水上勉の代表作。初刊は、1963年朝日新聞社。
晩年の著者による改訂版もある。
1995年3月若州一滴文庫刊→2005年1月河出書房新社
映画やテレビドラマ、演劇などでも知られる社会派推理の臨界に佇立する大作。
水上勉の同名小説を「鮫」の鈴木尚之が脚色「宮本武蔵 一条寺の決闘」の内田吐夢が監督した推理劇。撮影は「路傍の石(1963)」の仲沢半次郎。日本映画史上に残る不朽の名作。1965年 東映 183分
昭和22年9月20日。十号台風の最中に北海道岩内で凶悪事件が発生。質店の一家三人が惨殺され、犯人は放火後姿をくらましたのだ。そして折からの台風のため嵐となった海で青函連絡船沈没の惨事が起きた。嵐の海は巨体をのみ船客532名の生命を奪った。死体収容にあたった函館警察の弓坂刑事は、引き取り手もなく船客名簿にもない二つの死体に疑惑を感じたことから質店一家殺しの犯人の糸口を掴む。
逃亡中の男・犬飼は一夜を共にした娼婦・八重に、何も語らずに金を渡し去った。犬飼へ愛を抱き、唯一心の支えとひたすらに生きてゆく八重。それから10年後、皮肉な運命の歯車は回り始めた。一途な女の愛の執念は、愛する男を新たなる犯罪の渦中へと引きずり込んでゆくのだった...。
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