(慰安婦誤報で社長辞めるわけじゃないですから。あくまで原発ですから。)


http://www.yomiuri.co.jp/national/20140911-OYT1T50140.htmlより

朝日新聞記者行動基準(抜粋)

公正な報道

1.正確さを何より優先する。捏造や歪曲、事実に基づかない記事は、報道の信頼をもっとも損なう。原稿はもちろん、取材メモなど報道にかかわる一切の記録・報告に、虚偽や捏造、誇張があってはならない。写真でも、捏造や捏造につながる恐れがある「やらせ」は、あってはならない。

2.筆者が自分であれ他の記者であれ、記事に誤りがあることに気づいたときは、速やかに是正の措置をとる。

http://www.asahi.com/shimbun/company/platform/kisha.html


朝日新聞社木村伊量(きむら・ただかず)社長が、福島第一原発事故に関連して政府事故調査委員会が作成した吉田昌郎所長(当時)の聞き取り調査書(いわゆる吉田調書)について、朝日新聞の報道に誤りがあったと認め謝罪、自身が然るべき時に進退を決意することを記者会見で発表した。


慰安婦報道の誤報は32年後に訂正した。
私たちは日本のクオリティーペーパーに間違いはないと思って購読してきた。誤報や誤用それ自体は気がかりだ。だがちょっとまってほしい。
朝日新聞は見開き紙面を割き、訂正している。ありのままの朝日らしく謝罪の言葉は一切ない。
加えて記事では、当時は挺身隊や慰安婦の研究も進んでおらず、また自分たちだけでなく余所のメディアも間違った、等の補足情報も充実していた。
その日の1面には編集担当による「慰安婦問題の本質 直視を」というわかりやすい論説が載っていた。
裏付け取材もなく「日本の軍や官憲が銃剣突き付けて朝鮮の若い女性たちを奴隷狩りした」という吉田清治証言を何度も掲載し、嘘を世界に広めた朝日新聞。それをもとに国連報告書が作られ、日本や日本人は著しく貶められたという声もある。
だが編集担当の杉浦信之さんの訴えるように、それは問題の本質ではないのだ。記事発表直後の8回に及ぶ謝罪会談は外交の基本と言える。根拠不明の河野談話は日韓関係の基本となり、そのまばゆい輝きを失っていない。
私たちはこの記事から「『慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ』といういわれなき批判」に立ち向かう朝日新聞の勇気を感じた。
「これからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます」という結びからは、日韓関係悪化の原因となった自らを棚に上げるという、朝日新聞社の強い決意が伝わってくる。


さて、吉田調書に関する報道は4か月で訂正となった。
日本を代表する朝日新聞が2回も誤報をしていたことそれ自体は信じられない。だがちょっとまってほしい。
今回はなんと訂正までの期間が1/100になっている。8月6日からの1ヶ月間で100倍もの成長を遂げた朝日新聞に惜しみない賛辞を送りたい。
失敗から学ぶというのは、誰もが分かっていながらなかなかできないことだ。そんな朝日新聞に見習うべきところは多い。
残念なのは、勇気を持って慰安婦問題の本質を直視した杉浦信之さんが、全く違うこの件で取締役を解任されてしまうことだ。
杉浦さんたちには、私たち一般国民には想像も出来ない論理で朝日新聞の本質も直視してほしかった。
その目からはどのように見え、その卓越した文才はどのように発揮されるのだろう。
白日の下にさらされた朝日新聞の本質を、常識的な感覚にとらわれず、大胆に解き明かしてほしかった。


32年。4か月。
記者行動基準にあるように、実に「速やか」な「是正の措置」と言える。創刊135年という歴史ある朝日新聞からすれば、32年前などごく最近のことに過ぎないと思うのは私たちだけだろうか。
記者行動基準にあるように、「捏造や歪曲、事実に基づかない記事は、報道の信頼をもっとも損なう」。もしやってしまっても、系列テレビ局のニュースで日韓関係悪化の原因を日本に求める特集を組むのが適切だ。
記者行動基準にあるように、「報道にかかわる一切の記録・報告に、虚偽や捏造、誇張があってはならない」。確かに銃剣を突き付けたという奴隷狩りは全くの虚偽や捏造だった。慰安婦の証言もほとんど学問的価値がなく、信用できなかった。しかし、だからといって「広義の強制性はあった」という木村伊量社長や惠村順一郎編集委員の考えに、誇張はないはずだ。

これからも、上から目線で飛躍した論理を繰り広げ、とかく枠にとらわれがちな私たちでは及ばぬ論説を提供してくれる朝日新聞の購読を奨めたい。

実は私の友人もずっと朝日新聞をとっているが、笑いの種は絶えないという。失笑、苦笑、嘲笑。そこには様々な笑顔があった。

まず、これまであれだけ批判してきた東電に対して、カメラの砲列の前で頭を下げる気分はどうだろう。
思い出してほしい。朝日新聞が今まで多くの不祥事を起こした人に鋭く切り込んできたことを。繰り広げてきた光景の当事者に、自分たちがなるとは思っていなかったのではないか。他人(ひと)の気持ちがわかると、人は成長するという。朝日新聞のさらなる飛躍に期待したい。

最近の朝日新聞のスクープと言えば吉田調書のはずだった。今回は問題になってしまったので、地検特捜部の証拠改竄を見てみよう。
(猪瀬直樹都知事問題はもう自紙で特集していたのでそちらを読んでほしい。「これからも権力の監視を続ける」と高らかに宣言する第四の権力自画自賛手法は、平壌を参考にしたのだろうか。)
思い出してほしい。あのときも筋書きありきの捜査にもっとも厳しい姿勢を見せたのが朝日新聞ではなかったか。取り調べの録音・録画(可視化)も求めた。だが今回、筋書きありきの記事がもとで社長の進退問題になった。
朝日新聞には、自己調査委員会の聞き取りを全て録音・録画し、黒塗りなしの朝日調書の公表を求めたい。

また、自らの論理が破綻した時に、どのように対応すべきなのか、教えてくれるのも朝日新聞だ。
まずは少し様子を見て世間の反応を見る。こちらの分が悪くなってきたら発表だが、そのタイミングは十分に検討しなければならない。
反日団体幹部の韓国人を義母に持つ担当記者が退職したあとや、週刊誌の夏休み中に電撃公表するのがいいだろう。
あるいは、世界の目がイスラム国やオバマ大統領の演説に向けられている間に、というやり方もある。
その上で巧妙に論点をずらしていく。ここはアジアの隣人に学ぶべきところのはずだ。

謝罪する羽目になったときに、言い訳のスパイスを効かせて、読者を沸かせる手法も見事だ。
たとえば、執拗に日本の謝罪と賠償を求めるアジアの国々にもっとも寄り添ってきたのは朝日新聞だ。企業の不祥事を、同業他社と結束して明らかにしてきたのも朝日新聞だったはずだ。
その矛先が自分に向かってきたら、出来るだけ避けるのは当然の反応といえよう。

いよいよ謝罪しなければいけなくなっても、潔くては朝日らしくないだろう。
他人の間違いを指摘し、自分たちの成果も指摘する。注意すべきは人気者に逆らってはいけないということだ。
ジャーナリストの池上彰さんは、高い知名度と多大な影響力を持っている。
表向き弱者の味方をしても、本当は強きを助け弱気を挫かなければ生きていけないはずだ。

もし、その池上さんが週刊誌に余計なことを話してしまっても、広告は黒塗りにするのが適切だろう。その際、国より魂の方が売りやすいのは一つの基準になるだろう。靖国参拝を毛嫌いする朝日らしさはここでも貫かれている。
特定秘密保護法に社を挙げて反対しても、言うまでもなく自分は例外だ。よほど腹に据えかねるなら広告自体を拒否すればいい。


最後に、私たちの思う本当の朝日新聞の印象について、改めて知ってもらいたい。

一、不偏不党の地に立って安倍政権打倒の社是を貫き、民主党国家の完成と東京裁判史観の確立に寄与す。
一、正義人道に基いて中韓国民の幸福に献身し、一切の紙面と電波を費して河野談話腐敗と闘う。
一、真実を公正敏速に捏造し、評論は中国共産党の御先棒を担ぐ的精神を持してその中正を期す。
一、常に寛容の心を忘れず、掲載拒否と黒塗りを重んじ、新潮にして文春の風をたっとぶ。


このように朝日新聞を購読していると、いくつもの発見や驚きが待っている。
まずは次の社長に誰がなるのか楽しみだ。その道は前途洋々だろう。
私たちはこれからも、劇的なドラマに期待する。築地に昇る朝日を、アジアの友人とともに拝みたい。

(参考)朝日新聞綱領
http://www.asahi.com/shimbun/company/platform/