IMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形」を見る

光が丘IMAホールで、IMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形」を鑑賞。

3月3日(土)午後6時開演、3月4日(日)午後1時開演/午後4時開演と、3ステージあって、3回とも見た。

3日に見て、期待以上に面白く夢のあるステージで、その夜は、なかなか寝つけなかった(笑)。

池袋から西武池袋線に乗り、練馬まで(準急なら、あっという間)。都営大江戸線に乗り換えて、終点の光が丘まで。
光が丘IMAというのは、光が丘団地のなかにあるショッピングセンターで、その4階にホールがある。客席は、前方から傾斜があり、通路から後ろは段差がついて、キャパシティ500席の見やすいホールだ。天井も割りと高くて、気持ちよく舞台を見ることが出来る。



IMAホール主催で、同ホールの20周年記念公演と銘打たれている。バレエ団ピッコロの「くるみ割り人形」である。プログラムを見ると、出演は、くるみ割り人形の王子の黄凱さんをはじめとする客演陣の他、(バレエ団ピッコロを含む)20のバレエスタジオ等から参加している。

主な配役は、ここ(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20070122/p3)にも書いたとおり。

3日は、若干空席があったが、4日は2回とも、ほぼ満席だったのではないかと思う。

上演時間は、約2時間で(4日は、2時間かからなかった)、15分の休憩あり。


子ども出演率が高くて、振付も楽しいし、とくに一幕はドラマ性もあって、とても楽しめる。

序曲が流れてのナレーションではじまる。このナレーションで、フリッツはクララの兄だといっていた。

くるみ割り人形」でのクララとフリッツの関係は、兄と妹だったり、姉と弟だったり、客席から見ている限りでは兄妹なのか、姉弟なのか分からなかったりと、公演によって様々だが、この「くるみ割り人形」では、3ステージとも、クララより身長のある子がフリッツに配役されていた。(たとえば、1月のNEOエンターテインメントバレエ西島千博版では、二幕の「あし笛」で、クララのあとにフリッツが生まれる場面があって、クララが姉という設定だった)


さて、まず、家庭教師やメイド、ボーイがクリスマスパーティの準備をする様子を見せ、つづいて、幕前にドロッセルマイヤー(小原孝司)が登場し、客席へコロンビーヌ(松崎えみ)とクラウン(大嶋正樹)の顔見せがあって、クララの家の大広間でのパーティとなる。

二幕も含めて、ドロッセルマイヤーのマント捌きがなかなか見ものだ。

クララ役の女の子(三好美晴、渡辺理央)は、何年生なのだろう。見た感じだと、4、5年生ぐらいかしら?両嬢ともしっかりしていて、素敵なクララ。
くるみ割り人形をもらったとき、人形を「もっと大きくして」というしぐさをドロッセルマイヤーおじさんにして見せるのが、後の場の伏線でもあろう。(伏線といえば、フリッツがねずみのおもちゃでクララたちをおどかすのも、しかり)

クララ、フリッツに、それぞれの友人たちと、子どもたちが踊るシーンが多く、演技や表情の上手い子もいて、パーティでの子ども同士のやり取りや、ドロッセルマイヤーとの絡みなどが、(セリフはなくても)ちゃんとお芝居として伝わって来る。

クララと、クララのお友だち(8人)は、トウシューズで踊る。クララのお友だち役の白いドレスの子(小さいほうの)が、かわいかったな(名前、分からないけど)。

大広間の下手には背の高い時計があって、パーティの開始には、針は、7時を指している。時計の針は、いつの間にか動いて、パーティの終了が、10時。くるみ割り人形が気になったクララが、ひとり大広間にやって来て眠ってしまうのが、11時。ねずみたちが集合するのが、12時だ。

深夜、お約束の、クリスマスツリーが上へと伸びて行く(上から吊ってある)のだが、電飾がきらめき、音楽とあいまって雰囲気が高まる。舞台に出揃ったねずみたちの群舞を露払いに、ねずみの王様(金甫燕)が登場。くるみ割り人形を抱いたクララが、ねずみたちに追い詰められると、ドロッセルマイヤーが現れ、人形を時計のなかでくるみ割り人形の兵隊(黄凱)に変身させる。小っちゃい子どもたちが扮する兵隊も銃をかついでワラワラ出て来て、ねずみたちを迎撃。大砲をぶっ放すのが面白い(ちゃんと玉が出る)。
くるみ割り人形とねずみの王様の一騎討ちに、クララがスリッパを投げつけて加勢、ねずみの王様がクララに気を取られた隙に、くるみ割り人形はねずみの王様を仕留めるが、彼も頭を撃たれて昏倒。
ここで、カーテンが下りて幕前になる。

動かなくなったくるみ割り人形を見て、悲しみ、祈るクララ。ドロッセルマイヤーがマントで覆うと、倒れていたくるみ割り人形はカーテンの後ろに姿を消し、再びドロッセルマイヤーが楯になると、その後ろのカーテンの隙間から、くるみ割り人形が美しい王子(黄凱)の姿となってクララの前に現れる。

カーテンが上がると、舞台は白銀の世界。白い布を使った背景は、あまりきれいには見えないのだが、細かく降り出す雪が、いい感じ。雪の女王(大瀧紗矢香)と雪の王(長谷川秀介)、雪の精たちが踊る。
大瀧紗矢香さんの踊りに華がある。(検索したら、中学生のときのインタビューがあった。2001年のものらしい。→http://www.eikenforum21.jp/recitation/pic2_ohtaki.html)


第二幕。クララ、王子、ドロッセルマイヤー、クラウン、コロンビーヌの一行は、お菓子の国にやって来る。お菓子の国の住人たちが勢揃いして、歓迎してくれる。

上手の椅子に腰かけたクララの前で、ドロッセルマイヤーの仕切りで、「チョコレート」「コーヒー」「支那茶」「トレパック」「あし笛」と、踊りが披露されて行く。
「キャンディーケーキ」では、箱(ワゴン)のなかから、キャンディの子どもたちが11人出て来て、かわいく踊る。一見、ユニゾンなのだけれど、少し大きい女の子ふたりが先に動くところなど、ちょっとした変化が愛らしい踊りのアクセントになる。このシーンでは、クララも、途中からセンターに入って、キャンディたちと一緒に踊る。

このあと、クラウンが踊りたいとねだるので、「花のワルツ」の前に、「くるみ」にはない曲がひとつ挿入されて、クラウンとコロンビーヌの踊りが入った。そして、王子と金平糖の女王(奥田花純)によるパ・ド・ドゥがあって、再び、お菓子の国の面々が勢揃いすると、終幕のワルツとともに、クララたちに別れを告げる。

最後は、大広間で目を醒ましたクララが、「いまのは夢だったのね」と、くるみ割り人形を手にしての思い入れで、幕を切る。


オーソドックスな範疇の「くるみ割り人形」だと思うが、とても楽しいのは、子どもたちが添えものではなく、きちんと踊り演じる役割が与えられていて、舞台の上での比重が高いからだろう。クララ役のふたりも、それぞれ好演。

4日の4時開演のステージだけ、カーテコールが1回多かった。

バレエ団ピッコロの「くるみ割り人形」は、ぜひ、また見てみたいと思った。




ところで、現大江戸線が開通する前は、光が丘には鉄道の路線は入っていなかったのかしら?
IMAホールのこけら落としは、確か、アルゴミュージカルの第1回公演で、その後も何回か公演していたはず。見に行ったひとはどうやってホールまで行ったのだろう。バス?…(私がはじめてアルゴを見たのは「魔法使いの夏休み」だったから、すでに会場は日本青年館だった)。