市來健吾の日記

プログラマ、(元)物理屋(ナノテク、流体)

昨日は初めてガレージに車を入れた


  • というのも、雪がまた降るかな、と思って。

  • ここのガレージはすごくて、下手すると容積は家と同じくらいある小屋。 (創業時のアップルのような、いわゆる「ガレージショップ」をやれるような、 そういうスペース。) 車を入れるとガレージらしくなった。

  • 残念ながら、昨夜は雪は降らなかったので、そっちの目的は達成されなかった。

ryuon


  • 文献のチェック

    • poly 系チェックのため、およびリハビリ(最近、世間から遠ざかってたので)

    • 面白い論文をいくつか発見

      • Cunha et al. (2002) J. Fluids Eng. Vol. 124, pp.957-968,
        "Modeling and Direct Simulation of Velocity Fluctuations and Particle-Velocity Correlations in Sedimentation"

      • Abbas et al. (2006) Phys. Fluids 18, 121504,
        "Dynamics of bidisperse suspensions under Stokes flows: Linear shear flow and sedimentation"

  • 拘束系 on RYUON

    • こういう方向もありだな、ということで。計画を練る。

「科学者に衝撃を与えた「ロマンティックでない」グーグル」@foresight


  • 個人的には、危機感はグーグル自身よりも、 無批判に(というよりも、むしろ我先に)そういうグーグル的なものに乗っかろうとする 人々の方に感じる。

  • ビジネスとか経済には、 前に付き刺さったまま放置してる 「スケール効果のメリット」ってものが厳然と存在するので 自分の中ではまだよく分かってないのだけれど、 少なくとも研究とか純粋科学という領域については、 基本は個人の営み(人生と同じ)だと思っている (ロマンティックだ、といわれるとそれまでだけど)。 この「個」という側面が、ないがしろにされているという気がする。

  • 個をないがしろにしている一因は、研究者にかかってる外圧、つまり「競争」であり 「評価」であり、研究の効率化だろう。

    • 簡単な算数。Aさんがやった成果が年に1つあって、 その知合いのBさんがやった成果が別に1つある。 そのままだとそれぞれ1しか得られないが、 お互いにちょっとコメントしあったくらいにして共著にすれば、 それだけで「成果」が倍になる。 どこに線を引くかには個人差はあだろうし、 それぞれの状況に色々な付帯事項が付くのだろうが、 原理的にこういう錬金術は可能なのが、今のシステム。

    • ちょうど読んだばかりの 「Rさんの来訪とセミナー、研究者の系譜」@mitsuhiro にあった
      わたくしは彼が遺伝子クローニングを始めるときに、 人間関係のややこしさを気にしないで、とりあえず工夫してみずからやったらどうかなどと、 エジンバラのパブで加勢したものです。 それもやはり、BH先生以来のつきあいから来る、 相互の信頼みたいなものがあったのだと思います。 研究の世界では、日本で言えば古い中世の時代にさかのぼっても 紹介状を渡してこの人物は信用できるとした、そのような風習が ごく最近までは残っていました。 航空便でも往復2週間はかかってしまう、 ファックスももちろんメールもない時代では、 そういう類の紹介状を持参した、人と人の交流があったものです。
      にあるように、例えばこういう所に「この人物は信用できる」かどうかってのは現れる。 ってのは(つまり、中世へのノスタルジーってことは)、うむ、 やっぱり「ロマンティック」なのかな。

      • 4/30/2007: ノスタルジックな科学者

      • 9/23/2010: 検事と研究者の違い、拝物思想と拝精神思想@mitsuhiro

    • 研究者としての「矜持」ってもの。ちなみに「矜持」という言葉は、最近知った言葉。 例えば 7/28/2005。 (他にもあったと思ったが……)

    • 業績のカウント方法はいろいろ議論されていて、完璧なものは何一つないのだけど、 共著論文に関して、例えば共著者の数で頭割りするとか、 少なくとも研究業績保存則を課す(論文1に対して業績1が保証される、 つまり「錬金術」の棄却)とかは、 少なくとも科学者的に言って当然ではないかな。

      • 論文数が少なくて、かつ、共同研究も少ない人間の愚痴ではあるんだけど……

      • でも想像として、例えばこういう仕組みになったとしたら、 どれくらい共著者の数が減るかなぁというのは興味がある(ちと悪趣味か)。

    • 業績の「錬金術」には更に、同じネタの使い回しという手もある。 院生の頃、同じグループに居た高木伸さん(当時、助教授)が そういう「論文カルテット」(と言ってたかな、あるネタでまず会議録書いて、 レター書いて、フルペーパーを書く、あれあと一つなんだっけ?) を批判していたのを記憶している。 あと「研究で楽しいことがあるのは(だったか、分かったという気分になれるのは、だったか) 年に数日だ」と言うフレーズも(まぁ言い古されていることだけど、 私の個人史の中では)高木さんから聞いて意識した(頭に残っている)ものだ。

    • References:

      • 3/4/2002: 書くや書かざるや

      • 5/28/2003: 数が大事

      • 3/3/2004: [Opinion] Publish or Perish on PhysicsToday

      • 4/20/2007: 具体的な話し(恩師の影響)

      • 9/2/2008: 業績の数値化について、JCR と IF

数日前に聞いて気になってた音楽をやっと突き止めた


  • 帰りの車で聞いて、後でwebで調べとこうと思ってて日々が過ぎていき、 結局いつだったかも忘れてしまった、という状況だった。

  • が、幸いにして見つけられた。 Jim Bryson の "If By The Bridge" という曲でした。 ちなみに今なら彼のサイト(jimbryson.org) からこの曲の mp3 がダウンロードできる。彼はカナダ人だ。

メールの返事


  • その後バタバタしてたので遅れたが昨夜、 先日の件で恩師に おめでとうメールを出しておいた。ついでに近況報告も添えて (というのも、前に連絡取った時が、例の どん底状態の頃 だったので)。

  • きっと山のようにメールが来てんだろうと思ってたが、すぐに返事が来た。

    • 2行の簡潔メールだが、その 50% を使って RYUONの進展も楽しみにしてるって。 うむ、歩みが遅いということでしょうかね?

    • 10/18/2006にツッコミを受けた 直後に 4.0-Release を出して以来、外見上進展はないし (裏では、つまり CVS には、大幅に手が入ってるけど)

  • 上の業績に関する話しに関して、 私がこの恩師に強く影響を受けていることは認める。 無駄なものは書かないで、意味のあるものを書くというその姿勢。

    • (今のところ)唯一の 共著論文 の草稿を見せたとき、supportive なコメントをくれたけど、 その理由が「community にとって益になるから」だったことは、多分、 自分の中では大きな部分を占める言葉だ。

      • 7/28/2008: カナダでの第一報のゲラが届く。

    • あともう一つ、 単著の JFM 論文 は当初彼と共著の形にするつもりだった。 実際、仕事の大半は caltech で過ごした時の仕事だった (と言っても、自分で勝手にやっていた、というのが正しいけれど)。 だけど草稿を見せた時に彼の方から「単著で書くべきだ」と 言われた(悪い意味でなく)。

    • 彼は(研究が)地味だという人も居たけど、そういう姿勢が大事だと思ってる。 玄人好みだとも言えるが、悪い意味(衒学的な)では決してない。

    • 前にも書いたが、 私は Stokes flow の全てを彼の論文”から”学んだ。 別に彼の論文”だけ”で学んだ訳ではない、もちろん。 だけど彼の論文のほとんどが今でもそのsubjectの要の位置にあることは、間違いない。 「今はみんな忙しくて長い論文なんか読んでる暇はないのだから、 読みやすい論文を書け」(意訳、そういう論文じゃないと査読がパスしない) という風潮は、それが本当の意味で「読みやすい」のならいいのだけど、 往々にして主張の正当性を検証するのに必要な詳細まで落すような書き方になるし、 それじゃ科学の健全さは机上の空論になる。

    • Stokes flow の研究者は頭が固いとか依怙地だとか複数の人に言われ、 自らも経験してるけど(査読の話し、 5/4/2004)、 上のような行動規範で動いている人間ばかりなら、そういうことはないと思う。 査読プロセス自体が「裏」の世界だけど、やっぱり「裏」であることによる悪い面って あると思う。

    • このような研究の裏側を陽に書くことは、 多分、これから研究者になろうとしてる人にとって有益だと思う。 疑心暗鬼になったり、みんな裏ではああしたりこうしたりしてるんではないか、 とか変な方向に想像するよりも。

    • 5/17/2007: と言いながら、やっぱり大変だよね、と思う。

    • サマリー:研究について

    • 10/9/2010: ちょっと昔を振り返ってみた

  • 3/6/2011: ぼくが影響を受けた5人から、四人目。