2012-02-21 題詠2012投稿(051〜060)
題詠2012投稿(051〜060)
051:囲
山間(やまあい)の小学校を囲む如く緑とともに村の広がる
052:世話
世話人になりたるからには例会にまじめに出るのほかにすべなし
053:渋
渋々と出し会なれど懐かしき顔も交えて酒の進みぬ
054:武
関ヶ原深き木立の繁る中をいかにして武者は駆け降りたるや
055:きっと
次回にはきっと出ますと約したる会の日取りがまた近付きぬ
056:晩
その意識なきままに日を送りおれど既に晩年なるやも知れず
057:紐
腰紐を解(ほど)く仕草のなまめきて春の舞台は春の香りす
058:涙
左目の涙は涙管異状ゆえと聞かれぬ前に言い訳をする
059:貝
貝採りに行きし女ら帰り来れば浜辺にわかに華やぎを増す
060:プレゼント
2012-02-20 題詠2012投稿(041〜050)
2012-02-19 題詠2012選歌集(その4)
選歌集・その4
003:散(77〜103)
(わたつみいさな)散らかったおもちゃのように待ちわびる春っていつからはじまりますか
(田丸まひる)幾千の星を素肌に散らせても選ばれないと知る冬の夜
004:果(65〜91)
(ましろ子)いつまでも果てない夢はくすぶれど手に乗るサイズの幸せがすき
(いまがみまがみ)体中の真水に鳥が来ればいい 記憶の果てに水差しを置く
(穂ノ木芽央)成果主義に食ひつぶされしわかものが非常階段あゆむ真夜中
(わたつみいさな) 果たされた約束ごとにいつまでも縛られているほそい傷あと
005:点(62〜87)
(五十嵐きよみ) 何もかも濁点だらけにしたくなる今日の私のとがった心
(飯田彩乃) 知らぬ間に肩の上にいた濁点を夜の空へと放ってやった
(寒竹茄子夫)寒燈の点る窓辺に霜響く夜となりぬればチェホフ読み継ぐ
009:程(31〜58)
(小夜こなた)程々のしあわせがいい悲しみも程々に通り過ぎていくから
(tafots) 鳰鳥のふたり並んで見届ける 喰われた月の満ちゆく過程
(佐藤満八)程々がいつの間にだかほどほどでなくなっていく恋のはじまり
(五十嵐きよみ) 楡の木に歌を教えている風の今日は安定しない音程
011:揃(27〜51)
(粉粧楼)思い出の軌跡つむいで重ねても夜の深さはいつも不揃い
(芳立)をしどりにみえぬ夫妻がくちばしを揃へてなじるわが独り身を
(酒井景二朗) 春の花一揃ひ咲く頃迄に暗い日記を片付けようか
012:眉(28〜52)
(ありくし)早梅の風は眉毛に柔らかく昨日交わした嘘も忘れる
(ちゃこ) 本日は 締め切りよりも 会議よりも 作り損ねた 眉が気になる
018:希(1〜25)
(平和也) コーヒーにしては希薄な液体が注ぎ出される夜のファミレス
(夏実麦太朗) 希望とは姿を変えてひそむもの中学校の校歌のなかに
(しま)夢のまま夢でいたいという夢を「希望」と書いた 翼を添えた
(蓮野 唯)絶望と言う鎖より尚重い希望と言う名の届かぬ願い
019:そっくり(1〜28)
(夏実麦太朗)真夜中にのむ酒よろしするめいかコンロの上にそっくりかえる
(紫苑) ひとの子とそつくりに鳴く野良一匹見捨てもならず餌を運びをり
(みずき)過去の恋そしてけふ又そつくりな恋に落ちたる木漏れ日のなか
(新井蜜) 知つてゐる朝はまだ来ぬこの部屋はしらない夜にそつくりだから
020:劇(1〜26)
(夏実麦太朗)何気ない寸劇みたいな毎日で良いんじゃないかと自分に言った
(しま)劇場の裏を歩けば猫がいてそのまま逆に流れる時間
(こはぎ) 劇的なおしまいなんて無いのだとメール履歴を彷徨う夜更け
(みずき)惨劇をまざまざと見し三月の脳(なづき)真白く震へし記憶
(葵の助)ありふれた子らとの日々を呟けば140字の寸劇だらけ
021:示(1〜25)
(黒木うめ) 匿名の掲示板には今日もまた誰かのいのち晒されていて
(浅草大将) (回文にて詠める) 止せ自縛なさけと人の道示し魑魅の問ひ解けさなくば死せよ
2012-02-18 題詠2012投稿(031〜040)
題詠2012投稿(031〜040)
031:大人
ひさびさに会いたる孫らそれぞれに大人びたれば我れが照れおり
032:詰
若きころは詰めが甘いと思いおりし男も立派な幹部となりぬ
033:滝
音だけはすれど木立の遮りて滝の姿は見えぬまま行く
034:聞
金沢の娘の家は五時となれば遠いお寺の鐘が聞こえる
035:むしろ
やらぬ方がむしろましだと思いつつ半端なことをせしこともあり
036:右
037:牙
西班牙(エスパニア)の商館長(カピタン)たちは紅き酒酌み交わしいぬ月は半月
038:的
老いゆえかこのところ我が詠む歌は直線的なもののみ多し
039:蹴
蹴球(しゅうきゅう)と呼びて遊びしこともありし少年時代は無限の彼方
040:勉強
勉強してみますと言われて日は過ぎていつしか冬も終りとなりぬ
2012-02-17 題詠2012選歌集(その3)
選歌集・その3
002:隣(59〜84)
(蓮野 唯) 主たる貴方の隣立つために騎士道という言い訳をする
004:果(40〜64)
(コバライチ*キコ)無花果を祖母がもぎたる秋の日の夕陽まぶしき記憶残れり
(さとうはな)身のうちにためらひはあり ひとふさの果実分け合ごとき出会ひに
005:点(35〜61)
(梅田啓子) ふるさとの点景として今もあり駅前をゆく皮膚を病む犬
(酒井景二朗)春乍ら寒い御堂に點された火の數々はただ直ぐに立つ
006:時代(28〜53)
(廣珍堂)ますらをの 使ひし品も 土のなか 平安時代の 発掘終へる
007: 驚(34〜60)
(東 徹也)人生に驚いたような寝顔です海馬は記憶を処理せず眠る
(熊野ぱく)驚きを隠すフリして微笑んだ口角の先しめすそらごと
(飯田彩乃)驚きはさざ波のごとく広まりて同じ場所より静まってゆく
008:深(30〜54)
(ゆら) 物語のなかだけにある救出を諦められない深く抱き合う
(粉粧楼)深海魚みたいな色の目を開き底だけを見る終わらぬ夜に
(小夜こなた)深爪を繰りかえす君の指先を包んでつくる蕾のかたち
010:カード(30〜54)
(はこべ) このカード使うタイミングはかりつつ顔色さぐるゲームのたのし
(太田槙子)捨てられる為に発行されているポイントカードみたいな恋だ
(星和佐方)図書カードのピーターラビット包みゆく本屋のバイトのにほひをまとひ
015:図書(1〜25)
(みずき)図書室をひかりが奔り少年は黙す指(および)を透かしつつ読む
(ひじり純子) 課題図書読んで書いてる感想文みたいに見える君からのメール
016:力(1〜27)
(みずき)力まずに過ごす日日なれ 人生を賭けた遠い日思ふ晩春
(蓮野 唯)引き寄せて奪う魔力に込められた貴方の愛に縛られて酔う
(空音) 二の腕に手形の痣が残ってる男の子って力が強い
017:従(1〜25)
(ほたる) 服従はトーストにぬる蜂蜜のぬぐいきれない怠惰な甘さ
(みずき)従へぬ理由の間(あひ)を降る雨が睫毛を濡らす海いろの玻璃
2012-02-13 題詠2012投稿(021〜030)
題詠2012投稿(021〜030)
021:示
「文無し」との標示と見れば文京区無縁坂とて二行に書ける
022:突然
ネット開けば三十年前の記録ありて我が名突然現れ出でぬ
023:必
原発の必要性を説きしことが心の澱となるやも知れず
024:玩
孫たちも玩具と縁なき歳となりて古き戸棚は無視して通る
025:触
賀状読めば我が人生の断面に触れたる人ら訪い来るに似る
026:シャワー
シャワーにはいまだ馴染めず浴槽の湯を汲み出して汗を流しぬ
027:損
赤字の方が多かったような気もしており我が人生の損益計算書
028:脂
029:座
駅前のベンチに座る人群れに春にも似たる日の差しており
030:敗
アンタレス
お久しぶりです。何時も判り安く身じかなお歌で安心して拝見させて頂いて居ります。今日の23の原発のお歌を詠ませて頂き、以前ご自分も関係している事なので心を痛めて居りますと書かれた記事を拝見しましたが、今日のお歌では推進なさって居られ今も心を痛めて居られるお様子、本当にまさかの大きなリスクでしたね。此の侭一生一員として心に刺が刺さって居られるのは何とも申し上げようの無いお辛い事だと思います。どうぞその他大勢の責任においてなされた事,分ち合って最善に向って居りますので余りお心を痛めずに、奥様と囲碁を楽しんで下さいませ。インフルエンザにお気を下さいませ。
アンタレス様 西中
御親切なコメントありがとうございます。率直に申して、自分が間違ったことをしていたとは思っておりませんし、単純な「反原発」の心情には抵抗を感じる部分もあります。しかし、「心の澱となるやも知れず」という程度の迷いも抱いているのが正直なところです。どうもありがとうございました。
2012-02-11 題詠2012選歌集(その2)
選歌集・その2
001:今(71〜96)
(ちゃこ)いつもです。それでいいのです。バスは今朝も三分遅れで到着しました。
(五十嵐きよみ)行儀よく並んだ五十音表をばらばらにして今うたいだす
(蓮野 唯)愛してと告げる勇気を今一度持てないままで寝たふりをする
(田丸まひる)これ以上さびしい顔ができるなら、できるなら今、見せてあげたい
003:散(52〜76)
(横雲) 霜柱光溶け行く庭陰に山茶花の紅散り敷きてあり
007:驚(1〜33)
(富田林薫) 驚きの白さにほんのたわむれてシーツをたたむ日曜の午後
(ありくし)月だけは見えると歌う盲人の話を驚きもせずに聞く
008:深(1〜29)
(夏実麦太朗) 深炒りの缶コーヒーを選ぶなら少しはやさしくなれるだろうか
(みずき)深大寺そこから先は見えぬ貌(かほ)夢まぼろしと消えし初恋
(ミカノ) 眠る子の深く沈んでいくようで 何度も寝息確かめている
(太田槙子)暗闇を溶かして空を朝にする白の深さに支配されてる
009:程(1〜30)
(秋月あまね)音程は1オクターブ違ってもおんなじ曲で歩いてゆける
010:カード(1〜29)
(紫苑)カード引く指に力の籠もりきて幼なき目より笑ひ消へたり
(みずき)カード切る女は白きユトリロの世界に棲むや春の雨降る
(ひじり純子) 添えられたカードの文字に癖がある カタログ通りの薔薇の花束
011:揃(1〜26)
(こはぎ) お揃いの雑貨手に取りまた戻し別々になる日ばかり思う
(紫苑)不揃ひの小鉢に似たり差し向かひ黙して過ぐすひと日の終はり
(しま)不揃いでいいと思った青だけがいつも短いクレヨンの色
(みずき) 晩秋と思へど揃へし白菊の切り口寒く鉢に盛りたる
(空音)窓の無い小さな部屋で重ね合う不揃いな愛に脚を絡める
012:眉(1〜27)
(夏実麦太朗)ロッカーの鏡のなかにひとりきり眉の角度を確かめている
(映子)おでこ眉鼻唇とくっつけて キミと一緒の 今日がはじまる
013:逆(1〜25)
(平和也)朝ごとの冷えの逆らいがたさゆえ十五分間先送りする
(シュンイチ) 「逆上がりできなかったね」会うたびにおんなじ話ばかりしている
(葵の助) 「逆さまの町なら暮らしやすそうだ」少女がくるり鉄棒おりる
014:偉(1〜25)
(葵の助) ミスをして平謝りした帰り道青信号までやけに偉そう
蓮野 唯
西中さん、ご無沙汰しておりました。
去年は参加表明だけしてリタイアし、今年戻ってきたと思ったらヲタク全開内容で、まったく申し訳ない限りです。
歌の内容から今年はほとんど選んでいただけないと思っていますが、最初の1首を選んでいただきましたので、もうそれだけで満足です。ありがとうございます。
今年は早読みですでに60首まで投稿済みですので、うまく行けば自主練で2週目をこっそりやるのもいいなと目論んでおります。
西中さんにおかれましては、お元気そうでお名前見たとき本当に嬉しかったです。
今年もよろしくです。
蓮野 唯様 西中
お久し振りです。すごいペースですね。私の方は、歌心が涸れて来たのか、一向に良いものが生まれて来ません。まあゆっくり走ろうかと思っております。蓮野さんの御作もゆっくり拝見することになるかと思いますが、楽しみにしております。
2歳のオノマトベのお子様も、そろそろ学校ですか? お楽しみですね。
蓮野 唯
ありがとうごじざいます。まさか40歳すぎてからヲタク世界へ戻るとは思ってなかったんで、びっくりです。
うちの息子は今年の9圧で6歳です。今年幼稚園の年長さんになります。
よく喋りますよw
蓮野 唯様 西中
早速のご返事ありがとうございました。楽しい御家庭が目に見えるようです。
葵の助
西中様
走り始めたばかりですが、私の歌もいくつか取り上げていただき嬉しく思っております。
お願いがあるのですが、こちらのサイトを私の題詠用ブログにリンク貼らせてもらってもよろしいでしょうか
葵の助様 西中
コメントありがとうございます。これからの御作拝見するのを楽しみにしております。リンクの件、もちろん結構です。よろしくお願い致します。
葵の助
西中様
おはようございます。早速貼らせてもらいました。
私も残り80首です。頑張りま〜す。
2012-02-10 題詠2012投稿(011〜020)
2012-02-09 リスクとバランス(スペース・マガジン2月号)
例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。
いずれも東京での話だが、福島原発による放射能を避けるために海外や沖縄に転居した人がいるという。また、こどもが外出から帰るたびに、ミネラルウォーターで全身を洗う母親がいるという。人によって受け止め方はさまざまだろうが、現在の時点での私の目から見れば、いささか過敏な反応だと思われてならない。
たしかに、現在問題になっている低レベルの放射能による被害の可能性は、完璧には解明されていないようだし、不安感を抱く人がいても不思議はない。しかし、私の理解によれば、シビアな見方をとった場合でも、たとえば癌に罹る人が100人から101人に増えるかも知れないという程度のレベルのものだと思う。1人増えることを軽視するわけではないが、喫煙やストレス、運動不足や野菜不足、あるいは過労や貧困、生活環境の変化などの他の要因によっても、これを大幅に上回る増加があり得る性格の数字であり、社会生活におけるさまざまなリスクの度合いを比較して、バランスのとれた判断をすべきものだと思う。最終的には、それぞれの人の価値観、人生観に帰着する話ではあろうが・・・。
昨夏の話だが、京都の大文字焼きに東北の木材を使うことへの反対や、福島産品のフェアの福岡開催への反対があり、いずれも断念に追い込まれたと聞く。「東北産の野菜を食べることは毒を飲むようなものだ」とテレビで放言した学者もいたと聞く。更に最近の報道によれば、東北からの瓦礫の持ち込みに対する拒絶反応も依然として強いようだし、バランス感覚を説いた首長に対して「人殺し」という罵倒があったケースもあると聞く。
中身にもよるが、ここまで来ると、「それぞれの人の価値観、人生観」の問題だとは言っていられなくなる。これらの言動は、多かれ少なかれ被災地の人々に悪影響を及ぼす問題であり、特に瓦礫の受入れに対する反対などは、被災地の復興を妨害する行動とも言える。しかも多くの場合、これらの反対運動は、地元の人よりは、むしろネットなどによって誘発された他の地域の人々によるものが多いと聞く。地元の人々であれば、「過敏な反応だ」という批判の枠の中に納まる問題かも知れないが、地元以外の人々による反対運動ともなると、その理由や動機が全く判らない。「反原発」ということなら理解できるとしても、被災地の瓦礫処理をはじめとする復興支援活動に対する反対が「反原発」につながるとは思えない。ご当人は「正義の味方」の積りで行動しているのかも知れないが、私の目には、単なる「騒ぎ屋」としか思えないし、極端な場合には一種の犯罪行為だという気すらする。
原発の「安全神話」は崩壊したが、その反面、新たに原発や原子力の「危険神話」が誕生したように思われてならない。もとはと言えば、原子力に関する政府や学者の言動が信用されなくなり、「何が真実なのか」という判断基準を多くの方が失っているという事実が根底にあるのだと思うし、その責任は原子力関係者のこれまでの言動に帰するものだとは思うが、それだからと言って、余りにもバランスの取れない言動に対する厳しい批判の目を失ってはならないと思う。(スペース・マガジン2月号所収)
2012-02-07 題詠2012選歌集(その1)
昨日私の投稿を010まで済ませたので、早速選歌に入ろうと思います。例年お断りしていることですが、何の権威もない勝手な選歌であり、ご不満の点もいろいろあろうかと思います。どうか私の遊びごころに免じてお許し頂きたいと存じます。
在庫が25首以上貯まった題について選歌をし、それが10題貯まったら選歌集としてブログに載せるという方針は、従来通りです。なお、スタート時とゴール時は、その方針通りに進めることには難点もありますので、弾力的に扱って行く積りでおります。
それでは皆様、これから長丁場ですが、よろしくお付合い下さい。終了時には、例年通り百人一首を作る積りです。
選歌集その1
001:今(001〜070)
(風乃茉琴) 今どこと電話で聞かれ嘘を吐き花屋の花を眺めて泣いた
(平和也)今でこそ笑い話と振りかえる昔を持たぬ三十路の半ば
(ラヴェンダの風)こんこんと水湧く井戸のある家に大叔母住みし今市の里
(粉粧楼) 手の中の今川焼きは冷めてゆき人待つ午後はいつでもひとり
(中西なおみ) 今はまだ遠い春ですたんぽぽになりたがってた雪が降ります
(梅田啓子)今しがた帰り来たるや背戸きしむ音の聴こゆる如月の夜半
(夏実麦太朗)新聞が郵便受けに入る音ことり聞こえて今日は始まる
(みずき)今を急く時間(とき)も心も雪のなか白き夕べのなほ遙かなる
(小夜こなた) 今日までと明日からとが混じりあう風を見ていた君に抱かれて
002:隣(001〜058)
(紫苑)里やまに春の隣りの近ければ梢を透かすひかりやはらぐ
(ラヴェンダの風) 隣室の夫の起き出す気配して寒の極みの一日(ひとひ)始まる
(梅田啓子)凍てつける日本列島この朝は春隣(はるとなり)さえ冬のただなか
(湯山昌樹)隣家なる竹林より根を伸ばし我が畑にも筍生える
003:散(001〜051)
(ほたる)ためらわず今夜のうちに捨てましょう明日散るかもしれない花は
(南野耕平) 散らかった心の部屋の真ん中で清く正しく途方に暮れる
(庭鳥)冬枯れの木立を渡る北風が雪ん子の花散らしてまわる
(みずき)散る櫻(はな)のあはひに佇ちて翳みゆく調べのやうな宙の優しさ
(ラヴェンダの風) 山茶花の散り敷く庭をほんたうに好きと思ひしあの家あの日
(中西なおみ)あなたから生まれた音を折りたたみ散らばぬように包む手のひら
(梅田啓子) 散文に書かざることのふたつみつ韻律にのせひと息に詠む
004:果(001〜039)
(みずき)果てしなき空の彼方にある未来 黒蝶の舞ふ夢を見てゐる
(芳立) 内蒙の果たての汽車に老爺より東京高師の日本語を聞く
005:点(001〜034)
(しま)見上げてもやっぱり冥い夜だから点をつないで乙女座とする
(こはぎ) 点と点結べば見えてくる君の心変わりを塗り潰す冬
(夏実麦太朗)太陽の黒点ふえてゆく春に笑いの止まらぬ夢を見ている
(ほたる) 人生の汚点と思える恋だってあの日は白いTシャツだった
(粉粧楼) 恋に似た重みの言葉にじみ出て句読点打つようにためらう
(吉里) 点々と山の麓に灯る灯に笑いがありや涙がありや
(はこべ)点在すゆかりの場所は夢に見き宇治十条のそのままにあり
(芳立) ふゆごもり春のルージュはもえかけてまだ融点にとどかない君
006:時代(001〜027)
(ひじり純子)噛みしめて口ずさみたくなる年齢か 中島みゆきの「時代」と言う歌
(葵の助) 僕達の時代の音を閉じ込めて銀の円盤時空を超える
2012-02-06 題詠2012投稿(001〜010)
ここ数年参加しているネット短歌の会(注)への投稿である。投稿は、100の題につき1首ずつトラックバックして進めるのだが、1日に1首では効率が悪いので、投稿した後でまとめて整理し、ある程度まとまったものを、改めてこのブログに載せることにしている。
毎年スピードは速い方で、半月くらいで100題完走しているのだが、今年は少しゆっくり走りたいとも思っている。ただ、毎年勝手な選歌をすることにしており、自分が投稿する前に他の方の作品は読まないことにしているので、自作の投稿をしないことには選歌も先に進めない。そんなわけで、今年も結構早い完走になってしまうのかとも思う。
(注)五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられる会で、100の題が示され、これを2月から11月までの間に題の順にトラックバックして行くというスタイルの会。毎年、ある程度まとまったところで勝手な選歌集をこのブログに掲載し、終わったところで「百人一首」を作っており、今年も同じようにしたいと思っている。
題詠2012投稿(001〜010)
001:今
002:隣
音もなく雨降りたるか街灯に隣の屋根の光りておりぬ
003:散
川岸の桜並木を行く人の後姿に花散りかかる
004:果
あらかたは我より若き人なりて歴代局長の宴(うたげ)は果てぬ
005:点
テレビ点けに立ちて行くのも億劫で湯の宿の夕べぼんやりと坐す
006:時代
ハワイよりの援助物資のチョコレート宝物(ほうもつ)とせし時代もありぬ
007:驚
驚きの感覚次第に薄れるも喜寿近づきし齢(よわい)のゆえか
008:深
009:程
程の良き山の湯宿に満ち足りて野天の風呂に雨の音聞く
010:カード
2012-01-08 大阪の乱(スペース・マガジン1月号)
例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。
大阪府知事と大阪市長の選挙で、松井さんと橋下さんが圧勝した。ご承知の通り、橋下さんは府知事を任期途中で退任して市長に鞍替えし、松井さんがその後任の府知事の座に坐ったものである。橋下さんと大阪維新の会にとっては、まさに我が世の春だろう。
任期途中の鞍替え自体は合法的なものではあるが、任期途中で退任して自分に同調する人を後任に推すという手法は、一般的に言えばかなり異例なことには相違あるまい。また、地方自治体において、知事と議会との間にある種の緊張関係が生じることは、自然な姿だと思われるが、橋下さんは大阪維新の会によって、議会の面でも府と市のリーダーシップを握ることに見事に成功した。橋下さんのリーダーシップとカリスマ性、そして行動力には脱帽するしかあるまい。
しかし、それだけに橋下さんには大きな不安を感じる。以上に書いたようなこれまでの行動もそうだし、独裁肯定とでも言うべき彼の言動等々、その姿勢には不安要素が大きい。また、彼の政策にも疑問点が多い。教育や職員に関する基本条例は、国旗国歌の強制をはじめ、法律の枠からはみ出したとも思われる強権的な内容を多く含んだもののようである。教員や公務員がことなかれ主義になって萎縮してしまうことも危惧される。
いわゆる「大阪都構想」に関しても、疑問点が多い。以前から大阪は府と市の折り合いが悪く、「不幸せ(府市あわせ)」という言葉が示すようにいろいろな問題はあるようだが、大阪市の人口は大阪府の人口の30%に過ぎない。県内最大の都市の人口のシェアを見ると、東京都の68%を別格として、最大都市が30%を超えるシェアを持っている道府県は23に及び、大阪市は決して突出した存在ではない。これらの県と市が何とか折合いをつけて施策を進めているのだとすれば、少なくとも数字の上で見る限り、大阪の問題は構造的な制度の問題ではなく、大阪固有の運用の問題のように思われてならない。
さまざまなタイプの首長があることは当然だが、私が腑に落ちないのは、大阪府民や市民は、橋下さんの主張や政策をどのように理解して、彼をリーダーとして選んだのかということだ。現在の閉塞感の強い世相、とりわけ首都圏の一極集中傾向の中にあって、過去の栄光の記憶を持つ大阪府民や市民がより強い閉塞感を抱き、中央や既成の権力に対する強い反発を有しているのだろうということは想像できる。しかし、独裁者を肯定するような選択が、府民や市民にとって、特に橋下さんの支持層と思われる若い世代にとって、幸せな未来につながるのかどうかには、疑問を抱かざるを得ない。新しい権力者たちが、選挙の結果を白紙委任だと思い上ることなく、謙虚に施策に取り組むことを期待するとともに、中央政界が今回の選挙結果に安易に振り回されることのないよう念願するところだ。
* * * *
早いもので、この欄を持たせて頂いて8回目の新年を迎えます。去年は日立市や周辺地域の皆様にとってもいろいろ大変な年だったと思いますが、新しい年が皆様にとって良い年となりますよう、心からお祈り致します。(スペース・マガジン1月号所収)
2012-01-05 題詠100首参加申込(西中眞二郎)
2011-12-31 平成24年年賀状
年頭に当たり、皆々様のますますの御健勝と御発展をお祈り申し上げますとともに、今後とも変わらぬ御厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
[近況]さしたる変化もない日常ですが、年齢相応にまずは元気に日を送っております。幸い大震災の影響はなかったものの、それまでと時間の流れが変わって来たような一種の虚脱感めいたものも味わっておりましたが、良かれ悪しかれいつのまにか平常の感覚に戻って参りました。なお、詳しい近況はブログに記載致しております。
平成24年元旦 西中眞二郎(毛筆にて署名)
住所・電話番号(略)
URL http://d.hatena.ne.jp/nishinaka/
* * * * * *
以上が今年の私の年賀状です。本物はタテ書きです。このブログを通して御面識(?)を頂いた皆様にも、この場を利用して、上記年賀状により新年の御挨拶を申し上げます。なお、親戚や共通の知人あてのものは家内と連名にしております。また、機械的に送られる迷惑メールを避けるため、このブログに転記したメールアドレスには「@」を一つ余計に記載しております。
以前から申し上げておりますように、宛名と私自身の署名は、数年前まではすべて筆で書いておりましたが、筆書きもいささか重荷になり、宛名については、3、4年前から一部はパソコンに切り替え、今年はほとんどパソコンに頼ることに致しました。高校生のころから毛筆による宛名書きを続けておりましたので、何だか手抜きをしたような「罪の意識」も感じております。
ところで、上記年賀状で、「詳しくは私のブログで」と書いておりますので、以下その「詳しく」を書かせて頂きます。
<「詳しく」の中身> 平成24年1月1日現在
早いもので、通産省を退官してから24年半、最後の職場の南関東自転車競技会会長の職を退いて8年半になりますが、まずは元気に、さほど退屈もせずに日を送っております。いろいろ気が多いものですから、自分なりに結構忙しくしていると申しても良いのかもしれません。
ワープロからパソコンに切り替えてから8年強、ブログをはじめてから7年弱というパソコン歴ですが、いまや、パソコンやブログのない生活は考えられないような状況でもあります。
以下、年賀状の補足として、少々近況報告をさせて頂きたいと存じます。
1 3月11日の大震災は、かなりの揺れを経験しましたが、飾り棚の上の花瓶が落ちて壊れた程度で、特段の被害はありませんでした。それにしても、思いもよらない大災害で、われわれの生活、さらには人生が脆弱な基盤の上に立っているという現実を痛感しました。その際の我が家の状況は、3月13日のブログにやや詳しく書いております。
なお、後述のスペース・マガジンの「愚想管見」に、主として福島原発の事故に関連した小論を、何度か載せております。
2 5年に一度の国勢調査の結果の整理や分析が私の最大の道楽で、著書も2冊あるのですが、昭和60年調査の結果を、当時まだ勤務中だった通産省の広報誌である「通産ジャーナル」に寄稿して以来、毎回同誌に掲載して25年が経ちました。平成22年10月の国勢調査の速報値が去年2月下旬に公表されましたので、また同誌にお願いしたいと思っていたのですが、残念ながら廃刊になったとのことで、今回はダメかと諦めかけていたところ、ある知人のご紹介を頂き、自治実務セミナー5月号(第一法規刊)に、「90%が市民になった――平成22年国勢調査覚書」というタイトルで掲載することができました。
同誌の方針に従い、ブログに原文を掲載することは控えておりますが、2月25日と6月5日のブログにサワリだけを掲載しております。また、スペース・マガジンに掲載した関係記事を転載したものもいくつかあります。
3 「大相撲の八百長――存廃問うのは行き過ぎ?」が2月16日の朝日新聞の「視点」に掲載されました。この欄は、専門家や関係者の執筆によるものが多く野次馬によるものは少ないので、載ることはあるまいと思いながら投稿したものです。また、「料金転嫁は不当とは思わない」が6月2日の同紙の「声」に掲載されました。「声」掲載は、ここ数年で15回近くになりました。投稿マニアというわけではない積りですが、言いたいこともいろいろあり、ついつい筆が走ってしまうのが正直なところです。
前者は、「大相撲の八百長騒ぎは大袈裟過ぎるのではないか」という趣旨のものであり、後者は「原発事故の補償は電気料金に転嫁すべきではない」という主張に対する反論です。2月16日と6月3日のブログにそれぞれ転載しております。
4「独遊会」という大学のクラス会(昭和31年に東大教養学部文科1類に入学し、L1・5Bという語学のクラスに属していた60名程度の会)を毎年1回開催しているのですが、一昨年春の会で、「卒業50年を記念してクラス会雑誌を作ろう」との提案があり、よせば良いのに、「編集から印刷製本まで、私がやろう」と引き受けてしまいました。結果はまずまず好評であり、「来年も作ろう」という話になったところまでは良いとして、またまた出しゃばって製作を引き受けてしまいました。このため、一昨年後半から昨年早々にかけて、少々忙しい思いを致しました。なお、それに載せました私のエッセイ「さまざまな岐路」は、4月2日のブログに転載しております。
5 日立市で刊行されている「スペース・マガジン」というタウン誌に、「愚想管見」というコラムを持たせて頂き、毎月思いつくままに勝手なことを書いております。早いもので、去年で丸7年になりました。これもこのブログに毎月(10日前後)転載しております。
6 五十嵐きよみさんという歌人の方が主宰しておられる「題詠100首」というネット短歌の催しに参加しているのですが、参加者の方の作品19,144首を勝手に順次選歌し、このブログに72回にわたって選歌集を掲載しました。また、その締めくくりとして、催しの終了後、全く勝手・気ままな試みとして、「題詠100首・百人一首」を作り、12月4日のブログに掲載しております。これも昨年で7年目になります。
7 私の郷里山口県の「東京東和町人会」の会長を11年間、同じく「東京大島郡人会」の会長を2年間務めましたが、一昨年秋次の方にバトンタッチ致しました。両会とも引き続き顧問を務めておりますが、お蔭様で「責任感」からは解放されました。なお、「東和町」は、瀬戸内海で小豆島に次いで大きい周防大島の東端の町で、平成の大合併で島内の4町が合併した結果「周防大島町」の一部になっているのですが、合併前の旧町人会は4町ともそのまま存続しているものです。
8 一昨年11月に「第三歌集・古希前後」を北溟社から刊行しましたが、昨年は新著の出版はなくおとなしくしておりました。なお、平成18年5月に刊行した「日本語雑記帳―――ことば随筆」(新風舎文庫)につきましては、千部弱増刷になったところまでは良かったのですが、平成20年早々に出版社が倒産してしまいました。もっとも、インターネットで検索しましたら、アマゾンあたりのリストには入っていますので、まだ流通はしているようです。(同書につきましては、18年の5月13日と8月5日付けのブログに、やや詳しく書いております。また、新風舎の倒産につきましては、20年1月3日のブログで触れております。)
9 最後にザル碁の話になりますが、私の棋力は弱い4段といったところです。30年以上前、ある機会に福島の猛牛と謳われた宮下秀洋九段に打って頂いて3段の免状を手にしたものです。目下の手近な碁敵は家内であり、家内は私に4子くらいですから、級位の上の方といったところなのでしょうか。特別のことがない限り、ほとんど毎日2〜3局くらい打っていますから、局数だけで言えばギネスブック・クラスだと思いますが、お互いにあまり上達しているとも思えません。むしろ私の場合、家内との対局のお蔭で手が荒れて来ているのではないかという気がしないでもありません。家内との碁のほかに、プロの先生に打って頂く会にも、二つ参加しております。
この1年の近況をやや詳しく申し上げれば、以上のようなことです。こうして整理してみますと、「余りたいしたことはしていないな」ということを、改めて感じます。細かいことまで言えばまだいろいろあったのかも知れませんが、とりたてて申し上げるほどのこともなく、概して「無為徒食」に徹しております。考えてみれば、この歳になれば、「夫婦ともに元気で、さほど変わったこともない」というのが何よりの朗報なのかもしれません。
2011-12-08 電報(スペース・マガジン12月号)
例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。
[愚想管見] 電報 西中眞二郎
昔は電報に頼ることが多かった。費用節約のため、なるべく字数を少なくしようといろいろな工夫がされたようだが、大学合格通知の「サクラサク」などは、短文の傑作だろう。もっとも、短かすぎて誤解を招くこともあったようで、郷里の父親に「金送れ。頼む。」と打った積りが、「金を呉れた。飲む。」と解釈されてしまい、「ノンデハダメダ」という返信が来たというジョークもある。古い話だが、海軍の軍人が夫人に「チンタッタサセニコイ」という電報を打ったという話もある。「鎮海を発ったから佐世保に来い」という言葉を省略し過ぎて、怪しげな文面になってしまったという笑い話である。鎮海は当時の朝鮮南部の軍港で、佐世保は九州の軍港である。久々の入港の際に夫人を呼び寄せるというのは、当時の海軍さんには良くあったことのようだ。
最近は、電話はもとより、ファックスやメールという便利な手段も生まれたので、電報の出番は慶弔の場合にほとんど限られて来たようだ。慶弔の電報の場合、文面以上にその台に凝ったものも多い。先年身内に不幸があった際たくさんの弔電を頂いたが、漆塗りらしい立派な台の付いているものが多かった。捨てるには惜しいので、たまたま外国から一時帰国していた身内がいたので相談したら、「外国人には判らないだろうし、日本趣味で喜ばれそうだから、お土産に持って帰る」ということになり、無事活用したこともある。これまた先年、叙勲のお祝いで頂いた可愛い小熊のプーさんの縫いぐるみ付きの祝電には、思わず笑ってしまった。
以前は電報の受付は郵便局でやっていたが、最近は専ら電話での受付になっているようだ。これは便利なようで、逆に厄介な場合もある。相手の名前にしても、どのような漢字かということを説明しなければならないし、文面で難しい言葉を使ったりすると、電話窓口の相手になかなか通じず、イライラした経験が何度かある。先日弔電を打った際には、受付センターが東北地方所在だったらしく、係の人の訛がきつくて復唱してくれる言葉を聞き取るのに苦労した。その点、郵便局で扱っているレタックスという手書き・ファックスの「電報」には、この種の問題はなく、その上、自筆の筆跡で届き、おまけに料金も安いので、最近はこれを利用している場合が多い。
慶弔の式典の際、祝電や弔電の紹介がされることも多いが、私はあまり好きではない。わざわざ出席している人については何の紹介もないのに、欠席者の電報だけが紹介されるというのは、いかにもアンバランスだと思う。特に勤務先や取引先の会社の人からの電報披露が延々と続いたりすると、「さもしい」という印象を受けることすらある。
あるパーティーで、ある会社の支店長さんからの祝電が披露された。ところがそのパーティーにはその会社の社長さんも出席されており、社長さんに関しては何のご披露もない。これは極端なケースだとは思うが、それに似たようなケースも結構多いのではないか。
どうしても出席できない場合に電報を打つのは、ご本人にとっては誠意の表れなのだろうが、それを皆様にご披露するかどうかは、全くの別物だという気がしてならない。
(スペース・マガジン12月号所収)
長井 義広
西中様
”西中ルーツ調査”にご協力依頼です、
私の母は旧姓”西中”です。 自分のルーツ探しを 初めようと思って WEBを検索
していると 西中様の苗字雑学(2007-03)に出会いました。
?下記について 何か情報が有りましたら教えてください。
ー三重県津市 (藤堂藩に所縁があるかも)
ー戸籍住所は 津城内?
ー伯父(西中)が 昔(明治初期?)西家から 西中家に変わったと聞いた
?ルーツの調べ方は 原戸籍をみるのが 一番だと思ってますが、
他の良い方法はご存じでしょうか(私は神戸市在住)
宜しくお願いします。
長井様 西中
お問い合わせ拝見しました。格別の知見もありませんが、長井さんのメールアドレスの方にご返事したいと思います。なお、同文と思われるコメントが2通入っていましたので、あとの方のものは削除させて頂きました。
はこべ
今年も沢山のお世話をかけました。
お蔭様で 大震災はありましたけれども
それ以外は無事におくることができました。
ありがとうございました。
2011-12-05 題詠100首・百人一首「あとの祭}
題詠100首・百人一首「あとの祭」
昨日12月4日のブログに、「題詠100首・百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、何が出て来るかと思いつつの楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、その前々日2日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、ほとんどが去年書いたもの(昨年12月5日付け「あとの祭」)の焼き直しであることを、まずお断りしておきたい。
出来上がったものを眺めて抱いた感想は、これまでと同様この題詠100首のレベルの高さである。選定の適・不適は別として、こうして眺めてみると、いずれも高いレベルの作品であり、しかも当然のことながらそれぞれの作者の持ち味が出ており、どこに出しても恥ずかしくない作品集だという気がしている。もっとも、今年はどちらかと言えば「無難」なものが多いのかなという気がしないでもない。全体としての作品の傾向なのか、それとも選者たる私の年齢のせいなのか、このあたりは良く判らない。
作品の中には、テーマに絞りをかけたり、いろいろな趣向を凝らしたものも散見されたが、今年の作品で驚いたのは、100首すべてを、上から読んでも下から読んでも同じ「回文」で統一された作者がおられたことだ。選歌集でも10首以上採らせて頂いたが、この百人一首では056の「摘」がその回文作品である。1首だけでも大変なのに、100首すべてが回文というのは、想像を絶する話だ。なお、作者のお名前も回文になっているとお見受けした。この催しの趣旨に適っているのかどうかは知らないが、そのご苦労と素晴らしい才能には、ただただ感服するのみである。
百人一首作成の過程について、例年通り少し御説明をしておこう。
百人一首の前提として、選歌集を72回(去年は77回)にわたってブログに掲載した。この催しの全作品19,144首(去年は20,697首)(注:主催者ブログのトラックバック件数として記載された件数。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち、選歌集に掲載した作品数は、2,491首(去年は3,184首)である。残念ながらいずれも去年を下回っている。
先日前夜祭にも書いたように、「題詠100首」の性格上、百人一首は、完走された方に絞ったが、完走報告をされた142人(12月1日現在。去年は160人。私を含む。)のほか、完走されたにもかかわらず完走報告をされていない方6名も、私の勝手な判断で完走者として扱うことにした。以上合わせた完走者は148名となる。選歌集に載せた2,491首のうち以上の148名の作品は2,021首(去年は2,677首)であり、この2,021首を百人一首の選歌の対象とした。なお、私の作品は選歌集には入れていないが、選者の役得で補欠あるいはDHとして、百人一首の選考対象には潜り込ませて頂いた。
この2,021首を作者別にカウントすると、
50首以上:2名 40首以上:3名 30首以上:10名 20首以上:21名 15首以上:14名 10首以上:34名 以上合計84名 となっている。昨年は13首以上の85名の方の作品を原則として選ばせて頂くという方針で作業したのだが、今年は一昨年以前に戻って、10首以上の方を優先して選定することにした。残りの16首はその他の完走者15名の方及び私の作品から選ばせて頂いた。結果としてその15名の方については、選歌数の比較的上位の方中心となった。選歌数10首に近い方からは、当然のことながら選ばれた方とそうでない方が生まれ、運不運(?)が分かれているが、作品自体の魅力に加え、作者と作品のマトリックスの関係もあり、この点はお許し願うしかあるまい。
マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、一目惚れした作品をまず選び(これは極めて少数)、次いで比較的迷わずに選定できる題や作者(多くの場合、候補作の少ない題や作者)の作品を順次選ぶといった方法で、次第に絞って行った。
一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。落とした方は他の題で入れなければならないし、その結果落ちる方がまた出て来る。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。とは言いつつも、なるべく満足できるものにしたいと思い、何度かの「玉突き」は行った。それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構あると思うが、最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。
先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラス(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)のものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。
選定の準備段階として、選歌集を纏める都度、その作品をパソコンの「エクセル」に入れて整理していたのだが、これは最終段階の労力をかなり省いてくれた。最初の1年は普通の「ワード」で整理していたので、最終段階でかなり無駄な作業も必要になったが、2年目から少し智恵が付いて「エクセル」にしたため、題や作者別に整理し直し、見直すのが、随分楽になった。
選歌集に載せた完走者の作品2,021首を、題別に見ると、次のような結果になっている。なお、当然のことながら、選歌の母体となった作品数は、題にかかわりなく完走者数(148人から私を除いた147人)と同じはずである。完走されなかった方を含む総投稿数は、当然のことながらはじめの方が多く、後の方ほど少ない(主催者のブログに表示されたトラックバックの件数レベルで、題001の投稿数315、題100の投稿数150)
<37>032:町 <35>009:寒<33>003:細<30>014:残
<29>068:コットン<28>005:姿・018:準備<27>001:初・008:下手<26>013:故・016:絹・059:騒・062:墓・063:丈・075:朱<25>007:耕・015:とりあえず・034:掃・069:箸
<24>010:駆・022:でたらめ・038:抱<23>002:幸・011:ゲーム・020:幻・021:洗・030:遅・033:奇跡・050:酒・056:摘・060:直・079:雑・087:閉<22>004:まさか・012:堅・017:失・047:態・048:束・067:励・071:謡・098:味<21>040:伝・041:さっぱり・042:至・044:護・055:虚・064:おやつ<20>029:公式・036:暑・039:庭・054:丼
<19>026:震・081:配<18>028:説・031:電・035:罪・058:帆・074:刃・078:卵・083:溝・086:貴・088:湧・092:念・100:完<17>019:層・023:蜂・025:ミステリー・037:ポーズ・045:幼稚・051:漕・061:有無・077:狂<16>006:困・024:謝・049:方法・052:芯・057:ライバル・076:ツリー・091:債・093:迫・094:裂・097:毎・099:惑<15>043:寿・065:羽・066:豚・072:汚・073:自然・080:結婚・095:遠慮
<14>027:水・046:奏・082:万・085:フルーツ<13>089:成・090:そもそも・096:取<12>053:なう・070:介・084:総
以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。来年も、喜寿が次第に近づいて来る私の気力と体力が続く限り、皆様にお目にかかれることを楽しみにしている。なお、これでこのブログ、短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。また来年お目にかかりましょう。
[1] 祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ。
雑食
西中さま
はじめまして。今回題詠blog2011に参加させていただいていました、雑食と申します。
選歌集、百人一首とも拝見させていただきました。ありがとうございます。
歌を詠むということ自体ほとんど初めてのような状況でしたので、
なんとか百首詠み終えただけでも御の字だったのですが、
こちらで選歌していただいたり、百人一首にも加えていただいたりしたことは、
望外の喜びとしかいいようがありません。
この企画に参加できたことの幸せをかみしめつつ、
これからもぽつぽつと歌を詠んでまいりたいと思います。
どうもありがとうございました。
雑食様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。短歌をはじめられて間もないとのお話、フレッシュでしかもこなれた御作からは想像もできません。あらためて御作を読み返してみますと、純愛ものの小説(たとえば、古くは「風立ちぬ」、新しくは「ノルウェイの森」といった)を連想致しました。あるいはピンボケの感想かもしれませんが、そのさわやかな後味と御力量に感服しました。歌歴60年と長さだけが取り柄の私としましては、ただただ脱帽あるのみです。(ところで、作風や内容から見て、雑食さんは女性だろうと勝手に想像しているのですが、男性らしい用語法もあり、いささか迷いながらこのコメントを書いたのも事実です。)
これからも素晴らしい作品を拝読できますことを楽しみにしております。
T-T
西中眞二郎様
初めてコメントさせていただきます、題詠2011に参加させていただきましたT-Tこと高橋徹平と申します。
この度は拙歌を百人一首の中に加えて頂きありがとうございました。選ばれている他の方々の実力に遠く及ばない自分の作品を滑り込ませて頂けたこと、本当にうれしく思います。
そして何より、丁寧に短歌に向き合われ、真摯に読み解く西中様のような方に拙歌を読んで頂けたこと、何よりの幸せだと感じております。
この度は誠にありがとうございました。
T-T様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。至って勝手な選歌であり百人一首ですが、多少なりともお役に立てれば幸甚です。これからもよろしくお願い致します。
紗都子
西中さま
百人一首作成お疲れさまでした。
今年も入れて頂いてとても嬉しく思っています。
昨年同様のスローペースで完走できるか不安でしたが、
励ましていただいて何とかゴールできました。
本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
寒さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
紗都子 様 西中
ご丁寧なご挨拶ありがとうございます。こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。寒くなりました。どうかお元気でお過し下さい。
砂乃
西中さま
今年もお疲れさまでした。
沿道でエールを送られながら走っているような気持ちにさせていただく
西中さまのblogに、何度励まされたかわかりません。
今年も拙歌を百首の中に入れていただけたことに、嬉しくてなりません。
今年は途中でペースダウンしてしまい、くじけそうになりました。
そして完走が第一のハードルですが、こうしていろいろな方とつながることが出来ることも題詠blogの楽しみでした。
寒くなってまいりました。
どうかご自愛ください。
では、また。
アンタレス
西中様 今年も百人一首ご選定本当にお疲れ様でした。有難う御座います。
此れだけのお心配りとお作成、中々出来ない大変な事と頭が下がります。
其れに優れた百人の方に紛れて入れて頂き申し訳なくも,とても嬉しゅうございます。
師走に入り急にお寒さもまして参りました。お風邪を召しません様にご自愛下さいませ。
どうぞお揃いで良いお年をお迎え下さいませ。
砂乃様 西中
コメントありがとうございます。至って勝手な選歌ですが、少しなりともお役に立てれば幸甚です。来年もよろしくお願い致します。
アンタレス様 西中
今年も残すところわずかとなりました。その後お体の方はいかがですか。どうかお元気で新しい年をお迎えになりますようお祈り致します。また来年ご一緒できるのを楽しみにしております。
保武池
西中様
百人一首に入れていただき、ありがとうございます。
また、別途コメントまでいただき、感激しております。
先日締め切ったところなのに、早くも百人一首を作成されるとは、なんという仕事が速さでしょう。びっくりしました。
1の「初」から、あらためて鑑賞させていただきます。
わたくしごとですが、西中様はじめ、皆さんの素敵な歌に刺激され、完走後に拙いながらも「普通の」短歌をはじめました。
来年は、「時々」回文短歌で参加しようかな、と考えております。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
保武池 様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。黙って選定しただけでは「回文」に気づかない方もおられるかと思い、御作の素晴らしさを皆様にご披露したくて触れた次第です。
また来年お目に掛かれますことを楽しみにしております。
理阿弥
西中さん、こんにちは。
今年も全ての歌に目を通されたのですね。
選ばれた百首はもちろんのこと、お題毎の統計データも眺めていて楽しいですね。
怠け癖のある私としては、西中さんの精力的なご活動に励まされています。
ありがとうございます。 m(_ _)m
題詠ブログ、2012も開催されるといいのですが。
理阿弥様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございました。来年もぜひご一緒したいものです。どうかお元気で新年をお迎え下さい。
みち。
毎年毎年、大変な作業だろうなと思いながらも楽しみで仕方のない百人一首です。
今年も素敵な素敵な百人一首。西中様が仰るとおり立派な作品集ですね。
そんな中に加えていただけたこと、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。
来年もまたご一緒できることを楽しみにしております。よいお年をお迎えください。
nahema
西中眞二郎さま:
こんばんは 初めまして。
今回、題詠blog初参加の nahema(ナエマ)と申します。
途中から何故かブログタイトルしか表示されなくなってしまったのですが
「うたのはこ」という名前でぽつぽつと詠んでおりました。
みなさまのすばらしい歌の数々の仲間に入れてくださり、ありがとうございました。
西中様のブログは、真摯なお人柄と、みなさまの作品に対する敬意が感じられて
いつも気持ちよく拝読しておりました。
西中様に訪れる新年がより佳きものでありますように。
みち。様 nahema様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。また来年ご一緒できますことを楽しみにしております。どうか良い新年をお迎え下さい。
紫苑
コメントが遅れまして申し訳ありません。
初参加にもかかわらずたくさん選歌をいただきました上に、
百人一首にも加えていただき、とても嬉しく思います。
こうして百人一首に編まれてみますと、皆さまの歌風の違いがまた面白く、
味のあるものですね。
めっきり寒くなってきました。ご自愛の上お過ごしくださいませ。
紫苑様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。風格のある御作が多かったので、選定にはかなり迷ったのが正直なところです。お気持に添う選定だったかどうかは判りませんが、作者と題とのマトリックスの関係に免じてお赦し下さい。
来年もご一緒できますことを楽しみにしております。
伊倉ほたる
コメントが大変遅くなり申し訳ありませんでした。私は今年もギリギリの完走でした。西中様に選歌していただくことや、こうして完走のご褒美に百人一首に加えていただけたことが本当に励みになりました。しみじみと嬉しさを噛み締めました!今年も残りわずかですがどうかよいお年を!(少し早いですが・・・)
本当にありがとうございました!!
伊倉ほたる様 西中
ご丁寧なご挨拶ありがとうございました。来年もぜひご一緒したいものです。どうか良いお年をお迎え下さい。
2011-12-04 題詠100首百人一首
題詠100首百人一首
001:初(足知)
マフラーを髪にも巻いた寒がりのあなたを胸に仕舞った初冬
002:幸(新藤ゆゆ)
おたまじゃくしをすくうみたいに幸せな指のかたちに折りまげてみる
003:細(ちょろ玉)
黒板を君はメガネをかけて見る 僕は細めた目で君を見る
004:まさか(五十嵐きよみ)
ポケットの右には「まさか」左には「やはり」が同じ重さでひそむ
005:姿 (香澄知穂)
あてもなく君の姿を探す街スカイツリーの蒼い影立つ
006:困(月原真幸)
困ったら誰かにつながってるはずの小指の先を握って隠す
007:耕(浅草大将)
耕して拓く楽土の夢さへも荒れ野の果てに伯父は眠れる
008:下手(鮎美)
009:寒(新田瑛)
働いてはじめての冬寒冷地手当で買った赤い手袋
010:駆(北爪沙苗)
沈黙のをとこはかなしも子としてのわれもかなしく駆け抜けるのみ
ゼロサムのゲームなんだね 思いきり甘くして焼くジンジャーケーキ
012:堅(みずき)
帯紐の堅さに凛と伸ばす背 春のうららを踏みて祇王寺
013:故(生田亜々子)
何故なんて言わせやしない目の前で潰す真っ赤な絵の具のチューブ
014:残(小倉るい)
残りたる家に「解体OK」の赤ペンキあり5月の宮古
015:とりあえず(はこべ)
とりあえず手袋はめてコート着る 選びかねたる散歩のコース
016:絹(小夜こなた)
桜色の絹のストールなびかせて自粛ムードの春を闊歩す
017:失(牛 隆佑)
僕もまた誰かにとっての失ったものでありえて宙を漂う
018:準備(雑食)
お別れを告げる準備はあなたからもらった紅を引けば整う
019:層(揚巻)
再生の鐘鳴りやまずかなしみのどの層位にも浮かぶ小夜曲
020:幻(酒井景二朗)
幻のごとき命か日だまりにしづまる墓に酒を注ぎつ
021:洗(水風抱月)
洗い髪梳かせば黒き一条の悔恨絡め嗤う指先
022:でたらめ(音波)
くだらない話をしようでたらめな歌をうたおう陽が照っている
023:蜂 (さくらこ)
024:謝(今泉洋子)
一日中メガネはカギは探しもの ミニミステリーあふれる我が家
026:震(理阿弥)
水面にて羽震わせる蛾を深く沈める指に波動さみしい
ぬるい水を口に含んだ そういえば今日は誰とも話していない
028:説(行方祐美)
029:公式(みち。)
ととのった公式みたいな恋をして解答用紙を火あぶりにする
030:遅(廣田)
031:電(星桔梗)
電線に連なる鳥の淋しさをついばむように朝陽がのぼる
032:町(夏実麦太朗)
市は町をのみこんでゆき何ひとつ昨日と変わることのない空
033:奇跡(はせがわゆづ)
てのひらにたしかな奇跡をあたためてポケットでつなぐ夕暮れの帰路
034:掃(梅田啓子)
すじ雲の天女のころもに見ゆる日はゆうべの紅きはなびらを掃く
035:罪(晴流奏)
真っ直ぐな君の視線は罪作り僕の本音も知らない癖に
036:暑(中村成志)
昼つかた蟻には蟻の蔭おちて暑中お見舞い申し上げます
037:ポーズ(紗都子)
三日月のポーズで高く伸びゆけば真夏の空にふれるゆびさき
038:抱(三沢左右)
モノクロの写真の中で銃を抱く姿は遠く影を投げ出す
039:庭(西中眞二郎)
040:伝(原田 町)
のっぺらぼうの伝説ありしこの街にのっぺらぼうなビル立ち並ぶ
041:さっぱり (モヨ子)
夏草に似てさっぱりとした君とシャツを購う今日の名残に
042:至(南雲流水)
急行に乗り継ぐ人を見送れば風が流れる夏至のホームへ
043:寿(いちこ)
冷静な別れ話の延長に値段表記のなき寿司を食む
044:護(藤野唯)
だめなひとばかりを好きになるのだと気付く誰にも護られぬ午後
045:幼稚(穂ノ木芽央)
幼稚園バスのトーマスさみしげに最後の子どもを降ろしゆく春
046:奏 (鳥羽省三)
奏鳴は寂として果つ午後八時サントリーホールしはぶきの満つ
047:態(東雲の月)
酔った目の嬌態左に抱き寄せて鈍き指輪の閃きを知る
048:束(まるちゃん2323)
049:方法(千束)
皆同じ制服まとい息継ぎの方法さえも知らなかった日々
050:酒(おおみはじめ)
051:漕 (T-T)
真っ白なシャツを帆にして自転車を漕ぐ君の背がとけ込む夕焼け
052:芯(久哲)
尺と言う古い単位に包まれて花火の芯で眠る夏色
053:なう(湯山昌樹)
旨そうなうなぎのにおいさせていた店も跡継ぎなくて閉じたり
054:丼(砺波 湊)
丼の底にはちいさな龍二頭 互いの尾の先追いかけている
055:虚(飯田彩乃)
帰らざる日々を思へば八月の日付は淡き虚数で記す
056:摘(保武池警部補)
057:ライバル(不動哲平)
058:帆(オリーブ)
少年の白いTシャツ風はらみ帆船となる夏の自転車
059:騒(アンタレス)
静かなる海に人恋う夕暮れの砂浜に座し潮騒を聴く
060:直(伊倉ほたる)
嘘つきにも馬鹿正直にもなれなくてバジルをちぎる白いキッチン
061:有無(るいぼす)
062:墓(村木美月)
かなしいをちゃんと形にできたからお墓の前で笑ってみせる
063:丈(こはぎ)
ひとりです おやつを我慢しなくてもいいし昼まで寝ていてもいい
065:羽(ひぐらしひなつ)
066:豚(佐藤紀子)
故里の夏には父母が使ひゐき豚の形のピンクの蚊遣り
067:励 (草間環)
励ましの言葉飛び交う列島に背をむけている猫背のわたし
068:コットン(空音)
いい人の振りなんてもうするものか裂くように脱ぐコットンのシャツ
069:箸(新井蜜)
悔やまれること思ひだし箸を置く時報の後のニュース聞きつつ
070:介(猫丘ひこ乃)
介護する吾の腕(かいな)は母の背の震えにまじる寂しさも抱く
071:謡 (うたのはこ)
072:汚(奈良絵里子)
うわばきの汚れることが嫌だった 小学校の避難訓練
073:自然(詩月めぐ)
074:刃(吾妻誠一)
シェーバーの型番のメモ取り出して替刃を探す閉店間際
075:朱(横雲)
白梅の散りかかりたる朱唇佛手合わす君に梅散りかかる
076:ツリー(南野耕平)
077:狂 (南葦太)
まだ君の夏の帽子は出っぱなし壁の時計は狂いっぱなし
078:卵(ほたる)
ゆで卵つるりとむける幸運を今日の証と思う朝食
079:雑(ウクレレ)
絞られた形のままで雑巾は乾いて夢を抱き続ける
080:結婚 (tafots)
お互いの結婚式に呼べるほど仲良しのまま別れましょうか
081:配(桑原憂太郎)
プリントを配る動作も担任の物真似をする一つとなりぬ
082:万(砂乃)
万感の思いを込めて見つめれば娘が振り向く卒業の朝
083:溝(夏樹かのこ)
側溝の桔梗一輪あでやかに冴えて少女が自転車を駆る
084:総(ネコノカナエ)
「総持寺」と御詠歌に聴き掃除する祖父をおもった幼い夏の日
085:フルーツ(津野)
籠盛りのフルーツの色は鮮やかに白き部屋には白きカーテン
086:貴 (藤田美香)
安売りのボンボンチョコと缶コーヒー貴婦人みたいなため息をつく
087:閉(牧童)
閉された想い朽ち果て歳月の砂塵のなかに舞う忍冬(すいかずら)
088:湧(青野ことり)
目覚めれば秋はにわかに湧きあがり金木犀の香りで満ちる
089:成(野州)
090:そもそも(富田林薫)
そもそもと切り出した後の静寂のコーヒーカップにかすか秋色
091:債(睡蓮。)
092:念(コバライチ*キコ)
念仏を唱うる僧の広き背に西日の影が伸びて這いおり
093:迫(小林ちい)
早足で高ニの終りが迫り来る言葉にならない不安を連れて
094:裂(龍翔)
引き裂かれ弾けて飛んで転がったボタンの穴が君を見ている
ためらいと遠慮のまじる送信が遠いどこかで鳴らす着信
096:取(香村かな)
取得した資格の数と同じだけ諦めてきた恋もあるから
097:毎(船坂圭之介)
夜毎夜毎夢に顕つ(たつ)影遠くして亡妻(つま)かあらずかわが迷ひ居り
098:味(螢子)
099:惑(紫苑)
100:完(葵の助)
夏実麦太朗
こんにちは 西中様
百人一首完成おつかれさまでした。
毎年楽しみにしています。(^_^)
投稿された数万首にもおよぶ全ての歌を読んで、
ゴール後数日のうちにまとめてしまう。
これはもう神業ですね。
百人一首、味わいつつ読ませていただきます。
麦
湯山昌樹
今年も、たくさんの歌を採っていただき、その上「百人一首」にも入れていただきまして、ありがとうございます。
今年は、職場は変わらないのですが、今までとは全く違う内容の仕事を任され、短歌に目が向かない時期もありました。しかし、西中さんの選歌に勇気づけられて、何とかここまでやってきました。
そんな事情もあり、選歌いただくたびにご挨拶することは控えさせていただきました。ここで、一年分の「ありがとうございました」を申し上げます。
「百人一首」に選んでいただいたのは、正直「なう」を元のままの形では読み込めなかった、逃げの一首です。しかし、過疎化する我が町の、ある意味で食文化の中心であった店が、突然姿を消した、という感情も、出せたのではないかと思います。
しばらく充電をして、またお会いしましょう。
梅田啓子
西中 様
今年も歌をたくさん採って頂き、「百人一首」にも入れて頂きまして、
ありがとうございます。何よりの励みになりました。
「百人一首」の歌は自分でも気に入っている歌なので、とても嬉しいです。
今年はいろいろなことがありましたので、完走出来たことが今まで以上に嬉しいです。
来年もご一緒できますことを願っております。
お疲れが出ませんようにご自愛くださいませ。
皆様 西中
夏実麦太朗様 湯山昌樹様 梅田啓子様
早速にご丁寧なコメントありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。どうか御元気で新しい年をお迎え下さい。(少し気が早過ぎるのかも知れませんが・・・)
みずき
ああ、百人一首が見事です!私のも入れて頂き、選歌もたくさん採って頂き本当に嬉しく感謝の気持ちで
いっぱいです。どんなにか励まされて夢中で突っ走ってしまいました。
西中さまの掲示板の重厚さ、緻密で精力的な選歌集、その完成度の高さには、ただ感嘆しております。
お心遣いの暖かさ、優しさに惹きつけられるのは、皆さまも同じと思います。どうぞこの感動がいつまで
も続くようにと願って止みません。お疲れが出ませんよう、どうかご自愛下さいませ。
みずき様 西中
お褒めにあずかって恐縮です。一応完成して、ホッとすると同時に、楽しみがひとつ減ってしまったような心境です。寒さ厳しき折から、くれぐれもご自愛下さい。
今泉洋子
百人一首作成お疲れさまでした。一首に入れて頂きありがとうございます。西中様も私も七回目の参加で、毎会大変な作業をしていただき、心より感謝申しあげます。いつも励まされて、なんとか完走できています。今後とも宜しくお願いいたします。くれぐれもお体を大切にお過ごしくださいませ。
ウクレレ
西中さま
選歌おつかれさまです。
題詠に参加して3年目、西中さまに取り上げていただけるのが、
何よりの励みとなって今年も完走できました。
ありがとうございます。
百人一首に入れていただけるのは完走したご褒美ですね。
重ねてありがとうございます。
西中さまの優しい声援に感謝、感謝です。
ネコノカナエ
百人一首に入れていただいてありがとうございます。わたしは、今回が初参加でした。
来年も完走めざしたいと思います☆〜
皆様 西中
今泉洋子様 ウクレレ様 ネコノカナエ様
ご丁寧なコメントありがとうございます。至って勝手気ままな選歌、選定でお気に召さない点もあろうかと思いますが、これからもよろしくお願い致します。寒くなります折から、くれぐれもご自愛下さい。
詩月めぐ
西中さま、今年も歌をたくさん選んでいただきありがとうございました。
また百人一首にも選んでくださりうれしく思っています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
詩月めぐ 様 西中
コメントありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
香澄知穂
西中様
初めてコメントさせていただきます。私は今年、題詠に初参加した短歌初心者ですが、選歌でたびたび取り上げていただき、百人一首にまで入れていただけたことは、大きな励みとなりました。今後も短歌を楽しんでいきたいと思います。ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。来年もご縁がありましたら、よろしくお願い致します。
はこべ
西中様
毎年のことながら お疲れさまでした。そしてありがとうございました。
莫大な量で 本当に感謝です。
それに 今年はダメだと半分は諦めていましたので うれしさも一入です。
皆様 西中
香澄知穂様 はこべ様
ご丁寧なコメントありがとうございます。これまでの皆様へのご返事で、ご返事に代えさせて頂きます。これからもよろしくお願い致します。
久哲
西中様。はじめまして(ですよね?)
選歌ならびに百人一首選定お疲れ様でした。今年は数々の拙歌を選んでくださりありがとうございます。西中様はご謙遜なさいますが、あなたの見る目はこの百人一首をみれば一目瞭然!実は心ひそかに『西中さんのところの百人一首に残ること』が目標だったので、今年は嬉しく越せそうです。
最後になりましたが、良いお年をお迎えくださいませ。
久哲でした。
千束
こんにちは、千束です。
百人一首選定お疲れ様でした。
膨大な投稿数の中から選ぶという作業、私には到底出来そうにありません…。すごいです。大変な労力だと思いますが、完成を見ることができて本当に嬉しいです。
どれも素敵な歌ばかりで、もう一度色々な方の投稿歌を振り返ってみたくなりました。
最後になりましたが、拙歌を取り上げてくださってありがとうございます。また度々の選歌、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
師走に入りいよいよ寒さも厳しくなってきております。どうぞご自愛くださいますよう。
お邪魔しました。
久哲様 千束様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございました。至って勝手気ままな選歌ですが、多少なりともお役に立てば幸甚です。どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。来年もぜひご一緒したいものです。
葵の助
西中様
私の歌も入れていただきありがとうございました。
今回が初挑戦でしたが、来年も完走に向けての楽しみが増えました。
葵の助様 西中
多くの御作から、幸せそうなママのお姿を垣間見たような気がしました。来年もよろしくお願い致します。
揚巻
西中眞二郎さま
百人一首の完成おめでとうございます!
私の歌もたびたびとりあげていただき、また百人一首にもいれていただき、ありがとうございました。頑張って完走したかいがありました。
今年は震災という大きな出来事があり、この百首にもその影が落ちているように感じました。(私がそう意識して読んでしまうせいでしょうか…忘れがたい百人一首となりそうです)
来年はどのような百首が選ばれるのか、また楽しみにしております。
揚巻様 西中
コメントありがとうございます。また来年ご一緒できることを楽しみにしております。
牛隆佑
西中様
昨年に引き続き今年も選んでいただきありがとうございます。そうそうたる歌の中に自分の歌があるのは気恥ずかしくも嬉しいものです。来年もしっかりと詠んでいきたいと思います。
牛隆佑様 西中
コメントありがとうございます。来年もぜひご一緒したいものです。
miki
初めまして。娘に勧められるままに、題詠に今年初参加。何度も躓きつつも先ず完走ありき、と。ゴールまで。安堵しておりましたら、娘に、百人一首見て、と言われ、何も判らぬまま、パソコンに向かいました。……ありました…信じられませんでした…何度も何度も見返しました。心臓がパクパク……。有難うございました。
しかも、親娘で百人一首の中に…。驚きと感激で涙腺が緩んでしまいました。
喜寿が近いとのことですが、この大変な労力は、ひとかたならぬ想いと、ご苦労かと…。
私は、老々介護の身ですが、ひと足先を、パワフルに生き生きと走っていらっしゃる
西中様という方を存じ上げ、私も頑張って生こうと思います。
西中様にパワーと感激を、短歌の心を戴き、心から感謝申し上げます。
ついつい長くなってしまい申し訳ございません。
最後に、くれぐれもご自愛の程、来年も佳き一年でありますようお祈り申し上げます。
miki 様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。至って勝手な選歌ですが、お喜び頂けると、私も多少の苦労の甲斐があったと嬉しくなります。百人一首に採らせて頂いた歌、とてもユーモラスでこなれた御作と拝読しました。それにしても、親娘で短歌をやっておられるとのこと、羨ましい限りです。娘さんも百人一首に入っておられるそうですが、どなたですか。差し支えなければお教え頂きたいものです。
年末も迫って参りました。どうかご母堂様、miki様、お嬢様、皆様お揃いで良い新年をお迎え下さい。
藤田美香
西中さま
こんばんは。例年は「わたつみいさな」で参加しておりました者です。
ご無沙汰いたしております。
今年の題詠も、本当におつかれさまでした。
私は、相変わらず中だるみのラスト猛ダッシュ…で、まったく納得いかない走りとなりましたが、
百人一首の中に入れていただいたのを見つけたときは驚きました〜
ありがとうございます。
誰もしらない「藤田美香」の名前で、歌をとりあげていただけるということは
とてもうれしく、また励みになりました。
西中さん、どうぞこれからもぜひ!続けてくださいね!
選歌の記事だけでなく、いつも楽しみに拝読させていただいています。
それでは、また♪
本当にありがとうございました。おつかれさまでした!
藤田美香様 西中
コメントありがとうございました。「わたつみいさな」さんだとは気付きませんでした。そう言われてみれば、どことなくユーモラスな歌や、ご自分を客観視しているような歌があること、共通項が随分あるなと思いました。(同じ作者ですから当然のことですけどね・・・。)
短歌以外の記事もご覧下さっているとか、とても嬉しい話です。最近は短歌以外はほとんど書いていませんが、少々真面目に考えたいとも思っております。
どうかお元気で、良いお年をお迎え下さい。
モヨ子
西中様
百人一首完成おつかれさまです。
私の短歌も入れていただけるとは大変光栄です。
題詠中はこちらのサイトに選歌されるのがとても励みになりました。
また次回の題詠でお目にかかれることを楽しみにしています。
ひとまず、お礼まで。
モヨ子様 西中
コメントありがとうございました。爽やかな純愛ものかと拝読しました。あるいは悲恋に終わったのではないかと、少々心配でもありますが・・・。
来年もぜひお会いしたいものです。
佐藤紀子
私もお仲間に入れていただき、ありがとうございました。
もう忘れてしまっていた豚の蚊遣りの歌が入れていただいてあったので、うれしい驚きでした。
2012年も参加表明しましたので、またお会いできると楽しみにしています。
2011-12-03 題詠100首百人一首前夜祭
題詠100首・百人一首前夜祭(又は前々夜祭又は前々々夜祭)
題詠100首の勝手な選歌を続けて参りましたが、それを土台にしてこれまで同様百人一首を作る積りだということは、既に申し上げた通りです。現在鋭意準備作業を進めておりますが、まだ選定作業自体にはほとんど入っておりません。したがって、私にとっても混沌とした状況なのですが、これまでの経験から、一両日中には何とかなるのではないかと思っております。もっとも、あまり無理の利かない年齢でもありますので、1日か2日の遅れはお許し頂きたいと存じます。(以下は、去年のものをベースにして、本年版に修正したものです。)
骨組みだけ申し上げておきますと、100の題につき、それぞれ1人の作品を選びます。したがって、作者も100人ということになります。対象は、「題詠100首」の性格上、完走報告をされた方に絞りました。常連の実力者の方々で完走されなかった方も何人かおられますし、途中までは良いペースで走っておられたのに突如走りをやめた方もおられますので、例年同様この点は少々迷ったのですが、やはりこの会の性格上、「完走」ということにこだわることにしたいと思います。今年完走された方は(私を含め)142人(去年は159人)ですので、完走者に絞っても十分選歌できると思っております。なお、第100題まで走られたにもかかわらず、完走報告をしておられない方が6名おられましたが(3日現在)、私の勝手な判断で完走者として扱うことに致しました。
完走者のうち、選歌集で採らせて頂いた数を作者別にカウントしますと、50首以上:2名 40首以上:3名 30首以上:10名 20首以上:21名 15首以上:14名 10首以上:34名 以上合計84名となっております。昨年はまず13首以上の方から選ぶという方針で進めたのですが、今年は少し数が減りましたので、一昨年以前同様10首以上の方85名の方の作品につき、まず選ばせて頂くことにしようと思っております。もっともまだ選定作業自体にはほとんど入っておりませんので、これらの点は確実とは申せません。なお、選者の役得で、私の作品も1首入れさせて頂く積りです。
最後に、これまでと全く同じセリフですが、さまざまな方々にお詫びと弁解を申し上げなければなりません。
第1に、参加者全員の方々と短歌の神様にお詫び申し上げます。私より優れた方々も多数おられる中で短歌を選ぶという甚だ不遜な振舞いにつきましてのお詫びです。私のあそび心ということで、お許し頂きたいと存じます。
第2に、選ばれなかった方にお詫び申し上げます。あくまでも私の「独断と偏見」に基づく選歌ですから、ほかの方が選歌すれば全く違う結果になったと思います。また、何分多くの作品からの選歌ですから、素晴らしい宝石を見落としている可能性もあろうかと思います。
第3に、選ばれた方へのお詫びです。題と作者のマトリックスという関係で、参加者のベストの作品が選ばれず、御不満の方も多いと思います。この点は、「選者」たる私にも多分不満が残るのだろうと思いますが、マトリックスという制約に免じてお許し頂きたいと存じます。
以上、お叱りを被る前に、予防線を張っておく次第です。これでも相当の労力の産物ではありますので、その労力と、私のあそび心に免じてお許し頂きたいと存じます。
ただいま申し上げたことは、現物と一緒の欄で申し上げても良いことですが、本体がゴチャゴチャするのも気に入りませんので、前夜祭ということで、本日の欄に載せる次第です。それでは、あまり御期待なさらずにお待ち下さい。
miki
西中様
早速のお言葉恐縮でございます。その上家族にまで優しいお心遣いを戴き有難うございます。娘の件ですが…娘に恥をかかせてはいけないと思い、公表しませんでしたが
西中様のお言葉に押され、メールで(別所帯なので)聞きましたところ…構わないよ…と
言ってくれました。…娘は「みち」と申します。親娘でお世話になります。
下手の横好きですが、娘共々今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
私事ですが、昨日から何度もやりなおして投稿しておりますが、画像認証がされず、原因が判らないまま何度も戻されまして??今になりましたが、投稿できますように…祈りながら…。
寒くなってまいりました。くれぐれも御身お大切になさいますように。
miki様 西中
ご返事を強制したようなことになってしまって申し訳ありません。「みち。」さんでしたら、記憶にある作者のお一人で、たしか百人一首にも採らせて頂いた記憶があります。来年もお二方とぜひご一緒したいものです。「みち。」さんにもよろしくお伝え下さい。どうか良いお年を・・・。
(私のブログ、画像認証が読み取りにくく、戻されることがあるようです。私もログインせずにトライしてみましたら、結構うまく行かないことがありました。出来が悪くて申し訳ありません。)
2011-12-02 題詠100首選歌集(その72=最終版)
選歌もやっと終わりました。これから百人一首の作業に入ります。選定の前段階の整理を終えた上で、明日あたり例年通り「前夜祭」を載せ、本体はその1日か2日後になるのだろうと思います。
何の権威もない至って勝手気ままな選歌でしたが、これまでお付合い下さった皆様に厚く御礼申し上げます。この点は百人一首も同様ですが、引き続きよろしくお願い致します。
選歌集・その72
051:漕(153〜169)
(鮎美)立ち漕ぎは男の子のみに許されしものであるゆゑひつそり真似る
(T-T)真っ白なシャツを帆にして自転車を漕ぐ君の背がとけ込む夕焼け
053:なう(152〜171)
(さくらこ)諦めたはずだったのに心には綺麗なうそをつけなくて冬
054:丼(157〜168)
(砺波 湊)丼の底にはちいさな龍二頭 互いの尾の先追いかけている
(片秀) 書庫用の電灯探す牛丼の匂いが満ちる用務員室
(青山みのり)丼物に椀に小鉢と食後にはアイスが付いて明日はいい日だ
056:摘(155〜166)
(青山みのり) <摘み菜>とう古しき名の菜の売り場にてしばし目を閉づ明日はいい日だ
058:帆(154〜165)
(T-T) 真っ白なシャツは帆のよう 海望む坂下りゆく思春期の君
059:騒(155〜166)
(jun)騒音にしゃぶられている思いしてゼブラ・ゾーンを急いで渡る
(竹中 裕貴)巻き貝の中にかすかに消え残る潮騒たちに揺られて眠る
(青山みのり) 喧騒の消えた街にはいくつもの祈りが灯る 明日はいい日だ
060:直(152〜168)
(星川郁乃)顔をよく思い出せない数人の中のひとりとして菅直人
062:墓(152〜161)
(星川郁乃) 思い出という名のついた遠い日のこいびとの墓の場所は知らない
063:丈(133〜161)
(小林ちい) 身長は変わらないのに袖丈の少し足りない親父のスーツ
(笹木真優子)制服の頃からいつも長すぎるスカート丈を持て余してる
065:羽(152〜161)
(青山みのり) 羽衣はしまい忘れたことにして歩いてゆこう明日はいい日だ
068:コットン(152〜166)
(なぎ) 東から届いた訃報 朝焼けをコットンシャツに透かして眠る
069:箸(152〜156)
(久野はすみ)うつくしい石をみがいて箸を置く昨日のことはなかったことに
074:刃(155〜158)
(久野はすみ) 目に刃ひからせている少年の指よりこぼれ出すノクターン
075:朱(128〜154)
(奈良絵里子)美しい文字で宛名を書きたくて朱墨の匂いを思いだしてる
(藤野唯)しあわせな恋をしてると言いふらすかわりに朱色のカーディガン買う
(鮎美)まつすぐに朱肉に当てて圧しつける本日限りのこの姓の印
(はせがわゆづ)震えながら初めて判を手にとった朱肉があなたの苗字にくぼむ
(小倉るい)協議書の朱のあざやかで明日からは独りで暮らす母の行先
(久野はすみ) 週末は朱色のまふらあ巻き付けて風吹くまちのあなたに逢おう
078:卵(127〜152)
(萱野芙蓉)やがて空を飛ぶ生き物を閉ぢこめて卵しづかに抱かれてゐたり
(はせがわゆづ) あたたかい夜になるまでまるまって卵になってきみを待ってる
(久野はすみ)無理をして片手で卵わるような日々につかれて飲む茉莉花茶
079:雑(128〜155)
(ウクレレ) 絞られた形のままで雑巾は乾いて夢を抱き続ける
(ひぐらしひなつ) 雑踏はしずかに冷えて夜の水満ちくるまでを重く流れる
(鮎美)雑魚寝の子一人ひとりを順番に照らして懐中電灯去りぬ
(さくらこ) 道端であなたに拾われるはずの雑種の子猫みたいなあの子
(如月綾) 欲しいのはたった2ページ そのために雑誌1冊買おうか悩む
081:配(127〜151)
(睡蓮。)気配りの言葉ひとつもかけないでビールついでるだけのねぎらい
(星川郁乃) 配線をひとつ違えて動かないマシンのようにひと日を終える
082:万(126〜154)
(ひぐらしひなつ)この冬も葉書がとどく旧式の万年筆の文字ふるえつつ
(星川郁乃) 万全の道しるべなど持たなくて明日読む星を夜空に探す
083:溝(127〜151)
(峰月 京)駆けてくる制服想い出しながら懐かしく待つ溝の口駅
084:総(127〜153)
(鮎美) 総柄のサマードレスを仕舞ひたり来年は着ぬやうな気がする
(久野はすみ)総武線沿線の駅に捨ててきた言葉をふいに思い出す夜
085:フルーツ(126〜154)
(鮎美) フルーツサンドくはへたるまま会釈せる君とこしへに少年であれ
086:貴(129〜153)
(久野はすみ) そこそこは幸せであるわたくしは貴腐のワインの味を知らざり
087:閉(129〜147)
(砺波 湊)音楽が止んだら降りればいいだけの回転木馬に閉じ込められて
088:湧(127〜148)
(ひぐらしひなつ)愛を言うかわりに今朝の霧を抜け水湧く谿にきみを誘う
(鮎美)ふつふつと湧きあがりくる憎しみを それはそれとして今日を過ごしぬ
090:そもそも(128〜150)
(ひぐらしひなつ)そもそも、と言いかけたまま噤まれた唇うすく薄暮に沈む
(峰月 京) そもそもと言い始めたら口つぐむ頃合いと知る妻の分別
(砺波 湊) そもそものはじまりを聞く気になって濃いめのお茶を用意している
091:債(127〜148)
(藤野唯)甘えてはいけないひとに泣きついた負債そのものみたいな夜だ
(はせがわゆづ) 繰り返す空の青には見ないふりたまった書債の隣で眠る
(砺波 湊) 債鬼にも利き腕や好きな色があり怒鳴り声にも幽かな訛り
092:念(126〜149)
(清次郎) 念のため金魚に多めに餌をやり君と映画を見に行く土曜
(小倉るい)輪になりて念仏となえる部屋中の裸電球煌々として暗し
(鮎美)恒例の一族記念写真より一抜け従姉二に抜け従兄
093:迫(128〜152)
(星川郁乃)夜と霧 水晶の夜 迫害はときにうつくしい名でしるされる
094:裂(128〜149)
(T-T) 明日の予定なんにも決めずにゆっくりと二人でチーズを裂いてる夕べ
095:遠慮(127〜152)
(小倉るい) 山里の翁おうなの蜀黍(もろこし)を遠慮なく食い土地を買い来る
(生田亜々子) やがて来るはずの発作がちんまりとドアの向こうで遠慮している
096:取(134〜149)
(今泉洋子)幼な日の虫取撫子咲く畦を記憶の中に祖母と歩めり
(鮎美) ほつとりと蚊取線香落つる夕祖母の気配に抱かれて眠る
097:毎(132〜148)
(星川郁乃)痛みにもやがては慣れて毎日をおおむね静かな海だとおもう
(T-T)遠距離の電話で言葉を選んでる 夜毎に冬の気配は広がる
(砺波 湊) ドラマでは購読率のやけに高い「毎朝新聞」の社説読みたし
098:味(132〜149)
(星川郁乃) 後付けの意味を探している日暮れ 一番咲きの山茶花を切る
099:惑(130〜150)
(鮎美)甘やかな困惑を思慕に変へながら淡きすみれの花ひらきゆく
(砺波 湊)「ご迷惑をおかけします」とイラストの男は頭頂部見せて謝る
100:完(130〜150)
(星川郁乃) 完売の札は貼られて特売のキャベツの外葉微かに匂う
(藤田美香)ゆっくりと雨が降る日に思い出す完成しない砂の城、とか
(今泉洋子) 生きるとは未完なる死かジギタリスはつか傾ぎて風のこゑ聴く
(生田亜々子)コンパスで描いた丸は真ん中に穴が開いててやっぱり未完
(砺波 湊) 完結は先延ばしにしてゆっくりと珈琲豆を挽いている午後
番外の歌(33〜75)
(みずき )壊れゐし街へのたりと春の海 過ぐる季節へ櫻(はな)が咲いてる
(みずき )惨劇のあとは風舞ふ哀しみの口笛ばかり聴こえ、潮騒
(みずき)曳き上げし船へ乱るる潮騒の悲しきまでに青き透明
(鳥羽省三)歌はぬは歌ふにまさる哀しみに大震災のうた我は歌はず
(牧童)名も知らぬ花と初めて出会う朝瓦礫と化した国揺れやまず
昨日と今日の選歌集で選んだ歌のなかった題
004(283〜287)、005(264〜276)、019(233〜238)、020(230〜235)、027(202〜212)、041(180〜191)、042(176〜189)、043(176〜182)、044(176〜181)、046(177〜181)、052(152〜171)、055(155〜167)、057(156〜166)、061(154〜163)、064(156〜161)、066(152〜161)、067(151〜162)、070(151〜156)、071(153〜156)、072(155〜158)、073(151〜155)、076(155〜158)、077(155〜158)、080(151〜155)、089(128〜149)
2011-12-01 題詠100首選歌集(その70&71)
1年近く続いた題詠100首も昨日で締切となった。もっとも、主催者の五十嵐さんが熱を出されたようで、まだサイト上での物理的な締切はされていないようだが、いずれにせよこれでゴールというわけだ。皆様お疲れさまでした。
これで最後ということで、在庫の多少にかかわらずお題の順に選歌を続けて行きたい。私の好みとしては、残りを全部一気に片付けたいところなのだが、何せ100題全部ともなれば 、かなりの時間も掛かる。それに今日は夕方から出掛なければならない会合もある。それやこれやで、今日中に「全部」という目標はギブアップして、できるところまで順次やって載せて行くということに方針変更した。したがって、選歌集その71以降を今日追加して載せることになるのか、それとも明日回しになるのかは、目下のところ未定だが、いずれにせよ、近日中に全部の選歌を終えて、百人一首に掛かる予定に変わりはない。
考えてみれば、私にとって選歌は楽しみの一つではあるのだが、ゴール時のように多数の在庫が貯まってしまうと、その重みに押しつぶされて、楽しみが重荷に変わってしまう。そういった意味では、余りスピードにこだわらずに、マイペースで楽しみながらやる方が、穏当なのかなとも思い出したところだ。もっとも、これも年齢から来る気力の衰えの一つなのかもしれないが・・・。
皆様お疲れさまでした。また主催者五十嵐さんの体調の御回復をお祈り致します。(15:06記)
選歌集・その70
001:初(305〜315)
(竹中 裕貴) 初めて嘘をついたときからゆうぐれであったのだろう あなたがとおい
(小倉るい)「帰るよ」とつぶやく兄の背の向こう父の田の雪解け初めにけり
002:幸(285〜303)
(豆野ふく) 三度目の節句にはしゃぐ子のために幸いあれと咲く花の色
(粉粧楼)幸いという文字のつく街に住み日々巡りゆく平穏を知る
(r!eco) 幸せを数えて眠る夜だから電話は朝まで取らないつもり
(しづく) 「幸せ」と呟いてみたなんとなく心残りをみせたくなくて
003:細(285〜303)
(anemone)電話越し横たわる君くぐもったか細い声がつく甘い嘘
(小倉るい) 会いたいと言わない義父の足細み畑の柳雪かぶりおり
006:困(257〜279)
(小林ちい)最近は「困ったわね」が口癖の母親がいて一緒に飯を食う
(竹中 裕貴) 困らせる側にあなたがいることも愛された日のしるしとおもう
007:耕(257〜281)
(樹) 宿題のアサガオと祖父の野菜とが一緒に耕されている夜明け
008:下手(256〜272)
(小倉るい) 下手なりにまっすぐに行く道がある白樺林にかそけき冬日
009:寒(260〜267)
(jun)「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいないやすらぎ
(青山みのり)浴室の窓を開ければ寒いってはじめておもう明日はいい日だ
(村田馨) 寒々とニコライ堂の鐘鳴れば老いも若きも背を糺(ただ)し居り
010:駆(255〜266)
(片秀)きゃあきゃあと嬌声の下駆け抜けて 一つ、静かな眼差しにあう
(小倉るい) 母と娘の糧を支えし里山(やま)消えて竹林深く風駆ける夜
(久野はすみ)川のある温泉街の神無月、駆け落ち者のようによりそう
011:ゲーム(253〜256)
(久野はすみ)デイゲーム終わりしのちのしずけさに途方に暮れているスタジアム
012:堅(232〜255)
(豆野ふく)誠実で堅実な人のふりをして隠し持ってる三つの秘密
(小倉るい)冬靴の使用期限が切れかかり道に残りし堅雪を蹴る
(村田馨)堅焼き煎餅(せんべ)頬張りながら仲見世をぶらついて行く浅草寺まで
013:故(229〜249)
(生田亜々子)何故なんて言わせやしない目の前で潰す真っ赤な絵の具のチューブ
(はせがわゆづ)あまりにもあたたかいので今日からはあなたの胸を故郷とします
(小倉るい)変わらない故郷があり変わりたるふるさともある5月1日
014:残(229〜251)
(清次郎) 夕波に取り残されていつまでも砂のお城がたたずむ浜辺
(粉粧楼)突き刺さる言葉の温み気づかされ君の残像だけ探す夜
(しづく) マンションにむなしく響くひとりきり歩くヒールの軽い残響
(竹中 裕貴)残されてしまう羊がかわいそうだからわたしはまだ眠れない
(小倉るい) 残りたる家に「解体OK」の赤ペンキあり5月の宮古
(青山みのり)残高をゼロにするためあと少し生きてみようか 明日はいい日だ
(T-T) あと一つ残して渡す、渡される 二人の時間をつくる冬の日
015:とりあえず(229〜252)
(粉粧楼)とりあえずだけ繰り返す夜の果て君を失う予感見つめて
(田中ましろ)君のいない世界もきれいとりあえず階段はひとつ飛ばしで上がる
(久野はすみ) とりあえずここに座ろうほのほのと冬の薄陽のさししめす場所
016:絹(228〜246)
(野坂らいち) 崩れやすい絹ごしみたいなこの恋の賞味期限はもう過ぎている
(田中ましろ)ていねいにすじを取られる絹さやに正しさばかり求めてしまう
(小倉るい)絹糸を手繰れば君が来るようでかやぶき屋根に降る静雨
(久野はすみ)つまさきに絹モスリンの感触をおぼえたるまま履くローヒール
(村田馨) 秋風に絹のスカーフなびきおり小金井公園紅葉散るなか
(T-T) 絹色の夜明けが包む 僕たちは静かに泣いてそれぞれになる
017:失(229〜241)
(小倉るい) 失いしもののあまりに大きけれどこまでも碧き今日の海原
018:準備(229〜239)
(片秀)今はまだ一人前の男への準備をしている柔らかな頬
021:洗(202〜225)
(夏嶋真子)サニタリーショーツを洗う間だけ花は散らない月は欠けない
(はせがわゆづ) 洗顔を忘れずにする真冬でもまつげにこもれびそっとのせつつ
(野坂らいち)もう二度と戻ることない今日の日を洗い流してお風呂場を出る
(片秀)五月雨に洗われた空いつだって一番最初に虹を見つける
(青山みのり) 洗濯の終わるブザーが行く秋の声に聞こえる明日はいい日だ
(風とくらげ) 朝干した洗濯物が帰宅してずっしり夜風に重い毎日
022:でたらめ(205〜227)
(小林ちい)でたらめに弦を弾けば俺だけのこの時だけの歌が生まれる
(生田亜々子)でたらめの私の影の寄り道をあの花だけがまだ咎めている
023:蜂(205〜224)
(はせがわゆづ)仄明るい方へ歩いていきましょう蜂蜜色の月が出ている
(久野はすみ)肯定と否定のあわいをただよえばわたしのなかに巣くう蜂鳥
024:謝(206〜221)
(小倉るい)誰のせいでもない事に謝罪することにも慣れて官吏となれり
(久野はすみ)謝肉祭の最後のひと日の思惑のみずみずしさのオレンジを食む
025:ミステリー(202〜223)
(久野はすみ)ミステリー作家にまつわる小ばなしをささやかれつつ飲むギムレット
026:震(202〜220)
(山階基)かさかさと震えるビニール傘たちの並ぶ昇降口の梅雨明け
(小林ちい)好きなやつなんていねえよ 少しだけ震えた声が透ける夕暮れ
028:説(202〜212)
(青山みのり)説明のいらぬ仲なり風に鳴る銀杏並木の明日はいい日だ
029:公式(201〜208)
030:遅(203〜212)
(夏嶋真子)半生は流れる星のようにすぎ春日遅遅の祖父母のあくび
(竹中 裕貴)遅咲きの桜ひとつにみおくられおさなく消えた初恋がある
(久野はすみ) 遠くより眺むる花火すこしだけ遅れて届く哀しみのあり
会合から帰って選歌を再開したのだが、少々くたびれた。第50まで来たところで、残りは明日回しにしようと思う。体力、気力ともに無理の利かない年齢になって来たのかも知れない。なお、選んだ作品のなかった題のリストは、最後の選歌集にまとめて載せることにしたい。(23:30記)
選歌集・その71
031:電 (176〜203)
(如月綾)人攫いみたいに電車は無理やりに君を連れ去る 遠い街まで
(小倉るい)デュエットを歌った後は終電に遅れたふりをする金曜日
(久野はすみ) 「浅草で電気ブランを」約束は果たされぬままふた昔過ぐ
032:町(180〜204)
(久野はすみ) 青春は、などとは言わず歩行町(かちまち)の路地裏にある店まであゆむ
033:奇跡(202〜207)
(久野はすみ) いくたびも動画サイトは繰り返す津波も奇跡のファインプレーも
034:掃(177〜204)
(小林ちい)スカートが濡れたと恵美が騒いでたプール掃除の遠い夏の日
(鮎美) 吐瀉物におがくず撒きて掃き寄する駅員のゐてクリスマス・イヴ
(T-T) 掃除機の風で膨らむ春の部屋 さくらめーるの返事が届く
(眞露) うずをまき白砂掃かれた石庭に 秋風すずし堂の縁側
035:罪(177〜202)
(みち。) どの罪に対する罰かわからずに責められるまま謝っている
(村田馨) 人はみな罪を背負いて生きていく日差しの強き日比谷公園
036:暑(185〜203)
(小倉るい) 囲われて伸びすぎしまま処暑となる胡瓜一本地に着かむとす
(青山みのり)暑さとはすでに無縁のベランダにあさがおが咲く明日はいい日だ
037:ポーズ(183〜199)
(生田亜々子)ブロンズの少女はポーズとったまま乳首に雪を積もらせている
(鮎美) それなりのポーズもとらぬ妹はまつさかさまに大人になつた
038:抱(185〜198)
(久野はすみ)カラフルな卵を抱いているような少女らの声とすれちがいたり
039:庭(179〜193)
(はせがわゆづ) いつの日かあなたのやさしい庭先で小さく咲いてる花になりたい
040:伝(181〜196)
(久野はすみ) 「伝法でございますが」と車夫役のふるき日本語ここちよき夜
045:幼稚(155〜183)
(奈良絵里子)ぞうのある幼稚園にも慣れたのに引っ越すことになってごめんね
(みち。) にぎやかな幼稚園バス通りすぎわたしのなかの孤独を揺らす
(はせがわゆづ) 新月の散歩に見つけた幼稚園にしまい忘れたボールがひとつ
(如月綾) 切りすぎた前髪が少し昨日より幼稚に見せる君の横顔
(T-T)小さな手ひかりを紡いでいくように 冬晴れの陽が差す幼稚園
(村田馨) 遠足の幼稚園児らはしゃぎおり拝島公園藤みだれ咲き
047:態(153〜176)
(みち。)しあわせの擬態はうまくいかなくて風に揺れてるさみしいしっぽ
(小倉るい)バラの花赤き一輪揺れを見つ容態変わらぬ6月の父
048:束(152〜174)
(稲生あきら)公園のベンチの上に忘れられた約束ひとつ雨に濡れている
(鮎美)我が脱ぎし外皮のやうで捨てられぬ楽譜の束に一匹の蜘蛛
(夏嶋真子) まざりあうひかりの絵具は雪になり白紙のままの画家の約束
(jun)一つずつの吊り革に手を束ねられ朝の電車に売られてゆきぬ
049:方法(154〜175)
(小林ちい) 傷付ける方法ばかり思いつくうんと笑わせたいだけなのに
050:酒(152〜174)
(小倉るい) アルコールの無い酒ならば飲みましょう夢に酔うほど若くはなくて
(T-T)シェリ―酒のグラスの抱える赤い湖面 嘘は静かに沈めたつもり
2011-11-30 題詠100首選歌集(その68&69)
泣いても笑っても最終日。今日はおそらく後2つくらいの選歌集を作ることになるのだろうと思う。また、その程度のラストスパートは期待したいところだ。(17:40記)
選歌集・その68
044:護(151〜175)
(藤野唯)だめなひとばかりを好きになるのだと気付く誰にも護られぬ午後
(粉粧楼)君の手で孵化した希望見失い護符握り締め沈みゆく夜
(きたぱらあさみ)庇護された子猫のように桃色の毛布でくるまれて眠りたい
046:奏(152〜176)
(片秀)もう少し子供でいたい魂が不協和音を奏でているよ
066:豚(127〜151)
(小林ちい)母さんが豚汁を煮る おかわりのために一番大きな鍋で
(鮎美)豚の鳴く農業高校斜向かひ自転車店主の祖父の一生
067:励(126〜150)
(ウクレレ)励まして元気になった笑顔見て今度はぼくが励まされてる
(鮎美)君なりの励ましと受け止めて食ふ学食のぬるきわかめうどんを
069:箸(127〜151)
(ウクレレ)菜箸は不揃いでいいそう気づきぼくらの愛は自由になった
(鮎美)湧きいづる白きわたあめ割箸に絡めとられて恋に落ちたり
(はせがわゆづ)菜箸で混ぜられていくフライパンのたまごはやがてやさしくなった
070:介(126〜150)
(鮎美) 介助犬伏したるままで目の耳の動かずに尾のときをり動く
071:謡(127〜152)
(小林ちい) 同じ過去を、例えば同じ童謡を知っているというだけの幸せ
(高良すな)風ぬけるキビの穂の間に古謡きく遠い昔の祈りをのせて
(ひぐらしひなつ) 歌謡曲流れる店を逃れきて冬の街路を並んで歩く
072:汚(127〜154)
(奈良絵里子)うわばきの汚れることが嫌だった 小学校の避難訓練
(藤野唯)しなくてもいいことばかりおもたくて油汚れのようなこの恋
073:自然(126〜150)
(詩月めぐ) 最後まで素直になれず不自然な笑顔で君に告げるさよなら
(ひぐらしひなつ)不適切かつ不自然な関係を結びに午後のバスに乗り込む
(藤田美香)ストロベリーパフェを食べてる子をながめ私は自然にママになる午後
(冥亭)自然薯のこっくり煮ゆる夜長にてしんしんと天体は回転す
094:裂(101〜127)
(黒崎聡美) 荷造りのビニールテープを細く裂きまた細く裂き影は傾く
(雑食) 便箋を裂くほど強い筆圧のままで最後の手紙は届く
(ひぐらしひなつ)雲裂ける真冬のきわみ死に近きひとの手紙を繰り返し読む
予定通り、もうひとつ選歌集ができた。まだ作品が増えるだろうが、どうせ今日中に選歌を終えるのは無理だろうから、残りは明日に譲ることにしたい。(22:35記)
選歌集・その69
064:おやつ(131〜155)
(藤野唯)気付きたくなかったことを溶かすよう甘すぎるチョコをおやつに選ぶ
(小林ちい)いつかこの時間を懐かしむだろう教室で食うおやつはコロン
(きたぱらあさみ) ひとりです おやつを我慢しなくてもいいし昼まで寝ていてもいい
(みち。) いつだって用意されてたあの頃のおやつのような言葉がほしい
074:刃(128〜154)
(奈良絵里子)朝焼けの光びりびり刃のように刺すような日は子どもでいたい
076:ツリー(127〜154)
(ひぐらしひなつ)永遠の雪つもらせてクリスマスツリーが春のくらがりに立つ
(鮎美)雪吊りのごとき骨組み晒しつつ雪なき街の電飾ツリー
(砺波 湊)伸びかけのスカイツリーを見上げてた頃の手帳を読み返してる
077:狂(127〜151)
(ひぐらしひなつ)何度目の冬か訃報の重なりて鳩時計の鳩しずかに狂う
(しづく)バスタブのふちさえとても狂おしく君を欲しがる理不尽な恋
080:結婚(126〜150)
(藤田美香)結 婚の二文字にやたら絡まれてどんどん過ぎる平日の午後
(萱野芙蓉) すこやかな家族のかたち残しつつ褪せゆく母の結婚写真
096:取(103〜133)
(壬生キヨム) 取りたてて何でもない日恋人と昔の恋の話をしている
(モヨ子)失うと実感すれば取替えのきかぬ君だと思う暗闇
(新藤ゆゆ) 自販機の取り出し口をらんぼうにまさぐるような恋をしている
097:毎(102〜131)
(五十嵐きよみ) 毎試合一喜一憂する人の話につきあい重ねるグラス
(南雲流水)灯りつけ夜が来る毎待っているもう使われぬ電話ボックス
(ひぐらしひなつ) 代わり映えせぬ毎日を過ごすひとに熱き紅茶をそそぐ霜月
098:味(103〜131)
(香澄知穂) 体温を分け合って眠る寒い日のエッグノッグは幸せ風味
(五十嵐きよみ)いつまでも薄荷の味が消えなくて言いたいことが口に出せない
(雑食) 初恋は二人並んだ川べりで真似して吹いた草笛の味
(ひぐらしひなつ)たとえば今日の意味を問われて手を止めたまま書架の間の静謐にいる
(伊倉ほたる) 銀紙をうっかり噛んだ後味の悪さのように叱ってしまう
(音波) 後味の悪い別れを告げたあとコンビに前で飲む缶コーラ
099:惑(104〜129)
(黒崎聡美)戸惑ってばかりの夏を今もまだ引きずりつつもマフラーを巻く
100:完(103〜129)
(南雲流水)片われのカップを仕舞う完璧に滅んでしまう危惧種のように
2011-11-29 題詠100首選歌集(その66&67)
締切まであと1日ともなれば、さすがに投稿のペースが速まって来た。この分だと、「その67」も今日中にまとまるのかも知れない。(15:18記)
選歌集・その66
019:層(208〜232)
(夏嶋真子)臨終に間に合わなくて「さよなら」が成層圏を漂っている
(粉粧楼)恋さえも突き刺すだけの異物ならせめて真珠の層に埋めたい
(樹)カナリヤを逃がした窓を見上げれば高層ビルのてっぺんに朝
(anemone)その話前も聞いたし ひたすらにミルクレープの層をかぞえる
020:幻(205〜229)
(ひぐらしひなつ) 幻想曲弾き終えてのちゆるやかに波打ちながらあなたが戻る
(豆野ふく) 旅先の赤提灯は幻想の灯り 今夜は夢まで飲もう
(鮎美)我が父の幻魚の干物食ぶるその一部始終を見つめてゐたり
(樹) 砂場には海の幻燈 もう二度と溶けない城がしずかに青い
033:奇跡(177〜201)
(粉粧楼)奇跡すらいつか事実に移りゆき寝息静かに傍らの君
(みち。) 神様になったつもりのぼくたちが予定どおりに起こした奇跡
(はせがわゆづ) てのひらにたしかな奇跡をあたためてポケットでつなぐ夕暮れの帰路
(鮎美)偶然とまぐれと奇跡の境界の薄れし朝に熱き茶を飲む
054:丼(129〜156)
(揚巻) ひっそりと夜は息づく丼のふち寂しいひかりばかりをあつめ
(藤田美香)ここに居る私じゃないとだめなことたとえば丼の点であること
(奈良絵里子)一度だけ牛丼屋さんに連れてってくれた上司は兵庫へ行った
(稲生あきら) 牛丼屋の明かりに何故かほっとして白い息吐く月のない夜
(鮎美) 年をとるばかりの家族食卓に並ぶる揃ひの丼五つ
055:虚(127〜155)
(北大路京介) けっきょくはみんな死んじゃう虚しさを忘れるほどの君の存在
(村上 喬)虚ろなる瞳に映りし秋空は澄みわたりおり サイダーを飲む
(奈良絵里子)「虚言症」イントロ聴けば泣きそうでイアフォンぎゅっと耳に突っ込む
(睡蓮。) テレビ消し君が虚像と思い知る虫の音響く夏の終わりに
(きたぱらあさみ)ひらべったい虚構のひとを愛すればブラウン管のむこうにも空
(鮎美)謙虚さと無責任との違ひから教ふる部屋に西陽差しこむ
056:摘(126〜154)
(黒崎聡美)枯れた花を摘まんで捨てるゆびさきはべたついていた 残暑はつづく
(睡蓮。) たおやかな花摘むような君の手に優しくされたい雨の夜には
(しづく)外来のレセプトを書く午後3時摘要欄にいのちがにじむ
(ひぐらしひなつ) カーラジオ遠く流れる春の野に誰のためでもなく若菜摘む
(鮎美) 公園に花摘む子あれば公園の花は減りつつ日が暮れてゆく
057:ライバル(126〜154)
(壬生キヨム)悪いこと全部自分のせいにしてまでライバルに憧れている
(ひぐらしひなつ) 封切れば細き文字にて知らされるかつてライバルだった人の死
(鮎美)だれからもライバルとされぬまま過ぎしあの夏の我をいとほしむべし
089:成(103〜127)
(奈良絵里子)変化した部分をあなたは成長と呼んで大事にしているみたい
(今泉洋子)いつしらに乳離れして成人す母は子を運ぶ舟やも知れず
(詩月めぐ)1ピース足りないパズルいつまでも完成できず終われない恋
091:債(102〜126)
(理阿弥) 雲ひとつなくて淋しい土曜日に債務のような読書はじめる
(新藤ゆゆ)ぎこちない夜と夜とのすき間からとけだしそうな不良債権
092:念(101〜125)
(伊倉ほたる) 丹念に指を滑らす一日の終わりに嘘は塗りこめておく
(南雲流水) 記念日も覚えられない性格で別れた人の歳を数える
(珠弾)その年の有馬記念が終わるまで私は死なないような気がする
予想通り選歌集をもう一つまとめる材料ができたので、その67を追加する。(23:05記)
選歌集・その67
043:寿(151〜175)
(小林ちい)一人では不老長寿も意味がない明日あいつとスタバへ行こう
(小倉るい)田の事をもう止めたいと言い出した傘寿の義母の曲がった親指
058:帆(127〜153)
(小林ちい) 家族のことは家族で解決するもので、姉の古びた一澤帆布
(村上 喬)帆を上げて漕ぎ出したる会議室 白河夜舟の遙かな旅路
(ひぐらしひなつ) 海を知らぬまま朽ちてゆく帆船の模型傾く古き書斎に
059:騒(126〜154)
(今泉洋子) 徳利のセーターを脱ぐたまゆらにほのと聴こゆる冬の潮騒
(黒崎聡美) 騒がしく降る雨よ来い約束をすべて忘れてしまえるように
(ウクレレ) スカートの後ろスリット切れ込みに5インチばかり胸騒ぎする
(きたぱらあさみ) 喧騒のなかであなたの声だけが音階として響く放課後
(さくらこ) 喧騒に委ねてしまうさよならを君は気付いてない交差点
061:有無(128〜153)
(粉粧楼)いつまでもジャムの煮えない午後のなか運命の有無さえも幻
(月原真幸) 死ねばいいなどと言われた経験の有無を問われて嘘つきになる
(鮎美)本年も「配偶者の有無」慎重に「無」にマルをして提出したり
062:墓(126〜151)
(生田亜々子) 虫取りを繰り返しては嬉々として墓を作ったあの頃の夏
065:羽(126〜151)
(ひぐらしひなつ)羽ばたきの呼ぶさざなみがひかりつつまた翳りつつ秋をふるわす
(小倉るい) 夢は皆金網の中に押し込んでクジャクの羽の目玉が光る
068:コットン(127〜151)
(黒崎聡美)快晴に<100%コットン>と表示のシャツの正しい白さ
(ウクレレ)コットンの手触りのごと優しさも嘘も同時に素直になれる
(きたぱらあさみ) コットンでペディキュアをふき取っていく ゆっくり恋が終わってしまう
087:閉(103〜128)
(黒崎聡美)閉じられたロールカーテンを越えてくる冬の光は雪のあかるさ
(今泉洋子)一日のあらすぢの良き事のみを膨らませつつけふを閉ぢゆく
(ひぐらしひなつ)あなたかと目覚めてみれどとめどなく花舞い込んで扉を閉ざす
093:迫(102〜127)
(小林ちい)早足で高ニの終りが迫り来る言葉にならない不安を連れて
(雑食) 明日もまた届けるだろう「好きです」という書き出しの脅迫状を
(空音)夕暮れの冬の匂いに急かされて足早に行く年の瀬迫る
(ひぐらしひなつ)迫害の果ての死いくつ展示して冷えたり切支丹記念館
095:遠慮(101〜126)
(小林ちい) 遠慮して引っ込めた手を力尽くでひっぱってくれるような友達
(星桔梗)自己愛に遠慮という名の仮面(つら)被せ距離を置いてるアラフォーの君
(五十嵐きよみ)無遠慮な目つきを向けてくる人に気づかぬふりで前だけを見る
(新藤ゆゆ)あまりにも遠慮がなくてあまりにも夜がさむくて疼いてしまう
(モヨ子) 遠慮がちな言葉を交わす雨のあと終電もない夜の坂道
2011-11-28 題詠100首選歌集(その65)
選歌集・その65
004:まさか(258〜282)
(奈良絵里子)「まさかあの子が」ってわざと大袈裟にはしゃぐわたしの声が醜い
(きさらぎ) テレビでは警察手帳舞い踊りいつもの「まさか」を経て終わりゆく
(粉粧楼)疑いは重なるごとに鮮やかでまさかの重さただ抱きしめる
011:ゲーム(228〜252)
(ひぐらしひなつ) 白熱のゲームはドロー 夕立ちの過ぎた傾斜をゆっくり下る
(飯田和馬) 飽きられたゲームソフトを借りてきてとても大事に遊んで飽きる
(はせがわゆづ)くるりくる人生ゲームのルーレットは止まらないまま明日になった
029:公式(176〜200)
(みち。)ととのった公式みたいな恋をして解答用紙を火あぶりにする
041:さっぱり(154〜179)
(詩月めぐ)さっぱりと忘れたはずのあのひとのかけらが時々ちくんと刺さる
(藤野唯)まだ舌に残るあなたをさっぱりと忘れるためのオレンジソーダ
(稲生あきら)泳いでもさっぱり前に進めない そんな夢だけ見てる気がする
060:直(127〜151)
(ひぐらしひなつ)書き直すばかりでいずれ届くとも思えぬ文のような毎日
084:総(101〜126)
(螢子) 雨が総て流してくれるというのならこの朝焼けに何を祈ろう
(雑食)図書室の古びた辞書できみの名の総画数を確かめている
085:フルーツ(101〜125)
(南雲流水) 受け入れる哀しみやっと飲み込めばグレープフルーツジュースの渋味
(螢子) 星好きのあなたと食べた思い出がきらりとひかるスターフルーツ
(揚巻)おさまらぬものもおさまるべき皿へフルーツはみずみずしい誤解
086:貴(103〜128)
(伊倉ほたる)食後にはとろりと甘い貴腐ワインもたれ合いたい関係だから
(ひじり純子) 「貴金属高価買受いたします」チラシの裏にメモ取る電話
(黒崎聡美)早口の女がすすめる貴重さがうたい文句のラジオ通販
(藤田美香) 安売りのボンボンチョコと缶コーヒー貴婦人みたいなため息をつく
088:湧(102〜126)
(新藤ゆゆ)いじわるなフレーズばかり湧いてきてエゴイスティックに終える週末
(理阿弥) 啓蟄の庭にとくとく湧くひかり指を浸せばゆび微温(ぬる)みたり
(飯田和馬)それは豹。湧き上がるもの。春、僕を八つ裂きにしに駆けてくる影
(今泉洋子) 木洩れ日の濃淡君とわけ合ひて湧き出る水のかがやきを汲む
(珠弾)旅立ちの朝もいつもと変わらない駅のホームで湧き水を買う
(藤田美香)湧き水にすこし混じったあたらしい自分とやらを飲み干してみる
090:そもそも(103〜127)
(穂ノ木芽央)そもそものはぢまりなんぞたどるのは時間の無駄と路傍の地蔵
(雑食) そもそもという意味のない前置きが恋の終わりの始まりでした
ワンコ山田
今年も残り2日になりましたね。ココから怒涛のゴールラッシュが見られるかと楽しみです。西中さんのお仕事は今からが大変なのでしょうね…どうぞ、時間とか気になさらずにご自分のペースで進んでくださいね。私たちは首を長くしながら楽しみに待たせていただきます。 今年も何とか完走できたのは西中さんの選歌のおかげです。完走しなくちゃ候補にも入れていただけないっていうのも効いています。題詠100首は五十嵐さんが皆が集まる場を作ってくださって、西中さんがギュッとまとめて下さっていて、ひとつの形になっているのだと思います。その土台にくっつけていろんな観賞の場で膨らませてゆくのも大きな楽しみです。大層な仕事量、ご苦労かと思いますが来年もどうぞよろしくお願いいたします。駄作を並べながらぼちぼち走って行きたいと思っています。
ワンコ山田様 西中
ご丁寧なコメントありがとうございます。おっしゃる通り、これから私もラッシュに突入です。
御評価頂けるのは嬉しいのですが、元来無責任な思い付きで始めた選歌と百人一首ですから、あまりプレッシャーをかけないようにして頂きたいと存じます。お気軽かつ無責任ににお楽しみ頂ければ幸いです。
ワンコ山田
いえいえ、プレッシャーだなんて…そんなつもりは全然ないのですよ。はい、お気軽かつ無責任に楽しませていただきます。すてきな楽しみをありがとうございます。
ワンコ山田様 西中
余計なことを口走ってしまいました。どうかお気になさらないで下さい。今年は、明日から来月初頭にかけて、結構出掛ける用件などがありますので、百人一首は少し遅れるかもしれません。
2011-11-27 題詠100首選歌集(その64)
選歌集・その64
027:水(177〜201)
(粉粧楼) 水彩画みたいな色に変わりゆく君だけいないあの年の夏
(小林ちい) 水色はあいつが似合うと言った色くたびれたシャツたたまず捨てる
028:説(177〜201)
(ひぐらしひなつ) 読みさしのままの小説枕辺に伏せて九月の閉鎖病棟
030:遅(178〜202)
(なぎ) もつれてくスニーカーの紐 出遅れの恋はじょうずに走れないまま
(ひぐらしひなつ)いつもすこし遅れてやってくるバスの青い座席が春へと揺れる
(鮎美) 遅刻魔の弟の手を引きながら土の色など教へてもらふ
042:至(151〜175)
(遥遥) この道の至る所にあるという楽園というはてなき地獄
(ひぐらしひなつ) きみがいれば腕いっぱいに野あざみを抱く痛みも至福と呼ぼう
051:漕(127〜152)
(新藤ゆゆ)夕暮れの予感たとえばブランコを漕いでも漕いでもとどかない空
(粉粧楼)君の目の告げる言葉に導かれ漕ぎ出す海の色は知らない
(詩月めぐ) ペダル漕ぐ君の背中につかまれば一緒に空を飛べたあの頃
(藤野唯)いままでの恋を落としてゆくようにペダルを漕いでゆく長い坂
(しづく) まえかごに鞄後ろにあたし乗せゆっくりペダル漕ぐ君、夕焼け
(稲生あきら)がむしゃらにペダルを漕いだ坂道も今では遠い町の思い出
081:配(101〜126)
(黒崎聡美) 駅前のティッシュ配りは今日もなく唐突に吹く冬の冷たさ
083:溝(101〜126)
(村木美月) お互いに深まる溝は伸びてゆきやがて海へと行き着くがいい
(空音)賑やいだ宴の後の静けさよ側溝に浮く立ち待ちの月
(伊倉ほたる) U字溝が積み上げられた空き地にはセイタカアワダチソウと口笛
(モヨ子) 埋まらない溝ははなから覚悟して君と眺める宵の明星
(今泉洋子) 側溝に動かぬ鯰を見し夜に地震(なゐ)を伝ふるテロップ流る
(飯田和馬) ひょっこりと溝から顔をのぞかせる猫がぼくらを逸らせる月夜
098:味(77〜102)
(紗都子) 塩味のスイーツばかり食べすぎていい塩梅がわからなくなる
(青野ことり)上の空なんかじゃなくて秋だから風味のちがう三つの小鉢
(螢子)たったひとつほめられた味だしまきが得意料理となった冬の日
(小林ちい) 新しい味のコロンが出ただけで騒がしくなる二年六組
099:惑(77〜103)
(ワンコ山田)呑みたいね食事したいね逢いたいね(たいね)が降り積む惑星に住む
(青野ことり)戸惑いを隠せないままうなずいたあなたは花を買わないだろう
(螢子)不惑とふ年頃過ぎてまだ迷ふ心に君を住まわせてゐる
(小林ちい)「戸惑えばいいんだ初めてのことは」親父の手の中ビールが温む
100:完(76〜102)
(紗都子) 未完なるものこそ永久に愛されて白いレースのうえでまどろむ
(龍翔) 完全な愛など無いと知りつつも同じ行為を繰り返す夜
(香村かな) 今日はもう完売の札まだここに売れ残ってる花もあります
2011-11-25 題詠100首選歌集(その63)
選歌集・その63
009:寒(235〜259)
(豆野ふく)肌寒い風に暦を示すように翻し行く春色スカート
(はせがわゆづ)初雪を待つ夕暮れに寒椿の散るその時をじっとみていた
(樹)寒ブリを下げてうちまで来る人の肩にも雪はつもっただろう
038:抱(160〜184)
(黒崎聡美)花束を抱きしめるように持つ人は山手線のホームにむかう
(藤野唯)抱かれないことをえらんで帰る夜もう二度とないことだとしても
(ひぐらしひなつ)そう、いずれ忘れるでしょう抱くときのかすかな翳りそしてあなたを
(生田亜々子) 抱かれた記憶は無くてそれを抱きしめた形で固まる記憶
039:庭(154〜178)
(清次郎)小さき小さき実家の庭の剪定に八段の脚立運ばれ来たる
040:伝(156〜180)
(藤田美香)雨樋を伝う音符をたいくつな私は泣きたい順番で弾く
(詩月めぐ)頬伝う雨が涙に変わらぬよう急いで開く折りたたみ傘
078:卵(102〜126)
(伊倉ほたる)戻せない時間ばかりが増えていく固ゆで卵の黄身は蒼くて
(村木美月) 孵化しない卵を温め待つような想いを秘めた夜のバスタブ
(揚巻)排卵日すてたゆうひのまたたきを俯いて聴くちいさな音符
(黒崎聡美) おおざっぱにいこうと思う朝八時卵かけごはんひとり食べつつ
(詩月めぐ)簡単に片手で卵を割る君の作るオムレツしあわせふわり
079:雑(102〜126)
(伊倉ほたる)牛乳を拭いた雑巾 罪のないものが凶器に変わる教室
080:結婚(101〜125)
(揚巻)ペンだこもかつて結婚したひともやさしい壁のむこうへ行った
(今泉洋子)占ひは全て悪いが結婚運のみ良いという信じて生きる
082:万(101〜125)
(五十嵐きよみ)懐かしい昭和のにおい引き出しの奥から万年筆が見つかる
(小林ちい) ストーブに灯油を足せば夜半過ぎて100万都市に初雪の降る
(今泉洋子)虚木綿(うつゆふ)の山に籠もれば万緑はたましひまでも青く染めゆく
096:取(78〜102)
(香村かな) 取得した資格の数と同じだけ諦めてきた恋もあるから
(飯田和馬) 手に取れば香り重みが嬉しくて林檎をみがく眠れない夜
097:毎(77〜101)
2011-11-24 題詠100首選歌集(その62)
選歌集・その62
018:準備(204〜228)
(北爪沙苗)また秋の準備の季節 涼しさはあの風鈴が知っているから
(清次郎)いつだって旅立ちのときは過ぎていて昨日の準備ばかりしている
052:芯(126〜151)
(揚巻)泣かぬのは泣かせてほしいからなのに拗ねたりんごの芯まであおい
(今泉洋子) 柿の芯食べたら耳が遠くなると言ひし祖母(おほはは)思ふ秋の暮れ
(村上 喬)白百合の花芯をつまんだ指先で窓のくもりをあなたは拭う
(理阿弥)わが祖父に巣食ふ腫瘍の芯かたし背中にベビーパウダーを塗る
053:なう(126〜151)
(今泉洋子)肴には大きなうなぎ秋の夜の酒は鍋島それだけで足る
(黒崎聡美)九歳が十一歳となっていてあまり話さず犬をともなう
(村上 喬)明け方の雨にともなう淋しさも雪へとかわる冬ざれの道
071:謡(102〜126)
(音波) 日に焼けた昭和歌謡のレコードのしかもB面みたいな愛だ
(伊倉ほたる)流れ出す時代遅れの歌謡曲ささくれを剥くちいさな痛み
(萱野芙蓉) 駒鳥を殺したすずめそのわけを語らぬままに童謡は終はる
(揚巻) 奪われたこどもを呼ばう童謡の暗い瞳であのこがほしい
(黒崎聡美)童謡のメロディーながす信号機 見るたびに葉を落とす樹を背に
074:刃(103〜127)
(空音)なにげない言葉にすぐに傷ついて刃に感ず己哀しき
(村木美月) かなしみが増えてくだけの生き方を諸刃の剣抱いて歩む
(今泉洋子)刃(やいば)研ぐ初夢覚めて産土の太郎月の空どんよりとあり
(詩月めぐ)きんきんと真白に凍る三日月が刃のように突き刺さる夜
075:朱(101〜127)
(南雲流水) 最後まで流され切れぬ情がある離婚届の薄れた朱肉
(伊倉ほたる)喚び起こす記憶のページは破られて朱肉の匂いが残る指先
(螢子)朱々と燃える山際あの人も見ているだろか秋の夕暮れ
(峰月 京)G線を朱色に染める恋心目の前で弾く音色が憎い
076:ツリー(101〜126)
(南雲流水) クリスマスツリーを飾るモミの木が今年も切られ召される季節
(村木美月)100均にツリー飾りが並べられ今年も残りわずかと気づく
077:狂(102〜126)
(穂ノ木芽央) 狂気へのあこがれ闇に閉ぢ込めて今日も仮面をつけるその罪
(揚巻) 滅亡の予言のように狂詩曲むなもとふいにけものがさわぐ
(理阿弥)街灯の・ひかりの・傘に・粉雪の・風に・狂って・まわる・カデンツァ
(黒崎聡美) 少しずつ狂う時計をそのままに(きづき、わすれて)晩秋となる
094:裂(76〜100)
(ネコノカナエ)真夜中を静かに裂いてシリウスが昇る静かに確かに燃えて
(富田林薫)金の糸を織り交ぜながら深層の裂け目を縫って暮らしています
(龍翔)引き裂かれ弾けて飛んで転がったボタンの穴が君を見ている
(香村かな)おやじギャグ炸裂してる飲み会でさらりとかわす君の力量
095:遠慮(76〜100)
(紗都子) 遠慮などしていないのに顔色を気にされている逆光の席
2011-11-22 題詠100首選歌集(その61)
選歌集・その61
017:失(204〜228)
(生田亜々子) 近づいてやがて失うことになる方がこわくて見下ろす夜景
024:謝(180〜205)
(今泉洋子)駅伝の中継カメラが映しをり拝観謝絶の古都の寺院を
(小林ちい)ぶつかればちゃんと謝る金髪の下の意外とかわいい素顔
037:ポーズ(158〜182)
(粉粧楼)思い出にポーズボタンがあるのなら君と出会った夜で止めておく
048:束(127〜151)
(新藤ゆゆ) 束の間をつなげるためのセリフとか微笑みとかを備蓄している
(村上 喬) 秋の日の吐息もれたる束の間に柿の実うれてまた一つ落つ
(ひぐらしひなつ) 髪ゆるく束ねて不意に思い出す感触しばし冬陽にしずむ
070:介(101〜125)
(伊倉ほたる) 厄介な留守電を消す真夜中の雨で濡らした靴のつま先
(黒崎聡美)赤や黄の紙の葉っぱのあざやかさ介護施設を包む夕暮れ
(粉粧楼)遺伝子に魚介の記憶息づいて水の恋しい夜は眠れず
072:汚(101〜126)
(ワンコ山田) 明らかに私の辞書が汚れてる消すに消せない時のかさなり
073:自然(101〜125)
(伊倉ほたる) 不自然な笑顔を映すコンパクトはみ出し気味に塗った口紅
(萱野芙蓉) 碧瑠璃に匂ふ眼ならむ川波のひかりのなかに舞ふ自然居士
(月原真幸) 後悔もいいわけもなく不自然にまるいボタンをとめなおしてる
091:債(77〜101)
(ちょろ玉)国債の「債」という字に描かれた「人」って誰のことなんだろう
(紗都子)債権も債務も持たず生きるなら風のかたちになれるだろうか
(五十嵐きよみ) 国債のニュースばかりが目に入る「債」のお題に苦労する日に
092:念(76〜100)
(ネコノカナエ)初夏の日はざわりと思いを揺りおこす ただ念入りに畳を磨く
(小夜こなた) 鈍色に染みた貴方の情念が重ねた肌を虚ろにさせる
(うたのはこ)また明日も花束贈る口実に何でもない日を記念日にする
093:迫(77〜101)
(ネコノカナエ)すぐそこに夜明けが迫る 静寂を破り戸を開け迎えに行こう
(香村かな) すぐそこに迫る危険があるとして試してみたいキズナってやつ
2011-11-21 題詠100首百人一首予告編
題詠100首(注:五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の会)の締切も後10日になった。この催しに参加して7年目になるが、毎年全作品から選んで勝手な選歌集を作り、終了後にその中から百人一首を選定している。今日はその予告編。もっとも、去年の予告編の焼き直しが大半だが・・・。
これまでは、「題詠100首」という趣旨に沿って、100題完走した方の作品だけを対象として来た。今年もそうしたいと思っているのだが、現在のところ完走者は100人に僅かに届かないところだ。やはり130〜50人くらいはおられないと、百人一首の母集団としては心細い。現在のところ、第80あたりの題で120人くらいまで来ているので、まあ、130人程度を超えることは間違いないだろうと期待している。
これまでの選定に当たっての一番の悩みは、作者と題とのマトリックスだった。ちょうど100題だから、それぞれの題につき1作品を選び、作者も重複しないようにするのが当然の方針だが、その両者の兼ね合いがなかなかむずかしい。結果として、題との関係で、ある作者のベストの作品(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)が選ばれず、次善の作品になってしまう場合も出て来る。この点は題別に見ても同様だ。なるべくベストとベストが結びつくように、私なりに努力して来たことではあるが、今年は果たしてどのような結果になるか、楽しみにしつつも気になっているところではある。
作者中心に選ぶのか、作品中心に選ぶのかという問題もある。これまでは、選歌集に一定数(昨年、一昨年ともに13首、それ以前は10首)以上選んだ方の作品を優先し、残りをそれ以外の方の作品で補充するという方式を採った。今年どうするかはまだ決めていないし、13首程度以上選ばれる方の数も見当が付かないのだが、よほどのことがない限り、「13首」かどうかは別として、同じような方式になるのかなと、漠然と考えている。なお、選者の特権で、私の作品も、補欠あるいはDHとして1首選ばせて頂いている。
そんなわけで、不確定要素が多く、まだ百人一首の製作自体には全く掛かっていない。ただ、作品が全部出揃ったらすぐ作成できるよう、目下のところは個別の選歌と併行して、百人一首のための素材の分類や整理を進めて、いわばデータベースの完成を目指しているところだ。最初の年は勝手が判らないままにワードで整理していたので、整理に無駄な労力を費やしたが、2年目からはエクセルで製表するようにしたので、作者別や題別の整理は随分楽になった。
ついでに、選歌についての雑談を一つ。以前にも書いたことだが、選歌は、主催者のサイトから、全作品を私のドキュメントにいったん移した上で「予選」を行い、予選通過作のみを私のドキュメントに残した上で、ブログに載せるための選歌をしている。したがって、「予選」はかなり甘い物差しで行い、「選歌集」段階でやや厳しい物差しを使っている積りなのだが、いったん予選を通した作品を落とすには、かなりの決断を必要とする。読んでいるうちに作品に愛着めいた気持が湧いてくることもその理由の一つだが、もう一つには、主催者のサイトで見たときにはそれほどの作品だと思わなかったものが、いったん予選通過作として整理してみると、光って見えて来るというケースも結構多い。いずれにせよ、私の独断と偏見に基づく刹那的な選歌だから、あまり深刻に考えてもナンセンスだとは思いつつ、思い悩んでしまう(?)ことも稀ではない。
以上、百人一首の予告編まで。これからラストスパートをかけられる方はもちろんだが、私にとっても、この月末から来月はじめにかけての数日が勝負(?)である。せいぜい体調を崩さないよう気を付けながら、先日74歳に達した老躯に鞭打ってラストスパートをかけることにしたいと思っている。
2011-11-20 題詠100首選歌集(その60)
選歌集・その60
010:駆(230〜254)
(増田静) すこやかな四輪駆動いのししが前へ前へと夏を蹴とばす
026:震(177〜201)
(今泉洋子) 地震(なゐ)続く列島に季は移ろひてツタンカーメンを飯に炊き込む
(黒崎聡美)雨粒は紫陽花の葉を震わせて葉裏の影をさらに濃くする
(ひぐらしひなつ) さわさわと九月の水を震わせて魚のようなさみしさが来る
036:暑(160〜184)
(浅見塔子) しばらくはふったあいつの夢をみる じめじめとした残暑は嫌い
(稲生あきら)逃げるようにクワガタムシの亡骸を置き去りにした夏の暑い日
(粉粧楼)君の手の冷たさだけを頼りとし暑いばかりの夜に溶け込む
047:態(128〜152)
(藤野唯) 醜態をさらしたままでしたキスを灯りのように大事にしてる
049:方法(129〜153)
(ひぐらしひなつ) いくつかの模索の果てにたどりつく方法 雨がわたしを伝う
050:酒(127〜151)
(村上 喬)梅の実の青くすみたる酒瓶に今年の夏の光ゆれおり
(今泉洋子)生きるとは罪重ぬる事酒食らひ獣食らひ嘘までもつく
(理阿弥)手土産の酒で浅蜊を蒸しをれば別れたとぽつり妹の云ふ
087:閉(76〜102)
(紗都子) 夜の闇に閉ざされてゆく扉たち今日と明日の境目になる
(桑原憂太郎) ため息の飽和してゐて校門の重い鉄扉は閉じられたまま
(五十嵐きよみ)猫が目を閉じている間にゆっくりと小春日和の午後が過ぎゆく
(新藤ゆゆ)デパートに閉じこめられたマネキンのような温度で抱きあえばいい
088:湧(76〜101)
(東雲の月)湧き上がる刹那にひたと崩れゆく水涼やかに夏色となる
(うたのはこ)君の指から湧き出した音の粒壁越しに聞く雨の放課後
089:成(76〜102)
(東雲の月)いつだって求めるものは成功で手に入るのは苦い思い出
(星桔梗) 成長を祈りつ過ぎゆく景色には四季幾度も重なりてをり
(五十嵐きよみ) ひらがなで成り立っているあこがれをどうか漢字に置き換えないで
(村木美月) 欠伸して流す涙とかなしみの涙はきっと違う成分
090:そもそも(78〜102)
(牛隆佑) 決めるべき事も決まって日溜まりにそもそも論を遊ばせている
2011-11-17 題詠100首選歌集(その59)
選歌集・その59
001:初(280〜304)
(飯田和馬)初めてのブランコに似たかなしみが沈む秋刀魚の瞳の底に
(粉粧楼)まなざしの闇に捕らわれみずからの体温を知る初めての夜
061:有無(103〜127)
(うたのはこ)つり革を持つ手よろけた振りをして指輪の有無を確かめてみる
(じゃこ) 配偶者の有無の欄だけ書き損じもの悲しさの増した履歴書
(今泉洋子) 才能の有無を自分で決めるなと白秋言へり諦めず詠む
(黒崎聡美) 大いなる流れのなかに立っていて有無を言わせぬ北風が吹く
063:丈(104〜132)
(新藤ゆゆ) ブカブカで丈のあわない恋人を着ていた日々がおもいでになる
(雑食)早生まれだったあなたに背の丈を越されたころに書かれた日記
(村木美月)よそゆきの微笑みだけを忍ばせて身の丈合わぬ一日過ごす
(空音)もう全て知ってるような顔をしてミニ丈に折るプリーツスカート
(藤田美香) ため息の丈に合わせて更ける夜せめて明日は天気になれよ
(黒崎聡美) デートって何してたっけと思いつつはんぱな丈のチノパンを穿く
064:おやつ(103〜130)
(雑食) おやつなど似合わぬほどに年齢を重ねたきみとぼくの夕暮れ
(今泉洋子)歌よりもおやつ作れと幼子は苦しむわれにレシピ持ち来る
(黒崎聡美)おやつというやさしい音もまぜこんでホットケーキは三枚焼けた
065:羽(101〜125)
(雑食) 手羽先の骨積み上げる時もまだぼくへの文句積み上げている
(萱野芙蓉)しろき鳩羽ばたくやうな音させて時雨降るなりビルの窓にも
(今泉洋子)春 の夜の夢の底なる花みづき羽根を広げて天使になつた
066:豚(101〜126)
(うたのはこ)「好きなもの買ってあげる」と君はいう豚の貯金箱さかさまにして
(伊倉ほたる) 包丁は研ぎ澄まされた冬の月 白磁を酢豚で彩る夕餉
(今泉洋子)仕上げには醤油を入れし祖母の味舌が覚えて豚汁つくる
(粉粧楼)後悔と共に食卓囲むためイベリコ豚をソテーする夜
067:励(101〜125)
(北爪沙苗) ほどほど、と励ましながら降り続く十月の雨 バラも散るころ
(伊倉ほたる) 励ましのことばがのどに貼り付いてベリーニの泡をじっとみていた
(今泉洋子)励まし合ひて歌詠みし友不意に逝き秋空ただに広くなりたり
068:コットン(102〜126)
(七十路ばばの独り言)コットンの響きが誘(いざな)うイメージは綿の畑に立つスカーレット
(うたのはこ)無くなれば恋の魔法も解けそうで食べずに飾るコットンキャンディ
(南雲流水) コットンのシャツのボタンを付け直す擦り切れるほど遠い歳月
(新藤ゆゆ)コットンのやさしい匂いのするひとになるため今日も嘘をのみ込む
(伊倉ほたる)コイン式ランドリーには空がないコットンシャツの回る真夜中
(村木美月)コットンのシャツから香るダウニーが幸せ者の象徴となる
(空音)いい人の振りなんてもうするものか裂くように脱ぐコットンのシャツ
069:箸(101〜126)
(伊倉ほたる) 菜箸で転がしているゆでたまご「母」で始める一日のため
(萱野芙蓉)箸づかひの癖さへうつくしく見える男と啜る江戸せいろ蕎麦
(黒崎聡美)箸置きに箸を置く所作うつくしく夜はそれよりゆるやかとなる
(冥亭)骨上げの箸の短さ ホトケともヒトとも縁の薄き世の末
086:貴(78〜102)
(じゃみぃ) ぼんやりと紙に落書きしていると貴女のことをふと思いだす
で、再投稿してるんです。「 主たる貴方の隣立つために騎士道という言い訳をする 」こっちなんです。
私、お題するときに、雰囲気つかむのに、お題入ってない歌もいくつも詠むので、うっかり。。。
ホント、すいません。
ていうか、ネタ歌が選ばれていると思うと、顔から火が出そうな恥ずかしさ。。。
詩の古いネット友達が教えてくれて気付いたのです。
私のうっかりミスに巻き込んでしまってすいませんでした。
私はもう完走してしまったので、西中さんのこのサイトをのんびりと楽しませてもらいますーー。