白ともグレーともいえない雲が、空を覆っていた。橋のこちら側とあちら側で、五時を知らせるメロディーが混ざり合う。 右手には念のため持ってきた傘と、左手には大きな袋を持って、私は一人、橋を渡る。等間隔に並ぶオレンジの街灯と、前日よりぐっと冷えた気温が、夕暮れの寂しさをより感じさせる。 橋の下を流れる川に浮かぶ水鳥は、ざっと見渡しても百羽はいる。その多さに驚く。それにしても、彼らは冷たい水に足を浸けて、寒くないのだろうか。 右手には結局出番のなかった傘と、左手には小さく畳んだ袋を持って、渡った橋をまた戻る。家を出てから、さほど時間は経っていないのに、さっき見掛けた水鳥は、目を凝らさないと見えなくなる…