.戦前は流動性の高い雇用システムであったため、工場労働者の離職率が70〜80%を記録していた
2.戦後の高度経済成長期には慢性的な労働力の不足&安定的な労働力を確保する必要があった
3.そのための仕組みづくりとして、「年功賃金」と「終身雇用」を中心とした
「日本的雇用慣行」というシステムが誕生した
4.勤続年次による同一処遇のために、一括採用し労務管理を行うのが効率的だった
といった歴史的な背景がある。


まだこのシステムで回っている会社がどれぐらいあるのかはわからない。
だが、2008年〜2009年新卒市場が異常なほどの売り手市場だったことを考えると、
まだまだこのシステムで回っている会社が多いのだろう。
なぜなら、この2〜3年が劇的に景気がよくなったために新卒就職市場が改善されたわけではなく、
団塊の世代の集団定年退職によって人手不足になったことと、
ロスジェネ世代の新卒入社組が少なかったため、
企業の世代バランスが明らかに歪んでしまったことに理由がある。


日本的雇用慣行は安い給料で働く労働力が大量に必要なシステムであるため、
こういった会社がたくさんあれば新卒の一括採用はなくしようがない。
だからとはいえ、新卒でなければ転職市場に回され、
就労経験がないためまともに就職できないこんな制度がいいわけがない。
そんなことは議論をするまでもなくわかっている。


結局どこでバランスを取ってどういった人たちが被害を被るかを考えながら話をするしかない。
学問が集中して出来ないという問題だけ解決するのであればまた企業の協定で
4年の8月だか9月からにするとかに戻せば解決する。
でも別にそれ変更だけで世代の問題は解決するわけではない。


じゃあ、そういった人たちも一列で判断して採用しようとなった場合は
何で判断されて採用が決まるのだろう?
即戦力であるかどうか?将来の成長性?コネ?一緒に働きたいかどうか?
もし即戦力が問われるとしたらアメリカの就職活動のように、
学歴とインターンなどでの職務経験が重視されるのだろうか。
職務経験なんてほとんどないようなものだから結局学歴重視になるのか?
(というか学生はインターンで一応職務経験を積むことが出来るが他の人たちは??)
そうなった場合、今正社員で就職していない人で学歴のよい順番から入社できて、
言い方は悪いけれど学歴がなくて就労経験がない人はもう就職の可能性が閉ざされるということ?
結局、なんらかの被害を被る人が出てくる。
(それでも、個人的にはこの形が一番よいのでは思っている。)


もしこういった形態の就職活動になった場合は大学の教育方法も問題になるだろうし、
(それこそ、研究・学問なんてしている場合ではなくインターンに精を出すだろうし)
ひとつだけ批判して解決する話ではない。
だから、提案するべきは新卒の就職活動をどういった制度にするべきかという具体的なものであるはず。
(と書きながら自分で何も提案できていないのはどうなのかと思うけれど)
新卒偏重が悪いだけでは何の議論も進まない。
自分でもさらに勉強しなければ。