Hatena::ブログ(Diary)

唐沢俊一検証blog

2010-12-19

今あらためてオタクらに告ぐ(前編)

16:11

タコシェにて夏コミの新刊『唐沢俊一検証本VOL.3』『唐沢俊一検証本VOL.0』通販受付中です。また、既刊『唐沢俊一検証本VOL.1』『唐沢俊一検証本VOL.2』『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』も通販受付中です。タコシェの店頭でも販売しています。

・初めての方は「唐沢俊一まとめwiki」「唐沢俊一P&G博覧会」をごらんになることをおすすめします。

・1970年代後半に札幌アニメ関係のサークルに入って活動されていた方、唐沢俊一に関連したイベントに興味のある方は下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。

karasawagasepakuri@yahoo.co.jp


 リンク集に「北緯1度通信」「暇人の日記」「discussaoの日記」を追加しておきました。「北緯1度通信」でスタートした唐沢俊一の検証に期待。


 東京都青少年健全育成条例の問題は、パニック映画でよくある流れだなー、と特撮オタクとして感じてしまう。怪獣や宇宙人が出現したとか、大地震が迫っているとか、とにかく大変なことが起こってしまうかもしれない!と必死でアピールしているのに誰も信じてくれないというおなじみの展開。…ということは、次はたぶん「研究を黙殺されて学会を追放された異端の科学者が出てくるんじゃないかなあ。人里離れた山奥にある研究所を訪れると「わしは誰にも会わんぞ!」とか追い返されるんだよな。あるあるー。

 

 冗談はさておき、今回と次回、2回にわたって唐沢俊一が過去に行った表現規制オタクの運動についての発言を取り上げてみたいと思う。今読んでみるといろいろと考えさせられることが多い。ちなみに、唐沢俊一青少年健全育成条例に関する発言については4月16日および6月1日の記事を参照。ついでに児童ポルノ法案に関する発言については4月19日の記事を参照。


 唐沢俊一村崎百郎『社会派くんがゆく! 逆襲編』 (アスペクト)では松文館裁判について取り上げられている。P.16より。

村崎 そういや、例の松文館裁判の件、唐沢さんが「裏モノ日記」に書いてたこと、オレもその通りだと思ったわ。宮台真司みたいなマスコミ文化人呼び出してエラそうなこと言わせれば言わせるほど、裁判官どもの心証悪くするってことに気づかないのかね?


唐沢 そうそう、裁判官に向かって法律のあり方を説くなんて、学者って連中の浮世離れが露呈したって感じだね。ラーメン屋でそこの親父に「お前のラーメンに対する姿勢は間違っている」って客が声高にラーメンの作り方講釈してごらんよ。煮えたぎったスープぶっかけられるぜ(笑)。

 この主張に対する指摘は4月16日の記事で既に行っているが、法廷で法律論をやって何が悪いのか?と唐沢に聞きたいところだ。他にどんな話をすればいいのだろうか。だいたい伊藤剛さんに訴えられて和解したとはいえ実質的に裁判で負けた人に言われてもなあ。なお、いい機会なので書いておくが、唐沢が伊藤さんを誹謗中傷したことは裁判所から認定されているので、未だに伊藤さんに対して蔑称を使っている一部の人たちは気をつけた方がいいと思いますよ。


P.16〜17より。

村崎 いや、ホント言うと、裁判官判決より宮台の言ってることの方が、千パーセント以上正しいと思うんだ(笑)。だけど、あの斜に構えた茶髪インテリ面にエラそうなこと言われると、言ってることの内容の正誤以前に、とにかくムカツクんだよ(笑)! 特にオレみたいにガテン系の、インテリに対してコンプレックスの強いバカはな。


唐沢 そもそも、こんな裁判を起こされること自体が間違いみたいなもんなのよ。しかし、その間違いがまかり通ってしまうのが世間を動かしている母親とか教師とかいう立場の“常識”なの。だから、そこでどんなに自分が正しいと思ってることを言ったってダメ。


村崎 なに言おうと裁判官の方は「こいつは性犯罪を助長する極悪エロロリマンガを売って儲けてる不謹慎な犯罪者のくせに、なにをエラそうにイバってるんだ」としか思わねえもの。だから、これだって小泉の「国際貢献!」と同じ見栄っ張りなんだよ。エラそうなこと言わないで、「エロロリマンガ好きなゲス人間でごめんなさ〜い。ボクらホント〜にバカでダメな人間のクズで〜す。でもエロバカだけに、これがないと食えないんですよ〜。ごめんなさ〜い。反省してま〜す。なので、ここはひとつ、助けると思ってお目こぼししてくだせえよ、お代官様ァ〜」とか頭下げて、謝っときゃいいのに。

 村崎百郎だって十分インテリじゃん。クロソウスキーの話とかしているのに「ガテン系」を名乗られても。冬コミの新刊でアカデミズムに反感を抱くオタクの心理」について少しばかり考えたので、村崎の発言は興味深かった。細かいことだけど、ビューティ・ヘア『蜜室』って別に「ロリ」じゃないのでは?

 奇妙なのは、村崎も唐沢も「頭を下げればなんとかなる」と思っている点で、「頭を下げれば相手に余計に付け込まれる」可能性だってあるのではないか。「そんなエロバカなら叩き潰したって構わないだろう」と思われたら終わりなんじゃないかな。だから、「間違い」に対しては「自分が正しいと思ってること」をちゃんと主張しなければいけないのだ。「鬼畜」にしては物事の見方が甘い。


P.17より。

唐沢 昔の、ホントにエロを権力に対する抵抗の手段として選んでいた地下出版社なんかには、そういう気概があったんだよ。彼らはなにも性の解放を大義、正義と思ってやってたんじゃない。規制本能みたいなものを持つ権力者にとって、いちばん嫌がられるのは性の乱脈である、というポイントをついて性文献を広めてたんだ。ところが最近のエロ関係者って「僕のやってることは正しい」なんて妙なプライドもって、法廷に出たりするでしょ。あれがまずよくない。

 エロマンガを擁護するために法廷に立つためには「気概」が要ると思う。少なくとも、『熱写ボーイ』で連載を持っていたことを一度も公言していない唐沢俊一に比べれば、宮台真司には「気概」がある。むしろ唐沢の方に「妙なプライド」があるように感じられるのだが。それに、エロ=反権力というのも古いなあ。唐沢は左翼の運動のノスタルジックな面を批判するけれど、そのくせ自分もノスタルジーにとらわれているのだからおかしなものだ。自分は反権力など関係なしに『熱写ボーイ』終刊のあいさつには胸をうたれてしまったのだけどね。あと、「規制本能」ってナニ?


P.18より。

村崎 とにかく裁判エロマンガを芸術だと言い張る発想が、そもそもペケ。この手の問題は“芸術かどうか”で争っちゃったらハナシがこじれるだけで時間の無駄なんだって。だいたい芸術がわかるような連中なら法曹界に入ってねえよ。法律書と判例がなければなにも決められない融通の効かないバカ揃いの世界で「オマエラに芸術の意義がわかるか?」って言う方が酷だっつーに! 黙ってエロマンガは芸術ではなく、ただのエロマンガだって認めとけよ、アホらしい。

 この場合「ハナシがこじれる」と被告側にとって有利になるのではないだろうか。「芸術かどうか」で争うと相手も簡単には否定しづらくなるわけだから。青少年健全育成条例の問題でも、石原都知事が「『ロリータ』には叙述の美しさがある」とか隙のあることを言っちゃってるしね。あと、宮台真司松文館裁判エロマンガを芸術だと言い張ってはいない(意見書)。それから、判例を無視する裁判官がいたら問題になると思います。


P.18より。

唐沢 そもそもが劣情を催すことがエロマンガの目的なんだからねえ。「そこがいけない」と言われちゃ弁解の余地はねえわな。その事実を認めてから、お上をヨイショして生き残る道を探さないといけないわけ。今度の判決文読んでみると、ホント、マジで裁判官側を怒らせちゃったみたいだからねえ。


村崎 もう「盗人猛々しい」みたいなノリだったもんな。裁判官をあそこまで怒らせちゃマズいって。だから、あれ、実刑食らっちゃったんだろ?


唐沢 一応、執行猶予はついたみたいだけどね。それでも被告側は控訴するつもりらしいけど、このまま同じやり方を繰り返していたら、もう勝てねえと思うよ。

 松文館裁判は第一審では懲役刑だったのが、第二審で罰金刑になっているので控訴した意味は十分にあったと認められる。「鬼畜」が判決文を読んでビビッてるのが可笑しい。裁判官を怒らせたら死刑になっちゃうかもしれませんね。しかし、今回の青少年健全育成条例の場合も「お上をヨイショ」すればよかったのだろうか。


P.19より。

唐沢 相手側の作ったシステムに乗って発言しなきゃいけない時点で、どんなにその相手側を攻撃したってダメなのよ。システムの外側から運動を起こさないと。

 「システムの外側」での運動って、具体的に何をどうしろというのか。…ブログではおいそれと書けないことばかり思いついてしまったけれど。


P.19より。

村崎 警察だって別にエロマンガ根絶やしにするつもりなんかねえだろうからな。


唐沢 そうなのよ。性ってのは人間の本能にあるもんなんだから、どんなにお上が強力に弾圧を加えようと、エロへの需要がなくなることは決してない。お上だってちゃんとその辺はわかっているの。いちいち、ゴキブリみたいに沸いてくるエロ出版の取り締まりをやっていたら、官憲の数をどれだけ増やしてもやっていけないよ。一時の、支持層へのサービスで取り締まっているだけなんだから、そこらはわかって、サッと頭を下げて、ほとぼりのさめるのを待つのが正しいあり方なんだ。それができないのは、ひとえに肥大したプライドのなせる業でしかないね。(以下略)

 「お上だってちゃんとその辺はわかっている」のであれば、都条例に関しても何も心配することはないのだろう。「鬼畜」が「お上」を信頼しきっているのもおかしなものだし、「肥大したプライド」の持ち主というのは一体どこの誰のことなのかと。


 『社会派くんがゆく!』の特色のひとつとして、「タテマエに対してホンネをぶつける」面があると思うのだが、それは一歩間違えば「何もしないことを正当化する」だけになってしまうのかもしれない。リアリスト気取りのニヒリスト、とでも言おうか。おそらく唐沢俊一は「大人になれ」「したたかに振舞え」と言いたいのだろうが、したたかな大人は「『新・UFO入門』盗用事件」など起こしたりしないから、全く説得力がない理屈だ。だいたい、唐沢も村崎も「お上」を信頼し、裁判に恐怖心を抱いているのがヘン。それじゃ普通のおじさんみたいだ…と言ったら普通のおじさんに失礼か。


 次回はもうひとつの事例を紹介したうえで、いろいろ考えてみたいと思う。


血だるま剣法・おのれらに告ぐ

血だるま剣法・おのれらに告ぐ

社会派くんがゆく!逆襲編

社会派くんがゆく!逆襲編

「わいせつコミック」裁判―松文館事件の全貌!

「わいせつコミック」裁判―松文館事件の全貌!

通りすがり通りすがり 2010/12/19 17:59 こうして振り返ってみると意外に社会派クンは意外に公安警察に対する見方がソフトだったんですねえ。確かに私達は二人に対して幻想を抱いていたのかもしれない。

yonocoyonoco 2010/12/19 20:33 この問題に限らず、言いっぱなしは一見すると現実をスパッと斬りまくって爽快なんですが、こう言う時はきちんと代案がないから鬼畜じゃなくて背伸びした子供にみえてしまいますね…(´Д`)

金平糖金平糖 2010/12/20 01:19 現物が今手元にないので確実ではないですが
「蜜室」にはロリコン要素はなかったと思います。
ただ、氏の作品には高校生らしい描写など結構ありますのでそのへんまで含めるなら
ロリコン的要素もあったかも知れないと言う感じですが
それを言ってしまうとさらに古い作品の方がよほどヤバイというか
「蜜室」ってかなりソフトで無難な作品が多かった気がします。
劇画チックでもなくデッサンがしっかりしていて非常に良く描けてるのが問題ともいえますが
申し訳程度とはいえ消しも入っているし他と比べて良識的と言えます
これが「わいせつ」なら世のエロ漫画はほとんど「わいせつ」でしょう
まあ、言うまでもなくスケープゴートと言うか、もろ見せしめですね。

で、まあ、この裁判でなにが問題かって
規制する側が規制する根拠や基準を公表せずに規制したうえで
基準など公開する必要はない、規制する側が規制すべしと思えば自由に規制できるんだと主張してるところでしょう。
(かなり強引な意訳ですが、私はこう感じました)
これは、物書きにとって絶望的としか言えない結果です
これに対して「サッと頭を下げて、ほとぼりのさめるのを待つのが正しいあり方なんだ。」
というのはもはや頭がおかしいとしか思えません。
ある日突然なんの説明もなく自分が犯罪者になるかも知れないのを正しいと認めることですよ?

まあ、唐沢氏からすれば対岸の火事なんでしょうね。

高圧的に出れば相手が折れると思われたら絶望はさらに深くなっていたでしょう。
最後まで抵抗してくれたことには感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。
自分の盗作騒ぎの時には自分が折れたら他の作家に迷惑がかかるとか言い訳してたくせに
結局そんなことカケラも思ってなかったことが丸ばれです。

altnkaltnk 2010/12/20 19:29 当方の拙いブログをリンクしていただきありがとうございました。

個人投資家個人投資家 2010/12/20 20:30 >頭下げて、謝っときゃいいのに。

ナチス/ドイツ統治下で、「頭を下げてやり過ごしておけばいい」と思ったユダヤ人は一体どうなったのだろうか?

 まじめな運動を斜めに構えてみているのがカッコイイとか思っている中二病がまだ治っていないのか?

栃尾ジョー栃尾ジョー 2010/12/22 19:21 >kensyouhanさん
>村崎百郎だって十分インテリじゃん。
村崎の言う「鬼畜」とは、自分を「鬼畜」という常識の外にいる存在に見せかけることによって、
「お前の言ってることは非常識」という批判から自分の身をかわす為だけの只の方便に過ぎないのかも知れませんね。


>唐沢 そうそう、裁判官に向かって法律のあり方を説くなんて、学者って連中の浮世離れが露呈したって感じだね。
>しかし、その間違いがまかり通ってしまうのが世間を動かしている母親とか教師とかいう立場の“常識”なの。だから、そこでどんなに自分が正しいと思ってることを言ったってダメ。
>お上だってちゃんとその辺はわかっているの。
>そこらはわかって、サッと頭を下げて、ほとぼりのさめるのを待つのが正しいあり方なんだ。それができないのは、ひとえに肥大したプライドのなせる業でしかないね。

唐沢ってアホのくせして「俺様はお前らの知らない世知を知ってる、処世術を知ってる、世間の裏側を知ってる、世の中の仕組みを知ってる、世界の真実を知ってる」
という物言いをするよね。
これを見ていると、かつて唐沢がホルモン焼き屋に自分のドッペルゲンガーを召還して「人生の師」にした、という伝説もがぜん真実味を帯びてくる。
そんな時空まで歪める超常現象までひき起こす唐沢のアホっぷりは最早奇跡レベルかも。

kensyouhankensyouhan 2010/12/23 08:30 コメントありがとうございます。

>通りすがりさん
この対談当時はまだ勢いがある頃ですからね。唐沢の盗用発覚をきっかけに劣化が進んでいくと本当に悲惨なことに。

>yonocoさん
「毒舌」とか「一刀両断」とか見た目はいいんでしょうけど、そのような言動はあまり中身がないことが多いように思います。

>金平糖さん
村崎百郎の方はまだ羞恥心が見えるんですけどね。

>altnkさん
検証楽しみにしています。がんばってください。

>個人投資家さん
「まわりの人間はどうしてこんなにバカばかりなんだろう」としか思えない人間こそが一番のバカ。

>栃尾ジョー さん
唐沢は何人も「師匠」がいるのに一体何を学んだのだろうか。