足ることを知らず

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時代を創るイノベーションと時代に合わせるイノベーション

昨日、Stylusという会社の話を聞いてきた。

Stylus: Innovation Research & Advisory

中核事業は①Innovation Research②Advisory Firm③Investmentの3つである。
世界中のイノベーションを調査している彼らからふたつの講演を聞いた。1つ目は「Gen Z and the New media Mainstream」、2つ目は「NEW-ERA LUXURY」

両方の講演を聞いて面白かったトピックスを紹介する。
Tom Goodwin from Havasの有名なスピーチ

The Battle Is For The Customer Interface – TechCrunch

Uber, the world’s largest taxi company, owns no vehicles. Facebook, the world’s most popular media owner, creates no content. Alibaba, the most valuable retailer, has no inventory. And Airbnb, the world’s largest accommodation provider, owns no real estate. Something interesting is happening.

世の中のある業界を大きく変えるようなイノベーションは、全く違うルールを世の中に規定する。それは、ピータ・ティールのZero to One風に言うと、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」という課題に「人間の根源的な能力を押し上げ、より少ない資源で多くの成果を可能にするテクノロジーの奇跡」を起こすことだと思う。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

Gen Zの衝撃

EVAN TUBEは9歳の子供がおもちゃや子供向け商品を紹介するYouTubeチャンネルである。彼はこのチャンネルで1億3000万円近く稼いでいる。
セレブリティは必要ない。Millenialsのようにネット上で完璧に自分を装う必要もない。Gen ZはもっとリアルなGen Z自身と共感し、憧れを抱くものなのだ。

ウィスキーをおいしくするスティック


24時間ウィスキーに漬けただけで、3年樽につけたウィスキーの香りと味わいになるらしい。なんて精神と時の部屋?って話なんだが、ちょっと欲しいと思ってしまった。

ラグジュアリーの定義そのものがここ数年で変わっているそうで、下記のようなことがより重視されているらしい。

Fans before Consumers:シェアしたくなる。
Wealthbeing:健康への関心、本質的、長期的価値への回帰。
Concierge Culture:コンシェルジュ。オーダーメイド、オリジナル。
Technology Solution:Functional Benefitへ。

例えば、最後のテクノロジーはこのウィスキーにも言えることだけど、今までのluxury企業もガンガン参入している。例えばモンブランはIoTのスマートウォッチを売り出している。
http://www.montblanc.com/ja-jp/discover/specials/montblanc-introduces-e-strap.html

少し疑問になったことがあって、Stylusに質問をしてみた。
「伝統的なもの、情緒的な価値から、より機能的、技術的な価値へのシフトが起こっていることはわかった。だが、そのトレードオフのバランスはどう取られるべきだろうか?」

その質問に対し、Stylusから返ってきたのは、「Experience is the key.」代えがたい経験というものが、重要で、情緒や機能はそれを実現する手段でしかない、ということだ。人は、モノを消費しているのではない、そこに付随している情報を消費しているのである。同じカロリー、栄養分なのであれば、どんな味だって本質的な栄養価は変わらない。ただ、その味という情報にものすごいバリューがついているのである。なんだか、情報の文明学に書いてあった内容に似ている。

情報の文明学 (中公文庫)

情報の文明学 (中公文庫)



感想

そもそも僕は、イノベーションクラスタ(勝手にそう呼んでる)ではない、泥臭くて、コツコツとした、レッドオーシャンでの「カイゼン」が大好きなので(だって、没頭できるし、頭使わなくていいじゃん(爆))、あまりこのあたりには明言できることもない。

だが、イノベーションという言葉自体が、あまりにゆらゆらしていないか?と思っている。

イノベーション - Wikipediaによると

それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすこと

この大きな変化ってレベル感全然違うけど、大丈夫?って思う。

例えば、1つめのUberとかfacebookは、そもそも世代自体の変化に影響する破壊的イノベーションで、競争のルール自体を思いっきり変えるイノベーションである。
一方で3つ目のウィスキーは、新しいルールに馴染んだだけ感がすごい。決して新しいルールを作ったわけではなく、新しいルール、新しい消費者に馴染んでいるだけではないか?


イノベーションの種類
よって、イノベーションにも多分2つの種類があると考えた。
1.世の中のルール、消費者を次のステップに移行するイノベーション
2.次のステップに移動したルールと消費者に対し、最適な価値提供を行うイノベーション

前者のイノベーションを起こすなら、間違いなく身軽な方が良い。大企業発のイノベーションは後者だと思う。
何故なら、大企業自身、次のステップに移動したルールと消費者についていけていないからだ。
主に大企業が前者を起こすことをイノベーションのジレンマというのだろうけれど、仰る通り、ジレンマにハマるに決まっている。そして、大企業でやる「必要性」がないのである。
新しい消費者と新しいルールをいち早く見つけて、大企業のリソースを使って、新しいサービスを次々に提供していくほうが、明らかに理にかなっている。


次の時代の技術と変化
まぁ、そんなことを考えていたときに、じゃあ次の1にあたる変化を起こす技術はなんだろう?とふと、考えてみたら、やっぱり人工知能の世界しか思い浮かばなかった。

むちゃくちゃ先の話を考えると、これから「選べなくなる」時代が来る。人工知能がすべてを選んでくれる。マトリックス的な世界。

その間にあるのが、人間の嫌な仕事、嫌な勉強を全部人工知能がやってくれる世界。そんな世界になったときの働き方ってどうなるのだろうか。

日本のサラリーマンというのは、下記のような仕事観があったと思われる。
「どこまで長時間モーレツに働けるか、頑張れるか。」
それに対し、欧米系の効率的に働く概念が入ってきた。
「限られたエネルギーを使って、どこまで効率的に働けるか?」
人工知能時代は下記のような働き方になるのでは?と思う。
「好きなことを見つけて、仕事へのエネルギー量自体をどこまで増やせるか」


色々書いてきたが、頭がまとまらなくなってきたので今日はここまで。