代用コメント(〜「どうにも気になる表現が。」より〜)

【注:これは、どうにも気になる表現が。に書こうとしたコメントが長くなりすぎたので記事化したものです。】


 えーと、コメントを拝見していて、ふと思ったことを書きます。
 つまり、現行の「親指シフト - Wikipedia」は少なからず
 「親指シフト(NICOLA)を使っていない人に対して不快感を与える恐れがある」
ということなのかも。


 ひとまず、shinoさんとささもとさんの指摘部分は、shinoさん引用部分の4行から派生しているということでよろしいでしょうか。


 まずは問題点を整理するべきですね。
 ええと、まずはささもとさんご指摘の「タッチメソッド向きとサイトメソッド向きの配列に分けるべき」という点。


 マクロ的に見れば「いわゆる規格戦争」というやつと同じで「皆同じものを使う方がコストメリットが大きい」わけで、この点についてはささもとさんが言及されていますね。
 ポケベル時代にはポケベル入力が・ケータイではかなめくりが・ワープロではJISかなと親指シフとが・PCではQwertyローマ字入力がそれぞれ文字入力用配列のデファクトスタンダードとなっていますが(もちろんこれはキー配列に限ったことではないですよね)、これらはそれぞれ「各機器の標準的インターフェースとして設定されているから」ユーザーが使っているにすぎず、たとえば「時代に選ばれた」とかいう表現を使うのは適切ではないと思いますし。
 #あっ、ちなみにキー配列に関して政治的理由は絡まないと思います。同じくJISが決めた中でも強制力の無い「新JISかな配列」は置換に失敗しましたし、一方で強制力のある「SI単位系」は置換に成功した……とか、そういう事例がありますので。


 一方でミクロ的に見ればこれらはまったく関係なくて、「自身にとってメリットがあるものを使う」というただ一点のみが重要になるであろうと思います。
 この指標は価格や機能であったり、とっつきやすさや習熟後の利便性であったりと色々な指標を持ちうるわけですが、最終的には「自分にとって合うと思ったものを選択する」という主観的な選定方法で決めているわけで、この方法で選ぶ場合は余り「共通性」を意識することは無い気もします。


 私はこの場合、いわゆるプロ用とコンシューマ用を分ける必要は無いと考えています……とはいっても「全て同じにしなければならない」という話ではなくて、「プロはプロなりにコンシューマとは違う規格を作って使うはずだから、わざわざコンシューマに合わせる必要は無い」という視点での話になりますが……。
 もっとも、マクロ的視点とミクロ的視点のどちらかだけで選ぶというのは非常にまれな話であって、どちらに重きを置くかというバランスは非常に重要になってくるとは思います。


 次に苦痛の点。どこまで戻しましょうか、shinoさんの話にさかのぼると……。
 「ホームポジションを崩さず」「かな漢字変換をする」という前提に立つと、二つの条件を究極的に満たせるのは速記系配列用の鍵盤だけなんですよね……通常の4段鍵盤にかなやローマ字をばらばらと配置する方法では、当然この要求は満たせないことになります。
 「ホームポジションを【なるべく】崩さず」「かな漢字変換をする」としてようやくNICOLAが範疇に入るわけですが、これらは「設計時の思想として、開発者がそういう前提を用意してから、それに対する回避方法を考えた」わけですから、ここに入るべき主語は「設計者がそう考えた」とするべきところです。
 もっともあの説明の前にあった箇条書き部分は「本来別の説明に用いていた部分」でして、あの説明とかみ合わせるには矛盾があるように思います。
 そもそも親指シフトの基本姿勢は http://www.ykanda.jp/oasgif/nin-1.jpghttp://www.ykanda.jp/oasgif/nin-2.jpg に書かれている通りであって、「かなの3段×10列×3シフト配置」は必然ではなく結果ではなかろうかと……そう私は考えています。


 ……あれっ、そもそもこの2枚の資料を見ると、だいぶ違う視点で物事が書いてありますね……とりあえず変更してみました。
 太字部分が私の作業部分で、これらの中間にあったリストと斜体部はコメントアウトしてみました。

(以前略)
かな漢字変換方式による日本語入力システムを構築する上で問題となったのが、キーボード上のキー配列である。JIS規格の日本語入力用キーボードは1972年に標準化されていたが、これは神田が望む条件[3][4]とは異なる仕様であった。
(リストをコメントアウト)
(斜体部をコメントアウト)
既存のキー配列によるかな漢字変換方式に勝ち目はないと思った神田は、当時新入社員であった池上良己に、日本語入力用キーボードの改良を命じた。池上が最初に研究した方式は、ローマ字入力を応用することでキーの数を削減した方式であった。この方式ではキーが一段のみに配列されており、指の移動がなく高速入力が可能と思われたが、複数のキーを同時打鍵する必要があり、うまく入力できなかった。
(以降略)
(from http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%AA%E6%8C%87%E3%82%B7%E3%83%95%E3%83%88 )

 置換テーマは「客観」から「神田さんの主観」への転換です。
 もともとはそういう設計思想で親指シフトが作成された(英字タイプライタと似た入力感覚で入力できるようにしたい、という辺りなど)事からすると、こう書くのが一番すっきりしてよいかと思いましたので。
 もっとも、本当ならば一次元的な「改善・改良」という表現ではなく(主観的には改善であっても、客観的に改善であるかどうかはこの時点では解らないので)、新たな方法を作成したという意味合いから「(発想の)転換」を使いたいのですが……これをうまく置換する方法は思いつかず、とりあえずはそのままにすることとしました。


 もしよろしければ、この書き換えについての査読をお願いいたします。

Uttiee さんからのご指摘に基づき記述を追加しました。

 「外部文書はいつ消えるか解らない」という点のご指摘を頂いたため、例示した画像より意訳し元のリスト部に埋め込んでみました。

  • 1モーラを一気に(打鍵順序を考慮することなくワンアクションで)入力できない場合が多い。
    • かな入力では濁音、半濁音、小さい仮名、「を」、読点、句読点の入力に複数の逐次打鍵を要する。
    • ローマ字入力では「あ」「い」「う」「え」「お」「ん」を除く入力に複数の逐次打鍵を要する。
    • ただし親指シフトも、拗音の入力には複数の逐次打鍵を要する。
  • かな配列部分は英字配列部分に比べてキーの割り当て範囲が広い。
  • ローマ字入力では多数の打鍵を要し、かつ配列がローマ字入力を前提とした設計ではない。
  • ローマ字入力では、かな文字の出現頻度を考慮した文字配列ができない。

 極力「意図が絡まないように」してみましたが、何か引っかかる表現などがありましたら、ご指摘いただけますと助かります。


 ちなみに、親指シフトに対しよく言われる「キーを叩く【数】は多いじゃないか」という指摘に関しては、本件ではどうにも扱いようがないかと(それは他の配列に関する項目で言及するべき内容だと思います)。
 親指シフトについては、設計思想がそもそも「【ワンアクションで】入力できる文字を多く!」なので、ここに関しては修正しようが無いというのが正直なところです。
 たとえば行段系における「頻度を(仮名文字単位ではなく)行単位もしくは段単位で見る」という点とほぼ同質の問題だと思いますので。