「自由が燃える温度」のはずだが…

FAHRENHEIT 9/11

僕的には、背筋も凍るのだ。
映画を観て、吐き気を覚えたのもひさしぶりだ。
前回がいつだったか、何だったか覚えていないが、
何らかのいやな映画を観たときだった。
きょうの映画は面白かった。
でも、観終わった時、背筋の凍る寒けと、空恐ろしさから微妙な吐き気を催した。


FAHRENHEIT 9/11、そうマイケル・ムーアの「華氏911」だ。
21日の拡大公開まで待ってもよかったんだが、
きょうの朝、観ようと思った映画の中で、一番時間がよかったんで、
恵比寿ガーデンシネマ行って、観てきた。
朝8時半について、初回の受付番号52番。もちろん超満員。


内容については、もうほとんど知っていた。
そこら中で、情報が入り乱れてるし、別に何らかのサプライズを狙った映画じゃない。
「ブッシュ一派のたくらみで、いまアメリカは大変なことになっている」
それを、映画というメディアを使って、
多少娯楽的な要素を交えた構成で伝える、ドキュメンタリーだ。
ドキュメンタリーかどうかという、このジャンル分けにも議論が起こってはいるけど、
それについては、きりがないので、一応こうしておく。


内容について、詳細な分析も加えた解説は、
映画ライター、町山智浩氏の日記が面白いし、たぶん一番的を射てると思う。
               ↓
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040814
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040725
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040703
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040308


で、吐き気、だった。何で、空恐ろしくなったのか。
別に「あのブッシュ大統領がこんなことを企んでいたなんて…」と驚いたわけじゃない。
知識として知っていたつもりのことを、
あらためて映像を交え、主張に沿って構成された形で見せられると、
その説得力は、数十倍にも跳ね上がる。
「誰も知らない」のレビューで、想像力の欠如について書いたが、
それを自分が思い知らされた、という感じだ。


米軍の無差別に近い攻撃で、死傷したイラク市民の映像、
イラクでのゲリラ攻撃によって死傷した、米軍兵士の映像(例の丸焦げも含む)
明確な証拠があるにも関わらず、厚顔無恥に開き直るブッシュ一派の発言の数々
(もちろん、マイケル・ムーアの示した証拠を何でも妄信的に信じる、とは言わないが)
こういうものをビジュアルで見せつけられると、
やはりいま起こっていることの怖さが、実感として感じられる。
「本当に、あの国は非常に危険な状態なんだ」と。
ほかの国ならともかく、何せアメリカ、その影響力は絶大だ。
そう思ったら、ひどく切迫した危険性を、感じてしまった。


思うことは、数限りなくあった。
ちょうどイラク戦争開戦のころ、アメリカに長期出張していた。
映画館に行くと、予告に混じって「GO!ARMY」とか、CMやってた。
それだけでなく色々なところで「この国はいま戦争やってる国なんだな」と思ったし、
9/11の事件があった2001年の年末年始はNYで過ごし、
厳戒態勢の中、タイムズスクエアのカウントダウンに参加した。
自分の記憶とリンクする場面なんかは、「ううむ」なんて想いながら観てた。
誰もが、色々なことを語りたくなる映画なんだと思う。


ちなみに、純粋な映画としての出来はどうだったか。
カンヌ映画祭パルムドール受賞の際、
審査委員長のクエンティン・タランティーノが語った、
「単純に面白かったから、この映画を選んだ」に、ウソはないと思う。
ボウリング・フォー・コロンバイン」と、エンタテイメント性だけ単純に比べると、
まあ、少し落ちるのかも知れない。別にそれが目的じゃないから、いいんだろうけど。
ボウリング・フォー・コロンバイン [DVD]
銃器撤廃を徹底的に茶化した「ボウリング〜」と比べ、
反ブッシュのプロパガンダが比較的ストレートな文脈で描かれ?茶化し?はやや少ない。
いや、面白いシーンはもちろんある。
WTCへの飛行機突撃の報告を受けたブッシュが目を泳がせ、
おもむろに「ヤギさんの絵本」を読んじゃうトコとか、
「議員の息子もイラクへ派兵しよう」という署名を求められた議員が、
ムーアに向かって「エッ」と目を剥いちゃうトコとか(予告にもありますな)
演説でことわざを間抜けに言い間違えちゃったりとか…
でも、「ボウリング〜」ほどには多くない印象。
より近い将来に、より切実に、新たな危険が迫っている、
マイケル・ムーアが考えていることの、表れなんだろう。


あと少し思ったこと。
イラクの人々、もしくはアラブ圏の人間が観たら、
アメリカの罪や責任に対して、寛容すぎる映画だと感じるだろうな、と。
でも、それはイラクの側から描いた映画が、いつか作られることに期待したい。
何せ、この映画の目的は、アメリカの罪を追及することじゃない。
あまり、アメリカ人を厳しく追及し過ぎて、
シュンとさせたり、逆ギレさせたりしたら、逆効果なのだ。
目的はとにかく、「まずは、ブッシュ再選を阻止すること」なんだから…

通り一遍? 「朽ちた花びら」

映画の余韻を引きずった上、本そのものの出来も手伝って、
白川通「病葉(わくらば)流れて」の続編、「朽ちた花びら」は、いまふたつ。
朽ちた花びら―病葉流れて〈2〉
あまりにオトコに都合のいい女性描写、
結局普遍的な価値観から自由になれない中途半端さ、
前作にくらべ、迫力、リアルさをはるかに欠く麻雀描写など、乗れない要素も多かった。
読みやすさもあって、一気に読んだが、印象度薄し、読後感悪し、だ。

ファーストフード事情に想うこと、など

朝ご飯は恵比寿ガーデンプレイスの「benugo」。
最初は、ウエスティン東京で朝食ビュッフェと思ったんだが、3250円もするの…
以前食べたとき、そんな高かったかな? と、いうのが一つ。
朝食に3000円以上出せません、というのが一つ。だからパス。
ちなみに恵比寿のbenugoは、まだサンドイッチの種類揃ってる。
計10種類程度。汐留は、いつの間にか壊滅的状態。
2、3種類だし、野菜系なんか全然。
やっぱり客層、というかお土地柄の問題かな、と。
恵比寿、金持ち&外国人さん多いからなぁ…


余談だが、サンドイッチといえば、
品川、虎ノ門、浜松町(これは、僕の知ってるトコだけだけど…)などを含め、
けっこうたくさん展開してたPret A Manger(プレタマンジュ)が、
七月ぐらいに一斉撤退してた。
かなり好きだったんだけど、すごく残念。
価格帯の問題、かな。ファーストフードと思うと、やや高いしな…


もうけっこう前になるけど、
唯一、アメリカの店と同じ味がしたバーガーキングも撤退したし、
僕的には日本のファーストフード事情は悪化の一途をたどってる。
いま、個人的に熱望している、
Krispy Kreme Doughnuts(クリスピー・クリーム)上陸は、夢のまた夢かも…
          ↓
http://krispykreme.com/


ちなみにクリスピー・クリーム、アメリカへお越しの際は、ぜひお立ち寄りを!!
出来たてのドーナツのふかふかな舌触りには、
ちょっとドーナツ観が変わるほどの衝撃を受けるかも♪


かつて担当していた種目だし、現在も体操・新体操関係者の端くれなんで、
最後に、ちょびっと書き添えるにとどめるけど、
祝!!! 体操ニッポン復活!
男子団体総合金メダル、本当におめでとうございます。
選手、関係者の皆さまに心よりの祝福をお送り申し上げます。
いや、ホントによかった。うれしいし、ホッとした。