Al Jardine
/ A Postcard From California ( 自主 / 2010 )
ずっと告知されつつも出なかった、元ビーチ・ボーイズのアル・ジャーディンのソロ・アルバム。本家ビーチ・ボーイズ(以下BB)と分裂したが故の別のツアーバンドとのライブ盤はあったけれど、スタジオ盤は初。i-tunesでは先にダウンロードできたけれど、コレは一応ブックレットとケースが付いている。ダウンロードの方が安いけれど、クレジットが欲しくてこっちを入手した。CD-Rですがね。
さて、なかなか悪くない、っていうか、良い!この声とコーラスだけでBBになるのが不思議。ビートルズと同じ音楽の魔法だ。ただ、これほどのゲスト参加でも、今の亜米利加のメジャー音楽業界はリリースにOKを出さないんだな。全く以て厳しい経済情勢です。我慢できずにアラン自身で出しちゃったんだろうね。
A Postcard From、っていうと、同じカリフォルニアンのネッド・ドヒニーの”Postcards From Hollywood”や、ジミー・ウェッブの名曲”Postcard from Paris”を思い出すところ。タイトル曲”A Postcard From California”はアルの曲。Aメロがグレン・キャンベルの大ヒット曲”Rhinestone Cowboy”に似すぎているな、なんて思っていたら2番ではグレン・キャンベルが歌い始めたからビックリ!!あえて、やっちゃったんでしょうな。オリジナルの作者、デニス・ランバートには許可取ってるのかな、なんて。ところで、グレン・キャンベルが全盛期のBBのツアーでブライアンの代役を演じたのは有名な話。
BB版もある”California Feelin’”、”Honkin’ Down The Highway”というブライアン・ソングも収録。後者にはブライアンが参加。”Drivin’”にもジェリー・ベックリー&デュウェイ・バネルというアメリカ組―アメリカの大ヒット曲”Horse With No Name”って歌詞を2人が歌う箇所もアリ―と共にブライアンが歌う(ギターではデヴィッド・マークスの名も)。あとは”Don’t Fight The Sea”。コレは故カール・ウィルソンの残した貴重なボーカル・トラック。アル、ブライアン、マイク、ブルース・ジョンストンが揃い踏みしているが、BBの未発表テイクを入れたに過ぎない。これが入っているからBB再結成だとか言うのは早計だと思いますが、ブライアン、アル間に再び交流が生まれているのはただただ嬉しい。
あとは、デヴィッド・クロスビー、ニール・ヤング、スティーヴン・スティルスとアルが歌うあの”A California Saga”とか、デヴィッド・クロスビー&ニール・ヤングにリードを取らせた”California Scene”とか、もうビッグ・ゲストが目白押し!カリフォルニアのコーラスモノの系譜も見えてくる。息子マット・ジャーディンも要所要所で厚いコーラスを好サポート。
そして忘れてはならないBB時代の名唱”Help Me Rhonda”もスティーヴ・ミラー、ノートン・バッファローを交えたブルーズ・ヴァージョンで蘇る。このテイク、思いの外、声が出てますよ!68歳にして、見た目より声が若いという。先日ライブを観たブレッド&バターの岩沢幸矢さんも67歳って知って目が点になる位ハイトーンで声が若かった。
いやはや、ブライアン・ミーツ・ガーシュインな新作(ワンダーミンツとジャケを似せている)やモンキーズのミッキー・ドレンツの新作キャロル・キング曲集(ジェフリー・フォスケット・プロデュース)と共にヘビロテ中!まだまだ夏は終わらない。