現象(06/02/19)
- *ドイツ語のSchein
- 何事にせよ見えるまま・現れるままの事柄。真偽以前の中間物。
- *現象Erscheinungと仮象Schein
- カント以降、Erscheinungが「真」、Scheinが「仮」の意味を担うことに。
- *現象Erscheinungと表象Vorstellung
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- 現象:何ものかの現れ。自動詞の名詞化。
- 表象:私が私の前に何ものかを立てる。他動詞の名詞化。→主観的存在の色彩が濃厚になる。
- ◇ G.プラウス著、観山雪陽、訓覇曄雄訳
- 『認識論の根本問題―カントにおける現象概念の研究 (現代哲学の根本問題 2)』晃洋書房、1979年
- ◇ G.プラウス著、中島義道、渋谷治美訳
- 『カント認識論の再構築 (哲学叢書)』晃洋書房、1991年
- ◇ 中島義道
- 「ランベルトの現象学」『時間と自由 (講談社学術文庫)』講談社学術文庫、1999年
- ◇ 広松渉編
- 『ドイツ観念論前史 (講座ドイツ観念論)』弘文堂、1990年
現象学(06/02/20)
- *意識の志向性
- 何かに向かって意識しているということ。現象学の哲学的考察の出発点。
- *意識内容ノエマ
- 意識されている何か。意識の働きによって作り上げられ、構成されている。
- *意識作用ノエシス
- 意識内容を作り上げている意識の働き。
- *意識作用と意識内容の相関関係
- 日常の意識の層から無意識的意識の層までにわたって、あらゆる意識現象をその対象とする。
- *感覚と知覚
- たとえば立方体を見ているとき、感性的諸要素(目に見えたままのもの=平行四辺形や台形の面)は「体験」されるがそのまま「知覚」されているわけではなく、平行四辺形も台形も正方形であるはずのものだと「知覚」されている。そして、立方体は立方体として「知覚」されているが、「体験」されてはいない。この、感性的諸要素を立方体へ向けて突破していく働きを「志向性」と呼ぶ。
- →感覚から知覚への重心移動。現象学が成立。
- *受動的綜合(フッサール)
- 感覚素材がある対象として知覚される以前に、所与としてすでに素材の側でまとまっているかのように見えるそのまとまりを、自然なことと受け止めること。
- → 数学上の定義といえども、前もって受動的綜合を通して準備されていた意味のまとまりが、能動的に直観されるのであって、経験から分離された純粋な論理の世界でできあがっているものではない。
- →「感性の規則性」
- *客観性の把握
- 身体性の等根源性と同時に、自他の個別性(異他性)を生きていることに由来。
- *相互主観性論
- 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚等のすべての感覚の領野、その感覚領野の現在は、我勝ちにと訪れくる感覚素材を取り込もうとする過去の空虚表象のせめぎ合い、衝動の坩堝。
- ・フッサール『経験と判断』
- 様々な文化の様々な生活世界で、それぞれの生活世界に即した論理が発生する現場を解明する方向を提示。
- ・B.ヴァンデンフェルス
- 運動感覚と身体の分析を展開させて、英米系の行為論とも交錯する局面を切り開いた。
- ・山形頼洋
- M.アンリの「内在」(感情の自己触発)の立論にヴァンデンフェルス:のの運動感覚を導入しつつ、そこに新たな意味での外部世界への「超越」の条件を見いだしている。
- →各文化の日常生活の中ですでに隠れて働いている論理を明るみにもたらすという課題を担っている。
- ◇ フッサール著、船橋弘訳
- 「デカルト的省察」『世界の名著 62 ブレンターノ/フッサール (中公バックス)』中央公論新社、1980年
- ◇ フッサール著、細谷恒夫、木田元訳
- 『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 (中公文庫)』中央公論社、1995年
- ◇ フッサール著、山口一郎、田村京子訳
- 『受動的綜合の分析』国文社、1997年
- ◇ 新田義弘
- 『現象学とは何か フッサールの後期思想を中心として (講談社学術文庫)』講談社、1992年
- ◇ 田島節夫
- 『フッサール (講談社学術文庫)』講談社、1996年
- ◇ 山口一郎
- 『現象学ことはじめ―日常に目覚めること』日本評論社、2002年
- ◇ 岡崎文明、日下部吉信、杉田正樹他
- 『西洋哲学史―理性の運命と可能性』昭和堂、2002年
- ◇ 谷徹
- 『意識の自然―現象学の可能性を拓く』勁草書房、1998年
- ◇ E.マッハ著、須藤吾之助、広松渉訳
- 『感覚の分析 (叢書・ウニベルシタス)』法政大学出版局、1971年
- ◇ W.ブランケンブルク、河本英夫、花村誠一他
- 『精神医学―複雑系の科学と現代思想』青土社、1998年
- ◇ 野家啓一
- 『無根拠からの出発』勁草書房、1993年
現象学
木田元『現象学 (岩波新書 青版 C-11)』(岩波新書)についての【まとめ】