スマートフォン用の表示で見る

中村主水

映画

中村主水

なかむらもんど

藤田まことの当たり役。必殺シリーズの顔とも言えるか。

ファンの間では山崎努が演じた念仏の鉄?と人気を二分するが、一般視聴者からは中村主水のほうが圧倒的に知名度が高いようだ。

誕生のきっかけ

奉行所の役人で悪人を取り締まる立場の人間が、実は人殺しで一番の極悪人だった、という究極の二面性を深作欣二が考案。当初は、前作『必殺仕掛人』の西村左内(林与一)に替わる剣の達人という設定も盛り込まれていたが、鋭い太刀での殺しだけでなく、チームプレーの一環として他のメンバーの殺しのサポートにまわる場合もある。

家や職場ではダメ人間。しかし、裏では凄腕の殺し屋という二面性がサラリーマン世代に支持され、仕事人以降爆発的なブームを呼ぶこととなった。

配役には難航したが、工藤栄一野上龍雄の推薦もあり、当時『てなもんや三度笠』の大ヒット後も揮わず人気が下火となっていた藤田まことを抜擢した。

主な経歴

佐渡金山奉行所の同心を経て、北町奉行所同心となる。念仏の鉄(山崎努)とは佐渡で知り合った。また、佐渡金山奉行の娘・佐和(池内淳子)と付き合っていたこともあった。ちなみに、佐和はどういう経歴か「松風の佐和」という仕事人となっており主水と再開することとなる。その後、千葉にある北大路家から中村家へと婿入り。体が丈夫であり、子供を作ることに自信があったことを中村家当主・中村せん菅井きん)に認められ、娘である中村りつ(白木万理)と結婚するが、どれだけ夫婦の営みに励んでも子供は出来ず、遂には「種なしカボチャ?」とまで嫌味を言われるようになってしまう。加えて世の中の仕組みや制度に対してじょじょに正義感は枯れ果てていき、同心という職業に嫌気がさしたのか職務怠慢が目立ち、奉行所内でも剣の腕は立つものの、昼行灯と小馬鹿にされるようになる。

流派は奥山新蔭流、一刀無心流、小野派一刀流、心形刀流、御嶽新蔭流の5つを習得。いずれも免許皆伝の腕前である。北町奉行所にいた頃は奉行所の中でも5本の指に入る剣の腕前で一目置かれていた存在であったが、南町奉行所に転任となってからはなぜか誰も剣の腕前を知らないということになっている。また、主水自身も剣の腕前については口を閉ざしている(裏稼業に携わっていることに勘付かれないためか)。

仕置人 時代

佐渡金山奉行所時代、役人と人足という関係でありながらも念仏の鉄(山崎努)と奇妙な友情で結ばれた。江戸に戻ってきた後、ある事件をきっかけに法で裁けぬ悪人たちを闇で裁く「仕置人?」を始める。この非合法な形で悪人抹殺していくことに自分の居場所を見出した主水であったが、やがて念仏の鉄、棺桶の錠と別れることとなり、主水も後を追おうとするも、念仏の鉄に止められ一人江戸に残ることとなる。

仕留人 時代

黒船来訪に沸く江戸の町において、念仏の鉄、棺桶の錠と別れた後も、最早弱者にのみ横暴な権力を振るう形骸化された奉行所に対して完全に失望をしながらも、生きるために同心を続けている。そんな中、糸井貢(石坂浩二)、村雨の大吉近藤洋介)と出会い、彼らに自分たちと同じアウトローの匂いを嗅ぎつけ裏稼業にスカウト。江戸に戻ってきていた仕置人当時の仲間、おひろめの半次(秋野太作)、鉄砲玉のおきん(野川由美子)と再び裏稼業を始める。ちなみに、糸井貢、村雨の大吉の両名は、中村りつの姉や妹と関係を持っており、裏稼業のパートナーが義理の兄弟という面白い設定であった。

必殺仕置屋稼業 時代

ぐうたらな職務態度であったはずだが、なぜか北町奉行所よりも位の高い南町奉行所に転属。鳥居甲斐守(志村喬)の配下となる。北町奉行所に比べて規律の厳しい南町奉行所での職務に戦々恐々とするが、結局体制はそれほど変わらず、昼行灯を決め込むこととなる。裏の稼業からは足を洗っていたが、ある日闇世界で顔が利く髪結いのおこう(中村玉緒)に目を付けられ、裏稼業への復帰を促される。そして、殺人マシーン・市松(沖雅也)、印玄(新克利)との出会いをきっかけに、殺し屋へ復帰することとなる。この時期から、仕置人時代のように「悪の上を行く悪」になるのではなく、殺しをビジネスとして割り切って請け負うという、後のシリーズの請け負い体制が構築されていった。

必殺仕業人 時代

印玄、おこうとの死別と、市松の逃亡幇助のため、定町廻り同心から牢屋見回り同心に格下げされた。首にはマフラーを巻き、羽織も焦茶色というしなびれた印象だが、それでも生活のため、生き残った捨三(渡辺篤史)と、性格がまるで合わないやいとや又右衛門(大出俊)と裏稼業を続けざるを得ない自分に対して自暴自棄となっているような状態。そんな中、上級藩士という約束された身分から堕落してしまった赤井剣之介(中村敦夫)、その連れ合いのお歌(中尾ミエ)と出会い、金だけがお互いを繋ぎ止めるドライな裏稼業を営んできたが、最終回において剣之介の壮絶な死に様を見た上で、それに報いるための果し合いに応じた。今作の剣之介の死に様は、主水の心の中に長い間しこりのように残ることとなる。

新必殺仕置人 時代

地獄の底のように暗く惨めな仕業人時代であったが、牢屋において脱獄を未然に防いだ功績により定町廻り同心に復帰。長く苦しい裏稼業の生活から開放され、表の仕事でも光明がさし始めたせいか、自分を定町廻り同心に復帰させてくれた与力のため、手柄を立てるべく東奔西走している。そんな中、再会したのが旧友・念仏の鉄であった。本来ならば抱きつく勢いで喜ぶはずなのだが、表の仕事が軌道に乗り始めてきたことに加え、地獄のような冷たい裏稼業や、そこに行き着くことしか出来ず、挙句惨めに死んでいった剣之介のことがどうしても頭から離れない主水は、「寅の会」の存在、そして仕置人自体の存在を認めたくないゆえに、二度と会わないようにと鉄と別れる。しかし、恩義ある与力が主水を利用しようとする悪人であったため、世間失望し、また殺し屋の道を歩むのであった。鉄との、お互い気が許せる落ち着いた付き合いは長く続くものと思われてきたが、裏稼業の抗争に巻き込まれ鉄が死亡。主水は鉄が死ぬ直前の姿を見送ったわけだが、裏稼業を行う意義を失った主水は、再び裏稼業から足を洗うのだった。