第一章 出会い ~ 瀬戸内の風~ 舞台は瀬戸内海に浮かぶ小さな島。ここは海に囲まれた自然豊かな場所で、のどかな風景が広がっていた。そんな島の高校に通う暁海(あきみ)は、17歳の高校生。彼は幼い頃から、自由奔放な母親に振り回される日々を送ってきた。 「暁海、お母さん、今日は帰らないから。いい子にしててね」 暁海が小学校に上がる前から、母親はたびたび家を空けた。最初は母親の友人だと紹介された女性が面倒を見てくれていたが、やがてその女性もいなくなり、暁海は一人で過ごすことが多くなった。食事は簡単に作れるものか、買ってきた弁当で済ませ、寂しさを紛らわせるように本を読みふけっていた。 ある日の放課後、暁…