全地は大娼婦の淫行のぶどう酒に酔わされたか

「また,七つの鉢を持つ七人のみ使いの一人が来て,わたしと話してこう言った。『さあ,多くの水の上に座る大娼婦に対する裁きをあなたに見せよう。地の王たちは彼女と淫行を犯し,地に住む者たちは彼女の淫行のぶどう酒に酔わされた。』(啓示17:1,2)


啓示17章には、七つの頭と10本の角を持つ緋色の野獣の上に座っている大いなるバビロンという名の大娼婦が登場します。大いなるバビロンとはアメリカ合衆国でしょうか。アメリカ合衆国は、啓示の書の大いなるバビロンの特徴を持っているでしょうか。


まず、七つの頭と10本の角を持つ緋色の野獣とは何を表わしているでしょうか。また次の機会に詳しく考慮しますがこの緋色の野獣はアメリカ合衆国が率先して設立した国際連盟また後身の国際連合を表わしていると考えられます。


そして、以前の別の記事で考慮しましたが、古代バビロンについての聖書の記述を考慮すると、地に住む者たちが大いなるバビロンの淫行のぶどう酒に酔わされるというのは、次のことを意味しています。つまり、大いなるバビロンがエホバ神に不忠実になって諸国民に頼り、緋色の野獣や諸国民と同盟を結んで、共に全地において軍事的攻撃を行ない、全地で多くの人命が失われ、全地の諸国民が動揺するということです。


それでは、実際に全地は大いなるバビロンの不品行のぶどう酒に酔わされてきたと言えるでしょうか。つまり、アメリカ合衆国は、国際連合や諸国家と連合して全地で軍事的攻撃という流血行為を行なったという事実があるでしょうか。


聖書に従う神の民は戦い合う陣営のどちらの側にも立ちませんが、次に歴史の事実を記します。


1950年9月、国連の決定に従って韓国にアメリカ軍を主力とする十六カ国からなる国連軍が派遣され朝鮮戦争が勃発しました。一時は二十五万を超えた総兵力のうち、米軍は空軍、海軍で九割前後、陸軍で五割を占めました。1953年7月には休戦協定が締結された時には、戦争による死者は南北合わせて400万人以上となりました。


朝鮮戦争では、南北朝鮮の兵士、民間人合わせた犠牲者は520万人に上り、国連軍はアメリカ軍が約14万人を含む約15万人、中国軍は約90万人の犠牲者を出したとする資料もあります。


1991年1月、アメリカ合衆国を中心とした西欧諸国およびエジプトなどで構成された多国籍軍イラクへの空爆を開始し、2月に地上戦に突入して、同月中に湾岸戦争は終わりました。


1991年、旧ユーゴスラビアからクロアチア共和国ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国が独立してから、三つの民族が領土を主張し抗争を繰り返し、1995年に国連の通告を無視したボスニアセルビア人拠点に対してNATO軍は大規模な空爆を行ないました。1999年から、セルビアコソボ地方で民族紛争が勃発し、NATO軍は和平交渉の決裂を受けて1999年3月から6月にわたりコソボおよびセルビアへの攻撃を行いました。


2001年10月、アメリカ合衆国は英国空軍とともにアフガニスタン空爆を開始しました。空爆が進むにつれて、誤爆が頻発するようになり、軍事施設から非戦闘員の生活の場にまで広がりました。結果として、アフガニスタンタリバン政権は倒れました。


2001年2月にはアメリカ合衆国は、英国とともにイラクの軍事施設を空爆しました。2003年3月、アメリカ合衆国は英国とともに、国連決議なしでイラク武力行使しました。米英軍は空から首都バクダットを中心に大統領宮殿や軍事施設を攻撃し、また地上部隊も送り込みました。首都バクダットは陥落し、5月にアメリカ合衆国の勝利で終わりました。ある報告では、アメリカはイラク人を2007年末時点で少なくとも15万人以上殺害したとされています。


確かに、アメリカ合衆国は、国際連合や諸国家と連合して全地で軍事的攻撃行ない、多くの人命が失われ、全地の諸国民が動揺させられてきました。


もし、大いなるバビロンをアメリカ合衆国と考えるならば、確かに全地は大いなるバビロンの淫行のぶどう酒に酔わされてきたと言えるでしょう。


大いなるバビロンの特徴の一部はアメリカ合衆国に当てはまるようです。それでは、大いなるバビロンの他の特徴はアメリカ合衆国に当てはまるでしょうか。それは、引き続き調べていきましょう。


〔参考文献〕

朝鮮戦争―原因・過程・休戦・影響 キム・ハクジュン 2006年 論創社


歴史がわかれば世界がわかる 現代用語検定協会 2003年  
自由国民社