自治体法務の備忘録(Old) このページをアンテナに追加 RSSフィード

このblogは、自治体改革の凄まじい流れ中で、自治体がその役割を手探りで拡大している状況を、独自条例の制定の動向等の紹介やそれに対する指摘、そしてそこから展開される政策法務論という点からつたない内容を書き留ようという試みです。(平日の更新は深夜のみに行っています。)

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18/08/05(日)

[]法の種類と関係講義再現法の種類と関係(講義再現) - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 法の種類と関係(講義再現) - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

日本国憲法】※最高法規

 日本国憲法は、最高法規です。誰が決めたか。憲法自分で言っているのですね。

日本国憲法 第98条第1項

 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律命令詔勅(しょうちょく)及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

 「最高」って、自分で言っている。その憲法を頂点として、それぞれの「法」が位置付けられているわけです。

f:id:kei-zu:20180805171824p:image:left

法令】※国で定められる

 法律と、これにもとづいて定められる命令をまとめて「法令」と呼びます。「法・令」ですね。

法律

 国は、国会で「法律」を定めます介護保険ですと、「介護保険法」があります

政令

 「政令」は、内閣にとって定められます総理大臣によってじゃありません。法律より細かい内容が定められます

 「内閣」って? 総理大臣国務大臣組織される合議制機関です。

 「介護保険法」で定めきれない内容は、「介護保険法施行【令】」で定められます

・府・省令

 「府令」「省令」のことです。「省」は、厚生労働省とかですね。

 「府」って何だ? 大阪府とか京都府じゃありません。「内閣府」のことです。名称は異なりますが、法律上位置づけとして、「府」「省」は同等です。

 介護保険法施行令より細かい内容は、大臣によって「介護保険法施行規則】」として定められます。「省令」なのに「規則」の名称です。「令」は、政令で使ってしまっていますからね。

告示

 省令ですべての内容が定めきれるわけではありません。介護保険でいえば、サービスの内容や施設について「○○に関する基準」などの名称で、大臣による告示が定められることがあります

例規】※自治体で定められる

 自治体で定められるのは「例規」です。もともとは「慣例による規範」の意味があるそうですが、条例の「例」と規則の「規」で覚えてよいと思います

条例個別法律に基づく)

 介護保険法に基づく「介護保険条例】」があります。お住いの自治体保険料などが定められています条例の制定改廃は、議会議決事項です。

規則個別法律に基づく)

 「介護保険条例施行規則】」は、保険料賦課通知の様式などが定められています規則は、長によって定められます

 さっき似たような「介護保険法施行規則」というのがありました。こちらは省令です。「施行規則」前に付くのが「法」か「条例」かで区別をつけるしかない。ややこしいですよね。

 法律から直接規則を作る必要があることもあります。でも、「○○法施行規則」と名前をつけると、省令規則かわからない。しかたがないので、規則なのに「細則」と名称を付けることがあります。「建築基準法施行細則」などがあります

告示

 基準など、細かな内容が定められる場合があるのは、国と同様です。

条例個別法律に基づかない

 多くの人が行きかう駅前タバコを吸ってはいけないとする「駅前喫煙禁止条例」を定める自治体があります上記の表では、斜字体で表示しました。

 ただし、「駅前喫煙禁止法」があるわけではありません。自治体は、憲法保障する自治立法権に基づき、地域課題解決のために条例を制定することができるのです。

日本国憲法 第94条

 地方公共団体は、その財産管理し、事務を処理し、及び行政執行する権能を有し、法律範囲内で条例を制定することができる。

地方自治法 第14条第1項

 普通地方公共団体は、法令違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。

地方自治法 第2条第2項

 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務法律又はこれに基づく政令で処理することとされるものを処理する。

規則個別法律に基づかない)

 駅前喫煙禁止条例の詳細な事項は、長によって「駅前喫煙禁止条例施行規則」が定められます。これも、上記の表では、斜字体で表示しました。

 上記の表で、「規則」には「憲法から垂直に降りる直線があるでしょ。府・省令は直接根拠となる法律必要ですが、規則は、長の権限範囲であれば、法令条例を直接の根拠としなくても定めることができます

 上記の表では、庁舎管理規則を例示しました。「庁舎管理【法】」や「庁舎管理条例】」があるわけではないのです。

地方自治法 第15条第1項

 普通地方公共団体の長は、法令違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。

 憲法の条文には「条例」の記載しかありませんが、長が定める規則についても、自治立法権範囲内と考えられています

条例規則関係

 先ほど例に出した「駅前での喫煙禁止」は、条例で定められていました。義務権利に関する事項については、条例によらなければいけないからです。

地方自治法 第14条第2項

 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利制限するには法令特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない

 長も選挙で選ばれたのだから規則で定めてもいいじゃん、そっちの方が早いし、そういう考えもあるでしょう。でも、権利義務に関する事項については、より慎重な制定過程を経た方がよいというのが、人類経験則と知恵なのです。

・訓令

 訓示の「訓」に命令の「令」ですから、なんだか偉そうです。というのは、上級機関から下級機関への職務命令であるからです。

 表では「職員服務規程」を例示しました。形式は「訓令」なのですが、名称が「規程」であることには注意が必要です。

 職員服務規程は、出張に行ったら復命書出せよ、届出はこういう種類があるよ、といった内容かと思います駅前タバコ吸ってはだめ!と定めることはできるでしょうが職務命令ですから、その効果は、部下である職員しか及びません。住民などに広く効果を及ぼすためには、条例で定める必要があるのです。

hachiro86hachiro86 2018/08/05 21:53 すばらしい! さすがです。

18/02/28(水)

[][]Re:法制執務の4つの知識 Re:法制執務の4つの知識 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク Re:法制執務の4つの知識 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 半鐘さんがご掲載の内容から

例規担当の使命は、例規を正しくあらしめることです。

しかし、何が正しいかを知らなければ、正しくすることはできません。

そのためにどのようなことを押さえておくとよいか、ざっくりと整理してみます

http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-1188.html

 端的にまとまったメモが素晴らしい。

 新年度に入ってからも、法規担当に赴任された皆さまの参考になるものと思います最初は「?」かもしれませんが、良いコーチにコツを示されることは、上達も早いはず(^^

18/01/23(火)

[][]前文の改正 前文の改正 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 前文の改正 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

kei-zuさん、条例の前文って、改正したことある?」と聞かれて、「いや、ないなあ」

千葉県条例で、ほら」

千葉県中小企業の振興に関する条例の一部を改正する条例

 前文のうち第一項中「寄与してきた」の下に「。特に、小規模企業は、地域における経

済の安定及び新たな産業の創出という観点からも、本県経済において重要な役割を果たしてきた」を加え、第二項中「すべて」を「全て」に改め、第三項中「おそれがある」を「おそれがあり、特に、経営資源の確保が困難であることが多い小規模企業の事業活動に対し、これらの要因はより一層深刻な影響を与える可能性がある」に改め、第四項中「進めることが」を「進めるとともに、小規模企業者については、その事業の持続的な発展に向けた支援を適切に受けられる環境づくりを併せて進めることも」に改める。

http://www.pref.chiba.lg.jp/seihou/kenpou/documents/h291228-gai58.pdf

 おお、珍しい。拙著では、以下のように書かせていただいています

 前文を付したり、その字句について改正を行おうとする場合は、法制執務の所定の手続により行うことになります

 ただし、前文の内容は、条例の制定の背景や理念、決意などを対外的に宣言するものですから、改正に際しては、その必要性を対外的に十分説明できるような大きな社会的変動や政策的動機が必要です。

(81ページ)

 本条例の改正をみると、確かに、政策的動機を前文の改正において明らかにする意図が見受けられます

17/10/31(火)

[]近年の「立法爆発」で法律は「スパゲティ状態」の限界に 近年の「立法爆発」で法律は「スパゲティ状態」の限界に - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 近年の「立法爆発」で法律は「スパゲティ状態」の限界に - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 我が国における法律の数は1950本(2015年8月1日現在)にも達し、憲法や政省令などを含めると8000本を超える。1970〜80年代の法律が1000本前後であったことを考えると、この30〜40年間で倍増したことになる。

http://judiciary.asahi.com/fukabori/2015091500002.html

 592か所の誤りがあったという銀行法施行規則の改正(06年)の紹介もありますが、省令からなあ。

 また、立案における「想定外」について、技術的なミスと併記するのは、記事としてちょっと欲張り過ぎの気がします。

 ただ、自治体においても例規改正の頻度が増大している現状はあります

17/09/18(月)

kei-zu2017-09-18

[][][]法構造の図解 法構造の図解 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 法構造の図解 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 私が執筆の一部を担当させていただいた

について、横田明美先生千葉大学)に書評いただいたことは、先日の拙blogでご紹介しました。書評の中で「各項目に付されている「チャート図」は簡明かつ画期的である。」と嬉しいご指摘をいただいております

 ここで、裏話を少々(^^

 重版が決まったばかりの拙著

スッキリわかる!  地方自治法のきほん

スッキリわかる! 地方自治法のきほん

でご好評いただいている「地方自治法の構造図*1は、本書の執筆経験が下敷きになっています

 ここで「チャート図」とは、法の

【総則的規定】目的、定義など

【実体的規定】規制対象、規制手法など

【雑則的規定】附属機関など

のそれぞれの関係を図解したものです。その際、条文の各「見出し」がキーワードになり、それら相互の関係を線で結んでいます

 このような法構造の図解は、法の構成や行政手法を明らかにして法理解の助けになります

 本書は、その手法についての参考にもなるものですので、興味ある方は手に取っていただけたらと思います

*1:「自治実務セミナー」2019年4月号にも引用されました。

17/08/20(日)

[]首長が制定する規則 首長が制定する規則 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク 首長が制定する規則 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 拙blog記述しました標記の件について、hoti-akさんにフォローいただいたことはご紹介しましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20170813/p1)、記事をお読みなった方から、公選で選ばれた首長が制定する規則について、政省令と単純に比較することは適当ではないのではないかとのご連絡をいただきました。*1

 ただ、地方分権一括法施行から間もない10年以上前、某自治体法規担当との意見交換で、条例制定権が拡大された現状において、首長規則は政省令としての性格を強めていくのではないか、と意見交換をしたことを思い出したり。

 当時の熱い条例論も背景にあったものによるのではと、今になっては思いますが、このあたりいろいろと研究の余地がありそうですね。

 上記記事でコメントを寄せていただいた「たこら」さんがご紹介の須藤陽子先生の論文が非常に興味深くあります

憲法94条と地方自治法15条規則 規則制定権と罰則制定権】http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/16-1/002sutoyoko.pdf

 サイトのトップは、こちら→http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/16-1/2016-1.htm

地方自治法は現在の姿になるまでに幾度も法改正を重ね,1999(平成11)年にはいわゆる地方分権推進法によって地方自治法が大改正され,構造的な大変革を経験した(中略)。これによって地方自治は実務上も研究上も大きな進展が見られたのであるが,そんな中にあっても,長らく研究上の蓄積が欠けていると思われるものがある。地方自治法(以下,法という)15条項規則制定権,同条項罰則制定権に関する研究である

 同論文は、拙記事の発端となったTwitter上でのやり取りで「日向 平兵衛酢」さんにご教示いただきました。歴史的沿革、罰則との関係など興味深い内容です。

*1:その方も、法令条例で委任のない首長規則で、住民権利制限義務付けを行うことは、当然、否定的であったのですけれど。

たこらたこら 2017/08/21 12:53 コメントへの言及、どうもありがとうございました。
念のため、自分で書いたコメントに勝手に自己フォローしておきます。
(kei-zu様におかれてはご存知のことだと思いますが)
庁舎管理規則で退去命令などを定めることの適法性については、「公用物については、自治法14条2項の対象外であると整理される」という見解があるところですね。
地方分権推進委員会意見(平成12年8月8日)でも同趣旨の見解が述べられています。
同意見では、手続的事項についても「権利義務規制に関連する事項であり、かつ、基本的な規範の定立に該当する事項である」が、自治法14条2項の対象外であるとされています。
規則自身で法的義務を定めることを認める立場からは、当該義務違反行為につき過料を定めることも、義務履行の実効性確保のために認められると考えるのが素直かもしれません。
重ね重ねお邪魔いたしました。

kei-zukei-zu 2017/08/23 07:53 委員会意見は、未読でした
ありがとうございます
 
長の権限の範囲内である庁舎管理規則に罰則を設けることについては、上記の記事でやり取りをした方との話題にも上がりました(電話でですが)。
 
ただ、理屈の上では可能とはいえ、長限りにおいて「強権的」な罰則を定めることの適否は検討の余地があろうと考えるところです。
 
また、施設の適正な管理を目的とするのであれば、民事上の請求や、刑法の不退去罪など、他の手法も検討できる一方で、過料という手段による実効性の確保がいかほどのものか悩ましくも思えます(^^;
 
引き続きよろしくお願いいたします

17/08/13(日)

[]Re:規則権利義務に関する事項を定めることの可否 Re:規則で権利義務に関する事項を定めることの可否 - 自治体法務の備忘録(Old) を含むブックマーク Re:規則で権利義務に関する事項を定めることの可否 - 自治体法務の備忘録(Old) のブックマークコメント

 twitterで「法令条例の委任に基づかずとも、規則権利義務に関する事項を定められる」旨の記述があったことについては、半鐘さんのご記述を引いて、過日、拙blogで触れさせていただきました(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20170807/p1)。

 このたび、hoti-akさんにフォローいただきました。ありがとうございます

私も、お二人の考えに全面的に同意するのであるが、地方自治法の規定を見ていると、気になる規定がある。次の規定は、同法第15条の規定である

(略)

したがって、第一次地方分権時に、第15条第2項は、削除するか、第14条第2項を削除した上で内閣法第11条や国家行政組織法第12条第3項と同様に次のような規定にすることとしてもよかったように感じられるのである

規則には、法律の委任がなければ、法令特別の定めがあるものを除くほか、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは権利制限する規定を設けることができない。

たこらたこら 2017/08/15 02:17 お邪魔いたします。
首長が制定する規則の守備範囲は、(勉強不足のため)よくわからないところがあります。
また、今回取り上げておられるbotのつぶやきも直接は知らないので、ご発言の趣旨を誤解しているおそれもあるのですが。
?規則で「住民の権利義務に係る事項を定められるか」というと、微妙なところなように思います。
 私の手元にある論文(岩本浩史「地方公共団体の長の規則」島根県立大学「総合政策論叢」第7号(2004年3月)175頁)にも、「独立命令的規則も、その憲法上の許容性が問題となるが、これを肯定するのが多数説であろう。たとえば、「規則は、法令または条例の委任がなくても、地方公共団体の住民の権利義務に関する法規たる性質を有するものを定めることができる」と述べられる。」と紹介されています。
?規則で「住民に義務を課し、又は権利を制限する」ことを定められるかという点については、消極に解するのが一般的と理解しています。
 ただ、庁舎管理規則の中に退去命令などの規定があると、これをどう説明するべきか少々悩ましいところではありますが。
?規則に罰則を設けることができることを定める地方自治法15条2項の規定の意義については、須藤陽子「憲法94条と地方自治法15条規則」立命館法学2016年1号36頁〜64頁)が詳しいと思います(既にお読みかもしれませんが)。