この家庭は、イタリア人の母親がすべて采配している

この家庭は、イタリア人の母親がすべて采配している

{広いドローイングルームに通されて、そこには
 立派な年代物の客を呼んだときのディナー用の
 長いテーブルがありテーブルの上にはイタリア
 の銀のカトラリーが並びとても上等な麻のサヴ
 ィエトが各椅子の前にたたんで用意されていた}

高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(38)
◇日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん(25)
広子さんと私はマークの母親からおよばれ(その2)

この家庭は、イタリア人の母親がすべて采配している

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(69)

▼△第ニ章 放射線 vs 暴力団専門ライター(15)△▼

・作業ができない体・(その2)

「なに? 原発って福島か? 取材許可降りねぇだろ」

福島県 3・11 から1年4ヶ月後も、県内外に16万人が避難中

◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(34)

▼△第ニ章 犧牲のシステムとしての原発、再論 〈8〉△▼
・「福島県民はどこに捨てるの」・

ぞっとするような書き込み「え? 福島県民植えればいいの?」

高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(38)
◇日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん(25)◇
広子さんと私はマークの母親からおよばれ(その2)

この家庭は、イタリア人の母親がすべて采配している

《「 ◇The Flame visits Skegness Beach (Torchbearer Starr Halley holds the Olympic Flame on Skegness Beach during Day 40 of the London 2012 Olympic Torch Relay.) 広いドローイングルームに通されて、そこに は立派な年代物の客を呼んだときのディナー 用の長いテーブルがあり、テーブルの上には イタリアの銀のカトラリーが並び、とても上 等な麻のサヴィエトが各椅子の前にたたんで 用意されていた。 私の渡した菓子箱を、マークの母は大げさに 喜んで受け取り、私たち二人を急がせてテー ブルに着かせた。 この家庭は、イタリア人の母親がすべて采配 していることが、如実に理解できた。テーブ ルに配られて皿も、リチャード・ジノリで、 彼女が着ている黒いドレスもイタリアの物と 一目でわかった。 英国の保守的な、ヤボを絵を描いたようなス タイルではなく、首の開き具合、ドレスの丈 がどう見てもイタリアかフランスのスタイル だった。 休暇でイタリアを訪ねるたびに、きっと買っ て来るのだろう。履いている黒い中ヒールの 靴も、とてもイタリアだった。 私の夫の母は対称的で、スコットランド製の カーディガンの下にマークス・アンド・スペ ンサーのブラウスを着て(当時は英国製、今 はすべて中国製かバングラデシュ)、食器は、 客用にロイヤル・アルバートを使い、銀器は シェフィールド製だった。 マークの父親は、家の中だというのに客を迎 えるためか、ジャケットを着てネクタイを締 め、ジャケットの下にはウールのウェストコ ートを着ていた。 長身で当時でも十分にハンサムだったが、若 いときにはさぞかしいい男だったろうと想像 できた。だから十七歳のマークの母親が夢中 になったに違いない。 マークの父親は長身で太っていず、連合軍と してイタリアへ進駐して行ったときはユニフ ォームを着ていたのだ。 日本人の戦争花嫁も、ユニフォームを着たア メリアのGIに恋をしたのだろう。 」》 ◎どこで読んか忘れましたが、イタリアの一 般家庭のステイタス・シンボルの一つに、純 銀製のカトラリー( cutlery、洋食器のうち ナイフ、フォーク、スプーンなどの金物類) が挙げられます。そろえると、百万円単位な り、また、アンティークものや、装飾が多い 美しいものは、さらに値がはります。 ☆銀仕上げ WAKO カトラリー ブライダルセットA ・セット内容:デザートナイフ、デザートフォーク、 デザートスプーン、コーヒースプーン、ケーキフォ ーク 各2本   ・素材:ニッケルシルバーに銀仕上げ(20ミクロン) ☆麻モノグラムナプキンリング モノグラム刺繍入りのナプキンリング。 ナプキンリングはもともと家庭でナプキンを 使う際に誰が誰のものかを区別するために、 ファーストネームのイニシャルを入れて使わ れていました。つまり家庭仕様で少しカジュ アルな食卓のためのものでした。 (文中のサヴィエットとはナプキンのこと) ☆リチャードジノリ(Richard Ginori) イタリアンフルーツスーププレート 24cm リチャードジノリならではの白地に、青紫の プラムを中心にフルーツや小花を絶妙なバラン スで散らしたイタリアン・フルーツ。アンティ コドッチアと呼ばれるシェイプは典型的なロコ コ様式。 ちなみに、イタリアの一般家庭のステイタス ・シンボルといえば、なんといっても、別荘 を持つこと。それも、海と山に2つの別荘を 持つこと。イタリア家庭のほぼ6割が、1軒 の別荘を持っているそうですから、2軒以上 持たないとステイタス・シンボルとはならな いのです。 もう一つのステイタス・シンボルとは、広大 な別荘の敷地で栽培された葡萄やオリーブか ら、自家製ワインやオリーヴオイルを作るこ と。製造は専門農家に任せます。   彼らの豊かさの目標は、昔貴族がしていたよ うに、優雅な暮らしをすることで、車やバッ グではないのです。なお、イタリアは、現代 でも、本物の貴族が少なからず生活していま す。個人の豊かさと国の豊かさとは、別物の ようです。 (つづく) (Y328-143) **『外国の男と結婚した日本の女たちの話』 単行本:222ページ 出版社:展望社 (2012/02) 《――英国から万感の思いを込めてレポートする―― Inter Marriage と 日本女性のメンタリティ。異国に あってこそわかる……「日本」のこころ。〈東日本大 震災〉をとおしていっそう深まった母国への「愛」。 東日本大震災福島原発事故の現状を知って以来、私 は自分自身ががいかに「日本人」として母国に愛着が あるか改めて思い起こし、「日本」を書こうと決意し た。もう経済大国でも何でもない母国日本が、今は愛 しいと感じるようになった》 〔表紙帯から〕 〔目次〕 ・マルキストエジプト人と結婚した明子さんの場合 ・ロンドン生まれの英国人と結婚した三千代さんの場合 ・日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん   の場合 ・ジャマイカ人の男と結婚した友子さんの場合 〔著者〕 ☆高尾 慶子(たかお けいこ)☆ 1942年姫路市生まれ。私立播磨高校から調理師専門学校に 進む。カトリック系病院の調理師、カトリック系身体障害 児施設の職員を経て、1972年に英国へ。イギリス人音楽家 と結婚。1976年二人で帰国し京都で暮らす。1982年離婚。 1988年に再び英国へ。ロンドンの日本レストランのウェイ トレス、映画監督リドリー・スコット氏邸のハウスキーパ ーなどを経て、1998年『イギリス人はおかしい』を発表し、 注目を浴びる。現在は、英国政府から年金の給付を受けつ つ執筆活動に専念している 著書は『イギリス人はおかしい』『イギリス人はかなしい』 『イギリス人はしたたか』『まだまだ言うぞイギリス・ニ ッポン』『書かずに我慢できないイギリス・ニッポン』『イ ギリス・ニッポンの政治の品格』ほか。 外国の男と結婚した日本の女たちの話 参照: ・2009-11-30『まだまだ言うぞ イギリス・ニッポン』を読む2011-06-24『イギリス・ニッポン政治の品格 』(1)

高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(38)

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(69)

《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」   某地方の暴力団組長   −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ    書ける原発という巨大なシノギ−  「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、   ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な   しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の   俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る   衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる!   ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》   【表紙帯から】 

▼△第ニ章 放射線 vs 暴力団専門ライター(15)△▼

・作業ができない体・(その2)

「なに? 原発って福島か? 取材許可降りねぇだろ」

《「――血圧を下げるためアムロジンという薬を処方され、毎朝2錠 ずつ服用するように言われた。その日から食事制限と運動を始めた。 徹夜だろうと朝8時には起床し、毎日2、3時間の散歩をして、調子 がよければ軽く走る。 雨の日は室内で腕立てや腹筋を1時間ほどして汗をかき、朝食はレー ズンバター1個と牛乳、昼食は大盛りを避け好きなものを食べ、夕食 以降はなにも口にしない。タバコは一日1箱まで。酒はやめた。 「イスラム教徒になったのかよ?」 友人にからかわれた。 「いやさ、俺、原発に行くんだ」 「なに? 原発って福島か? 取材許可降りねぇだろ」 「そうだ。だから就職した。一応、勤務は1ヵ月後だけど、はっきり  決まってない」 「馬鹿じゃねぇの、正気か? お前は暴力団だけやってりゃ食えるじ  ゃん」 「最初は暴力団取材だったんだよ。成り行きでこうなったていうか…  …気分転換もしたかったし」 「お前はよくても家族が心配するだろ?」 最後の問いかけには、後々までイライラさせられた。その後も様々な 人――その多くは同業者たちから、同じ質問を繰り返しされたからだ。 1F(東京電力福島第一原発)の報道をみれば、あまりに愚問であり 腹が立つ。 当時、新聞、テレビ、週刊誌などすべてのメディアが、連日のように 1Fの状況を報道していた。 意図的に不安を煽っているものや、努めて冷静なスタンスをとってい るものまで様々あったが、共通するのはこれが未曽有の原発事故であ り、楽観的ではいられない、ということだ。 取材される側の気持ちを察するいい機会と割り切ればラッキーだった かもしれない。もちろん、その後。多くの作業員に話を訊かせてもら ったが、自身の経験から「ご家族が心配しませんか?」と馬鹿げた質 問をせずに済んだ。 この質問は作業員の神経を逆なでする。そんなことはわかりきった上 で、1F入りを決めたのだと。私の心情は少しずつ当事者のそれに近 づいていった。マスコミ報道に当事者として一喜一憂した。 ――」》 ヤクザと原発 福島第一潜入記文藝春秋 (2011/12/15) ・〈目次〉・ 序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」 →第1章 私はなぜ原発作業員となったのか 第2章 放射能vs.暴力団専門ライター 第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘 第4章 ついに潜入!1Fという修羅場 第5章 原発稼業の懲りない面々 終 章 「ヤクザと原発」の落とし前 ◎日本を原発大国にした中曽根康弘は、なおも、失敗を認めない。 中曽根は、福島第一の事故後、雑誌のインタビューに応えて、 「福島第一原発周辺の住民の生活、職業、子どもの将来に影響が出る ような事態になったことは、本当に遺憾千万です。日本の今後の発展 とエネルギー事情を考えれば原発政策を持続しなければなりません。 今回の事故をよく点検し、今後に生かす必要がある。 (中略) 安全の採点検を十分にし尽くし再起・継続を図るべきです」                 (『アエラ臨時増刊号 原発と日本人』)

福島県 3・11 から1年4ヶ月後も、県内外に16万人が避難中

◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(34)

《経済成長も安全保障も「犠牲」の上に成り立っている。  『靖国問題』以来、6年ぶりの書き下ろし新書!  本書のテーマは、犠牲のシステムとしての福島と沖縄  である。それは、一九四五年の敗戦以後、今日までの  日本を「戦後日本」と呼ぶなら、これら二つの地名が、  戦後日本の国家体制に組み込まれた二つの犠牲のシス  テムを表しているからだ。》【表紙帯から】
▼△第ニ章 犧牲のシステムとしての原発、再論 〈8〉△▼
・「福島県民はどこに捨てるの」・

ぞっとするような書き込み「え? 福島県民植えればいいの?」

《「――なかでも愕然とさせられたのは、インターネット掲示板の 「福島県民=ヒマワリと解釈したら政府の対応も納得できる」とい う書き込みである。 そこでは次のようなやりとりがなされていた。 「え? 福島県民植えればいいの?」 「福島県民はニ〇日間で放射性物質の九五%以上を吸収する」 「三〇年もかからんよ」 「で、その成長した福島県民は、どこに捨てるの?」 「福島県民を焼却して出来た灰に処理剤を混合して、加熱するとガラ スになる。そうなればもう出ることはないので、あとは地下格納庫で も作って積んでいけばいい」                         (三月二六日) これは、ヒマワリが土壌中の放射性物質を吸収するといわれたことが 背景にあり、福島県民をヒマワリに見立ててまず放射性物質を吸収さ せ、それを焼却して灰にしてしまえば放射性物質を大幅に減れせると いうのであろう。ナチスホロコーストのパロディのつもりだろうか。 このぞっとするような書き込みも、ネット上に匿名で無責任にばらま かれる無数の暴言の一つにすぎないと言えば言えるだろう。 しかし、鬱積した不満やルサンチマンをぶつける相手として差別の対 象が求められていて、それが今回の原発事故をきっかけにして、この ようなかたちで福島県民差別になって現われているのだとしたら、軽 々に見逃すわけにはいかない。 その後も、「福島県は日本のゴミ箱」とか、「将来もし私の息子が福 島県民で育った女の子と結婚したいと言ったら大反対する」などいっ た差別発言が、次々にネット上に現われいる。 ――」》 ◎役人の自己保身には、いつもながら、感服つかまつる。 原子力規制庁職員について、いわゆるノーリターンルールが規定され ましたものの、原子力規制庁の発足後5年間は、職員の意欲、適性な ど勘案して例外を認めるというただし書を付けられました。さすが、 抜け穴作りの天才どもだ。 犠牲のシステム 福島・沖縄 (集英社新書)集英社 (2012/1/17) ・〈目次〉・ 第一部 福島 ・第一章 原発という犠牲のシステム ・第ニ章 犠牲のシステムとしての原発、再論 ・第三章 原発事故と震災の思想論 第ニ部 沖縄 ・第四章 「植民地」としての沖縄 ・第五章 沖縄に照射される福島 〈参考〉 ・沖縄県民斯く戦えり・  発 沖縄根拠地隊司令官    (大田實・海軍少将)  宛 海軍次官  左の電文を次官に御通報方取り計らいを得たし  (略)  一木一草焦土と化せん。糧食6月一杯を支うる  のみなりという。沖縄県民斯く戦えり。  県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。              〈昭和20年6月6日〉

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔夏〕 天文  何処より戻るタクシー夏未明
http://shop.bungak.com/products/detail.php?product_id=143

≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
はるのやまちょうちょうがとんでにぎやかみずのなかに
こいがいっぴき
塩田丸子(8歳)千葉県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
マナ(manna n.)
荒野にあったイスラエル人に奇蹟をもって授けられた 食べ物。彼らイスラエル人はその地に定住して土地を 耕すのだったが、土地を肥沃にするには、通常、原住 民の死体をもってするのだった。 ※「出エジフト記」第十六章第十四‐三十六節を参照。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

あなたのこの車すごいわね。
This is some car you have.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師> ※この番組の放送は4月1日で終了しています。

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

J.W. Waterhouse“嫉妬に燃えるキルケ”
(1892年・所蔵:Art Gallery of South Australia, Adelaide) (Circe Invidiosa) ◆ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス (Jhon William Waterhouse〈1849-1917〉) ・イギリス ラファエル前派・ ウォーターハウスは、父が画家でたびたびローマに滞在して いた関係で、ローマで出生。この年、イタリアではガリバル ディのシャツ隊がローマを占拠する統一戦争が起こり、イギ リスでは、アカデミズムに反旗を翻したラファエル前派の作 品がロイヤル・アカデミーなどの美術展に初めて出品された ました。 ウォーターハウスは、父親のアトリエで絵を勉強し、1870年 にアカデミー美術学校に入学。アルマ・タデマの影響もあっ て、古代史に題材を取った絵が多い。ロイヤル・アカデミー でも成績がよく、「魔法の円」が国に買い上げられたり、多 くの賞を取っています。後期の作品にラファエル前派的な作 品が多い。バーン・ジョーンズのように詩情にあふれていま すが、ウォーターハウスの方がより造形性、素描力が優れい ます。古典と新風がよく調和した画風を世におくりました。