仏教の予言思想で、釈迦の立教以来1000年(500年とする説もある)の時代を正法、次の1000年を像法、その後10000年を末法の3つに分けて考え、釈迦の教えが及ばなくなった末法においては、仏法が衰退して正しく行われなくなるという考えである。特に大乗仏教で数多く主張される考えである。中世以降の日本では末法思想をこの世の終わりと考える終末論と同じように考える人が多いが事実誤認である。
上の写真は、先月和歌山市の博物館で見た「那智経塚」の断面模型です。 この塚は、那智の滝の参道付近で大正七年(1910)に発掘されたものです。 経塚は、平安時代の末期から各地で造られたもので、経典を埋蔵した塚のことをいいます。この塚が造られた目的は、経典の保存です。平安末期には写経が非常に盛んとなり、立派な厨子の中に保管されたり、さらにはこのような塚を作って保存しようとしたのです。 この動きの背景となっていたのが「末法」という仏教独自の歴史観です。お釈迦さまが涅槃に入られると、教えが正しく伝わることが徐々に難しくなると考えられていました。教えが正しく伝わらないばかりでなく、教えを受ける人間の能力…
平安後期に流行した「浄土思想」。これを象徴するのが「この世をば~」の歌で有名な、わが娘を3代に渡って天皇の后に送り込み、位栄華を極めた藤原道長の死に様である。 己の死が近いと感じた彼は、法成寺という寺を突貫工事で建てさせた。寺には三昧堂・阿弥陀堂(無量寿院)・五大堂などの伽藍が立ち並び、阿弥陀堂の本尊にはもちろん阿弥陀如来を据えた。夕方になると、道長を先頭に大勢の僧侶たちが念仏を唱え始め、「浄土はかくこそ」と思われるほどであった、と伝えられている。これはつまり、浄土を地上に再現しているわけである。 道長は死に臨んで、東の五大堂から東橋を渡って中島、さらに西橋を渡り、西の阿弥陀堂に入った。そして…
血圧値 126/77/69 酸素飽和度 99% 体温 36.1 体重 66.7キロ この前「近・未来」を取りあげましたので、今回は「超・未来」、「ミロクの世」について考えてみましょう。 ミロクとは「弥勒」。 教科書に載ってる仏像で有名な「弥勒菩薩」は、梵語でマイトレーヤ、釈迦牟尼仏の次の仏様として、遠い未来に仏陀(如来)になる予定の人です。 今は兜率天で修行・瞑想中。なので、菩薩とされてます。 基礎となる仏典はこの4つ。 『観弥勒菩薩上生兜率天経』『弥勒下生経』『弥勒大成仏経』『仏説無量寿経』 「上生」というのは、兜率天に転生してそこで教えを受ける、という意味で、「下生」というのは降臨した弥勒…
【1分間(300字)で話せるおすすめの雑学ネタの紹介です。】 平安時代後半、仏教が滅びることを説いた思想です。 釈迦の入滅から2000年後に、釈迦の教えが衰えて世の中が乱れる「末法」の時代が始まると考えました。 「末法」の時代は1052年から始まるとされ、人々の間に不安が高まりました。 仏教が滅びるまでの期間を3段階(三時説)に分けています。 釈迦の入滅から500年ないし1000年が「正法(しょうほう)」の時代、次の1000年が「像法(ぞうほう)」の時代、次の10000年が「末法(まっぽう)」の時代、この「末法」の時代は、世の中が乱れると考えます。「末法」は1052年から始まるとされ、人々の間…
平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(Hiraizumi - Temples,Gardens and Archaelogical Sites Representing the Buddhist Pure Land) 2011年登録(第35回世界遺産委員会@パリ)。 登録基準:ⅱ、ⅵ ⅱ:文化交流を証明する遺産 ⅵ:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術と関係する遺産 ~浄土思想の宇宙観をあらわす建築と庭園~ 奥州藤原氏(藤原清衡・基衡・秀衡)が11世紀後半~12世紀後半にかけて築いた。 8~12世紀に広まった仏教の浄土思想の宇宙観に基づいている。 6世紀伝来の仏教+日本古来の…
さてこの新しい教義を、覚鑁はどのようにして広めようとしたのか。 1130年、高野山上において彼は新たに「伝法院」という名の寺院を建立する。密教寺院には、そもそも「伝法会(でんぽうえ)」という教義上の議論を行う、研究会のようなものがあった。空海の十大弟子のひとりであった実恵が始めたものだが、高野ではいつしか行われなくなって久しかった。彼はそこに目をつけたのである。 覚鑁は高野山において、教義上の研究会を自らの主導で進めることによって、高野の教義そのものを内部から変えようとしたのである。そしてその改革を進める足掛かりとして設置したのが、この「伝法院」なのであった。 記録によると、このとき建てられた…
そんな「正義」無き時代と我我はどう向き合うか?ー社會の暗部を描くことだらう映像作品に就いてー 人類が地球に悪影響を及ぼしている想定外のこと (msn.com) 仰る通りに人類は「自然を加工」することでむしろ「文明」を築いて來て居るのです。 其の「文明」にも様様なタイプのものが考えられるが現行型の近現代文明の発祥地は西欧となり其の文明を精神的に規定するものが近代哲學です。 「近代哲學」は西欧に於いても批判されましたのですがー例えばニーチェ→レヴィ・ストロースによりー我が國の哲學者梅原 猛先生などは「そんなもんはダメだ」とほぼさう全否定されておりましたものです。 そんな半分愛知人のセンセイが仰るや…
さて平安期の仏教は(南都六宗も天台も真言も)貴族のための宗教であったわけだが、浄土思想や末法思想にうまく対処できず――というよりも、開き直りに近い姿勢を見せて――平安末期頃から台頭してきた、武士や庶民たちのニーズを満たすことができなかったのは、前回の記事で述べた通り。 だがもし仮に、例えば真言宗が真摯に彼らに向き合ったとしても、そのままの教えでは、彼らに受け入れられることはなかっただろうと思われる。 過去の記事で述べたが、密教の教えというのは端的にいうと「スーパーマンになる」ことを目指した宗教である。現世からひとり、高みへと昇る。救われるのは自分、ないし自分が導く弟子たちだけ。彼らは加持祈祷で…
目次:クリックで各項目へ飛べます 兼家の死 訃報を耳にした人々が見せたそれぞれの感情 為時 まひろ いと 宣孝 道兼 道長の同僚たち 公任 行成 斉信 実資 《ドラマの台詞へのツッコミ》 中関白家 道隆 貴子 定子 皇太后であられる東三条院詮子の憂鬱 まひろとききょうの視点(庶民ではない下級貴族) 庶民の視点 おまけコーナー:漢詩について レジャーとしての寺社参詣 さらにおまけ:琵琶行の漢詩全文 原文 現代語訳 兼家の死 前回の13回と併せて14回では兼家の晩年と死が描写されている。 自分は個人的に、(現代の議会制民主主義に対して)真っ向から逆を行く平安時代の政治家としての兼家は評価はしたくな…
『星の巡礼 ヨーロッパ周遊の旅 11000km』 Ⅰ ヨーロッパ前半 《スカンジナビア半島・イギリス・アイルランド 5500kmの旅》 2022年3月、ロシアによるウクライナへの特別軍事作戦が開始され、世界の目がロシア 大統領の前近代的な歴史観<大ロシア帝国>により、<国土回復、いや一度ロシア領で あった地域は、ロシアの地に還る>というロシア正教独特な考えを見せられることとな った。 さっそく、本棚に眠っていた旅日記を取りだして、約20年前のソビエット連邦から 解放されて間もない2001年当時のロシアを覗いてみたくなったのでシベリア横断鉄道に 飛乗った。 その後、ヨーロッパ周遊の旅に向かうはず…
文字霊日記・3446日目 「民主」・・・「たみ」の「あるじ」の「権力」のカンジ 「はる、イチバン」・・・「サクラさく」・・・ 「このはなさくやひめ=木之花咲夜姫」 此の華 詐句埜 唆九(玖=王+久) 埜(ヤ・木+木+土) =十+八+十+八+十+一 拾 捌 重葉 壹拾イチ 秘め(卑女) ↓↑ 「山上憶良」 ↓↑ 山上の垂訓 ↓↑ 本地垂迹(ホンチスイジャク) 仏教が興隆した時代に発生した 「神仏習合思想」の一 神道の 「八百万の神々」は 様々な仏(菩薩や天部なども含む)が 化身として日本の地に現れた 「権現(ゴンゲン)」・・・「権力・権威」の「現表」 であるとする考えである ↓↑ 全能の神の命令…
最終日 ただ、京都を12時に出ないと間に合わない(13時でも間に合わないことはないがその分帰る時間が遅くなる 必然的に起きる時間は朝6時 朝風呂入って荷物まとめて6時半くらいにチェックアウト そのまま姫路駅へ 朝ごはんは姫路名物えきそば(和風だしに中華そばを入れたもの 自販機見たらたこ焼きえきそばなるものを そういえば今回たこ焼き食べてないなぁー(初日時間切れ、2日目居酒屋でおなか一杯 というわけでたこ焼きえきそばを食べることに えきそばの中にタコ焼き入れたものでただでさえシュールなのに余計にカオスになったw 食べた後、新快速が来ていたのでそれに乗り込み尼崎へ そこから東西線で京橋まで向かい今…
宮沢さんの農民芸術論に関して、社会学的に見てさらに興味惹かれる議論は、「農民芸術の産者」および「農民芸術の批評」論です。なぜならば、それらの議論を社会づくりという視点で見るとき、宮沢さんが何をめざしていたかを明らかにしてくれているからです。まず前者の論点を参照してみましょう。それは、「われわれのなかで芸術家(極楽浄土をめざす人)とはどういふことを意味するか」〔( )内は引用者によるものです。〕についての議論です。宮沢さんは、首唱します、 「職業芸術家(宗教家)は一度亡びねばならぬ/誰人もみな芸術家たる感受をなせ/個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ/然もめいめいそのときどきの芸術家であ…
みんなは通勤に何を使うんだい?電車?自家用車?自家用ジェット?鋼の肉体?なんでもいいが移動ってのは結構お金がかかるんだぜ。人間は一生のうちに移動に1000万は使うと言われているらしい。 いいいいいいいいいいいい1000万!?おいおいあまり人間を舐めるなよ…この人生100年時代、老後20000000円問題、安全マン、ラーメンマンとなっているこのご時世に俺たちは移動如きに1000万も使ってしまっていると言う話!?ありえない話! と言うわけでこの1000万を浪費しない方法を考えた。俺が、人力で時速40キロで飛べばいいと言う事でしょう。何故飛ぶ必要があるか、そんなの常識的に考えて当たり前だろ社会三流!…
今年も2月の間は涅槃図を展示しています。 お釈迦さまが入滅されたのは、はっきりした年代は争いがありますが、紀元前5世紀ころの2月15日とされています。 そのことから、お釈迦さまへの報恩の意味で涅槃会を執り行うお寺も多いです。拙寺でも、派手な法要は致しませんが、涅槃図をご覧いただくことで、お釈迦さまの遺徳を讃えています。 涅槃図には色々なメッセージが込められています。その中のいくつかを紹介したいと思います。 お釈迦様は生身の人間なのですが、特別な方だということで、普通の人とは異なる特徴を備えたとされます。あの独特の髪形や眉間の白毫というのもそうです。ついには「ビッグな」存在というのが物理的な意味…
とにかく「昔は良かった!」っていう人がいらっしゃいます。 堕落した『現在』と理想郷であった『過去』を対比させるような心の在り方でです。昔の人は立派で純粋で、今の人間は心も身体も堕落してしまったと考えているのかも知れません。「時代を経るにつれ世界は段々ダメになる」って考えるのは仏教の末法思想やユダヤ・キリスト教の終末思想もそうですし、古今東西よくある考え方なのでしょう。私からしたら時代が進むほど世の中なり人間なりがダメになるって考えるのは、「現在進行形の『世界』を呪詛してるだけだろう」と感じます。本当は大して良くもなかった過去を持ち上げることで、今ここにある自らの不遇を『世界』のせいにしようとし…
https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2024/01/24/190914 「北海道中世史を東北から見るたたき台として−7…南関東はどう?「関東編(2)」を確認」… 中世墓を見ていくシリーズも北海道、東北、北陸、関東、中部,東海、四国、此処まで見てみた。 これらは謂わば「森」だと筆者は思っている。 そして、 https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2023/11/13/210344 「北海道中世史を東北から見るたたき台として−4、あとがきのあとがき…これって早い話、「金掘衆や場所の姿を投影しただけ」なのでは?」…
読んだ本 島田裕巳『宗教対立がわかると「世界史」がかわる』晶文社 (2022) 小室直樹『日本人のためのイスラム原論 新装版』集英社インターナショナル (2023) 内村鑑三『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』岩波文庫 (2017) フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』平凡社ライブラリー (2013) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 本を読みたいという意欲、活力が止まらない一日であった。 平日は仕事なので、今日は充実感でいっぱいの一日であった。 最後の作業として、今日一日の収穫をこの日記にまとめあげることが残っている。 それを今…