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愛・蔵太の気になるメモ(homines id quod volunt credunt)

2007-01-10

[]「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か

こんなのがあったので少し気になった。

アルファルファモザイクより「日本のマンガ、アニメ業界を駄目にしたのは手塚治虫?」

6 名無しさん名無しさん :2006/03/07(火) 14:54:26

手塚のせいで低賃金なんだっけ。

検索しても主流はそんな感じだった。

手塚治虫 アニメ 制作費 - Google 検索

はてなダイアリー」のキーワードを見てもそんな感じだった。

手塚治虫とは - はてなダイアリー

また、日本初の連続テレビアニメを世に送り出すなど、テレビアニメの始祖でもある。一方で、マンガの収入をアニメの制作費に充てて予算を極端に抑えたため、のちのテレビアニメの制作費が長年にわたって低くとどまる原因になったとする説もある。

人力検索で見てもそんな感じだった。

人力検索はてな - 手塚治虫がマンガ/アニメ界に及ぼしたさまざまな影響のうち、功罪の「罪」の方が、もしあるのでしたら教えてください。

手塚治虫がマンガ/アニメ界に及ぼしたさまざまな影響のうち、

功罪の「罪」の方が、もしあるのでしたら教えてください。

マンガに詳しくないので、自分には思いつかなかったのです。

手塚治虫の人間性については、今は問題にしません。

あくまでマンガ/アニメ界に与えた悪影響に限定です。

また「見方によっては」ではなく、

たいていの人は同意するであろう、という悪影響に限定して回答してください。

http://www.netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/otakugaku/No6.html#anchor1840406

アニメの制作費が安くなったことですね。

これについては宮崎駿が手塚先生が亡くなったときに

死人にムチをを打つような文章を書いて話題になりました。

参考URLを一読してみてください

岡田斗司夫さんもそう言っている。

手塚治虫vs宮崎駿

「これからはテレビアニメの時代だ。日本全国のお茶の間にテレビアニメを届けるのだ。それこそがこれからの日本文化の進むべき道だ!」

情熱に燃える手塚さんは、東映なら貧血で死にそうなほどの出血大サービスの予算(後に出てくる宮崎氏の発言によると、1話あたり50万円だという)でテレビアニメを受けてしまった。

彼の回りには彼の情熱に感動したスタッフが次々と集まって、手塚治虫アニメ製作会社虫プロダクションは設立された。虫プロでは情熱のあるスタッフが日夜がんばったが、いかんせん、いつも貧乏でスタッフ数はぎりぎり、スケジュールはオセオセだった。そのため、スタッフはスタジオに寝袋で泊まり込み、というのが当たり前になった。

「手塚さんがもうちょっと我慢すれば、テレビアニメ制作費の相場も、ずっとましなものになったのに」

というのは、アニメ業界人なら誰もが言う台詞だ。彼が亡くなったとき、マンガ専門誌の追悼記事にまで書かれてしまうほどだ。

もう少し調べてもいいんですが、だいたいこんな感じでした。

で、それに対する別の意見を2つほど。

ARTIFACT ―人工事実― : 手塚治虫氏と赤旗(コメント欄)

投稿者 :  投稿日 : 2004/12/24 10:54

極端な安値受注でアニメーターの劣悪な労働環境を決定づけた手塚治虫が赤旗シンパというのも歴史の皮肉ですね・・・

投稿者 :  投稿日 : 2004/12/24 13:41

意外と誤解されてるんだけど、アトムの時はアニメーターの給料が極端に悪かった、ということはないよ。

実際は当時の番組制作費と、それに対しての広告効果(キャラグッズなど)の売り上げが極端にでかかったので、テレビ局側が「アニメは安くて莫大な利益が稼げる」という認識を持ってしまったんだって。

ある種当時のクリエイターとしての情熱(最終的に手弁当でかなり手塚がやっていた)を逆手に取られた形が今も続いている訳で。不平を言いつつ30年以上その体制に甘んじているアニメ業界が悪いと言うしかないな・・・

(太字は引用者=ぼく)

「アニメの制作費は安いものだ」というテレビ局側の認識。

今でも関連グッズとかDVDの売り上げとかで儲けるような仕組みにしてるんだろうな。ビジネスモデル的には「おもちゃ屋的なものではない、一般企業の広告収入」をほとんど考えていない、というのが、テレビ局(商業放送)の提供するものとしては異端な感じもします。

あと、以下の意見はちょっと視点が違っていて面白かった。

絶望書店日記 神話を暴くとさらなる神話

あたしはこの何年か手塚治虫関連の資料を読んで考えてきてこれには確信を抱いているが、手塚治虫は自分ひとりで完全にコントロールできるアニメ制作を望んでいたのだ。

つまり、制作費が安いから動画枚数が減ったのではなく、最初から手塚治虫ひとりですべてに関われるような枚数にするために制作費を極端な安値に抑えたのである!手塚治虫はまんがに於いてアイデアから絵までひとりでこなし、死ぬまでアシスタントには背景しか描かせなかったが、アニメに於いてもスタッフをたんなるアシスタントとして遣い、週1回のテレビアニメを個人の作品としてやらかそうとしたのだ!

(太字は引用者=ぼく)

なるほど。

手塚治虫が「漫画家としての自分の原稿料」を高くなりすぎないようにして、作品依頼を受けやすいようにしていたという話も都市伝説としては存在します。「手塚治虫先生でもこの値段なので」と、他の漫画家の原稿料が高くなりすぎないようになってしまった、というのも都市伝説としては聞きました。

逆に、「他の出版社から原稿依頼ができないように」と、ある漫画家の原稿料を日本一にしてしまったところも、都市伝説としては聞きました。「その漫画家のために雑誌を作った」という都市伝説も聞きましたが、さすがにそれはないだろうと思った。。

「漫画雑誌は安いものだ」という認識を読者に持たせてしまった誰かはいそうな気はしますが、また「漫画家になっても漫画の原稿料だけでは食えない」という状況を作ってしまった誰かもいそうな気はしますが、それらはあまり手塚治虫とは関係ないような気がする。

絵のクオリティを高くしようとすると、アニメも漫画もそれなりにコスト(人件費その他)はかかるわけで。極端な話が、現地・海外取材とか。

ちょっと最近は、ていうかいつの時代からかは不明ですが、クオリティの高さを求める読者のレベルが高くなりすぎている気がします。と言っていまさら「紙芝居なアニメ」に戻るというわけにもいかないだろうし。

 

(追記)

コメント欄で、以下のウィキペディアの記述を教えていただきました。

虫プロダクション

なお現在と異なり、当時のアニメーターの給与はとんでもなく高く(航空会社パイロット並)、高卒で5年働けば家が建つ唯一の職場と呼ばれていた。(某商業高校では、60年代にそのようなキャッチコピーの求人案内が貼られていた。)

この「某商業高校」の「求人案内」は、ぜひ見たいものです。

 

これは以下の日記に続きます。

「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か・その2

 

【ものすごく重要な追記】

このエントリーだけを見る人はけっこう誤解しそうなので、お手数をおかけしますが以下のエントリーも必ずご覧になることをお願いします。

「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か・その2

「アニメの制作費が安いのは手塚治虫のせい」というのは本当か・その3(補足)

ぼくの私的意見(結論的な感想)は、「2」のコメント欄でも書きましたが、

「漫画も含めて手塚治虫さんの「功」「罪」いずれも過大に評価・批判しすぎているような気もしないでもありませんです」なのです。

 

じーぐじーぐ 2007/01/08 22:41
Wikipediaの虫プロの項には、当時のアニメータはとんでもなく高給取りだったと真逆の事が書いてありますね。
これが本当ならすごい話です。どこでどう情報が曲がったのかあるいは見方が違うのか。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E3%83%97%E3%83%AD
>なお現在と異なり、当時のアニメーターの給与はとんでもなく高く(航空会社パイロット並)、高卒で5年働けば家が建つ唯一の職場と呼ばれていた。(某商業高校では、60年代にそのようなキャッチコピーの求人案内が貼られていた。)

lovelovedoglovelovedog 2007/01/08 22:53 当時のことを知っている、いろいろな人たちの話を聞きたいですね。虫プロと東映動画とでは違ってたりするだろうし

あずまあずま 2007/01/08 23:44 東映動画側から挙がっている具体的な言及なら、「大塚康生インタビュー」(実業之日本社)の第7章にあります。
>僕らの給料じゃ社員食堂でしか食えなかった、というのが正確です(笑)。
>学歴や経歴で初任給を決めるわけですよ。で、僕は中学卒だから、月給6000円くらい。同じころ入った東京芸大出の同年輩の人が1万円で、僕はその半分強。
>で、虫プロができて、ダダダーッとみんな東映から抜けていくと、会社は不安のあまり「契約になってほしい」と言ってきたわけです。
>入社して10年たっていたから、6000円の月給が3万2000円くらいにはなっていたんですが、契約になると、いっぺんに6万円ぐらいはいく。そのかわりボーナスは出ない。それでも他の人とのバランスを取るために、ボーナス時期には、また何やかやいっては出してくれましたけどね。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/08 23:53 ちょっと当時の金銭感覚がわからないんですが、中規模の町工場の工員ぐらいの感じなのかな

あずまあずま 2007/01/09 00:12 >僕は中学卒だから、月給6000円くらい。/東京芸大出の同年輩の人が1万円
大塚康生が東映動画に入社した昭和31年頃の国家公務員の初任給は9000円程度。
>入社して10年たっていたから、6000円の月給が3万2000円くらいにはなっていた
>契約になると、いっぺんに6万円ぐらい
虫プロが創設された昭和36年頃の国家公務員の初任給が1万4000円程度。
想像してたより高給ですね…。薄給の証明のつもりで引用したんですが(苦笑)

あずまあずま 2007/01/09 00:24 同じく大塚康生の著作「作画汗まみれ」(徳間書店)の第5章によれば
>アニメーターの部門は、宮崎駿さんたちの1963(昭38)年4月採用組を最後に社員採用は中止され、以後はすべて動画を何枚描いていくらという契約採用に切りかえられ、並行して「ユニットプロ・システム」といって、外注プロの育成にも力が注がれるようになっていきました。
…という事で、雇用形態の変化に注目すべきなんでしょうか。上で挙げた「契約になると、いっぺんに6万円」はトップアニメーター大塚康生ならではの特殊例という事で。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/09 00:25 いまだと40〜50万円ぐらいの感覚でしょうかね、「3万2000円の給料」というと。契約になると、一気に100万円。これは充分に食える以上のことができそうです。今でもトップアニメーターならそのくらい(あるいはそれ以上)という人はいないのかな

5555 2007/01/09 01:41 あれ?鉄人28号作ったTCJ、今のエイケンがダンピング競争しかけて、相場を大暴落させたってのは、都市伝説?

とおりすがりとおりすがり 2007/01/09 03:52 つまりウン十年間の間、賃金よりも物価上昇の方がずっと上だったので、今や薄利もいいとこになったということでは。もしそうならば、「営業努力」で無理矢理コストダウンさせられるシステム開発の現場と状況は同じですね。
ちなみにタミヤ模型でも面白い話があって、
1、最初金型屋は「プラモデル」などという怪しげな製品を真面目に扱う気がなかった。タミヤ模型としては金型屋の言い値で受ける他なかった。
2、次第にプラモデルの市場が育ってきても、最初の時(戦艦武蔵だったかな?)の価格が基準となり、そのまま高止まりした。金型屋にとってプラモデルは美味しい商売になった。
3、納期が守られないことも少なくなかった。クリスマスシーズン用の製品がクリスマスに間に合わないと、損失もバカにならない。この状況を打破するため、金型のコストダウンと品質向上のために、タミヤ模型は金型の内製を始めようとした。
4、待遇が余り良くなかった現場の金型職人をヘッドハンティング。いきなり内製は無理なので、金型のメンテを始めた。その後も投資を続け、最新の機械を導入するなど技術革新に努めた。
というような話があったそうです。(「田宮模型の仕事」参照。)

通りすがりN通りすがりN 2007/01/09 04:03 私が聞いたのはアニメの制作費が安いのは手塚治虫が日本で初めて
リミッテッド・アニメーションを取り入れたからだという説です。
作業効率を考えてか記事にある理由か、
導入した理由はわかりませんが、結果的に
フルアニメ=1秒24枚
リミテッド=1秒12枚(程度)
この枚数の差がアニメをよく知らない日本のスポンサーに
『アニメってそんなに予算なくても作れるでしょ』
『これくらいの枚数(予算)で出来るように工夫して描いてよ』
みたいな考えが広まったとか広まらなかったとか…。

あずまあずま 2007/01/09 05:45 宮崎駿「出発点」(徳間書店)の『手塚治虫に「神の手」をみた時、ぼくは彼と訣別した』(初出:「Comic Box」1989年5月号)の中では
>昭和三十八年に彼は、一本五十万円という安価で日本初のテレビアニメ「鉄腕アトム」を始めました。その前例のおかげで、以来アニメの製作費が常に低いという弊害が生まれました。
…という言及がありますね。東映動画側の大塚康生や宮崎駿だけでなく虫プロ側の人間による言及も参照しないとフェアじゃないんでしょうが、とりあえず。
虫プロ側の人間の著作となると、山本暎一「虫プロ興亡記」(新潮社)などに、その辺りへの言及がありそうですが、残念ながら僕は未読です。

あずまあずま 2007/01/09 05:50 あ…愛・蔵太さんが引用した岡田斗司夫の文章の中に宮崎駿発言は含まれていたんですね。失礼しました。

あずまあずま 2007/01/09 06:20 虫プロが行なったのは「製作費のダンピング」と「引き抜きのためにアニメーターを厚遇」という事になるんでしょうかね。アニメの制作費が安いのは「手塚治虫のせいだけど、アニメーターの給料が安いのは「手塚治虫がきっかけ」といった感じになるんでしょうか。虫プロによる安価でのTVアニメ制作の影響を受けて、東映動画は固定給から出来高制に移行したようですから、無関係とは言い辛いかなぁ、と。
その辺りの流れは此処(↓)に詳しいです。
http://nekosuki.exblog.jp/1029694/

lovelovedoglovelovedog 2007/01/09 09:01 いろいろ参考になるコメント、どうもありがとうございます。都市伝説を都市伝説の形で流すのは、それはそれでいいんですが、できたら「あずま」さんみたいにurlを示すとか、参考図書を示すとかしていただけるとさらにありがたいのでした

松虫松虫 2007/01/09 10:24 手塚治虫がアシスタントに背景しか描かせなかったというのはおそらく何かの勘違いでしょう。井上智なんかはかなり任されてるはずです。
たとえば『マグマ大使』も後半はほとんどアシスタントが描いていたため、手塚治虫名義では単行本になっていません。この話は講談社の手塚治虫全集『マグマ大使』のあとがきに手塚治虫自身が書いています。

krpynkrpyn 2007/01/09 10:52 モンキー・パンチの2000年秋のインタビューが参考になるのではないでしょうか? まったくの新人というのこともあるのでしょうが、虫プロが就職をためらうほどの薄給であったことは確かなようです。

http://web.archive.org/web/20010424091422/http://www.canon.co.jp/cdcc/interview/monpun/02.html

あずまあずま 2007/01/09 11:12 モンキー・パンチは曖昧な記憶による発言や、その場その場での発言が多い人なのでちょっと注意が必要かも…?

なごやんなごやん 2007/01/09 15:55 http://japino.blog45.fc2.com/blog-entry-36.html
手塚氏の制作費のダンピングに関しては、こんな話もありますね。
うろ覚えなんですが、この連載中で元虫プロのアニメーターか誰かが「給料は言い値で払われた」みたいな記述もあったので、必ずしも制作費が安かったから薄給だったという事ではないようです。

ttmttm 2007/01/09 20:10  例えば、日本で始めてCD-ROMを使用し、本格的に声優を使ったゲームを作ったハドソン(天外魔境)では、ゲームにおける声優の相場がまったくなかったので、一番高いギャラを払わされ、ハドソン側も知識が無く「声優とはこのぐらいかかるもの」と認識され、以後声優業界では「ゲームの声優起用は金になる」となったそうで(今は声優起用が当たり前になり相場も安くなりましたがそれでも同じ収録時間で考えるとアニメよりかなり割高です)
 手塚はクリエイターとしては天才ですが、会社を2度潰すなど経営者としては失格の方ですから。海千山千のテレビ業界の人間にはよい餌だったのだと思います。もっとも放映権を全てテレビ局に握られている現在では、どんなに良いアニメを作ろうとスポンサー料のほとんどが局に流れてしまう現状は変わらないでしょうね。スタジオIGやジブリのように自社で版権を持つ会社は数少ないですし。

竜也竜也 2007/01/09 23:10 関係者だった人からは「手塚さんはのちのちに海外に売ることを考えていたのでTV局に安く売ってしまった」といった具合のことを聞いたことがあります。それが結果的に土台になってしまったと。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/09 23:24 いろんな意見がありますね。ここは一度閉めて、別エントリーを立てていますので、次からのコメントはそちらをご利用ください。しかし「関係者の証言」と言ってもなかなか全部信用できない、というのが難儀です。

lovelovedoglovelovedog 2007/01/10 00:00 ということで、別エントリーを立てました。→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070111/anime 以後のコメントはそちらでお願いします

とうりすがり2とうりすがり2 2007/01/10 08:51  なんだか、後に続く人間が賃上げ要求を上手にしてこなかった所為で、今の賃金がある、と言う感じでしょうかね。

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