皇室の名宝―日本の華 (第1期)@東京国立博物館平成館

 今回特別展「皇室の名宝―日本の華―」ではブロガープレビューの機会を頂き、一日早く拝見させて頂いた。公募とはいえ抽選でのご縁に深く感謝する。なお、今回このような試みは初めてとのことで、その英断を下さった各担当の方にも深く感謝したい。画像も会場の雰囲気を伝えるため許可頂いた。
それを踏まえて第一期の印象を付す。

 日本の美の伝統を後世に伝えるために、このように目にして知る場、そして残す場が大切だと感じる。特に未来を担う子供たちが多く訪れる機会があると良いと思う。 子供用ガイドブックも用意してあり、若冲の絵からヒミツを探す仕掛けだ。それ以外も 虎、龍、獅子、猿、孔雀、子犬を探して回るのも面白いかも。1部は屏風など大作が多いが、若冲は見るにもあの緻密さ奇想ぶりゆえ、非常に集中力が要る。休み休み、2章の精緻な美を目を凝らして見る体力を温存して進むと良いかも。

 天皇陛下御即位20年を記念して,皇室ゆかりの名宝を一堂に展観する特別展を開催します。天皇陛下ご即位20年、ご成婚50年という節目。天皇陛下が皇室にある作品を広く国民のためにと開放された場所が、三の丸尚蔵館だ。
会期 1期と2期はすべて入れ替えるため、期間は要注意
1期: 平成21年10月6日(火)〜11月3日(火・祝)[26日間] 休館日:毎週月曜日(ただし,月曜日が祝日の場合は開館し,翌日休館する。)
2期: 平成21年11月12日(木)〜29日(日)[18日間] 休館日:なし

宮内庁 

出展リスト文中の(数字)は図録Noとする。

高貴で落ち着きある紫色の地を配し、曲線の導入部

■1期 1章 近世絵画の名品
入ってすぐ狩野派の流れ。そして正面奥は 双璧
(4)唐獅子図屏風 右隻:安土桃山の狩野永徳 ・左隻:江戸の狩野常信 揃うことは珍しい。
(5)萬国絵図屏風
次は四面を伊藤若冲が占める。時代順に時計回りで
(6)旭日鳳凰若冲筆 1幅 (1755)
(7) 動植綵絵 伊藤若冲筆 30幅 (1757-66)
拡大した解説パネルあり。細部に注目するたび発見多し。
(11) 小栗判官絵巻 巻第1・11・13 岩佐又兵衛
小栗判官と照手姫の物語 小栗が餓鬼阿弥の姿で土車に引かれている図。衣紋が金で描かれる。角度を変えて見ると面白い。
(18)西瓜図 葛飾北斎筆 (1839)
七夕の行事を彷彿させる北斎のセンス良い絵

■1期 2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
江戸から明治へ、江戸の職人技を帝室技芸員として認定し、日本伝統文化に優れた伝統芸能を継承するために昭和19年まで続いた。細部に職人の技であり思いがこもった秀作ばかり。
(28)菊桐鳳凰文ガラス花瓶 大連窯業株式会社 昭和3年(1928)クリスタルガラスの最高作

(36)孔雀之図 荒木寛畝筆 1幅 明治23年(1890)
この孔雀の羽の広げた姿は初めて見る。この威容 何故か怪盗二十面相のマントを想像する。

(49)七宝四季花鳥図花瓶 並河靖之作 1口 明治32年(1899)
(51)菊蒔絵螺鈿棚 川之邊一朝ほか作 1基 明治36年(1903)
創作に12年の歳月をかけ、意匠から材料選び、創作をした豪華な蒔絵螺鈿。下からも見上げて。どこまでも隙なく丁寧な職人集団の至芸。

(画像提供:菊蒔絵螺鈿棚 川之邊一朝ほか 明治36(1903)年 三の丸尚蔵館
(54)春郊鷹狩・秋庭観楓図壁掛 川島甚兵衛(三代)作
(60)鳳凰高彫花盛器 香川勝廣作 1対 明治38年(1905)
(61)七宝唐花文花盛器 濤川惣助作

尾張七宝の技術をINAX展示で見たばかり。その美に関わる仕事の緻密さ。
(66)蘭陵王置物 海野勝除ナ作 (図録では、蘭陵王の面を外したイケメンが見れる!)


(画像提供:蘭陵王置物 海野勝除ナ 明治23(1890)年 三の丸尚蔵館
(78)紫紅壺 河井寛次郎作 1口 昭和3年(1928)
工芸のガラスケースが並ぶ展示室は静かに美しい。昭和天皇から香淳皇后への贈り物。
 2章は工芸品が多く、その精緻な技法はじっくり見ないとわからない位だ。だが、そういう繊細精密な技術が日本文化の感嘆すべき技、いまでは「伝統工芸」という名前にしているが、デコ技術やデコトラ、タトゥー、フィギュアなど現代にも通じる日本の精密な力は大事にしたいもの。
■1期 大和絵屏風の伝統(平成館企画展示室)
6曲1双 平成2年(1990) 
平成度悠紀地方風俗歌屏風 東山魁夷
平成度主基地方風俗歌屏風 高山辰雄
 やまと絵ながらも現代の風景も画き込んである点も注目を。1期のみ
ミュージアムショップも一層充実している。若冲グッズも

 今回ブロガープレビュー主催者からの宿題
「もし1点だけ持って帰れるならどれにするか? どこに飾りたいか?」
お宝 しかも皇室に入る名宝の数々の中から選ぶというのは難しく、
実際に叶うわけではないが、美術展を楽しむ際にはこの気持ちで見ると味わいも違う。是非。
わたしなら (62)七宝藍地花鳥図花瓶 INAX galleryでの七宝 ー色と精密の世界を見たらあの美の影にどれだけの心がこもっているか感じるから。
実物は会場にて ご覧あれ。書机の傍で愛でていたい一品。