序文・為政者の責任 堀口尚次 在日朝鮮人の帰還事業とは、1950年代から1984年〈昭和59年〉にかけて行われた在日朝鮮人とその家族による日本から朝鮮民主主義共和国〈以下、北朝鮮〉への集団的な永住帰国あるいは移住である。主として1959年から1967年にかけて、「朝鮮」籍約50万人弱のうち、北朝鮮に永住帰国したのはおよそ9万3,000人〈うち、北朝鮮に渡った『日本人妻』は約1,831人〉であった。 在日韓国・朝鮮人は、1947年5月の外国人登録令では、日本国籍を有する〈出身地欄に「朝鮮」と記載〉とされた。1948年〈昭和23年〉に大韓民国が建国されると、外国人登録上「韓国」又は「大韓民国」の国…