GHQはGo Home Quicklyだ! 〜 GHQ憲法をめぐる戦い

原子力の陽光という脅し。


 昭和21年2月13日、外務省官邸に吉田外相、松本国務相・終戦連絡中央事務局次長・白洲次郎、外務省嘱託・長谷川元吉が集まっていました。GHQ民政局に日本の憲法草案(松本案)を説明するためです。ところが、GHQ民政局のホイットニー、ケーディスはマッカーサー案を突きつける画策をしていました。このマッカーサー案がほぼ現在の日本国憲法(GHQ憲法)となっています。

 会談は日本側が憲法草案を説明しようとすると、ホイットニーが制止し、マッカーサー案を提示しました。ホイットニーはこのときのことを以下のように書いています。

「・・・私の言葉は、すぐに日本人代表たちの表情に変化をもたらした。白洲はピョコンと飛び上がり、松本博士は息を深く吸い込んだ。吉田の顔は、暗雲のごとく暗く曇った」

 そしてホイットニーは「われわれは少し席をはずして、君達が草案に目を通す時間を差し上げよう」といって、庭に出ました。このとき、米軍のB25爆撃機が低空で上空を飛び、重低音の爆音が官邸を包みました。

 さっと全文を目にした白洲次郎は庭に出るとホイットニーは次郎にこう述べました。

「We have been enjoying your atomic sunshine(われわれは原子力の陽光を楽しんでいたんだ)」

 つまり原子爆弾投下を連想させる「脅し」です。ハーグ陸戦法規では占領地の法律を変えてはならないことになっています。ですから、押し付けではなく、日本が自主的にマッカーサー案を採択したようにしたいわけで、それとなく「脅し」をかけたわけです。白洲次郎は不快感が胃酸のようにこみ上げてしばらく口をきこうとはしませんでした。やがて吉田たちが次郎を呼んでいたので、戻り、ホイットニーも庭から戻ってきました。ホイットニーは次のように述べます。

マッカーサー最高司令官は、天皇を戦犯として取り調べるべきだという他国からの圧力から天皇をお守りしようという固い決意を持っておられる。しかし最高司令官といえども万能ではない。最高司令官はこの憲法草案が受け入れられるならば、事実上天皇は安泰になると考えておられる」

 ダメを押す脅しです。そしてホイットニー一行は官邸を去っていきました。次郎は吉田に先ほどの atomic sunshine(原子力の陽光)の報告をしました。すると吉田は「何だと!」と地団太踏んで悔しがり、こう述べました。

「GHQなど"Go Home Quickly"(とっとと帰りやがれ)だっ!」



参考文献
 講談社文庫「白洲次郎 占領を背負った男」北康利(著)
 河出書房新社白洲次郎
  『白洲次郎とは誰か?』加藤典洋樋口覚
  『占領秘話を知りすぎた男の回想』白洲次郎

添付画像
 吉田茂(昭和28年)(PD)

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絶対正義GHQ
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