地域土着型のプロダクト・プレイスメント 『らき☆すた』

以前らき☆すたでみるプロダクト・プレイスメントの可能性 - WebLab.otaなんていう記事を書いたが,最近この「地域活性化や観光地宣伝といった特定の地域に土着した形での宣伝効果はアニメで十分に期待できるのではなかろうか?」という予想が正しかったことが証明された(笑)

鷲宮町が「らきすた」で町おこし

「らき☆すた」で町おこし 鷲宮神社で公式参拝イベント - ITmedia NEWS
アニメ「らき☆すた」の舞台となった埼玉県鷲宮町鷲宮神社と、神社近くにある「大酉茶屋わしのみや」で、らき☆すたの声優陣などを招いた公式イベントが、12月2日に開かれる。大酉茶屋わしのみやで、らき☆すたにちなんだブランチメニューを提供。その後、鷲宮神社を参拝する。

MANTAN - 毎日新聞
同商工会によると、午前5時ぐらいファンが来場し始め、同7時半ごろには定員の約200人を超える列ができたといい、同日先行発売されたキャラクターのイラスト絵馬付きストラップも用意した2100個が完売する大人気となった。来場者も東京都、埼玉県など近郊のファンだけでなく、広島県から来たという男性や、作品のキャラクターを描いたユニークな自動車「痛車」で京都から来たという男性もいた。また、多くの来場者の人員整理は、「らき☆すたファン十数人がボランティアを買って出たといい、「特に大きな混乱もなかったが、ボランティアのおかげだと思う。

報道:【らき☆すた】埼玉・鷲宮神社 町おこし(テレ玉+α) - ニコニコ動画

3500人!?2100個完売!?
いや,らき☆すたが放送されたのって結構前だよね….この企画が持ち上がったときも,「旬を逃した」とか「タイミングがおかしい」とかいろいろ批判が出てたけど,結構すごいんじゃないか?
声優イベントってこんなに人が集まるものなのだろうか?まぁ人気声優が出るから集まるだろうなとは思っていたが……

プロダクト・プレイスメントとは

詳しくは先のエントリを参照してほしいが(知ってる人は読み飛ばしてください)

プロダクトプレイスメントとは、テレビ番組や映画の中で企業の商品を登場させる宣伝広告の方法のこと。従来のテレビCM広告に変わる、新しいマーケティング(宣伝広告)の方法として注目が集まっている。

近年ではVHSビデオデッキやハードディスクレコーダーなどに「CMスキップ機能」が搭載されるようになり、テレビCMの閲覧頻度が大きく下がってきています。その為、番組の合間ではなく、番組そのものの中に商品を登場させて、企業が広告活動を行う動きが活発化されてきています。このように、テレビ番組や映画などと企業CMを融合させたマーケティング手法を「プロダクトプレイスメント」と呼びます。

欧米ではかなり盛んに行われており、アメリカのプロダクトプレイスメント市場は2004年度は34億ドル以上(約4千億円)に登ります。人気映画「007(ダブルオーセブン)」で、主人公・ジェームズボンドが乗るハイテク機器満載の車は、いつもBMW製ですよね。あれなんかは、プロダクトプレイスメントの典型的な例だと言えます。
プロダクトプレイスメント

というCM方法のことである.

オタク文化における聖地巡礼

エロイカより愛をこめて - Wikipedia
主人公の一人と同名のドイツ・エーベルバッハ市(en:Eberbach (Baden))への観光客が急増。青池はこの功労により、エーベルバッハ市から名誉市民の称号を受けた。

なんてこともあるし,ベルばらもコレに近い現象は起こしている.
最近(?)では,おねがいシリーズの聖地巡礼http://www.sakai.zaq.ne.jp/irisissnow/one/index.html,http://www.gulf.or.jp/~masa-k/moe/one2/jyunrei01/jyunrei01.htm)なんかもあって,こういった舞台に人が集まることは知られている.*1
そして今回のらきすたのニュースは,そういった舞台も一緒になってWIN-WINの関係を築けるかも知れないという可能性を示した点で十分に評価できると思う.


これだけの人間が動いて問題もおきないし,人間が大量に押し寄せてくるという状態に慣れていない地域でのイベントで問題になってくる人員整理も,イベント慣れしているファンがボランティアで協力し,アドバイスをくれる……よくよく考えるとオタクってこういったイベントにもっとも適した集団であるなぁとも思う.
しかも彼らの通った後には気前良くばら撒かれた金が残る……

中央から取り残されていた地域でのイベント

今回のらきすたのイベントは埼玉と,都市近郊で行われたものだけれど,こういったイベントが成功を収めたことで,他の地域でイベントが行われるかも知れないなぁ…と思っている.
そうすれば今までほとんどの声優イベントが都市近郊で行われていて,行きたくても行けない地域の人々にも,地元で声優イベントに参加できる機会がやってくる

まとめ

今回のイベントにより,地域で町おこしの一つとしてアニメイベントを開催する有用性が,ある程度実証されたわけで,地域は地元でのアニメイベントの開催を望み,アニメ会社は地域でのアニメイベントを開催することにより,今まで切り捨ててきた地域のアニメファンに対してアプローチできるし,また,地域復興・町おこしという社会貢献ができる(イベントの招致に伴い,いろいろと儲けられるかも知れない)し,いいこと尽くめだなぁと楽観的に思った.

*1:朝霧の巫女」の広島県三次市の例や、大林宣彦監督の尾道三部作の時代にすでに巡礼行為があった