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キニーネ

マラリア薬。キナという植物に含まれるアルカロイドである。天然由来であるためコストが低く、また他の抗マラリア薬に対する耐性株への効果が期待できることから、「マラリア特効薬」として熱帯地域で頻用されている。

Perkinによって合成された世界初の合成染料であるモーブは,キニーネの合成法の研究中に発見された.

有機合成化学において光学分割剤として用いられ,ラセミ体の酸をキニーネ塩にしてジアステレオマーとし,分離する方法で光学分割を行う.

誘導体は不斉触媒として用いられ,シャープレス不斉ジヒドロキシ化に用いられる配位子,ビス(ジヒドロキニニル)フタラジンが代表的.キニーネを四級塩化した有機分子触媒による不斉反応も知られている.

また,強い苦味を持つ物質であり,海外ではトニックウォーターに苦味を付けるために添加されている.日本ではキニーネ食品添加物として認可されていないが,代わりにキナ抽出物が既存添加物として認可されている.キニーネを含むものは紫外線を当てると青白く発光する.

キニーネ全合成天然物全合成研究の歴史的にも重要である.

キニーネは1944年にWoodwardらにより全合成が達成されたが,Woodwardらの全合成の成否について議論されてきた.

また,1918年にRabeがキニーネを得ることができたと主張したが,キニノンの還元についての実験操作の詳細が書かれず,補完もなかったために後に報告の不備について指摘されることになる.

立体化学的に制御した全合成は2001年にStorkによって初めて達成された.

2007年、コロラド州立大学のWilliamsとSmithは1944年当時の状況を再現した中でRabeの追試を試み,Rabeの合成及びWoodwardの全合成の正しさを証明した.