Martin Niemoller(ドイツのプロテスタント、ルター派神学者。1892.1.14〜1984.3.6)
ドイツのルター派神学者。第1次世界大戦に従軍し,潜水艦長として活躍。ウェストファリアのミュンスター大学で神学を修め,1924〜30年同大学学内伝道にたずさわり,31〜39年ベルリン・ダーレムのルター派教会牧師となる。ヒトラーの教会支配に対する抵抗運動の指導者として活躍し,牧師緊急同盟の結成を呼びかけ,告白教会の形成,バルメン宣言の成立にあずかって力があったが,逮捕されて,ダハウの強制収容所に送られる (1937) 。第2次世界大戦後解放されて,平和運動,ドイツ統一運動に尽力。ドイツ福音主義教会評議員,同外務局長。世界教会協議会会員。主著『Uボートから講壇へ』 Vom U-boot zur Kanzel (34) ,『イエス・キリストは主なり』 Herr ist Jesus Christus (46) 。
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ナチスが行った数々の弾圧を傍観し、自分たち神学者にその手が伸びるまで行動を起こさなかった事を悔やみ、下記の有名な言葉を残している。
はじめにやつらは共産主義者に襲いかかったが、私は共産主義者ではなかったから声をあげなかった。
つぎにやつらは社会主義者と労働組合員に襲いかかったが、私はそのどちらでもなかったから声をあげなかった。
つぎにやつらはユダヤ人に襲いかかったが、私はユダヤ人ではなかったから声をあげなかった。
そして、やつらが私に襲いかかったとき、私のために声をあげてくれる人はもう誰もいなかった。(原文ドイツ語と英語訳)
Als die Nazis die Kommunisten holten, habe ich geschwiegen;ich war ja kein Kommunist.
Als sie die Sozialdemokraten einsperrten, habe ich geschwiegen;ich war ja kein Sozialdemokrat.
Als sie die Gewerkschafter holten, habe ich geschwiegen,ich war ja kein Gewerkschafter.
Als sie die Juden holten, habe ich geschwiegen; ich war ja kein Jude.
Als sie mich holten, gab es keinen mehr, der protestieren konnte.
- -
(Bebson Y. HOCHFELD氏による元の独逸語に近い著作権フリーの日本語訳)
ナチの連中が共産主義者達を連れて行った時、私は黙っていた、
私は共産主義者ではなかったから。彼らが社会民主主義者達を拘留した時、私は黙っていた、
私は社会民主主義ではなかったから。彼らが労働組合員達を連れて行った時、私は黙っていた、
私は労働組合員ではなかったから。彼らがユダヤ人達を連れて行った時、私は黙っていた、
私はユダヤ人などではなかったから。そして、彼らが私を連れ去った時、私のために抗議してくれる者は、
誰一人残っていなかった。
- -
First they came for the Communists, but I was not a Communist. So I did not speak out.
Then they came for the Socialists and the Trade Unionists,
but I was neither. So I did not speak out.
Then they came for the Jews, but I was not a Jew. So I did not speak out.
And when they came for me, there was no one left to speak out for me.
【重要な追記】
元テキストには「弾圧」という言葉は使われていない。また、テキストには「ある日ついにナチスは教会を弾圧してきた そして私は牧師だった だから行動に立ち上がった が その時はすべてが あまりにも遅かった」という言が添付されているヴァージョンのものもあるが、これを読んで「主流派キリスト教教会組織全体がナチスに対して勇敢に抵抗し、そして弾圧された」と思うとすればそれは正しくない。実際には、カトリック・プロテスタントを問わず、主流派教会組織はナチスと妥協することでその存在を保持したのであり、ナチスの「共犯者」として批判されることも多い。(「この妥協は弾圧を避けるためやむをえなかった」と擁護派が主張するのに対して、批判派は教会内の反共主義や反ユダヤ主義感情を強調している。)
抵抗したのは、ニーメラーのような真のキリスト教精神を持った一個人である。(こうした聖職者たちはナチス党員から暴力を振るわれ、また投獄・処刑された。)
以下のサイトを参照→Niemoller, origin of famous quotation
参考
ピウス12世 (当時のローマ教皇)
(Wikipedia)
【日本におけるニーメラーの言葉の受容】
丸山真男の『増補版・現代政治の思想と行動』での引用が有名である(「現代における人間と政治」、475-476頁)。ここでの引用元は、Milton Mayer, They Thought They Were Free, 1955, pp.168-169である。
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