そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

http://www.shingeki-seyo.com/index.html
監督:樋口真嗣 脚本:渡辺雄介町山智浩 原作:諫山創

 
見に行ったのは公開初日の8月1日ですが、なんか感想を書きあぐねたまま毎日持ち越してしまったよ…(その間にパンフ読んだりいろいろ情報も入る)
感想をネタバレかどうか分けて考えるの面倒くさいんで、以下全部ネタバレ前提ってことで。
 
三浦春馬長谷川博己水原希子石原さとみ…これだけ好きな俳優さんが出てれば、ちょっとくらい映画が不出来でもまあいいかなーと思っていたら、映画もアレだけど脚本が酷すぎでした。
原作は読んでないけど原作リスペクトなアニメを見ただけで大体のことしかわかってないオレでもそう思うよ。冷静に映画として見ようと思ったけど無理でした。
何をどうしたらこんな脚本に…?と思ってたら安定の渡辺雄介!そういやそうだっけ。なんで町山智宏が入ってるのかはしらないしどっちの比重が大きいのかはわかんないけど、本気でこの脚本はクソだと思った。もしかしたら監督の意向ってのがあるのかも?でもどっちにしてももちろん映画としても酷いよ?そもそもセリフも作為的で変だし。
 

一応ざっくり良い所。

全体にホラーっぽいところや最初の巨人襲撃シーンは巨人は気持ち悪いけどよく出来てるし、パニック・ホラー・スプラッタな巨人ゾンビムービーとして好きな人は好きかも。絵面としてあの気持ち悪い巨人たちも含めて今風だし。でもオレはこの手のホラーは苦手なのでちょっとそこの評価はパスさせてもらう。まさかこんなにもホラーだとは思わなかったんで。あとこの映画PG12 だけどどう考えてもそれ以上。PG15くらいでもよくね?
超大型巨人と最後のエレン巨人は完全にアニメ・特撮的な意味での漫画チックな怪獣バトルでした。(音楽からしてそうだし)
エレン巨人のバトル、巨人の中から爆裂して出てくるところとか、怪獣映画にしても秀逸な感じでそこは大変よかったです。
あと立体機動装置のアクションは難しかったろうけどかなり飛ぶ感が出てて、それも今日本で出来る範囲で考えるとよく出来てたと思う。(もしアメリカでやったら全然違う表現になったかもしれないけど)ただまあ、それがベストかと言えばどうなのかなあ〜?と思わなくもないくらいには微妙。
クソつまんないし映画としてダメすぎるとは言っても、そこそこ見たいものを見せてくれたのは良かった。見たかいはあったし、最後にちょっとだけスカッとした。
ただまあ監督的にはそういう「怪獣バトル」”だけ”がやりたかったのよねーみたいなとこが透けて見えるくらいドラマパートがダメだったので、全体としてはつまらなかった、というかなんじゃこりゃだった。そりゃ春馬も宣伝でVFXとCGのことしか言わないはずだよね(いいけど春馬はちゃんとVFXとCGを分けて認識してるっぽいぞ!)
とにかくストーリーはやりたいこと何もかもがバラバラ。残念というよりもこういうのなら普通はもうちょっとうまくまとめられないかなあ〜としか。
これについてちょっと思うところを言えば、パンフとかネット記事の諫山先生のコメント見ると積極的にストーリーを変えたかったっぽいんだけど、それはどうだろう?
中二的な意味合いで自分が作った物を自分の設定以外で見たいって気持ちはわからんでもないけど、変えるにしてもたぶんそういう方向じゃないと思う。
映画的にわかりやすく、日本人キャストが演じること前提の設定変更はともかくとして、やっぱり大多数のファンの人たちが見たいのはその漫画に描かれてる「進撃の巨人」なんであって、まったく別物な「人間が巨人に食われる話」じゃないと思うのよ。その結果が原作リスペクトしてないように見える作品が出来上がりましたっていうならそれはファンが観たかったものじゃないんじゃないかなあ。監督があえて炎上するようなことを言うのは原作リスペクト以前に作品スタッフとしてどうかと思うけど。
それと、原作に近い形で実写映像化することを原作者が「映画の作り手の作家性が不在になるのではないかと感じて」なんて考える必要ないと思うんだけどな。なんなんだ?

あとこの監督のことが信用出来なかったとこ。最初の壁に行く前の三人のシーンのピアノ曲うるさくて役者の演技の台無し感ときたら演出のセンスがなさすぎるよ!最悪!この監督って本当に俳優のこと信用してないだろ。実写作品にアニメみたいに音楽つけると過剰になるって常識じゃないの?
VFX映像も明らかな合成感バリバリで酷かったし、あのセンスない安っぽい映像(特にライティングと色調)は一体…白組ならもっとやれるはずなのに!てか平成ガメラ特技監督やってた頃の監督はどこに行ったのさ… (∋_∈)
あと巨人の人たちもあれじゃないような気が…怖いんだけど、芸人っぽい人がたくさんいてなんかやっぱり演技過剰な気がする。「顔」が気になってしょうがなかったよ。超大型巨人とかエレン巨人がアニメっぽいだけにテイストとして別物過ぎて違和感。普通の名も知らぬエキストラな人の中に特徴ある巨人が混じってるくらいで良くね?
 

突っ込みどころなど。

はあ? ( ゚д゚) ポカーンっと思ったところを突っ込むときりがないんだけど、原作派じゃないオレでもどうしても言っときたい事はあるのでちょこっと言わせていただきます。
巨人に襲撃されて2年後、兵団に入ったはずのエレンたち。同じ兵団内にいるのに舞台が違うだけでかなり有名なミカサの行方がわからないのはともかく。その彼らの初陣というか、巨人に占拠された壁の外に爆弾を取りに行ってそれで壁を塞ごうという作戦決行中、迂闊にも巨人に遭遇して(この状況もよくわからん)夜は活動しないと言われてた巨人が追いかけてくるのはまだしも、いやそれ以前に作戦決行中の待機時にたとえミカサが作戦中に廃墟でピアノ弾いてたり、シキシマ隊長がミカサと性的関係ありますって感じをエレンに見せつけながら変なポーズで林檎食ったり(落ちてくる白い羽は無視)、夫婦でイチャついたり若い兵士に夜這いをかけたり……などなど理解を越える描写の数々は一体。
さっき襲われたばかりで巨人がいる壁の中にいるんだからおとなしく待機してろよとしか。これが避難中の一般人ならまだしも訓練された兵士でしょ?
しかもあのバカップル夫婦、オレが上司なら二人一緒には行動させんよ…と思ってたら、彼氏が殺されたからといって、彼女が逆上してせっかく確保した爆弾持って巨人に無意味に突っ込むとかアホ過ぎる。こいつら本当に訓練された兵士なの?むしろ報酬に釣られた素人志願兵は役に立たねえーとしか。作戦台無しすぎてイラッとするわー、あの女!
あと人妻の夜這い?エレンにいきなり父親になってよ!と迫る人妻兵士(水崎綾女)のお尻なめのアングル見た時、パシリムの時に樋口監督がコイツわかってねーってデル・トロ監督に噛み付いたこと思い出したよ。お尻アップとか要らねーから、そういうのマジで。
あと巨人は夜は活動しないんじゃなかったのか?てかエッチしてるから寄ってくんだよ!ホラーもののお約束じゃんよ!w

てかあの世界観て軍艦島でロケする必要ないよね?壁の中の住民は中世風の石造りの家に住んでるのになぜマンション廃墟が?意味がわからない。
だったら最初の3人が壁に行くシーンで、そういう文明の名残の廃墟があるってことを見せとけよと思うし、そういうことすら思いつかないなら樋口真嗣は監督なんかやめちまえとしか。
あとほんとにアホらしいんだけど、あいつらどうして立体機動装置付けてるのに戦わないのか。あんなのを戦力だというしかないほど志願兵が少ないの?あの世界的に立体機動装置ってそんなにお安くないよね。最初は怖気づいても仕方ないけど、そのために訓練した兵士なら食われる前にさっさと戦えよ…と思ってる間にどんどん無駄に殺され&装備が壊されてるよ。もったいねー。
しかもエレンが飛ぶのがまず重要っていう構成がおかしいし(訓練したんだよねえ?)、そこに至るまで何が起こってるのかさっぱりわからない。シキシマ隊長が塔の上に立って変なポーズで「飛べー!」ってエレンを煽ってるとか意味がわからない。お前もさっさと巨人殺せよ。そんなパフォーマンスやってる間にもどんどん味方が食われてるよ!
アルミンを助けるためにエレンが犠牲にってのはともかく、ザコ兵士が巨人に殺されていく中、どうして腰抜けジャンをみんなが助けようとするんだ?メインキャラだから?そしてミカサはどうしてエレンを助けないの?てか、シキシマ隊長とミカサはエレンが何かあるって知ってそうだったじゃん。何なのあれ。あの巨人がエレンだってどうしてミカサは分かったの??オレは見ててさっぱりわかんなかったよ?
 

監督が炎上したよ!

樋口真嗣監督インタビュー『ビジュアルは原作に忠実に撮った―だから答えは漫画にある』 http://www.oricon.co.jp/special/48137/
というか炎上しかけてる監督の「母親を殺されただけじゃ動機として弱い、だから彼女を寝取られたことにした」っていう発言にはまったく同意できません。まだミカサを巨人に殺されたと思ったから兵団に入って2年、憎しみだけで頑張った…ならわかるんだよ。でもその後ミカサとの再会を喜ぶわけでもなく事情を聞くわけでもなく、寝取られてました…であっさり引き下がる?それがエレンのモチベーションなの?よくわからないよ。
なんで原作の諫山先生はそれでいいと思った?それともアイデアを聞いた時はこんなになるとは思わなかったのか。お気の毒すぎる。もちろん春馬も気の毒すぎるよ。これに納得出来てるかどうかはわかんないけど、それはそれと思ったら大丈夫なのか?さすが春馬だよ、心が強いな!
巨人に食べられてエレン巨人になる前の唐突な「駆逐してやる」ってのは、幼なじみの彼女が他の男に寝取られ子持ち女に父親になってと言われ足は食いちぎられ彼女には見捨てられたストレスマックスな彼の魂の叫び?
あとさ、監督はエレンに自分を投影する必要もないと思うんだよな。それ以前に役者を信じてやれよ。放っといてもみんなちゃんと若者なりのキャラとしてキラキラした役作りするよ。監督が考えるべき部分が間違ってるとしか。だから母親<彼女になるんだよ。
 

キャラはまあよかった…けど

キャラ単体で良かったのは長谷川博己のシキシマ隊長と石原さとみのハンジさんだけ。
ただあのシキシマ隊長がありかと言われたら微妙(苦笑)どういう意図であんなキャラなのかよくわからんが、どうみても「MOZU」の時のちょっとヘンテコキャラな長谷川博己そのまんま。チャーオー!
ハンジはあれは良いとか悪いとか関係ないネタキャラとして石原さとみが全うしてたので、そりゃカッコイイしステキよね。「こんなの初めてー!」だけでOK。当然石原さとみなら出来ると思ってた。ハンジさんもっと見たかった。(後編待ち?)
もちろん春馬のエレンはあれはあれで良かったよ。エレンのキャラはまったくわからないけど、目だけで演技できる春馬さすがと言っとく。意味不明なところは脚本が悪いんだよな、たぶん春馬は悪くねえ(と信じる)
冒頭ソウダに子供だからと言われたエレンたちですが(っていくつの設定よだよおい)、確かにミカサへの執着は逆に子供っぽいと思うし、なぜ前線で再会したとこでミカサに声をかけないのかもわからない。ミカサがシキシマに寝取られてたって知るとこは(演出が)何がしたいんだかまったくよくわからないけど、あれはあれで、三浦春馬が持てる演技力の全てを発揮して謎の説得力を出してると思う。オレにはわかる!(苦笑)
水原希子のミカサはあれはあれでカッコイイのでいいです。まさに壊れそうなんだけど強い。水原希子以外考えられない。まあ彼女の変貌は後編で描かれると信じてるけど。あとどうでもいいけど顔は薄汚れてるのに着てるカーディガンが真っ白できれいなのはいかがなもんかと気になった。
サシャはひたすら食ってて原作通りっぽくてよかった。ただこれも気になったのは、ジャガイモ食べる時に効果音が「カリッ」とか「シャリっ」だったのは一体。生じゃないよね?いやジャガイモはもちろん生で食ってもいいけどソラニンがちょっと心配。
エンドテロップに渡部秀の名前があって、彼はどこにいたんだ…と思ったらあのバカ夫婦の旦那の方だったのか… じゃあもう出ないじゃん! (>_<) どうして立体機動装置で”飛べる”アクション俳優を飛ばさないうちに無駄死にさせるのか?バカなの?と思ったらまさにこの記事でつっこまれてた!w

あの彼女の方は空手家やん!なんともったいない。本当に監督以下スタッフはアホなのか。客は兵団のみんなが立体機動装置で戦うところを見たいんじゃないのかな!
 
あとパンフ読んでたら美術の人の話で、「この世界は書物が禁止されてるから文字がない」から看板とかが文字じゃないってあったけど、意味がわかりません。みんなどうやって物作ったり商売したりしてるの?文字がないって真っ当な生活できないと思うんだけど。
あと看板がマークなのは、江戸時代にも文字が読めない人のために屋号がマーク化したのはあったらしいけど(うろ)、それは「文字がない」ってことじゃないよね?軍隊とかどうしてんの?原作もそうなの?そんなわけないよね。
よくわかんないけどもちろん後編も見に行くよ!どう終わるのか。とにかくがんばれ春馬! (>_<)
 
後編の感想はこちら!→http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20150919/p1
 

TLにちらほら良かったっていう人がいるんで、はあっ?と思ってつぶやいたのをまとめてみた。どうでもいいので隠しとく。

これ読んで、あー、あの巨人映画に好意的な人たちはそういうところをほめてるのねーと…
コメ欄で言ってる人もいるけど、確かに巨人描写と怪獣バトルは良かったけど、そのためだけの実写化でいいんだと思うとそりゃ邦画の脚本はダメになるよなあ。
別にそこを支持する人たちはそれでもいいと思うけど、だからといって映画としてのまとまりや面白さは別で、パシリムに似てるって言われてもパシリムほど出来がいいわけでもないし、人間ドラマだってあれだけ尺があればもっとなんとかなったろうってことに残念感すら感じない薄っぺらさがなあ。
あとあのエッチシーンが取り沙汰されてるのは知らんかったけど、それ以前に一応の軍隊があんな烏合の衆でいいのかという映画に対するこりゃダメだ感が絶望的というか。
一般人が成す術ないのとは違って兵士は対抗する力を持ってるんだからそこは戦って爽快感は出して欲しいし、それでもダメというところからの意外性の展開、エレン復活ってことでの怪獣バトルならまだ良かったのにと思うけど、そんな構成すらできない監督ってどうよとしか。
本当に、特撮パートを取るためだけに映画作るのやめて欲しいんだよなあ。オレは面白い映画が見たいだけなんだけど、でもまあこういうツッコミをしてる時点でそれなり楽しんでるのかもしれん。(そんなん楽しみ方しとうない)