建築様式の時代性 2004.12.10

internatioanl

左の写真で本棚の前に立つのがヘンリー・ヒッチコック氏(建築理論家)、右のスナップ写真で左からアルフレッド・バー氏(ニューヨーク近代美術館キュレーター)、フィリップ・ジョンソン氏(建築家)です。女性はバー氏の奥さんか兄妹のようです。「インターナショナルスタイル」という言葉を流行らせた米国人たちですね。
「インターナショナルスタイル」はゴシックやバロックといった建築様式の一つあり、建築史の流れの中に位置付けられるものとして提唱されました。。ヒッチコック氏たちは近代建築にも何らかの共通する特徴があるはずであり、それを一つの建築様式と見なすことを目指したのです。1932年、バー氏らはニューヨーク近代美術館で「近代建築」の展覧会を企画実行し、これを契機に「インターナショナルスタイル」は広く知られるようになりました。
インターナショナルスタイルの特徴をまとめると次の様になります。
1:建物は平滑な面で囲まれ、全体はヴォリ−ムとして感じられる
2:新しい建設技術と新たな経済性によってもたらされた規則性がある これは意匠上の特徴となっている
3:装飾は用いず、素材感や全体のプロポーションによって建築物としての美学を表現している
これらは写真を見れば直感的に理解できる内容だと思います。
1932年の展覧会は開館後はじめての建築展でした。美術館がオープンして2年が経っていました。キュレーターだったアルフレッド・バー氏が2人の建築関係者、ヒッチコック氏とフィリップ・ジョンソン氏に声をかけ、当時注目を集めていた建築家40人を選ばせます。コルビュジェ、アウト、ミ−ス、グロピウス、そしてフランク・ロイド・ライトなどが選ばれて、作品の展示を行いました。展覧会にあわせて「1922年以降の建築」という本も出版されました。