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2017-04-06 (木)

ハリウッド版 Fate stay/nightを作るなら / ラブストーリーの骨格

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Fate/stay night+hollow ataraxia セット

 いまネットのオタク文化圏ではモバイルゲーム「Fate Grand Order」が大流行中。私も2月頃からはまって身体の中に埋め込まれたFate回路が開いている状態です。その流れで10年以上に作られたゲームについて今さらながらに考察・構造読解記事を書いてしまいます。

*注:この記事は Fate stay/night Heaven's Feel 未プレイのまま、思うがままに勢いに任せて書かれています。
*アーチャーの真名を知らない人はもういないだろうという前提に基づいて書いています。


 Fate stay/night わたくしのお気に入りキャラクター第一位といえば、アーチャー。

 キャラクター造形の格好良さとストーリーのまとまりの良さに、この人をメインに据えた Fate stay/night Unlimited Blade Works のハリウッド版*1を作れないのかなと夢想します。ソードアートオンラインが海外ドラマ化される時代ですから。

 ジャンル分けするならば「ロマンチックアクションラブストーリー」。組み合わせの相性の良し悪しは、無視です。

Fate stay/night の基礎骨格

  • 基本的に神話時代のサーヴァントしかいない中に現れた無銘の赤いアーチャー。彼は一体何者なのか?大きなミステリーとして物語が始動します。
  • そのアーチャーは凛にとって身近で好感の持てる不屈の少年士郎が正義だけに生きる事ですり減りきった未来の姿で、機会さえあれば現代の士郎を殺そうとする葛藤が独特なのです。
  • 得体の知れない恐ろしさを持ちながらも「凛との絆」だけは覚えているというダイナミックなギャップ。
  • むかし『ゴースト ニューヨークの幻』という映画が大ヒットしましたが、これが比較的近い路線になるのでしょうか?


主に士郎視点で見るアーチャーの完璧さ・ラブストーリーへの基礎

  • 「最高のヒロインである凛と釣り合う立派な人間になりたい」という意欲、あるいはプライドはどんな少年だって持っているでしょう。アーチャーはそれを成し遂げた存在でもあるのです。


主に凛視点で見るアーチャーの格好良さ・これがロマンチックアクションラブストーリーの骨格

  • 凛視点で見ると、支えてくれる気の合うパートナー(しかも家事の上手いイケメン)とコンビを組んでの決死のバトル!
    • アーチャーからお姫様抱っこされても、それはただ強さの形が違うだけ、特性を活かした動きをしているだけで、守られているだけの状態ではない。
    • このアーチャーが、高校生の今気になっている男子の未来の姿で、その「気になっている所」「気になる性格の長所」を突き詰めた結果、世界に見捨てられ死んでいったと知る悲しみ。
    • だから彼の幸せのために「あんたはああやって後悔しないように私についてきなさい!」という支え合いの形で物語が終わる。これが美しい。
  • 凛とアーチャー、並び立つ二人のヒーローが完成する終幕。

  • この「凛視点」が私の考える「ハリウッド版fate」の核となる部分です。
    • 等々色々書いてますが、2014年のufotable版アニメは既にこの方向で作っていた印象があります。


  • 英雄王対アーチャー決戦の構造
    • 発売当時から今までの批評で不可解なほど取り上げられなかった印象を受けるのですが、アーチャーの能力「無限の剣製」は英雄王ギルガメッシュの能力「王の財宝」とずれた鏡写しになっています。英雄王が真作の武器を無限に撃ち出す中、アーチャーは「フェイカー」として贋作を同様に撃ち出し続けるのです。何もそこまでという程に酷似した能力のぶつかり合い。「聖杯戦争」という大局的状況は二の次三の次。もっと個人と個人の、意思と意思の戦いなのです。
    • 「偽物が本物に勝てない道理などない」これは今作の大テーマの一つです。本来この世にいない偽存在であるアーチャーと凛の関係性もそう。
      • イメージを実体化させる「投影魔術」という小さな一要素の繰り返しが有機的に組み合わさって大きな全体像になる構造を持っているのが見事なのです。
      • イメージの実体化能力、それはすなわち「強さの定義」を写す鏡に他ならない。


 今の見方はいまいち掘り下げ切れていない感が強いため Heaven's Feel 完走の後にはパワーアップ版を再執筆したいものです。

坂本真綾「ヘミソフィア」とアーチャー、ついでにベディヴィエール

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イメージの実体化能力、それはすなわち強さの定義を写す鏡に他ならない。

 Type Moon作品はキーキャラクターの声優*2に坂本真綾を起用することがきわめて多いのですが、これは代表作である『ヘミソフィア』の歌詞から受けたイメージも大きいのではないか?と気が付きました。

教えて 強さの定義
自分貫く事かな
それとも自分さえ捨ててまで守るべきもの 守る事ですか

ヘミソフィア  坂本真綾 - 歌詞タイム


 FGOでベディヴィエールが事実上の主人公となる『第六章 神聖円卓領域キャメロット』はライブで『レプリカ』を聞いてほぼ全て書き直したという逸話も思い起こします。

人類の失敗は望んだこと つきまとう影に立ち向かう力を
武器を向けたその標的が 鏡に映った自分だなんて気づきもしなかった

人類の欠点は 見えもしないくせに 愛とか絆とか信じられること
僕の罪はうたがったこと 差し伸べられた君の右手 初めて見たヒカリ

レプリカ  坂本真綾 - 歌詞タイム

*1:この記事でいう「ハリウッド版」は、アクション・ラブストーリー・ヒューマンドラマなど多様な要素が有機的に組み合わさっていながら非常にシンプルな基本構造の骨格を持つ作品といった程度の意味合いです。「ハリウッド版三国志は出てくる国を二つにまとめようとする」というジョークがありますが、それ位極端な構造化を行わなければ2時間プラスの枠には収まりません。

*2:『空の境界』両儀式、『Fate/Apocrypha』ジャンヌ・ダルクなど。

2017-03-21 (火)

2016年のインターネット・2017年の湾岸MIDNIGHT・まもなく揮発する文化

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 2016年という年は、自分が多くのものを投じてきたインターネットが終わってしまう、死んでしまうという事がはっきり見えた一年でした。薄々気づいていたとはいえ、それを受け入れるのは本当に寂しい。耐えることそのものが辛いほどに寂しすぎる。

 なぜ終わってしまったと考えるようになったのか。それは一般社会とあまりに一体化しすぎてしまったからです。「違った社会」ではなくなってしまった。深夜の無軌道な衝動が真昼の日常へと変わっていく。リラックスしながらも精神的なものがぶつかり合う趣味的な世界、インナースペース同士のつながりがビジネスライクなものに埋め尽くされていく。思考の試作品が一瞬で焼き尽くされ正しい世界へと変えられていく。

 孤立した人間同士が孤立したままに無形の連帯を持つ安らぎは失われた。もう二度と帰ってくることはないだろう。あの時代は何だったのか、きっと後年に渡って考え続ける事になるだろう‥‥。

終わった後の世界、2017年の湾岸MIDNIGHT

 こんな気分の中で迎えた2017年の1月、そして2月。そこにフィットしたのが楠みちはるの『湾岸MIDNIGHT』です。

 このマンガは一般的なイメージと異なり、公道レースや最高速バトルのマンガではありません。

 そういう事に何もかもをつぎ込んでいく人生の方に重みを置いているのです。走り屋は無価値、犯罪、人生を棒に振るだけだと知りながら、それでも打ち込んで、最後に燃え尽きるその瞬間が何度も何度もあらゆる形で描写されるマンガなのです。

 莫大な時間、金、そして人生をつぎ込んで磨き上げた宝石のようなチューニングカーが一瞬の輝きを見せて死んでいく。その残響の中で生きていく。後悔する事はあっても、納得はしている。

 さらに、作中世界が1990年代頃で、今ちょうど消え去ったばかりの時代である事がまた一段と重みを増しています。

「もともと仲間じゃあないですよ 僕達は偶然であの場所で出逢っただけです」「それぞれの生活や 生き方は全然ちがう 本来なら交わらない者同士が偶然に‥‥」

「思わなかった‥‥ もう一度 こんな瞬間がくるなんて 最高のマシンと 同じ言葉で話せる仲間‥‥ ‥‥だけど もうあの頃とはちがう‥‥ もどれない 一度陸に上がってしまった魚は‥‥ もう長く水の中を泳げない すべて終わる あと少しで‥‥」


 最高のチューニングカーを仕立てて環状線を走っていれば、流れと全く違った動きをする仲間の「悪魔のZ」や「ブラックバード」と自然に出会うことになるが、最高の状態でなければ目の前から消えていくという描写の感覚・メカニズム両面も最高にインターネット感があります。奇跡的な出逢いは狙って起こせる。けれどそれが終わる瞬間もすぐにやってくる。

「やたら速いだけの フツーの車になってしまった ムリだ ムリだもう この状態でブラックバードをおさえて走れない」

「いつかは あんがいと こないんだよナ お前にはお前を取りまく大阪での生活基盤があり オレ達にはオレ達の東京での生活基盤がある 東京―大阪 距離にして500km トバせば4時間 だが距離や時間じゃないんだよナ シンクロする部分はあんがいないんだヨ じゃあナ」

「やりたかったわずっと‥‥ 車でメシ食うていきたかった 朝から晩まで車のコトだけで生きていきたかったわ でも‥‥せんかった 誰のせいでもない オレがそれを選んだんや」 

  • 一度は降りた走り屋が過去に命を賭けていたFC RX-7に乗り再び走り切るマサキ編(5〜8巻)
  • 10年間ただひたすらに速さを追い求める中で多くの仲間が去り、あるいは決別し、最後の走りに臨む黒木編(14〜16巻)(私的ベスト)
  • 大阪で湾岸最速への思いを封じていたその気持ちに3ヶ月間の上京で決着をつけるエイジ編(17〜20巻)

 この3つが特に共感する所の大きなエピソードです。



消える平行世界、まもなく揮発する文化

 『湾岸MIDNIGHT』をインターネットに適用するならば、もしかすると「ニコ生で過激化して身を持ち崩す女子中高生の話」ではないのか?と考える事がありました。実生活では誰にも知られないまま平行世界ではスターになっている二重の存在として生きる状態です。

 ニコニコ動画ができるより前の2002年のマンガでそれを盛り込むのは全く不可能ですが、華倫変の『高速回線は光うさぎの夢を見るか』は類似する認識から生まれたストーリーだったと記憶しています。




 最近はニコニコ動画でさえも人口減・高齢化が進む一方で、スター輩出も一通り終わってしまった感のある中、メジャーな企業もネット発を狙ってあるいは装ってでも仕掛けていく傾向がはっきりと見えるようになり、世界が一つになってしまう空しさを感じます。結局は大資本や社会的地位に圧殺されて終わるのか‥‥。

 こうして終わるインターネットを感じている中、たまたま2011年のアニメ『ギルティクラウン』CS再放送に偶然当たったのでした。これが作品全体としてはちょっとまとまりがないんですが、コンセプトレベルでは当時の空気感が封じ込められていて非常に印象的でした。テーマソングがニコニコ動画発のスターの中でも当時トップと言い切れるryoのグループEGOISTであり、当て書きのようになっているのが素晴らしいのです。*1






 最も輝いていた頃のニコニコ動画といえば初音ミクの時代。それは2007年に始まりました。今から10年前の事です。当時14歳の中学生が今は24歳。世界が変わるには十分すぎる時間でしょう。

 2007年が黄金期だったという事はこの記事ではっきりと認識しました。

  • 僕らは「サード・サマー・オブ・ラブ」の時代を生きていた - 日々の音色とことば:

http://shiba710.blog34.fc2.com/blog-entry-533.html


 乱文乱筆進みひどく取り留めがなくなってきたので今日はこの辺で。

*1:余談ですが、よりネット的な集団supercell の方は今どうなっているんでしょうか?ソニーのパワー‥‥。

2016-12-23 (金)

2016年の特筆曲リストはもはやスタグフレーション

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 今年の音楽状況は「どんな曲でも聞けばだいたい面白いというのか、やりたい事が分かるけれど、かといって自分で思うがままに演奏できる楽器もなければ和音も出せないので何も再現できず、ただ巨大で高止まりした理解だけが押し寄せてくるままに流されている」と表現できる状況です。

 そして音楽メカニズムそのものに対する一体感が進むにつれ、楽曲個別の印象はどうにも薄くなってしまうのでした‥‥

 そんな状況ですが、紹介スタート。

(動画埋め込み16曲で極端に重い記事のため畳みます)

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2016年登場ながらぎりぎりで聞けていない曲

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 今年は年末年始休みが極限まで短い日程配置のため、これを書いている段階でも未発売・流通・その他もろもろの関係で聞けていないけれど試聴の段階でおそらくベスト級の作品がいくつかあります。

binaria「diez」


http://binaria.net/diez
 binariaの同人音楽10周年アルバムです。まだまだ活動を続けるとしていますが、私はこう上手い人で固まってメジャーデビューしたらもう分解せず同人には帰るのは不可能だぞと感じています‥‥。つまり、事実上の最後の同人作品であると捉えています。

 「上手いバンドはバラバラでもやっていけるのですぐ解散してしまう」という説がありますが、メンバーがソロでメジャーデビューした後も同人が続いていた希なチームなので例外的に大丈夫かな?

悠木碧「レゼトワール」

http://amzn.to/2h7VHiE
 同人音楽でおなじみ bermei.inazawa らが声優・悠木碧の声だけで楽器を入れずに作り上げた驚異のアルバムの一曲です。

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