お肩にゆらゆらとするお髪《ぐし》がきれいで、 お目つきの美しいことなど、 御成長あそばすにしたがって ただただ源氏の顔が一つまたここにできたとより思われないのである。 お歯が少し朽ちて黒ばんで見えるお口に笑みをお見せになる美しさは、 女の顔にしてみたいほどである。 こうまで源氏に似ておいでになることだけが玉の瑕《きず》であると、 中宮がお思いになるのも、 取り返しがたい罪で世間を恐れておいでになるからである。 源氏は中宮を恋しく思いながらも、 どんなに御自身が冷酷であったかを 反省おさせする気で引きこもっていたが、 こうしていればいるほど見苦しいほど恋しかった。 この気持ちを紛らそうとして、 …