大学における準ひきこもりという存在
俺のなかの全細胞が泣いた。
学校行事については中学時代から苦手でしたが。当時の俺には、クラスメイトたちの言う「団結」ってやつが欺瞞に聞こえてしかたがなかったので。クラス内でヒエラルキー作っといてなにが団結だ、と。普段は上から見下ろしているくせに、都合のいいときだけ「仲間」呼ばわりしてるように見えて、気分が悪かった。
まあ欺瞞はともかく、俺のほうも歪んでいたことは確かですが。あんまり誠実に答えるとさわりたくない傷をむし返しそうなのでやめますが。
第6回hp短編賞
うっかり(?)某所で今年の短編賞にはなにか出したいなどと口にしてしまったオイラですが、まあべつに嘘でもなんでもない。出したい気持ちがあるのは事実です。気持ちだけはね。
で、この賞は応募時のままの原稿がそのまま掲載されているので、分析する側としてはわりとありがたい賞だったりする。いや、直してないぶん、けっこう粗いなぁと思えるところもあるんですけど。欠点がわかりやすいぶん、逆にどこらへんが評価されたのか、ということも見えやすいので。
……というか、書きながら気づいたんだけど、俺、この賞出してたんだよな。忌々しい記憶なだけに、完全に忘れていた(笑)
ちなみに、mixiをうろついた結果、「チョコ」の作者と「ネズミ」の作者は女の人らしい。んー。特に「チョコ」が女の人ってのは意外だなぁ。倦怠少年って、俺みたいな非コミュ男が書くもんだとばっかり思いこんでましたよ。
●銀賞「チョコと花びら」
壁井さん:文体が魅力的で、読んでいるだけで楽しかったです。
編集長:文体が魅力的で全体に纏まった作品でした。
今回から選評のスペースが大幅に削られたので、個々の作品に対するコメントというものがほとんどない。それでもまあ一応、抜きだしてはみましたが。
……しかしなんだ、この文前半の被りっぷりは(笑)
で実は、この話を解説するのは俺にとってものすごく難しかった。なぜなら、審査員が評価している部分を、俺は評価できないから。
べつにこれはどっちが正しいとかの話ではなくて、単純に好みの問題だと思う。まあ俺に、ラノベに必要な感覚が足りてない証拠とか言われたら反論しないけれども(苦笑) でもこの、倦怠感にあふれた、最後まで自ら当事者として関わろうとしない主人公のさめた語りには、どうしても共感できません。巻きこまれ型というのは、最後に「巻きこまれた世界」と向き合えてこそでしょうに。
まあ、キャラクタの主観的な視点・視座で物事を捉えて書こうとしていたのは見えたし、実際そこはできていたと思いますけど。
あとなにげに、一人称のわりに体感感覚が少ないのが気にかかる。冬っぽさなんかほとんどないし。
- 主人公の送っている日常と状況、思想の説明。主人公、同級の女の子に告られてる。返事はしてない。
- 主人公、祓い師と会う。主人公に異能の力があるとわかる。
- 異能の設定の説明。
- 祓い師のバトル。バトルを通じて、主人公は自分の考えを変えなければならないと感じる。
- 数ヵ月後。女の子と交際している。また祓い師にとっ捕まり、どうやら今後も利用されそう。
エピソード。
ああ、その前に、コンセプト書かなきゃならんか。んー。
落ちたくせに、エラソーに書きますが。この話、変化ってものが見えにくい。原因はふたつあって、まず転が薄いこと。いきなり主人公の直感がよくなって、ものわかりよく変心してしまうんだもの。こういうの読むと、自省の意味も含めて、やっぱキャラの直感がよくぎたらダメだよなぁと思う。
俺が理解しているかぎりにおいて、変心には2パターンあって。誰かに言われて気づかされるか、なにかの事象を見て自分で気づくか、まあそれしか俺は知らない。もっとあるとは思うんだけど……
でまあ、誰かに言われて変心するというのは、ちょっと主人公としては主体性がないから、俺はあんまり好きじゃない。昔これやって批判されたってこともあるんだけど。だから、たいていは後者のパターンを使うことになる。
ここで気をつけなきゃいけないのは、後者のパターンで見せる事象(もしくは対象)ってのは、ちゃんとした客観性がないといけないってことだ。つまり、誰が見ても「ああ、そりゃ主人公気づいて当然だよ」と思えるようになってないといけない、という。
ところが往々にして、作者ってのは先を急ぐあまりに、あるいは書きたいことを優先するあまりに、主人公の感をよくしすぎてしまうのです。それが「直感」。「直感」を見せられると、作者の作為/作者の手が見せすぎてしまって、ちょっとしらけます。
なんか思いっきり横道の話をしてしまいましたが、原因のもうひとつは、話の主筋で「変化」が起こっていないこと。「変化」ってのはなにも「達成」に限らなくて、ですよ。えー、この話で最初の状態と最後の状態を比較するとですね、目立って変わったと言えるのは「女の子とつきあうようになった」ことですね。まあそれはいい。いいんです。主人公が「直感」のおかげで変心して、女の子とつきあいだした。それはいいんです。(初期状態で、主人公はあんまり女の子を拒んでいないけど。困惑はしていますが)
だけどさ、話の主筋に女の子入ってないじゃん。これ、祓い師が主筋でしょ。だけど祓い師関連では、なにも変わってないんですよね。祓い師はずっと横暴だし、主人公はずっとイヤイヤ手伝ってるし。祓い師のキャラのアクが強いから、そのへん、読んでて誤魔化されてしまうんですけど。
で、やっともとに戻ってきますが、コンセプトは「選択することに困惑を感じていた主人公が、時間は限りあるものと知って、選択できるようになる話」……ただし、このコンセプトを実現するために、祓い師である必然性はそんなにないように思う。「直感」の対象である幽霊を見せるために、持ってきた設定だとはわかるんだけど。んー。
主人公:なんとなく生きている。選択させられることについて困惑している。倦怠的。
祓い師:男勝り。言うことをきかせるために、人を殴ることを厭わない。なぜこの職業を続けているかは不明。
キャラ。
んー、あまり言うことがない。イケイケ型と受動型の組み合わせは、ある意味王道と言えるでしょう。
●銀賞「風の砂漠、風の塔」
壁井さん:構成がうまく効いていて、オチも綺麗にキマっていたと思います。
編集長:ストーリー・構成とも、きっちり纏まっていて読後感が良い作品。
ああ、どうにも書きづらいのですが。ようやく2作品目。
構成うんぬん言われてますが、ようするにこれ、サプライズストーリーです。実は――でした、って感じの。まあいまの俺は、驚かせる、という行いもまたエンタメであるという認識に立っているので、サプライズストーリーであることについてはまったく不満もなにもないです。
むしろあれだ、サプライズを明かす段階って、キャラに語らせるかたちで明かしたらあかんよなぁ、と、自作と比較して思いますわ。この話の、主人公の正体が明らかになる段階は、そのへんけっこうよかったと思う。
あと金賞のやつもそうだったんですけど、これ、三人称なんですよね。今回三人称ものがふたつ受賞したということは、とかく一人称が目立っていたこの賞のなかで、けっこうターニングポイント的なことではないかとも思う。一人称が不得手な俺のような書き手は勇気を得たんじゃないかな。
- 「生きる意味」について意識している主人公。敗残兵。ぶっ倒れたところをヒロインに助けられる。
- ヒロインは風守。だが3年前から風は止まったまま。それでも風守を続けている。
- ヒロインの行為に「生きてる意味」を見出せなかったので、主人公は彼女の家に居座ることにする。
- 風が吹いていたころの思い出が美しすぎて、ヒロインは風守をやめられないでいるのだと知る。
- 主人公は自分の機能でもって風を吹かせ、ヒロインに生きる意味を与えてやる。
エピソード。
コンセプトは……えー、これも難しいんだけど、「生きる意味を求めていた人造兵士が、その命をもって、少女に生きる意味を与える話」かなぁ。視点者が最後死んでしまうので、どこに変化があるのかを見極めるのが難しい。
主人公はその死をもって、「彼女に生きる意味を与えた」という「生きた意味」を獲得するわけですな。この構造はなかなか。うん。いい。でもまあなんというか、ヒロイン側から見てみると、常に受け身だなぁ。受け身のまま望のものを得るというのは、個人的に叩かれた記憶があるので、あんまり手放しに誉められない。
あと、動機というか、主人公の心の動きに納得できない。いかに助けられた恩があるとはいえ、たまたま出会ったひとりの少女の「生きる意味」にあそこまで執着できるだろうか……と、途中まで読んでて思うんだよね。結局それはオチの段階で、主人公が殺戮兵器だったゆえ、とにかく「生きる意味」というものについて考えていたから、という理屈がつくのですが。その理屈自体はまあ、俺でも納得できる。ただ途中の心理が変に見えるんだよな。少女側からの突っこみが足りてないんじゃないかと思う。なんでそんなこだわってんの? みたいな。
キャラについてはパス。キャラの変化で魅せる話ではないので。
まあでも、ヒロインのちょいデレを書くために、ヒロインを病気にさせるってのはどうなんかね。んー。
実は俺、そのうち「お互い嫌いあってる状態から結ばれる恋」というものを書きたいと思っているのですが(ベタですが)、少しはその参考になるかもしれない。
●金賞「ネズミのかぞく」
壁井さん:キャラの描写の良さを評価しました。
編集長:キャラクターの描写に優れていて、(以下略)
タイトルは、「ネズミがのぞく」ではない。俺はずっと勘違いしてましたが(笑) しかし編集長と壁井さんはほんとアンテナ近いな。前世は姉妹ですか?(違)
マジな話すると、審査員には多様なアンテナが各々あったほうが望ましいんですけどね。
で、筆力はこれが一番あったと思う。やや説明文で書きすぎのところはあったけど。一番読んでて流れに無理とか違和感を感じなかったので、まあ今回の最優秀賞というのは妥当でしょう。
- 主と死別し、廃棄物処理場にやってきた人模機体。処理場に住む少年に拾われる。
- 少年の「家族」とも会い、打ち解けていく主人公。
- もともとやけっぱちで処理場に自らやってきた主人公、新たな居場所を得て、やけっぱちの気持ちが薄れる。
- 処理場職員の手により、「家族」が解体されかける。職員に捕らえられることは、人造生命の主人公にとって処理場から出るチャンス。
- だがそれを振り切り、主人公は処理場で少年とともに生きていく決心をする。
エピソード。
こうしてみると、転が薄いかなぁ。処理場から出ることに対する心の揺らぎ、もっと揺さぶってほしかった。
コンセプトは、「買い主から与えられてた居場所を失った人造生命が、自らの決意によって居場所を得る話」……実は銀賞の「風〜」と微妙にかぶってるんですよね。ネタが。このへん、甲田さんが選評で言ってた「小粒」という言葉を裏付けるようで、なんだか気まずい。
ちなみに俺は、「対機装甲JUNK」という8年前にジャンプに載ってた読みきりを思い出しました。ゴミ処理場に住んでる少年と、ゴミ処理場を開発して儲けようとする市長の戦いの話だったと思う。ヒロインがその市長の娘で。主人公がなんか、鉄クズとか纏ってたような。
主人公:ある意味で真面目。自分自身で確信を得たものでなければ信じない。応用が利かないともいう。
少年:処理場でずっと生きている。たくましく、けなげ。苦労したぶん、年不相応の落ち着きがある。
キャラ。
とこういうふうに分析めいたことしましたが、この話の場合、むしろ外装はそんなに意味があるわけではなくて、むしろ行動面のリアリティとかそっちのほうが評価されてるんだと思う。例えば冒頭の、少年が声をかけるけどなかなか応えない主人公、とかね。
なんか某チャットの常和尻話に通じるんじゃないか、この話題。
「ライトノベル読み同士で馴れ合うための20の質問」に対する、世界で最もテキトーな回答
1.ライトノベルを読みはじめたきっかけは?
おぼえてません。急に知ってしまって、気がついたら買ってた高3の冬。
でもライトノベルの存在を知ったとき、「やった、このジャンルなら俺も(自分の嗜好を偽らずに)プロになれる」と思った……ような気がする。間違ってたらごめん、昔の俺。
2.「ライトノベル」という呼称は好き?
呼称に嫌悪感なんか持ったことないですよ。どこの原理主義者ですか?
3.誰かに薦めるならこれ、というライトノベルを一冊
「天夢航海」(谷山由紀/朝日ソノラマ)
特に未成年者はあちこち古本屋回ってでも買うべし。年取るとこの話の良さがわからなくなるから。
4.いちばん好きなライトノベルを一冊
んー、あえて一番を決めないのもアリでしょう。
5.いちばん好きなライトノベル作家を一人
杉井光大先生。
「ラストハロウィン」商業化を、俺はあきらめない。
結構マジ。
6.あなたの好きなイラストレーターを一人
椋本夏夜嬢。
7.あなたの好きな漫画をひとつ
噂によると、すみれの花咲く頃がNHKでドラマ化するらしい。原作松本剛。これも古本屋で探すしか入手法がない。
8.あなたの好きなアニメをひとつ
9.あなたの好きなゲームをひとつ
最近ゲームやってないなぁ。
ダビスタで凱旋門賞初めて勝ったときはうれしかった。
10.あなたの好きなエロゲをひとつ
数こなしてないので回答不能。やりたい気持ちはあるのですが。下半身中心に気持ちはたまっています。
11.あなたの好きな小説をひとつ(ライトノベルは除外)
「きのう、火星に行った」(笹生陽子/講談社)。熱血っていいよね。
12.あなたの好きな映画をひとつ
パス。
13.あなたの好きな楽曲をひとつ
パス。
14.あなたの好きなクラシック音楽をひとつ
ワーグナーとか。ブギーでも使われたけど、ワーグナーにはラノベ精神がある。
15.あなたの好きなブログをひとつ
アイアム八方美人。よってパス。
16.もっとメジャーになってほしいと思うライトノベルレーベルは?
MFとSDとかファミ通とか……etc。とにかく電撃とタイマンはれる新興勢力出現希望。
17.ライトノベルを食べ物にたとえると何だと思いますか?
パン。主食にもおやつにもなるから。
18.あなたがそうだと思うライトノベルの定義を5文字以内で答えてください
「若さの娯楽」
19.こんな質問は「バカらしい」と実は思っている?
ここで「バカらしい」と答えるとその瞬間、答えてきたオノレもまたバカであると認めることになるという。なんて狡猾な罠。
20.あなたがライトノベルから卒業するとしたらどんなとき?
俺が破産したとき。