ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

アジアの聖書協会総主事(後編)

出だしから、話はいきなり来年に飛びますが、ネット版キリスト教系新聞の記事によれば、次回の国際聖書フォーラムのテーマは「聖書翻訳について」だそうです。ますます楽しみ!!別に依頼したわけでもないのに、気がついたら、自分のテーマに深く関連する形で、日本聖書協会セミナーを開催してくださり、何年も前からマレーシアやシンガポールでお世話になってきた関係者が、招待講師として来日されるのが、とってもうれしいです。ようやく私にも、運気が巡ってきたのかしらん??

「アジア」といっても、具体的には、韓国、インドネシアシンガポール、マレーシアの話です。まず、去年は「シンガポール聖書協会」所属と誤って(?)表記されたマレーシア華人の Dr. Yu Suee Yan(ユー・スィヤン先生)は、現在、中国での業務に従事しておられるとのことで、今年はいらっしゃいませんでした。マレーシア聖書協会の新総主事に早くお目にかかりたいのですが、なかなか連絡がとれず、公式ホームページの更新も未定のようです。今回は、次週のコタ・キナバルでの会合準備のために多忙だから欠席だとの由、アジア太平洋地域コーディネーターのジャワ系インドネシア人Rev. Dr. Daud H. Soesilo(以下、「スシロ先生」)からうかがいました。 

韓国聖書協会総主事でいらっしゃるRev. Dr. Min Young-Jin(ミン・ヨンジン先生)が、イスラエル滞在時代(1973年以降)から池田裕先生と家族ぐるみで親しくされてきた、ということを知ったのは、去年の聖書フォーラムの時です。朗らかな奥様同伴で、お二人ともとても気さくなのに少し驚きました。韓国の偉い方は、もっと近づきがたい雰囲気を備えて毅然と振る舞っていらっしゃるのか、と思い込んでおりましたので...。帰国後、お送りしたお写真についても、大袈裟に喜んでいただき、かえって恐縮でした。

池田裕先生と言えば、このブログ日記でも二度ほど書かせていただきましたが、知る人ぞ知る、近年話題になった、岩波の旧約聖書翻訳委員会のメンバーでいらっしゃいます。(聖書翻訳のご苦労たるや、並大抵のものではないことは、岩波書店聖書を読む−旧約篇』『聖書を読む−新約篇』(2005年)を参照のこと。)また、『旧約聖書の世界』(三省堂選書166, 1992年)や翻訳書『一冊でわかる 聖書』(岩波書店 2004年)(原書:John Riches, “The Bible: A Very Short Introduction”, Oxford University Press, 2000)は、特におもしろく読みました。後者の原書を、2005年8月にハーヴァード大学生協書店で見つけた時には、思わず、「池田先生、ありがとうございます!」と東京方面に向かって頭を下げたくなりました。伝統的な西洋由来のキリスト教文脈に沿った聖書の読み以外にも、こんなにおもしろい解釈や読み方もありますよ、と教えてくださったのが、先生のご著書なのです。

ところで、今年は、レセプション終了後の歓談の時、スシロ先生が気をきかせて「ユーリはイスラエルに行ったんだよ」とミン先生に言ってくださったのですが、即座に「イスラエルのどこに?」と聞かれて、つい「まぁ一週間ですから、たいしたことありません…」などと遠慮がちに答えてしまいました。私にとっては意義ある旅行であっても、池田先生やミン先生の時代は、イスラエルに滞在するということそのものが、国内的にも対外的にも、大冒険だったはず。熟練ガイド付きで、ガリラヤと死海とベトレヘムとエルサレムと…と典型的な短期旅行者の行路を述べて、無邪気に楽しかったと返事すると、かえって失礼か、と感じた次第です。実際、私より前に、スシロ先生も、シンガポールやオーストラリアの参加者を引導してイスラエルに行かれたのですから…。それに、イスラエルでも、韓国人巡礼者はもちろんのこと、マレーシアのペナン出身のカトリック巡礼の一行にも出会いましたから...。

本当に、スシロ先生は、ジャワ人らしく控えめで丁重で温かい方です。マレーシアの首都圏にいると、多民族社会のために、はっきりストレートに物を言わなければかえって通じないこともあり、ついつい単純な物言いで話す癖がついてしまうのですが、インドネシアの方達は、とっても遠回しで柔らかい表現をされると聞いているため、何かとあれこれ恐縮してしまいます。マレー語/インドネシア語で ‘kasar’(がさつな)という表現がありますが、まさに私はそれではないか、と反省させられるわけです。

あ、また今日も時間切れです。この続きはまた明日に...。その後には、出席した五つの各講義について、配布された翻訳版の講義録と自分のメモを元に、少しずつご紹介する予定です。