「東京都青少年健全育成条例の改正反対に関する陳情」の審議(2)

東京都議会文教委員会速記録第七号 平成十六年三月十九日(金曜日)
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/bunkyo/d3030102.htm

〇石川委員 九割の自販機には自主規制によっていわゆる年齢識別機というものが設置されている。しかし、数でいえばあと一割、これが残されているので、今回新たに条例で、この年齢識別装置の設置ということを義務づけされた。これはこれで、私は、自主努力をしてきた業界の皆さんへのまたさらなる支援ということで、評価をいたします。しかし、自販機というのは、ご案内のとおり世の中にいろんな種類の実は自販機がございまして、法律で禁止されているものも自販機で売られているというのが現実ですよね。私は何とは申しませんけれども、おわかりになろうと思います。物によっては、十一時以降午前五時まで稼働できないような装置のついている自販機もあります。
 図書類を販売する自販機によって販売する業種、業界の皆さんにとりますと、なぜ我々が自主努力して年齢識別機を開発して、設置してきて、一方では、売ってはならない、買ってはならないと法律で明記されている自販機にこうしたものが普及していかないんだろうかという疑問、これは私は素朴な疑問だろうと思うんですね。我々一般都民も、もしそういう装置があるならば、健全な青少年を育成するために、法律等で販売してはならないという自販機につけてくださいという要望が出てくるのは当然だろうと思うんですが、なぜこの二十五期の協議会でそうしたことが議論にならなかったのか、その点だけ、ちょっと部長、教えていただけませんでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 自動販売機の業界側が自主規制努力を重ねてきたにもかかわらず、なぜ今回、罰則つきの条例で規制するのかということでございます。
 これは、青少年問題協議会におきましても、実は自動販売機業界の代表の方に来ていただきまして、意見陳述していただきまして、自主規制の取り組み等のご説明いただきました。委員の中からも、その自主規制の努力について評価するという声がございました。
 ただ、先ほど申しましたように、大多数の事業者の方は都の要請を真摯に受け、ご協力いただいておりますが、一部の方が、約一割の自動販売機につきましてはまだ設置されていない状況があるというのが一つ。それから、これは私どもが夜間に調査したところ、年齢識別機を設置した販売機でも、夜でございますので、青少年が来ないということを前提にしたのかもしれませんが、約六割が稼働していないというような状況もございました。
 そういう実態をご説明しましたところ、青少協、青少年問題協議会の中におきましても、一定の規制を設けて年齢識別機を徹底し、青少年がこういう有害図書、不健全図書を買わないように環境づくりをしていくべきじゃないかということで、今回の条例改正案におきましては、この年齢識別機の規制を新たにお願いしているところでございます。
 なお、この罰則でございますけれども、これは東京都のほかの規制でも同様でございますが、直ちに罰則を適用させるものについては罰則を適用させますが、基本的には、業者側の不注意もしくは過失等がある場合がございますので、そういう場合につきまして、いきなり処罰するということは目的でございませんので、実は警告を前置させております。そういう意味では、業界の方、特定事業者の方にまず警告をした上で、その警告に従わなかった場合のみ処罰するというような形にしておりますので、直ちに処罰するというような、処罰ありきのような規制とは考えておりません。
 また、もう少し申し上げますと、実は警告につきましても、条例に基づく警告も、直ちに警告を発するというよりも、最初はいわゆる行政指導、口頭指導で注意申し上げまして、ほとんどの事業者の方、これは書店も含めてそうでございますけれども、ご指導すれば従っていただいております。そういう形で、不備があった場合でも、あくまで業界側の自主的な取り組み、事業者の自主的な取り組みを喚起しまして、是正させていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
〇石川委員 この年齢識別装置というものについて伺いたいんですけれども、これは条例で規制する、新たに設けるわけですから、この識別機そのものの性能といいますか、これは確立されたものというふうに認識してよろしいんですか。
〇高島都民協働部長 お答えいたします。
 年齢識別機についてのお尋ねでございますけれども、大きく二つの方法を予定いたしております。実は、これは既に業界側がとられている方法なんですが、一つは、先ほど申しましたように免許証を入れて、本人の年齢を確認して、成人であるということが確認できれば、未成年でないと確認できれば、明かりがついて本が買えるという仕組みになるもの。それからもう一つは、遠距離監視で、実際カメラがついていまして、遠距離の事務所から、来た人を確認した上で売る。それは、例えば明らかに大人であれば誰何しませんが、子どもであれば、マイクで帰りなさいと指導したり、もしくは青少年か大人かわかりにくい場合は、ビデオで免許証を見せてくださいということで、免許証をカメラの方にご提示いただいて、確認した上で売る、そんな方法が実は確立しております。
 今回も、条例またそれに基づく規則におきましては、こういう確立した二つの方法、これをどちらでも選択できるんですが、年齢識別機として設置していただけるよう規制をお願いしております。
 既に、先ほど申し上げた九割の普及しているものにつきまして、その二つの方法がとられておりますので、これにつきましては技術的な問題、導入の問題については特に支障がないだろうというふうに思っております。
 以上でございます。
〇石川委員 新たに年齢識別機設置を義務づける。もう一方、いわゆる納品されているものが見えないように、今、マジックミラーというんでしょうか、昼間ですと暗くて見えない状況になっておりますよね。これも自主規制で実はやってまいりました。
 しかし、今回の条例では、さらに踏み込んで、見えてもいけないと。識別機でさまざまな努力をして、今、遠隔装置で対面で売られるような自販機も出てきている時代に、今度は見えるだけでいけませんよというところまで来たんですが、その背景は何でしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 今回の自動販売機につきましては、大きく二つ義務づけしておりまして、一つは、今お話し申し上げました年齢識別機の設置の義務づけ。それから二つにつきましては、今、委員の方からご指摘ございました、いわゆる見えなくする装置。これはいろんな方法がございますけれども、基本的には、マジックミラー等をつけて、年齢を確認しない限りは明かりがつかずに、中の本が見えない、そんなマジックミラー等の見えなくなる装置の義務づけ、この二つを大きくお願いしているところでございます。
 後段の、見えなくなる装置がなぜ必要なのかというお尋ねでございますが、青少年問題協議会などの議論の中で、実はこういう議論がございまして、よく問題になりますのは、学校の近くなどでこういう機械が置かれている。そうすると、子どもたちが興味本位に学校の行き帰りにそういう機械に入っている本を眺めて、みんなでたむろしている。それを保護者の方からご指摘いただいて、警察もしくは我々の行政当局に何とかしてくれないかというお話があるということがございます。
 自動販売機に入っておりますビデオなり雑誌というのは、基本的にできるだけ売りたいというようなあれがございますので、表紙とかパッケージは、中身と同様にかなり問題のある写真、絵等が掲載されているのが通例でございます。
 これに対応する方法としましては、青少協の中で幾つかご議論されたわけですが、一つは、本来そういう学校の近くもしくは病院、公園等、そういう公共施設の近くに置かなくする、いわゆる距離制限を置くということもございました。それからもう一つは、今申し上げました見えなくなる装置をつけるというような話がございました。
 そういうことで、いろいろな方法がございましたけれども、結局、当面、罰則つきできっちり義務づけるのはこちらの見えなくなる装置、これについて業界の方のご理解を得ながらやらせていただければ−−今申し上げましたように、子どもたちが、買うわけではありませんけれども、自動販売機のところを通るだけでそういうことに気がつく、もしくは関心を持つ、不健全な環境に染まってしまう、そういうことがないようにしなくてはいけないんじゃなかろうか。
 特に、一般のお店と違いまして、自動販売機には制止する店員は通常おりませんので、そういうこともかんがみまして、こういう内部が見えなくなる装置の設置を義務づけて、青少年の健全な環境を保つ一つの手段にしたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
 以上でございます。
〇石川委員 今、学校帰りの子どもたちということで、十三条の六で距離制限を設けたわけですよね。年齢識別機、距離制限、で、今度は見えないようにしろと。この業界にとっては大変厳しい。しかも、この見えない装置というのは、今、完璧なものがあるんですか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 見えなくなる装置、これは先ほどいいましたマジックミラーなどが一つ代表的なものでございますけれども、それ以外にも、ふたをするとかいろんな方法がございまして、それにつきましては業界側とよく話し合って、その方法につきまして今整理しまして、今後、規則の中で定めていきたいと思っております。実は技術的に開発がもうかなり進んでいるものもございますし、これから技術が開発されるというようなものもあろうかというふうに聞いております。
 以上でございます。
〇石川委員 店頭の方では包装、それから縛る。しかし、これは多分黒い包みで包装する業界はないと思うんですね。当然透明なもので包装するんだろうと私は思いますよ。要するに、店頭販売は包装でも見えてもいいですよ、しかし自販機は見えちゃいけませんよというのでは、余りにも、自販機がこうした問題の諸悪の根源、こういうふうに条例では見ているのかなと、こういうふうにとらざるを得ない。
 もう一つ実は危惧されますのが、いわゆる調査権。これまで調査というのはどのような方々が行っていたんでしょうか、改めてちょっと教えてください。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 自動販売機に関するいわゆる立入調査権の行使でございますけれども、これにつきましては、私ども知事部局の職員がこの調査に当たっておりました。
 以上でございます。
〇石川委員 それでは、改正される条例ではどんなふうになるんですか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 今回の改正案におきましては、新たに警察官の方々にもこの自動販売機につきまして立入調査権を付与し、警察官の方々にもこの調査を行っていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
〇石川委員 先ほど山本委員の質問にもありました。新たに警察官。しかし、警察官も全員じゃありませんよ、いわゆる立入調査証票を認めた警察官ですよと。で、先ほどの答弁で、調査に際しては立入調査証票を携帯し、あらかじめ関係者に提示しなければならないこととするとありますよね。
 条例の立入調査、第十七条二項の三で、自動販売機等業者の営業の場所、ここに立ち入りができますよということですね。この場所というのは、自動販売機を置いている事業者の事務所なんでしょうか、それとも自販機が置いてある場所なんでしょうか。
〇高島都民協働部長 条例で定めております立入調査の場所としまして、改正条例案の十七条の二項第三号で、自動販売機等業者の営業の場所と書いておりますが、これは通常は自動販売機が設置されている場所、そこを営業の場所と考えております。
 ただ、先ほどちょっと申しましたが、遠距離操作でこの自動販売機を操作しているというような事業所形態もございます。そういうこともありますので、いわゆる事務所といいますか、自動販売機を設置している方々の事務所もこの立入調査の対象になる場合もあるのではなかろうかと考えております。
 以上でございます。
〇石川委員 今までは都の調査員十名程度。今回は新たに警察官約四千人にも調査権を付与する。当然、自販機を置いているところには原則人はいません。調査証票を提示するわけにもいかないわけですよ。まさに出入り自由ですね。
 そうしますと、先ほど、いきなり罰則とか云々じゃありませんよというお話がありましたけれども、まさに自販機業者にとっては、常に立入調査の対象の場所として監視されている、こういうふうに受け取ることも、私は、決していい過ぎといいますか、思い過ごしではないような気がいたします。
 したがいまして、こうした自販機に対する今回の条例の適用に当たりましては、条例の本来の目的をきちっと踏まえて運用し、また対応していただきたい、私はこのようにお願いする次第ですけれども、その辺の危惧に対する生文のお考えはいかがでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 警察官の立入調査を初め、この条例の権限行使に基づきまして、業者側もしくは受けられる方々の個人の人権、そういうものに対して配意すべきだろうというお尋ねだろうと思います。
 これにつきましては、実は、この青少年健全育成条例の第三条に、もう既にそういうことを想定した規定がございまして、第三条をちょっと読みますと、「この条例の適用にあたつては、その本来の目的を逸脱して、これを濫用し、都民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」こういう規定がございます。そういう意味では、あくまで青少年の健全育成の目的のために必要な範囲において必要な規制を、大人社会の事業者の方、大人の方にかけていくということだろうと思います。
 いずれにしましても、この条例をご審議いただいて、議会の方で通していただけますならば、この条例の運用に当たりまして、今ご指摘の点につきましては十分注意しながら、警察当局とも連携をとりながら、適切に対応し、個人の人権に対する配意をしつつも、条例の効果が最大上がるような方策を検討し、適切に対処していきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
〇石川委員 まさに条例ができてしまいますと、その判断は紙一重であります。したがいまして、今、第三条の規定を読まれましたけれども、まさしくこの第三条の規定をきちっと運用におきましては重視していただきたいことを改めて要望しておきたいと思います。
 それから、今回新たに深夜外出への規定が盛り込まれました。これを盛り込まれました背景、目的について改めてお伺いいたします。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 青少年の深夜外出に対する規制でございます。この規定につきましては、青少年が深夜外出することにより犯罪に巻き込まれる、もしくは犯罪に関係するような環境に置かれることによって、青少年の非行もしくは健全な育成が妨げられる、そういうことを未然に防ぐために、あらかじめ、努力義務を含めてでございますけれども、青少年を子どもに持つ親御さん、周辺の大人の方々、それからコンビニ等の事業者の方々に、深夜になりましたら子どもさんたちを早く自宅に帰していただく、そういうような義務を設けまして、先ほど申しましたように、深夜子どもが出歩いて、子ども自身が犯罪なんかに巻き込まれない、また非行化しない、そういう環境をつくっていくということを目的に、今回、青少年に関します深夜外出の制限規定を設けた次第でございます。
 以上でございます。
〇石川委員 ある程度こうした努力規定を設けるのは、今日の社会状況を考えますと必要なのかなとも思います。しかし、東京には、さまざまな青少年がさまざまな健全な活動をされて、深夜外出をされている方々もいらっしゃるわけでありますから、これも運用に当たっては最善の注意をしていただきたいと思いますし、新たに設けたこの努力義務を都民にどう知らしめるかということは大事であります。この効果的な周知方法について、どのようなことをお考えになっているんでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 深夜外出をさせないための各親、大人に対する責務の周知徹底方法についてのお尋ねでございます。
 これは、条例で宣言することにより、一つのアナウンスメント効果があろうかと思いますが、やはりこの具体的内容につきましては、委員ご指摘のように、大人の方々、親の方々に十分理解していただくことが必要だろうと思っております。そのために、都及び区市町村の広報で、今回の条例の改正内容につきまして周知徹底いたすとともに、またマスメディア等も活用してまいりたいと思っておりますし、それから、私どもの都民協働部で行っております心の東京革命、こういう運動、この中の一環としてのキャンペーンなど、さまざまな運動の中で積極的に周知を図っていきたい、そういうふうに思っております。
 以上でございます。
・・・・
〇曽根委員 東京都がやっている施設で、せっかくそこを見つけて相談をかけてきた。で、ここは閉めますから、次は本局行ってくださいとなるんでしょうね。しかし、ある相談員の方の話として聞いたんですが、そういうことはなかなかできないと。一たんその人に相談を始めた以上は、どこになるかわからないけど、その人が次に就職する相談場所があれば、そこに行きたいということなんですよ。東京都として責任持って−−ひきこもりになっている方々で東京都に相談に来ているのは、まだごく限られた範囲ですよね。実態調査もやりたいというふうなお話だったので、そういう事業をやるのであれば、今までせっかく積み上げてきた相談の実績やノウハウについて、ここでゼロからまた再スタートということは、本当にもったいない話だと思います。再検討を求めておきます。
 それから、先ほども申し上げましたが、青少年健全育成の中で、青少年の居場所や活動場所づくりというのは、今後の大きな課題です。今日ではその拠点がセンターであって、役割はますます重要だと思います。都がみずから生み出した臨海開発のむだ遣いのツケを青少年センターにしわ寄せした上で、ほとぼりが冷めたら、今度は、センターとしての機能低下を理由に、頑張ってやっている独自の事業やひきこもりを含む相談の、十分ではないけれども貴重な蓄積を放棄してしまうのは、私は断じて認められません。
 センター機能も、有料のユース・プラザや区市町村の一部にしかない施設では代替できません。廃止できる段階ではないと考えます。廃止を一たん中止して、当面継続し、場所も含めて、むしろ拡充の方向でセンターは再検討すべきだということを申し上げておきます。
 次に、青少年の健全育成条例の改正案について幾つか質問していきます。
 私も、青少年問題の協議会の段階から、部会には入っておりませんが、検討に加わってまいりました。その際、基本的立場も申し上げてきましたが、社会状況を反映して、青少年をめぐるさまざまな問題に、場合によっては規制も含む対策を打たなければならないということは当然だと思っています。しかし、健全育成条例の中にも明記されているように、この基本は、青少年自身はもちろんですけれども、関係業界も含めて自主的な努力、そして青少年問題の都民への普及啓発、こういった問題を中心とすべきで、何よりも青少年が自分で考え、行動できる力、そして人権という問題をやはり最も重視して考えなければならないと思っています。
 その点で、答申づくりの中で、私、最初に、この間の経過、先ほども指摘があったように、極めて短期間の間に数多くの内容についての答申が出され、そして条例化されるということ自体、本当に十分検討がされたのだろうか、また、される余裕があったのだろうかという疑問を持たざるを得ないわけです。
 主な項目だけでも、不健全図書の規制についてのいわゆる個別指定と包括指定の問題、業界の自主規制の問題、また自動販売機の規制の問題、深夜外出の制限、深夜立入施設の制限、刃物の販売制限、古物買い受け等の制限、スカウト、キャッチなどの規制の問題、生セラの規制の問題、調査指導体制の充実ということで警察官の立入調査権を付与する問題、緊急指定の問題や、部分的ですが、買春処罰規定の整理もある。
 中でも、私、非常に解せないといいますか、疑問に思っているのは、答申では明記されなかった罰則規定が、条例案段階で次々と出されている、つけられているということなんですね。それで、資料をいただいたんですが、余りよく明記されてないんですけれども、答申では規制が必要というふうな表現にとどまったものの中で、条例案段階で罰則がつけられたというのは、どういう問題があるんでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 答申において規制が書かれているものが、条例案でその罰則がついてきたものがある、答申に書かれてなかったものもあるんじゃないかというお尋ねだと思います。
 青少協の答申の中では、この罰則についてご議論があったわけでございますけれども、青少協の中でのご議論の趣旨としては、罰則を不要とする趣旨でなく、行政側の検討にゆだねるという趣旨で、あえて規制に罰則を設けるべきだということに触れないというようなご議論がございました。
 答申を踏まえての条例案の検討に当たりましては、この規制の実効性を担保する観点から、既存の規制とのバランス、さらに実効性の担保、そういう観点から考慮しまして、個々の項目について論議をし、罰則を設け、提案させていただいた次第でございます。
 以上でございます。
〇曽根委員 これがなかなか、量も質も非常に膨大なもので、私も整理し切れないぐらいなんですけれども、例えば、今回、犯罪類型というと、法律用語でかたくなりますけれども、こういう規制、こういう規制という角度を拾っただけでも、二十三ぐらいの種類の犯罪類型が入っている。そのうち十一の類型が新しく今回加わったもので、それ以外にも、深夜の立入施設の規制、これも施設が新しく加わっているわけですね。それも入れると十二、ほぼ半分ぐらいが新しい罰則規制になっているわけですよ。
 しかも、今、青少協の議論というのがありましたが、これは部会の中とか起草委員会の中でやられているわけですけど、起草委員会は非公開ですね。私も、部会の中での議論を記録をもらって読ませてもらったんですが、例えば包装の問題一つとっても、委員の中では−−例えばある販売店で、うちは、包装を義務づけなくても、ちゃんとそういう区分陳列になっていますから、そっちの方に子どもが行けば、店主が見つけてちゃんと注意するというふうな規制の方法にしたいんだという本屋さんがあっても、これが包装が義務づけということになれば、販売店の責任で包装しなきゃならない。そういう方法はとりたくないといっても、これは義務づけであり、しかも罰則がついているんですよね。そうすると、それを守らないと、店主が罰則を受けることになるわけです。青少年のことを考えれば、そういうところに近寄らない方がいいよということで声をかけてあげる方が、私は、青少年健全育成の立場からいうと、大人のやり方としてはいいな、誠実だなと思うんですけれども、今回は、そういうことが許されない仕組みなんですね、というようなことをるる訴えている委員がいて、しかし一方では、いや、例えばコンビニのように、先ほどちょっとお話がありましたが、店員がとてもそんな暇がないという店もあるんだから、一律にやる必要があるという意見があったと。一方、それに対して、コンビニではどれぐらい区分陳列やられて、指定図書を売っているんだというと、コンビニではほとんど実態としては売ってないわけですよ。じゃ、何でそういうことをいうんだといったら、一般論としてそういうふうにいっているんだと。果てしない議論がいろいろあったわけですよ。あった中で、それじゃ、これは罰則明記という形にはなかなかならないから、議会なり都民にゆだねるということにしましょうということで、答申は、罰則は明記しなかった。
 ただ、その際強調されたのは、この部会の話し合った論議は公開されるから、これをよく読んでもらって、青少協では、部会ではこういう議論してますよと、それを踏まえて議論をしてもらおうじゃないかということがここでいわれているわけですよ。
 ところが、私は、その委員の方から後で連絡を受けて、私はここでこういうふうにして意見をいってますので、ぜひ記録を読んでくださいといわれたので、取り寄せて、この部会の記録をもらいました。しかし、その後、審議する文教委員の議員の方に、この部会の記録がちゃんと公表される形で回っているという話は聞いてないんです。私はたまたま自分でもらったんだけど、これは公表されて、ちゃんと俎上にのっているんでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申します。 
 青少年問題協議会での総会、専門部会、小委員会、これはすべて公開で行っております。また、その議事概要につきましてはホームページで公表しております。
 以上でございます。
〇曽根委員 一番大事なのは、十二月に一回答申案が出されました。私も、拡大部会ということで出席して、そうしたら、その場で部会のメンバー同士でいい合いになったわけですよ、率直にいえば。起草委員会だとか部会の中で、ここの罰則とか、こういう規制について論議された記憶がない、論議されてないことが何でこの答申案に入っているんだという意見まで出て、それで、一回そこで答申案について固めるのはやめにして、一月九日に再度この部会を開いたわけですね。ですから、この一月九日の部会が重要なんですが、これはもうホームページに載っているんですか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 一月九日の協議会でのやりとりもホームページで掲載されていると理解しております。
〇曽根委員 後で確認します。私もそれは確認してないんで、確認しますが、私、むしろ青少協なり、その事務局を務めている生文局の方で、こういう議論があったんですから、当然、文教委員会の前に、この部会のやりとりを、例えば要約版だけでも、文教委員に積極的に配らないと、我々は自分で求めないと、そういう議論が行われたということはわからない。私はたまたま青少協のメンバーだから、答申とこの条例案が大きく違うなということがわかるわけだけれども、そうでもなければなかなか積極的につかむことは難しいですよ。
 そういう点、やっぱり時間的に見ても、一月十九日でしたっけ、答申が決まって、そして今日、二カ月で最終決定の場面を迎える。文教委員会は我々審議できますが、果たしてこれで、都民の中にどれくらい本当に浸透して、それを踏まえた議論になるのかなということは疑問を持たざるを得ないので、指摘をしておきたいと思うんです。
 次に、この中で一番問題になった不健全図書の指定の問題なんですけど、確かに包括指定は見送られたということになりました。しかし、個別指定にしても、今回新たに条文の中に、今までになかった、東京都の基準に基づいて個別指定をするという、東京都の基準に基づいてという言葉が入ったわけです。この基準というのは、今までも内規としてはあったようですけれども、今後は、条例上の規定として、どういう基準をつくるのかが問われることになります。
 私が一番心配しているのは、率直にいえば、ほかの県で決まっている包括指定のように、例えばわいせつな図画が冊子全体の半分とか六割とかを占めた場合、それは基準としてひっかかりますよという基準が、この基準の中に盛り込まれれば、事実上の包括指定になってしまうわけです、その基準に基づいて個別指定しているということになりますから。そういうことが絶対あり得ないのかどうかも含めて、この個別指定の基準について都の考え方をお聞かせいただきたい。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。 
 個別指定に当たっての基準のあり方についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、今ご指摘ございましたように、従来は知事決定ということで、行政の内部決定の形で、公表はされていたんですけれども、必ずしも一般の方に知らしめる形にはなっておりませんでした。今回これを条例に基づく規則に格上げいたしまして、その透明性を高め、事業者も含みます一般都民の方に、その内容について理解していただけるよう、規則の形で内容を定めたいと思っております。
 その内容につきましては、一部、多少文言整理がございますが、基本的には現在の認定基準と同じ内容のものを定める予定でおります。
 以上でございます。
〇曽根委員 個別指定の中身については、これまで以上に、今回、罰則も強化されるということもあって、どういう基準なのかということは、条例審議の本質的な中身として重要だと私思います。今まで内規だからということで、同じだからということで出さないということでしょうけれども、改めてこの規定の中身について、今後、文言整理があるというお話ですが、社会状況の変化ということを理由に改定されるということは当然あり得ると思うんですが、いかがでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。 
 規則で定めます基準でございますので、今後の社会状況変化によって改定もあり得るかというご質問に対しては、率直に答えれば、それはあり得るんだろうと思いますが、私どもは、今回の改正条例案、それから、先ほど申しました現在の認定基準とほぼ同様の新しい規則案といいますか、私どもが考えております基準案、それを、現時点においては、個別指定方式において使いますものとしては一番有効なもの、現時点においては一番実効的なものというように考えております。
 そういう意味では、当議会でご審議いただきまして、ご了解いただきましたならば、条例案、それに基づく規則案をもとにしまして、最大限個別指定の実効が上がるよう努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
〇曽根委員 今までの条例上、基準についての厳格な規定がない場合と、今回は厳格に規定が設けられて、しかもその基準は都が定めるというふうにされた場合とでは、現状は同じでも、スタートの時点では同じでも、今後に大きな開きが出る可能性があると思います。特に、都が、社会状況などの変化ということを理由にして、例えばわいせつの問題、それから、私もさらに心配なのは、非常に残虐なもの、残虐なシーン、そうした写真や図などを一定の割合含むもの、こういうふうに客観的な基準ということで設けた場合、例えば戦争物のルポルタージュだとか、そういったものがひっかかってくる危険性が現実にあると思うんですよ。
 そういう規制、中身の質だとか物によらないで、単なる量的な基準だけではかられるという仕組みを導入すべきでないし、そういう基準が持ち込まれる危険性を、入り口をあけるという点では、こういう規定の仕方は非常に問題があるということを指摘せざるを得ないと思います。
 それから、私、青少協のときにも申し上げましたが、古書の買い取りの問題でちょっとお聞きしたいんです。
 確かに古物の買い取りの中には、青少年にふさわしくないものがいろいろあるということで、規制をかけているのは今までもあったわけですが、今回、古書も含めて親の同意が必要、原則禁止ということになりました。しかし、聞いてみれば、多くの県で古書、つまり古本の持ち込みについては、古物全体とは区別している県が非常に多いというふうに聞いているんですけども、ほかの自治体では、どれくらいの県のところで書籍を除外した古物買い取りの禁止規定になっているでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 青少年からの古物買い受け等の規制を行っている県は四十道府県に及んでおります。そのうち、今ご質問にございました書籍の買い受け等を除外している県は十九県でございます。
 以上でございます。
〇曽根委員 そういう県がなぜ除外しているかという理由ははっきりしていると思うんです。つまり、子どもたちにとっても、自分が読み終わった漫画とか雑誌、その他の本、子どもの児童書などもありますよね。そういうものを本屋さんに持っていくというのは、いわば日常的にあり得ることなんですよね。確かに中学生以下でも何でも無制限でいいのかということはありますが、この場合は十八歳以下全部禁止になりますので、高校生であっても、自分でアルバイトなどで稼いでいる子どもであっても、原則禁止、親の承諾書を持ってきなさいという話なんですね。しかし、自分で稼いだお金、お小遣いで買った本を、何で本屋さんに持っていってあれできないんだというのは、常識的に見てもちょっとやり過ぎというふうにやっぱり思わざるを得ない。だからこそ、半分の県で除外しているんだと私は思うんです。別の形で、そういうことに悪用されないように、万引きなどに悪用されないようにという手は、ほかで打っていると思う。
 私は、この点も案外、小さいことのようですが、青少年のいわば自主的な活動や、自分自身で何がいいか悪いかを考えて判断する力を養っていく、そういう力を養うというよりは、とにかく規制していくという考え方があらわれている問題として、私はこの点は手直しをした方がいいというふうに指摘をしておきたいと思います。
 それから、先ほども話題になりましたが、警察官の立入権の問題で、これは幾つか質問もあったので、ダブらないようにします。
 令状主義云々の問題ももちろんありますが、基本的に行政職員が今まで調査していた。今回は、カラオケルームだとか漫画喫茶その他対象が大きく広がるから、行政職員では賄い切れないで警察官にお願いするということだと思うんですね。確かに一千カ所以上のカラオケルームがありますから、そういう意味じゃ、対象、大変だと思いますよ。しかし、基本的にはこれは青少年健全育成の立場で行う立入調査なんですから、行政の責任として必要な職員を配置するというのが基本だと思います。場合によっては都民の協力その他も得ることはいいと思うんです。しかし、犯罪捜査を主たる任務としている警察官に、代行とはいえ、証明証票を持っているとはいえ、これをかわりにさせるということが果たして適切なのかという点では、非常に大きな疑問があります。
 犯罪捜査のあれに乱用してはならないというけれども、先ほどどなたかおっしゃったように、犯罪を見つけるきっかけにはなるという意味でいえば、積極的に立入調査に警察官が乗り出すということはあり得るわけですよ、そこでいろんなことを見つけられるからね。そうすると、事情上犯罪捜査の入り口になる可能性というのはどんどんあるわけですよ。それはもちろん、実態として悪いことしているのがあれば、それは規制するのは当然ですよ。しかし、そういうふうに本来の青少年健全育成の立場でのやむを得ざる立入調査がねじ曲げられることがありはしないか。この点でのお考えを聞いておきたいと思うんです。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 警察官の立入調査についてのお尋ねでございます。
 これはもう先ほどから何度かお答えしておりますが、青少年健全育成条例の施行に必要な限度において、いわゆる行政調査として行うものでございます。また、営業時間内に行うものでございます。また、この条例において、先ほど申しましたように、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないというふうに規定しております。
 いずれにしましても、この条例施行に当たりまして、こういう趣旨が徹底して立入調査が円滑に行えるよう、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
〇曽根委員 もし警察官をそういうふうに代行で使うのであれば、本当に厳密な、そのための運用の規定が必要だと思います。しかし、本来、本当に健全育成ということをまともに考えるならば、青少年センターのときもそうなんですけど、要するに金をけちらないでほしいんですよね。金と手間。職員をちゃんと配置して、本当にきめ細かく、それで、現場で見つけたときに指導できる人というのは、警察官だと難しいですよ。そういう点でも、そのための職員、できれば、青少年に直接接することができる訓練も受けた専門の職員。いろんな分野がありますから、福祉もあり、健康局もあり、教育庁もあるでしょうが、連携してそういう分野をふやしていくということを基本にしなければならないということを強く申し上げておきたいと思うんです。
 最後に、条例を今審議して決めてしまうということは、私、非常に拙速になりはしないかということを危惧しているんですが、二つの問題をお聞きしたいんです。
 一つは、都民の意見を聞くこと。特に、この規制の対象となる当事者である青少年の意見を、どういう形かは工夫が必要ですが、きちんと聞く場を設けないで、青少年のことを我々が決めてしまうということは、私はやっぱり危惧するんですよね。今は、子どもたちにも当然ながら、国際条約になった子どもの権利条約によって、意見表明権もあれば、人格権も大人と同じというのが基本です。したがって、自分たちの問題にかかわる、こうした重大な条例改定については、意見をいう権利は持っているはずです。これを全く認めないというのであれば別ですが、これは本来認めるのが当然で、そういう場を、決める前にやはり設けるべきじゃないかと思いますが、都民全体の意見も含めていかがでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 青少年を含めて都民各界各層の意見を聞くべきではないかというお尋ねであろうかと思います。
 今回の条例改正に当たりましては、まず青少年問題協議会に諮問し、都民の代表の方々にまずご意見を伺っています。特に、その中でご報告しなくちゃいけないのは、いわゆる一般都民からの公募委員も二名いらっしゃる、そのような方々からお話をお聞きしているというのがございます。それから、青少年問題協議会の審議の中で関係業界の方にもおいでいただきました。また、学識経験者の方にもおいでいただきまして、幅広く意見をお聞きしております。それから、青少年問題協議会の答申が出た後につきましては、パブリックコメントということで、青少年の方々の意見も含めて、多くの都民の方々から意見をいただいております。そのような各界各層の意見を聞きながら、今回の条例改正案を作成し、今都議会に提案し、ご審議をお願いしているところでございます。
 以上でございます。
〇曽根委員 青少年の意見を聞く場はどうなんですか。
〇高島都民協働部長 青少年の意見だけを聞く場を設定すべきじゃないかというお話でございますが、こういう、何と申しますか、青少年の健全育成につきましては、先ほど申しました大人の責任、親の責任ということが一義的じゃなかろうかと思っております。そういう意味では、子どもの立場の、青少年の立場の意見を聞かなくてもいいということを申し上げるつもりはありませんが、やはり基本的には、子どもを守る、青少年を守る大人、親御さんからの意見を聞いて、それを逆に、大人の方々、親の方々に対する規制につなげていくという形での条例改正案を作成したわけでございます。
 今回は、そういう意味で改めて場を設定してはございませんが、ただ、私ども、先ほど申しましたように、決して青少年の意見を聞くことを排しているわけではございません。パブリックコメントなどを通じまして、青少年を含めて都民各界各層のご意見を聞き、それを踏まえて今回の条例案の提案に至ったという経緯でございますので、ご理解賜りたいと存じます。
 以上でございます。
〇曽根委員 条例を決めるのは大人で決めなきゃならないんですよ。だからこそ、だからこそ、大人の勝手な決め方をしないために、有権者でない、選挙権を持ってない、政治的な権利を持っていない子どもたちの意見を聞かないと、どこもそれを反映される場所がなくなるんですよ。そのことを私は申し上げている。(「責任能力ないんじゃない」と呼ぶ者あり)子どもの意見表明権というのは認められているんですよ。樺山さんなんか責任能力ないっていうけど、とんでもないですよ。(発言する者あり)渋谷のまちをうろついている子の意見を聞くのかって、それは必要ですよ、私にいわせれば。どういう考え方で渋谷のまちをうろついているのか、そこをつかまないで一方的な規制をかけると、大きな間違いを犯すことになりかねないんですよ。
 例えば、きょうは質問の趣旨は持っていませんが、十六歳以下の青少年を深夜連れ出し同行、これは禁止ですよね。罰則も厳しいですよ。それはもちろん、ああいう事件があったからだと思います。ああいう事件を想定すれば、これは必要だということになると思うんです。
 ところが、この条例というのは、つくられればひとり歩きしますから、この規定に当てはまる場合は、いろんな場合が考えられるわけですよ。例えば、私自身が深夜歩いていたら、そこにどうも素行のおかしい若い女の子がいたとしますね。どうもおかしいな、明らかに例えば援助交際やろうとしているんじゃないかとか。それに声かけたらどうなるか。その子が私の善意を認めないで、ぬれぎぬを着せられたら、どうしようというふうに考えますよ、それは。私がぬれぎぬ着せられたらと。例えば警察などに、私が無理やり何かを迫ったというふうに、その子に証言されたりした場合、これにひっかかるわけだ。だから、正当な理由なくの正当というのが証明できるかどうかというのは、非常に微妙な問題があるんです。(発言する者あり)だから、そういう問題が、危険性があるからこそ……
〇東委員長 お静かに。
〇曽根委員 大人が若い人たちの行動に対して、大人なりの善意の目を向けて、いろんな声をかけたり、何といいますか、ここでは善導というような言葉もあったけど、やりやすくなるのかどうかということをよく考える必要がある、いろんな角度から、この問題は。こういう規定をつくる以上は、いろんな場合があり得るということを考える必要があります。(発言する者あり)そういう点では、運用上非常に心配なものもあるわけですよ。
 例えば法律でも、何年たったら、改めて見直しをして、必要な改正を行うということを法律の制定の際に明記することがあります。例えば臓器移植の問題でもありましたよね。したがって、この条例も、もしつくるのであれば、やっぱり一定の年限で運用を見直す、もしくは規定を見直すということを当初から明記するということはあってしかるべきと私は思うんですが、全くそういうことはないんですけど、いかがですか。
   〔発言する者あり〕
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 今後とも、青少年健全育成という条例の目的を踏まえて、適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
〇曽根委員 高島さんの答えは極めて楽天的なんだけれども、一たん運用が始まったら、私、やっぱりいろんな事例が起きてくると思います。ですから、なおのこと、決める前に、青少年自身も含めた、これに対するいろんな受けとめ、意見、十分に酌み尽くす必要があるんですよ。私のところにも、例えばエッチな漫画を書いている漫画家の方からも意見が来ましたので、率直にお聞きしました。それから、若い人たちからの意見も来ました。全国津々浦々からメールが入ってきますよ、毎日のように。ちょっと、この人何なんだろうなというような人もいますよ。しかし、そういうマニアックな人も含めて、やっぱりそれなりに、東京都の規定が一番厳しくなるから、その人たちなりの良心や善意でもって心配しているわけです。
 そういう点では、私は、条例全体について全部だめということはいいません。しかし、一部ですけれども、非常に厳し過ぎる規定や、今後に、大きな包括指定につながるような危険な入り口があいてしまうという問題がある。
 したがって、私、青少協のいきさつからいっても、これが条例で決まってしまったら、青少協の一部の委員は、もう青少協にいてもしようがない、答申で決まった以上のことが条例で出てきちゃうというふうに反発する方もたくさんいると思います。そういう点でも、改めて青少協に戻して審議するとか、都民の意見、特に青少年の意見をもっと聞くとかいう場が必要だということを申し上げて、質問を終わります。
 以上です。
〇山口委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 それでは、青少年健全育成条例の一部改正について何点か伺います。
 今回の条例改正について、生活者ネットワークは、代表質問また予算特別委員会の一般質問でも、大人を規制するものとはいえ、行き着くところ、子ども自身への規制につながる危険性をはらんでいること、また、この規則が問題の根本解決にはならず、本来子ども自身がみずから考え、判断する能力を養い、危険を避ける能力を高めていくことこそ重要である、喫緊の課題であると提案してきました。
 不健全図書の規制強化についても、出版関係者から、知る権利や表現の自由が侵害され、出版界を萎縮させるおそれがあるとして、私どもの方にも抗議が相次いでいます。このことについては、その危惧するところは十分理解を示していますが、初めに、今回の提案は、現在行っている個別指定制度と表示図書制度の改正ですが、他県が行っている緊急指定あるいは包括指定制度までの規制強化への方向は、表現の自由の観点からも慎重な議論が必要だと思います。
 今回、改正案の中で、第四章の東京都青少年健全育成審議会に関する第二十四条の二のところに、小委員会を審議会の中に置くものとするという改正案が出ています。これは、以前の置くことができる、というのが変わったわけです。この小委員会で東京都が行おうとしているのはどのようなことなのか、伺いたいと思います。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 小委員会設置での今回の改正についてのお尋ねでございます。
 都は、不健全図書を緊急に指定する必要性に応じる、他県で行っております緊急指定に対応するものとしまして、青少年健全育成審議会に小委員会を置くことができると定め、この制度により指定の迅速性と公平性、適正の両立を図ろうということでやってまいりました。しかしながら、現在この小委員会というのは、設置できるということで、必ずしも設置されておりませんので、現実には十分に機能しておりません。そこで、今回条例を改正しまして、小委員会を常設化することにより、緊急の必要に応じつつ、公平、適正に指定できる体制を整備したいというものでございます。
 以上でございます。
〇山口委員 ちょっと一点確認させていただきたいんですけど、そうすると、今まで小委員会は開かれたこともなく、例えば緊急指定も行っていないということですね。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 小委員会は、設けられ、開かれたことはございます。しかしながら、緊急指定に対応するような小委員会での指定をしたという例はございません。
 以上でございます。
〇山口委員 そうすると、今回の改正によっては緊急指定もあり得るというふうにとらえてよろしいんでしょうか。
〇高島都民協働部長 今回の小委員会設置は、設置することにより直ちに、他県でいう緊急指定に対応するような事態に対応するということをすぐに予定している、行うというものではございません。少なくとも他県において行っている緊急指定と同様のことができるような体制整備を図るということで、小委員会を設けたものでございます。
 ただ、他県で行っている緊急指定につきましては、いわゆる行政当局の判断で当初指定しまして、事後的にそれを報告するということが、その指定に当たっての公平性、公正性の担保が十分なされるかという疑問があるものですから、こういう小委員会制度を設けることにより、体制的にそういう指定の対応をできる形に制度を整備したということでございます。
 以上でございます。
〇山口委員 確かに、現状、余りにも人権を無視したような性的表現、それから性の商品化には、私たちも憤りを感じています。こうした情報が青少年の性非行の要因とまでは思いませんが、女性べっ視につながり、男女平等を阻害するものと考え、不健全図書や生セラへの規制には一定の理解をするものです。
 次に、有害広告物の措置を命ずることができるという、有害広告物とはどのようなものなのか、具体的に伺います。
〇高島都民協働部長 有害広告物についてのお尋ねでございます。
 有害広告物とは、青少年に対し著しく性的感情を刺激し、また甚だしく残虐性を助長し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められる広告物でございます。具体的には、成人映画館の広告看板などが対象とされます。
 以上でございます。
〇山口委員 公共の目に触れるものが対象ということですが、いわゆる中づり広告など、目に余るものが多く、無防備に目に飛び込んでくるものが野放しになっていることについて東京都はどのように考えているのか、伺います。
〇高島都民協働部長 この私どもの条例上規定されています有害広告物の規制、これは、立法経緯から固定的な工作物を前提としているものでございますので、今お話しの中づり広告のような規制に直ちに適用することは難しいんじゃなかろうかというふうに思っております。各電鉄会社におかれましては、広告掲載基準などを設けまして自主規制されておられますので、その自主規制の徹底により対応していただくことが適当ではないかというように考えております。
 以上でございます。
〇山口委員 この問題は多分、一挙に片づくということではないんだと思いますけれども、広告物に関しては、見る意思がなくても飛び込んでしまうということで、確かにころころ変わっていくとはいいながら、変わりながら常に何かが電車の中では見られるというような状況がありますので、こちらの方も私どもとしては何とか考えていただきたいなという気はありますが、これ以上これについては追及はいたしません。
 次に、自主規制団体について、概要と主な自主規制制度を図書を例にとって説明していただきたいと思います。
〇高島都民協働部長 自主規制団体についてのお尋ねでございます。
 図書関係の自主規制団体とは、図書類の発行、販売もしくは貸し付けを業とする者により構成する団体で、倫理綱領等により自主規制を行うものをいうとされております。
 具体的には、昭和三十九年にこの健全育成条例が制定されたのを機に、青少年の健全育成の重要性にかんがみ、出版倫理の向上と出版の自由の確保に資することを目的に設立された出版倫理協議会。これは雑誌、書籍、取次、書店などが入っておりますが、こういう出版倫理協議会などがございます。この出版倫理協議会の活動内容でいきますと、主な活動内容としまして、私ども東京都が連続三回個別指定しました指定図書につきましては、いわゆる帯紙をつけた形で流通させることを義務づける、流通を制限するとか、成年コミックマークの表示ですとか、それから成年向け雑誌マークの制度、出版物の区分陳列の促進を目的とする出版ゾーニングマーク制度、いわゆる十八禁のマーク設定、こういうものを設け、運用されているところでございます。
 以上でございます。
〇山口委員 今回の改正までに、過去三回条例改正が行われているわけですけれども、功を奏してこなかったための今回またさらなる改正となるのでしょうか。
 再三申し上げるように、単に規制を強化するだけでは根本的な問題解決にはなり得ません。青少年が性犯罪被害者や加害者にならない、また性の商品化の対象とならないためには、正しい知識や情報が学べる性教育を受けることや、メディアリテラシーを身につけることが不可欠です。条例にも、青少年の性に関する判断能力の育成に、普及啓発、教育、相談等の施策の推進に努めるとありますが、残念ながら具体的な施策が見えてきません。こうした施策は生活文化局だけで実現できるものではなく、当然、教育庁、健康局、福祉局など局間連携で行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 事業の推進における局間の連携についてのお尋ねでございます。
 青少年のこういう育成の問題につきましては、青少年の全人格的な成長を図る中ではぐくまれるものでございまして、家庭、学校、地域、社会、行政が連携を図りながら進めていかなければならない課題だろうというふうに思っております。
 そういう観点からも、関係者、私どもの都庁の中では各局間の連携を図りながら、それぞれの局の施策が講じられていくことも必要であるというふうに考えております。
 以上でございます。
〇山口委員 最後に局長にお伺いしたいと思うんです。
 今、答弁の中に、局間の連携を図りながら各局の施策を講じていく必要があるというふうな答弁をいただきました。こういった取り組みは、答申にも、即効性のあるものもなく、特効薬もないと記されています。だからこそ、子どもの最善の利益を考えるならば、条例の提案元である生活文化局が、憶することなく、各局の具体的な施策を継続してリードする責任を毅然と負うべきと考えますが、局長、いかがでしょうか。
〇高島都民協働部長 失礼いたします。先ほどちょっと、私、勘違いしておりまして、小委員会での緊急指定につきましては実績がございます。平成十一年三月と平成十二年八月に小委員会が設けられ、開かれておりますが、小委員会の方で、平成十一年三月には五冊、平成十二年八月には四冊それぞれ指定されております。訂正させていただきます。おわびいたします。
〇三宅生活文化局長 条例に書かれております青少年の性に関する判断能力の育成、非常に難しいテーマでございます。もちろん、これのみでやっているわけではございませんが、生活文化局が中心になってやっております心の東京革命など、各局を横断したテーマについて、いろいろ議論、検討しておりますので、そういった中で青少年の全人格的な成長を図るという意味で頑張ってまいりたいと思います。
〇山口委員 二〇〇四年度は福祉局で、次世代育成支援推進対策法に基づく行動計画が策定されます。対策法の指針には、乳幼児期から修業に至るまで、十八歳未満の子どもの育ちを支援することが明記され、当然ながら全庁の連携を必要とするものです。ご提案の青少年健全育成条例は、大人不健全規制条例というしかありません。本質的には、青少年が真にエンパワーメントするための施策転換が必要とされ、子どもの権利に立った子ども自身の意見を反映させた取り組みを強く求めて、質問を終わります。
 それから、ちょっと意見を、最後。
 大変厳しい質問を私どもはさせていただいたかと思いますが、この条例そのものに対しましては、反対する立場は今とっておりません。ただ、今回、これに関する陳情が上がっております。陳情の内容は、反対をしてくださいということではなく、反対者の立場からこういった取り組みをしてくださいという陳情の中身です。私どもが今提案してきた項目などもかなり含まれておりますので、陳情につきましては趣旨採択ということで臨みたいと思っています。
 終わります。