都育成条例改正案に対する反対意見

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1437599&media_id=120&m=1&ref=news%3Aright%3Adiary より転載
各地で反対声明や意見表明が勃発!東京都青少年健全育成条例改正案についての各種コメント


 東京都議会にて可決される見通しの東京都青少年健全育成条例改正案について、15日の本会議を前に各団体や個人にて様々な声明や意見が述べられている。
 今回のことで、急遽結成した東京都青少年健全育成条例改正に反対する女性表現者(メンバーは、腐女子フェミニスト、アーチスト、ワーキングマザー、セクシャルマイノリティーなどなど)が集まる「東京都青少年健全育成条例改正案に反対する緊急ネットワーク」では、下記のような声明を出している。



 【 私たちは、性暴力や女性差別などについて日頃から問題視している表現者です。とりわけ、子どもへの性暴力についてはまさに大人の責務として考え続けてきました。その立場から、東京都青少年健全育成条例改正案に強く反対します。
 東京都は、過激なマンガやアニメが、犯罪を誘発し、子どもの健全な成長を阻害するとして条例の改正を進めてきました。しかし、現実においては、性暴力がマンガやアニメの流通数と比例して増加するというデータは存在していません。
 犯罪白書(平成22年版 13.少年非行の動向)には、「少年による刑法犯の検挙人員(触法少年の補導人員を含む。)の推移には昭和26年,39年及び58年をピークとする三つの大きな波が見られる。59年以降は,平成7年まで減少傾向にあり,その後,若干の増減を経て,16年から毎年減少し続け,21年は,13万2594人(前年比1.4%減)であった。人口比についても,16年から21年まで毎年低下している」と書かれています(以下下線は引用者)。警察庁生活安全局少年課発行の「少年非行等の概要(平成21年1 〜 12月)では「平成21年の検挙人員は949人(前年比0.7%減)となった。」とあります。漫画やアニメの性表現が即座に暴力につながるという発想は拙速にすぎるのではないでしょうか。
 マンガやアニメは社会を反映しつつ、時に過激に表現することでこの社会を批判するといういたって“健全な”働きを持つ場合もあります。とりわけ、女性が好むボーイズラブというジャンルには、近親「過激な性的表現」が含まれていますが、これらは場合によっては、むしろ少女たちの精神的な発達に寄与すらしている場合もあると経験として感じております。
 なぜ小説や実写のビデオなどで描かれる近親相姦やレイプ等の「過激な性的表現」が許され、マンガやアニメのみ禁じるのか、全く理解できません。性的暴力を助長しているものは、マンガやアニメではない。むしろ、日頃から平気で女性を差別する発言をしたり、セクシャルマイノリティを否定するような態度をとる政治リーダーであり、それを許している大人が作り上げた社会のあり方そのものではないでしょうか。女性差別はや強姦は許されないことであり、子どもたちが傷つけられることがあってはならないというメッセージを、政治のリーダーが発言し続けることこそ、社会の健全な発展に必要なアクションだと思います。
 また、日本は義務教育の課程でも十分な性教育が行われておらず、子どもたちは正しい性の知識が与えられていません。誤った知識や先入観を持ったまま、大人になってしまう人も少なくありません。現状のような、性に対する抑圧的な社会環境こそ改められる必要があります。条例は、真に子どもや女性の人権や健全な育成を考えているのではなく それを利用した、言論や表現の取り締まりです。子どものためと一見思えるこの条例は、逆に子どもたちが性について向き合い取り組む大事な機会を奪うものです。 表現媒体のコントロールは「上から」行うものではなく、家族・学校・地域・企業・その他コミュニティ等、様々な領域で、子どもたちの主体性を認めながら話し合い、考えてゆくべきものです。
 日本も批准した「児童の権利に関する条約」では、「児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。」(第17条)と書かれております。情報を得ることは子どもの権利なのです。「児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針(guidelines )を発展させることを奨励」(第17条-e)されていても、「規制」をかけることは奨励されておりません。情報を得ることが児童の権利であるという思想は、上からの規制とは真っ向から対立するはずなのです。
 「みだりに性欲の対象として扱われることにより、心身に有害な影響を受け自己の尊厳を傷つけられた青少年に対し、当該青少年がその受けた影響から回復し、自己の尊厳を保って成長することができるよう、支援のための措置を適切に講ずる」(第18条六の二の2)と「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」には記載されておりますが、その措置として講じられる漫画やアニメの規制は、「当該青少年がその受けた影響から回復し自己尊厳からの回復」への不適切な措置であると、私たちは考えます。情報に対する子どもたちの主体性や、判断の力を養うチャンスを奪う東京都青少年健全育成条例改正案は廃案とし、民主的方法を無視したマンガやアニメへの一方的な規制は今後、一切行わないことを求めます。

2010年12月12日

東京都青少年健全育成条例改正案に反対する緊急ネットワーク】



 そのほか、桐蔭横浜大学教授の河合幹雄氏は、「継続審議を求む。ここで妥協通過させてはならない。不意打ちで仕掛けた条例案について、漫画家、出版会は、全く話し合いさせてもらっておらず、ここで首脳だけで他の会派と話し合っても、これは和解案ではない。継続審議にして、きっちり議論することが正論である」と述べている。
 また、「ぽち軍曹。」などを描く漫画家もみじ真魚氏による「漫画でわかる都条例の陳情書の書き方」が公開、「都条例に対して何らかの反対の意思表示がしたいと思い陳情書などのサイトを見ても難しい。しかし、今本当にアニメや漫画表現にとって大切なとき、漫画・アニメの世界を愛する皆様の少しでもお役に立てれば幸いです」と述べている。
 他にも、都条例などで検索すると、インターネット上だけでもかなりの数の意見が出されており、実際に陳情書の提出や、都議会に赴いて抗議の申し入れをしている団体、TVでの報道など様々な行動が勃発している状況である。
 ただ闇雲に規制すればいいものでもないし、闇雲に反対するべきものでもないが、大雑把で妥協が含まれるような規制は間違っていると感じる。
 きちんとした話し合い、決議がなされるよう、なあなあにしてはいけない問題なのではないだろうか。
 オタラボでも、女性のためのアニメ・漫画・ゲームなどの創作文化に関するメディアとして、今回の問題に関してニュースとして取り上げることによって、様々な方にこの問題を知ってもらいたいと思う。
 今後もこういった内容については積極的に掲載していく所存だ。