しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳

2016-12-05 百人一首取りやめの弁

 五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の催し(年初に100の題が示され、その順を追って投稿して行くシステム)に私も参加して12年になった。私の投稿を先行させつつ、勝手な「選歌集」をまとめ、終了後に「百人一首」を作るというのが例年のパターンであり、今年も「選歌集」までは続けたのだが、「百人一首」は取りやめにしようかと思っている。

その最大の理由は、選歌数の減少である。投稿の数が減ったせいか、選歌集に載せた作品の数が随分減った。選歌集掲載ゼロという題もあるし、2,3首しかない題もかなりある。これでは「百人一首」を作ることは不可能に近い。工夫の余地はあるのかも知れないが、今年1年を振り返ってみて、その意欲が湧かないという面もある。

主催者の御意向で、今年からフェイスブックによる投稿ということに変わったのだが、そのせいか例年お馴染みだった方の投稿が随分減り、私の選歌集に対するコメントなどの反応も激減した。催しのベースとなる参加者の性格もかなり変わったのではないかという気もする。それやこれやで、投稿をし、選歌をしながらも、フェイスブックというスタイルにも何となく違和感を感じていたのだが、百人一首の段階に至って、いよいよギブアップという感覚になってしまったのも正直なところだ。

11年続けて来たたことを止めるのも心残りではあるのだが、考えてみれば、気が進まないままに無理をする必要もない話で、この辺で肩の荷をおろすのも悪くないかなとも思っている。

もし私の「百人一首」を期待している方がおられたら申し訳ないので、以上お断りしておく次第である。

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2016-12-01 題詠100首選歌集(その19=終)

         選歌集・その19(11・29〜12・1)

031:防

(宮まり)防ごうと思えば防げた拒もうと思えば拒めた恋の始まり

038:宇

(宮まり)目を開けて最初に見た人好きになるそういう定めの宇宙もあるさ

040:咳

(土乃児)遍路宿「同行二人」の笠を脱ぎ灯を消して咳をするひとり

044:欺

(久野はすみ)ゆらゆらゆれる木の葉に擬態する魚のようにきみを欺く

046:才

(久野はすみ)落書きの画才のなさを笑いあう放課後というサンクチュアリ

(宮まり)何歳と簡単に訊くアンケート18才と理想を書いた

048:事情

(土乃児)其々の事情は聞かず同宿の遍路は明日の道を語らう

052:せんべい

(久野はすみ)きみの声が通過列車のようだった南部せんべいぱりんと割りぬ

054:暴

(久野はすみ)冬ばらは風に暴れていたりけり乳白色の花を散らして

(宮まり)穏やかな色を選ぼう暴れたい心を隠すセーター編もう

058:囚

(久野はすみ)原っぱに桑の木いっぽん立っていた囚われ人のようにしずかに

060:菊

(宮まり)命名に菊子にしようか迷ったと後で聞かされ菊好きになる

061:版

(宮まり)書店さんや版元さんとさんを付け言う癖の人を恋しと思う

062:歴

(久野はすみ)一時間のちにはきみがひらくはず検索履歴を残して閉じる

067:挫

(久野はすみ)出奔の予定はいつも頓挫してうつらうつらと眠る家猫

078:旗

(久野はすみ)どこまでも自分に甘いわたくしの旗色がやや悪くなる夜

079:釈

(久野はすみ)すこしだけのどにからめるカルピスの五倍希釈の懐かしき夏

080:大根

(土乃児)雪被り歩いて着いた宿坊の風呂吹き大根柚子味噌美味し

082:棺

(宮まり)棺桶へ入れやすいよう縮んだと身体検査で笑ってた人

086:坊

(土乃児)素泊りの宿坊一人酒を買いウツボのたたきで除夜の鐘聞く

088:宿

(土乃児)五年ぶり懐かしき宿訪えば元気な男児が一人増えたり

091:盤

(土乃児)新年の法会の報せ双盤の音殷々と本堂に響く

096:樽

(土乃児)山里の樽で作った遍路小屋味噌の香りに包まれ眠る

099:品

(久野はすみ)ここからはそれぞれの線たそがれの品川駅で乗り換えてゆく

100:扉

(宮まり)もうそろそろ扉の隙間に朝日来るそう思いしが雨の音する

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2016-11-30 題詠100首選歌集(その18)

         選歌集・その18(11・25〜11・29)

002:欠

(久野はすみ)全集の重き一冊取り出せば欠けたる場所にひかりはそそぐ

010:容

(久野はすみ)シャンプーを詰め替え容器に流し込む あなたの怒りはあなたのものだ

011:平

(久野はすみ)アトリエに画布は平らに置かれけり描かれし女も解き放たれて

016:察

(久野はすみ)ひんやりとプラスチックの手触りの母の診察券を差し出す

017:誤解

(久野はすみ)きみの手をなつかしむ夜うつくしい誤解のように雪ふりつもる

019:幅

(久野はすみ)舟ならば乗らないだろう川沿いを肩幅狭き男と歩く

020:含

(久野はすみ)ほんとうにそれでいいのね夕闇に含み笑いのような三日月

025:膨

(久野はすみ)じっくりと水を吸わせて膨らます干し椎茸も今日の侮蔑も

026:向

(久野はすみ)そのひとの向日性を語りつつだけど曲がっている花の茎

030:失恋

(久野はすみ)この春も失恋したる黒猫が恋などなかったふりして眠る

032:村

(久野はすみ)晩秋(おそあき)のいろどりとして鞄には北村薫を一冊入れる

033:イスラム

(久野はすみ)信仰をもたぬ弱さを肯えどイスラム暦の月のまぶしさ

036:味噌

(久野はすみ)海原をわたるつもりの休日に鯖の味噌煮を温めなおす

037:飽

(久野はすみ)ねむってもねむってもまだ飽き足らず夢野久作抱えてねむる

041:ものさし

(久野はすみ)となりから黙ってさっとものさしを差し出すような女ともだち

043:麦

(久野はすみ)助手席にあなたを乗せてゆく旅の麦の穂麦の穂ひかる麦の穂

052:せんべい

村田馨)香ばしきせんべいを手に散歩する草加神社のおだやかな昼

054:暴

村田馨)多度大社に暴れ嘶(いなな)くものたちよ上げ馬神事はいま始まりぬ

058:囚

村田馨)囚われの身の鬱屈を思い描く松陰神社に細き雨降る

061:版

村田馨)ガリ版の学級新聞見せあえば九十九神社に夕日がしずむ

074:弦

清水 淳史)淋しさが指の先まで伝わってギターの弦を弾きたくなる

082:棺

山本貴幸)足早にひとら行きかふ乗り換への駅構内は棺のかたち

083:笠

山本貴幸)銭湯に座高あるひと笠雲のやうにシャンプー泡立ててをり

084:剃

(牧童)露天風呂柑子色(こうじいろ)へと変わる夕 白毛まじりの無精髭剃る

087:監

(牧童)監獄のように閉ざした素鼠(すねずみ)の曇り空でも二人は自由

091:盤

山本貴幸)本調子にあらざるけふは楽器屋の鍵盤ひとつ鳴らして帰る

青山みのり)職場では見せない顔を知ってから西館二階を指す羅針盤

096:樽

青山みのり)樽に乗るドンキーコングのあやうさに降り出しそうな曇天の午後

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2016-11-25 題詠100首選歌集(その17)

選歌集・その17(11・12〜11・25)


017:誤解

小川窓子)誤解から君と出会った夏だったネコの写真をたくさん撮った

020:含

(村田馨)雨雲が冬を含んでひろがりぬ氷川神社は正月支度

028:脈

(村田馨)水脈引きて船は進みぬ竹生島神社ははるか霧に沈みて

030:失恋

(高井志野)もてあます失恋の角が落ちるころ杏仁豆腐にのせるクコの実

035:貰

(村田馨)爺ちゃんに買って貰ったあんずあめ熊野神社の小さな露店

041:ものさし

山本貴幸)なぞられもせぬものさしの短辺の気持ちのやうでその手をはらふ

小川窓子)ふでばこでカタカタ言ってたものさしの目盛が消えて秋風過ぎる

047:軍

小川窓子)たおやかな母と姉妹の女性軍せめてと父はオス犬を飼う

053:波

(青山みのり)波長のあう人とくつろぐ公園銀杏が僕を秋にしてゆく

057:狼

(青山みのり)昨日より月の明るい野にふたり夏の匂いに狼狽えている

058:囚

(青山みのり)囚われの身となる前にたんぽぽの綿毛よ悔いのないように飛べ

059:ケース

(牧童)漆黒(しっこく)の下着一枚残された母の形見のケースを閉じる

山本貴幸)iPhoneのケースに猫のシルエットたづさへ気ままな旅に出ようか

065:均

(青山みのり)均等に配分されぬしあわせを見透かすごとく月冴え渡る

069:枕

(牧童)栗色(くりいろ)の冬カーテンに付け替える枕並べて今夜もひとり

070:凝

(中西なおみ)かみさまはきっと凝り性そらの色だけでこんなに色を使って

071:尻

(牧童)見上げれば露草色の空となり口説き文句も尻切れ蜻蛉

072:還

(青山みのり)飛行機の残した白いひとすじの雲に還元されてゆく秋

074:弦

(中西なおみ)風のゆれ受け止めるよう弦をはり蜘蛛つくり出す水面の波紋

(青山みのり)調弦のととのわぬまま鳴るすすき君に痛みは知られたくない

077:フリー

(牧童)苔色(こけいろ)の老後の日々は何もなくストレスフリーストレスになる

079:釈

(青山みのり)解釈も言葉も声も捨てていい世界のすみからすみまでさくら

(牧童)歳月希釈されない哀しみを赤朽葉(あかくちば)色の雨にとかして

080:大根

(牧童)二人行く三浦大根干す浜の海松茶(みるちゃ)の海と空とが重く

082:棺

(青山みのり)一人また一人去りゆきこの家はわたしひとりを納める棺

086:坊

睡蓮。)雨降れとてるてる坊主を逆さ吊り買ったばかりの長靴出して

087:監

(由子)タイマーに監視をさせて真夜茹でるパスタよ負けてなどいられない

088:宿

(青山みのり)長閑としか言いようのないこの街で宿根草暮らしています

(由子)「お神輿は上から見るな」女将から教わるあの秋外房の宿

094:操

(阿部定一郎)ゆうがたの人恋しさにつけこんで節操もなく影のびてゆく

096:樽

(風花)たわわなる柿の実みれば樽柿の仕上がり待ちし遠き日思う

097:停

(ひなたひとみ)バス停を見つけて何故かホッとする紅葉始まる滋賀の山々

藤野恵子)進まぬと決めた私でよかったと 一旦停止で見えた青空

098 覆

(muku)一面に落ち葉が覆う錦絵に 二人の影を描き込む秋

099:品

Hoshi Takasawa)年賀状の当選品の干支切手つかはぬままに年が暮れゆく

100:扉

(ひなたひとみ)すれ違う回転扉に残されたコロンの香り今も忘れず

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2016-11-12 題詠100首選歌集(その16)

           選歌集・その16(10・17〜11・12)

005:移

青山みのりポケモンGOで突飛な場所へ移動してあなたのいない世界を見たい

(高井志野属性は変わってないが移り気な言葉のタグを引っ張ってみる

013:伏

青山みのり)重たげなとばりの降りて光らないものの潜伏する街の夜

016:察

青山みのり)察しよく西へ集まる小魚をつぎつぎ焼いて沈む落陽

027:どうして

(小張 久美)どうしても数えられないものばかり虹と天使とあなたの嘘と

028:脈

(牧童)モニターの脈を眺めて臨終をただ待つだけの錫色(すずいろ)の朝

030:失恋

(牧童)失恋のたびに心も色を変え納戸色(なんどいろ)した大人の風情

青山みのり)脳内に書き替えられて失恋はみかんの房の一粒となる

032:村

山本貴幸)村さ来を出でて星月夜のほとり厭はるることに慣れてしまへり

033:イスラム

(小張 久美)憧れと嫌悪と夢のモザイクを埋めれば浮かぶイスラム模様

山本貴幸)イスラムのニュース読み上げらるる間の遠雷はつか迫り来たれり

036:味噌

(牧童)味さめた味噌汁すすり何もない鴨頭草(つきくさ)色の朝が始まる

青山みのり)あの場面でなにが正解だったのか味噌ひとさじを溶かす束の間

039:迎

(Mamiko Kuwahara)思い出がこぼれ落ちてく夜だから流星と月が迎えに来たね

046:才

(牧童)秋寒に才が無くとも恋唄をつくりたくなる柿色(かきいろ)の雨

049:振

(ひなたひとみ)針先はゆっくり振れて封筒に十円切手を追加して貼る

061:版

睡蓮。)曇天が落ちて来るよな古本屋かの絶版の一冊光る

(ひなたひとみガリ版で文集作りに精出した昭和は今もインクの匂い

064:あん

睡蓮。)背中からそっと抱かれた夏以来あんなに青い空はなかった

065:均

(阿部定一郎)おずおずと平均台の上に立つ少女はすこし天使に似ている

070:凝

(阿部定一郎)友だったはずのあなたのくすりゆび凝ったつくりの指輪が鎧う

橋本和子)木で彫られし古き仏はひびだらけ凝った心が溶けて流れる

071:尻

(ひなたひとみ)お手本のヨガのポーズを真似すればお尻の奥が悲鳴をあげる

072:還

(風花)還暦を過ぎた頃から派手となる男の靴を月がてらせり

074:弦

(阿部定一郎)無造作に開放弦を掻き鳴らすように片手で愛してあげる

075:肝

睡蓮。)肝心な時あわてない自信無く日々考える避難想定

077:フリー

(ひなたひとみフリースの袖口あげて蜜柑むく母の背中は去年より丸い

078:旗

橋本和子)着けばすぐ洗う白衣は遍路旗洗面台にシャボン泡立て

080:大根

(風花)冬大根ずらり干された海岸に泣くごとき風吹けば年の瀬

橋本和子)一椀はまびき大根胡麻あえて宿の裏庭月がこぼれる

082:棺

(ひなたひとみハロウィンを終えて棺に戻りゆく地下街にいるゾンビ集団

083:笠

橋本和子)菅笠も金剛杖も持たずして白衣ひとつで空と海行く

(ひなたひとみ)花笠を被るおみなの紅赤く街が賑わう山形の夏

087:監

(阿部定一郎)昼間でも油断はならぬ太陽に隠れて月は監視している

088:宿

(ひなたひとみ)宿題の絵日記うめるイベントをこなせぬままに夏を終えたり

091:盤

Hoshi Takasawa)ウディ・アレンみたいな眉にさせていく会話の序盤でつまづいてゐ

kei)新しい恋の予感もないままに二人の指がすべる鍵盤

092:非

(廣珍堂)廃屋は非常口だけ開いてをり土の匂ひと交はるところ

097:停

(廣珍堂)ローカルの駅に10分停車するディーゼル列車は行商を待つ

099:品

(廣珍堂)苦しみを九品の底にそつと置き今日の暑さに咲き初むる蓮

100:扉

橋本和子)悲の扉いくつも押してここに居る秋の日ざしの溢れるところ

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2016-10-18 題詠100首選歌集(その15)

       選歌集・その15(10・2〜10・17)

004:相当

(小張 久美)食べ残す宇治金時の冷たさと甘さ相当分の後悔

005:移

(小張 久美)質問をあとひとつだけいいですか移住先では星見えますか

007:厳

(小張 久美)許すのは許されるより容易いと厳かに鳴るパイプオルガン

009:たまたま

(小張 久美)約束が守れなかっただけのことたまたまそこにいただけのこと

010:容

(小張 久美)容疑者は昨日の夢の顔をして朝にはいつも私の後ろ

高橋 玲子)夏尽きて蝶の羽色はむらさきへ変容してゆく、空になるため

011:平

(小張 久美)嘘だけが輝く夜は流星と金平糖の数が合わない

013:伏

(牧童)言い伏せる相手もひとりまた失せて手酌の酔いは煤竹色に

015:盲

高橋 玲子)盲信と恋の間にあるものを愛と名付けてみた真冬の日

016:察

高橋 玲子)夏空に融けてゆくので青ばかり減る朝顔の観察日記

018:荷

(小張 久美)きらきらの海が夢から目覚めたら薄荷色した夏のはじまり

019:幅

高橋 玲子) 十月の空はたゆたう青色の振れ幅ひろくやがて海へと

020:含

(牧童)白緑(びゃくろく)の雨を含めば若き娘の触れ合う舌の柔い想い出

024:田舎

(ひなたひとみコスモスが揺れる田舎の休耕田うつむき歩く兄の後ろを

(小張 久美)ビル風に呼吸の止まる日を終えて田舎暮らしの夢でまどろむ

028:脈

高橋 玲子)足裏に水脈を聴く雨の夜は溺れた魚を数えて歩く

030:失恋

(ひなたひとみ)失恋をするにも体力いるらしく吾子は休みにコンコンと寝る

031:防

(RussianBlue)なぜ人は心に防壁作るのか問いながら見たエヴァンゲリオン

032:村

(RussianBlue)水といふごく柔らかき結界に沈められたる村落のあり

051:旨

睡蓮。)今日あったすべてを聞いてほしいけど主旨だけ話す疲れた君に

053:波

高橋 玲子)夢にまで寒波は寄せる、粉雪は硝子でできた矜持のかけら

060:菊

高橋 玲子)除虫菊の香りが滲む物置で夏のかたちは朽ち果てていく

061:版

(風花)パソコンの変換機能の便利さにガリ版切ったあの頃おもう

065:均

(由子)忘れたきことふえゆけば懐かしき父踏み均す初雪の路

(風花)百均の店に吊られしオレンジのお化けかぼちゃの哀しい笑顔

070:凝

(風花)藍ふかく空いっぱいに鰯雲ただ立ち尽くし凝視した丘

高橋 玲子)煮凝りが融ける温度で触れられた背中に深く答えを沈める

071:尻

(RussianBlue)同じ時共に過ごして深まった目尻の皺の深さ愛しき

079:釈

(RussianBlue)世の中に繋がり合える人がいる事が嬉しく会釈を返す

080:大根

(影山光月)修羅場には大根役者がよく似合う決まったせりふ棒読みで吐く

(廣珍堂)街なかの寺に湯気あり大根炊き(だいこだき)梵字がまるく煮立つてをりぬ

081:臍

(廣珍堂)臍の緒を抽斗奥に収むる日赤子はまるく寝返り打てり

083:笠

(廣珍堂)しばらくは初冬の雨に濡れやうか落柿舎の壁に笠の掛かりて

086:坊

(五十嵐きよみ)また三日坊主で終わり原文の源氏はいまだ夕顔の巻

(廣珍堂)僧坊の奥に聞こゆる声明を朝露に吸ふさみどりの

高橋 玲子)寝坊した朝に遅れて乗るバスは知らない何処かと繋がっている

087:監

(五十嵐きよみ)監督も女優も古い名ばかりが並んだわが家の映画名鑑

(廣珍堂)調書には罪と功績見え隠れ監察室に転がる仮面

088:宿

高橋 玲子)西新宿午前4時半、眠るもの起き出すものもみな青の翳

089:潮

高橋 玲子)引き潮に奪い去られるときを待ち少女の裸足は輪廻を掴む

090:マジック

(五十嵐きよみ)裏写りしたマジックの跡がまだ残る実家の古い卓袱台

091:盤

muku)あと一手決められぬままの盤面は 切ない想いの白黒模様

(RussianBlue)囲碁盤の上に織りなす麗らかな天球儀にも似た石の瞬き

094:操

高橋 玲子)操車場には明けない夜もあることを遺して闇に眠るデルヴォー

099:品

高橋 玲子)大切にされた骨董品のまま死んでゆくのもひとつの愛か

100:扉

(RussianBlue)ガラス張り扉の向こうきっちりと靴を揃える君を愛する

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2016-10-02 題詠100首選歌集(その14)

        選歌集・その14(9・6〜10・2)

002:欠

(牧童)欠けたのは欲望なのか夢なのか乙女色した冷えた想い出

005:移

小川窓子)田を渡る稲のかおりが移りゆくイナゴがはねて夏が飛び散る

(東馬想)長距離を移動するのが目的と化して青春18キップ

008:製

(ひなたひとみカラカラと製氷される深夜二時トイレに立てば猫の目光

009:たまたま

(ひなたひとみたまたまが毎度になって視線合う恋する予感の朝の通勤

010:容

(ひなたひとみ)君の言う許容範囲がわからずに見えない壁に押されてばかり

(容子)体内で熟した金魚蓄えて 月一流す 少女の容器

012:卑

(RussianBlue)卑屈なる心の内に棲みついた悪魔の花に蜜を与える

013:伏

(ひなたひとみ)伏せ縫いのシャツの袖口たくしあげ額ににじむ汗を拭きおり

018:荷

(RussianBlue)草原を知らない馬が引いてゆく林檎が香る旅の荷馬車を

043:麦

睡蓮。)冷蔵庫 運動会まで夏仕様 居並ぶ麦茶緑茶ボトル

048:事情

睡蓮。)男には説明できない言い訳を "女の事情" とごまかす手口

052:せんべい

小川窓子)せんべいの空洞あれば小さくもああ浅草空気を吸える

054:暴

小川窓子)土砂降りで暴風の中トラ猫は独りを選び背を向け歩む

056:蓄

(廣珍堂)木製の蓄音機には灯がともり78回転に加速す

(風花)目に見えぬ蓄積されしセシウムの事ふと思う凪の浜辺で

058:囚

橋本和子)囚人の上皇を待つ青い馬いななきそうな天皇寺

060:菊

橋本和子)踏まれやすいでも踏まれない野菊揺れ遍路道でのかすかな吐息

(風花)うなだれて晩夏のひまわり見た野辺に優しく伸びする菊花の黄色

063:律

(廣珍堂)廃校に調律ずれたピアノあり今日も鳴らずに鳥の歌聞く

064:あん

(由子)時計草の不思議はわたし あんな日をひとりで耐えて忘れては咲く

066:瓦

(廣珍堂)夜明け前瓦のうえに寝転がりふたり無言で待つ流星雨

071:尻

(廣珍堂)カナヘビの尻尾の長さ増す刹那いよよ陽射しはしづけさ増せり

077:フリー

(廣珍堂)青春の記憶つくりしフリージャズ大音量の店はもうない

079:釈

(五十嵐きよみ)解釈でねじ曲げられた九条を自分の声で読み上げてみる

081:臍

(五十嵐きよみ)「薔薇」よりもずっと少ないこれまでに「臍」と漢字で書いた回数

082:棺

(五十嵐きよみ)よりそって眠ってみたい花々に埋もれてふたり用の棺で

083:笠

(五十嵐きよみ)小説の中の寡黙な老人に笠智衆をつい当てはめており

087:監

(muku)懐かしい人生一度の頬ビンタ 鬼監督も今年喜寿とか

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2016-09-06 題詠100首選歌集(その13)

         選歌集・その13(8・14〜9・6)


001:地

(ひなたひとみポケモン地図に浮きたつスポットを探し歩いてお盆を終える

002:欠

(ひなたひとみ)欠損せし左足指冷えており靴下の隙あなたは知らぬ

003:超

(ひなたひとみ)超人の命をかけた祭典は爪切りの手をふいに止めたり

017:誤解

山本貴幸)頑なな靴ひも解くやうにして君の誤解をやさしくほぐす

023:肘

(由子) 反日は生活苦からも来るだろう肘つかみ睨むこのチャイニーズ

027:どうして

(叶)幼な子はどうして?なんで?を繰り返しやがて瞳の深まりてゆく

032:村

睡蓮。)最果ての村か南の密林か祖父の死想う終戦記念日

(Mamiko Kuwahara)かなしみを今日は忘れて選ぼうか村祭りに着る浴衣と帯を

033:イスラム

(叶)神おはす大天空を表せし青きモスクにイスラムを見る

(Mamiko Kuwahara)イスラムとキリスト教とが交じりあうハギア・ソフィアの高い天井

036:味噌

(中西なおみ)幼子が作る味噌汁具は葉っぱ小枝の箸の夕焼けの中

039:迎

(叶)帰省子を迎へる親の年々と曲がる背中を目に焼き付けぬ

(廣珍堂)来迎の衣装をまとう祭りの日ぽっくり寺は浄土に浮かぶ

044:欺

(叶)自らを欺き流さるままとなり注ぐ夏日の身を焦がすごと

048:事情

(風花)あれこれと事情の多きそのひとの言い訳のクセ判り始めつ

(影山光月)事情など尋きはしないがなんとなく察してはいる夏の夕暮れ

050:凸

(廣珍堂)乙女らが凸なる胸に紅を秘めみどりの野辺を駆くる声する

051:旨

(叶)秋月を肴に交はす旨酒のしばし無言の友ここにあり

052:せんべい

(風花)西陽さす昭和の色した駄菓子屋のガラス瓶入りせんべい光る

053:波

橋本和子)歩調にも波起こりくる讃岐道母の故郷の麦穂の海で

054:暴

(由子)この世への暴雨なれども送り火は朝まで父が迷わぬように

066:瓦

(叶)堀切場末を守る寺にあるあの鬼瓦はすこし優しき

068:国歌

kei)しっかりと国歌うたえという声を湖底の古木に絡ませておく

074:弦

(五十嵐きよみ)我が開くネット書店のおすすめに羽生結弦がずらりと並ぶ

085:つまり

(muku)からっぽのため息の中終わる夏 つまり私は君が恋しい

086:坊

(八慧)逞しい暴れん坊が大好きと甘えん坊がいやいやをする

087:監

(八慧)臍下の監督責任問う人の拗ねてる声が胸に甘える

088:宿

(叶)夕餉どき河原住まいの宿なしの口笛かなし小走りで帰る

(八慧)宿帳に妻と記すを覗き見て君はすましてつんつん突く

089:潮

(叶)潮臭き水門近くの船宿の老ぼれ犬はオンと鳴きをり

090:マジック

(八慧)密やかにマジックミラー越しに見る君の半裸はやけに艶やか

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2016-08-14 題詠100首選歌集・その12

         選歌集・その12(7・8〜8・14)

004:相当

(叶)目を伏せてぼそりと語る少年のそれ相当の訳ある瞳

005:移

鬼無里)移項して答えを求むことなんて社会に出てからしたことがない

007:厳

(叶)岩穿つ厳松(げんしょう)の根の険しさを夏空だけが見守りてゐ

009:たまたま

(遠音)たまたまと君は呟き落ちてゐボールを拾ふ目を合はさずに

010:容

(みち。)許容量はあとどのくらい混濁のわたしの海で溺れるわたし

015:盲

(廣珍堂)足元に盲導犬はじつとして新快速はまもなく京都

019:幅

鬼無里)振幅がずれて会話のない夜は月がふたり共鳴させる

021:御

(風花)斜度30霊場御岳杉並び風ふきわたる山のはつ夏

023:肘

(風花)我はもう気ままを願う齢なり肘掛け窓にひかりと遊ぶ

024:田舎

(Mamiko Kuwahara)都会にはない星空を見つめつつ田舎言葉に酔う盆の夜

(廣珍堂)テエブルに田舎の団子並びゐて午後の列車で母は帰りぬ

025: 膨

(風花)海辺よりきたる風受けパーカーの背(せな)膨らませ見ていた夕陽

026:向

(風花)向かいあい近況一気に語りあう早々からのジョッキを置いて

(廣珍堂)避難路の方向示す照明が黄色にくすむ病院待合

027:どうして

(風花)どうしてと問えば答えはどうしてもならばなぜかと問えず下向く

(いまだなつき)どうしても会っておきたい人がいて少しくずれていた角砂糖

(中西なおみ)どうしても叶えたい事あるらしく蝉みな胸に手を合わせ逝く

032:村

(風花)老多き寂しき村を旅すれば赤蕎麦花咲きて明るき

034:召

(湯山昌樹)原宿のお召し列車のホームには主なく花のみ咲き乱れたり

037:飽

(風花)きみの漕ぐカチカチ山の泥舟に飽きず飛び乗るわたしうさぎ

040:咳

(風花)咳ひとつ生きてる重さをおもい知る音を躊躇う病棟の夜に

046:才

(風花)いつのまに身についたのか聞き流す才ばかり長け夕焼けのなか

052:せんべい

(阿部定一郎)せんべいを割る片手間でわたしたち別ればなしも笑ってできた

053:波

(阿部定一郎)波がしら崩れて空になることを諦めてまた波へと戻る

058:囚

(阿部定一郎)「囚われの王子」も実はいるのだが姫が助けに来たことはない

063:律

kei)規律などあってないもの夕暮れの実験室の三角フラスコ

067:挫

(五十嵐きよみ)政権はあからさまなり今日もまた強きを助け弱きを挫く

069:枕

(五十嵐きよみ)枕辺に置いて寝しなに少しずつ憲法を読む 噛みしめながら

070:凝

(五十嵐きよみ)古代史に凝ったり伝記にはまったりクセジュ文庫を集めたことも

080:大根

Hoshi Takasawa)ペルセウス座流星群の流れる夜切り干し大根に味しみわたる

083:笠

中村成志)気になるはピラカンサスの散り具合涅槃の像に笠をかぶせる

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2016-07-07 題詠100首選歌集・その11

         選歌集・その11(6・11〜7・7)

001:地

(佐藤紀子)寒さややゆるびて今日は杉の木の根方に黒く地面が見える

(廣珍堂)やまとにも緑の地平線がありトカゲは陽射し受けて眠りぬ

003:超

(藻上旅人)振り向けば超えるべき日はあったのに昨日と同じ明日を過ごす

005:移

(佐藤紀子)子育てのころの楽しみオルゴール鳴らして止まる移動図書館

(風花)黒揚羽しばし休みて空に発ち季節は移る梅雨から夏へ

006:及

(風花)だんだんと無口になりて見る車窓たびの終わりに及ばぬ願い

007:厳

(廣珍堂)立つ僧が高く唱える華厳経滝の飛沫は真白なるべし

008:製

(廣珍堂)構想がまとまらぬまま図面置く製図板には黙する木目

009:たまたま

(廣珍堂)元カノにたまたま遭った河原町ゲーセンだったビルはもうない

011:平

(佐藤紀子)平凡を嫌ふ夫との折り合ひに少し疲れて夕月を見る

012:卑

(佐藤紀子)卑下もせず自慢もせずに淡々と君は受賞の喜びを言ふ

013:伏

(佐藤紀子)盃を伏せて今夜はこれまでと憶良のやうに宴席を立つ

014:タワー

(風花) この町に不似合いなほどそびえ立つタワーマンションが消した富士山

016:察

(風花)沙羅の花垂直に落つこの道で察したくない夏の終わりを

018: 荷

(風花)荷は持たず笛吹くきみの後を追う私はいつもハメルンの子ども

020:含

睡蓮。)くちなしの香り含んだ雨粒がささやくようにまつ毛をぬらす

032:村

kei)爽やかな光の中で読む詩集村にひとりの女先生

036:味噌

kei)夕暮れの声が聞こえたから今日は酢味噌和えです藍浴衣です

038:宇

橋本和子)さざ波を足に纏ひて振り向けば驟雨に浮かぶ仏堂一宇

041:ものさし

kei)飴色になったものさし三代にわたる時代を乗り越えて来し

042:臨

橋本和子)喪の家は臨時休業讃岐うどん残る幟はちらちら赤し

047:軍

(有櫛由之)敗軍の将饒舌に語りたりゆふべ夢見しゆふすげの花

058:囚

(五十嵐きよみ)詠みあぐね知識をひとつ増やしおり囚人服が横縞なわけ

080:大根

中村成志)まあなんとか済んでふろふき大根を二つ四つに割る箸先よ

081:臍

中村成志)まあ一杯 ぶつ切り鮹を臍と呼ぶ詩人を偲ぶ葉月新月

089:潮

(はこべ)『海女』の「天みつ月も満ち潮の」こえすきとおる地謡のよき

沼谷香澄)食欲は潮の満ち干のごとくありねこ水ばかり飲んで三日目

092:非

(はこべ)楽しみは非日常とき過ごす能の舞台の三間四方

097:停

(はこべ)停まるは優曇華の花においくる能『百万』に思い重ねる

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2016-06-28 参院選の争点

 参院選が公示された。最大の争点は、憲法改正の是非と安倍政権の体質の問題だと思う。政府与党は、憲法改正を目立たないようにしているようだが、選挙に勝てば、「国民の賛同を得た」と称して憲法改正の具体化を図ろうとする公算が大きい。そのような安倍政権の狙いを封じることが、今回の参院選の最大の課題だと私は思っている。そのためには、改憲勢力が2/3の勢力を占めることを阻止することはもとより、安倍政権政治姿勢に自信を持たせるような結果を生むことはぜひ避けたいものだと思う。

 今回の選挙は、我が国の今後の進路を選択する重要な選挙だと思う。個々の政策の当否はさておき、今後の成行きによっては、不可逆的な袋小路に追い込まれ兼ねない路線の選択の問題だと思う。自公路線を基本的には支持している人々であっても、憲法改正や安倍政権政治姿勢に関し、いささかなりとも疑問や不安を抱いている方は、今回の選挙に関する限り、自公勢力に背を向けて、健全野党勢力の伸長に手を貸すべきものだと思う。

 野党勢力の糾合は「野合」だとする批判もあるようだが、今度の選挙は、幸か不幸か政権選択選挙ではなく、安倍政権の後向きの独走を認めるかどうかという選択選挙であり、政権批判という面での共通項があれば、野党勢力の糾合は、決して「野合」と呼ぶべき性格のものではないと思う。

 もう一つ、「安保法制」廃止の主張に対し、与党勢力は「対米関係を損なう」という反論をしているようだ。それもおかしな話だ。憲法違反の疑いの濃い法制を廃止することにつき、対米関係を云々することは本末転倒の議論だと思うし、そもそも、従来「安保法制」のない状態で日米関係は一応平穏に推移して来たわけだから、それを元に戻すことに基本的な摩擦が起こるはずはない。仮に起こるとしても、それは憲法違反濃厚な法制を強行した安倍政権が責めを負うべきものであり、それを不可逆的な既成事実として「正常化」に異を唱えることは、開き直りも甚だしいものであり、安倍政権の危険性を示すものだとすら思う。

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2016-06-11 題詠100首選歌集(その10)

          選歌集・その10(4・30〜6・11)

020:含

(Mamiko Kuwahara)空色を少し含んだノートには純白の字を書いてみたいね

021:ハート

(Mamiko Kuwaharaトランプの占い信じてみようかなハートクイーン微笑んだ夜

028:脈

(有櫛由之)夜光虫のさみどりの水脈ひきてなほ風寒し祖国とはどこまで?

030:失恋

kei)あの角を曲がったあたり失恋を捨て置く大きな箱があります

040:咳

(有櫛由之)もづく酢に咳き込みて飲む浦霞蚊絣の袖滲むゆふづき

042:臨

(五十嵐きよみ)録画した番組なのについ焦る臨時ニュースのテロップが出て

051:旨

(五十嵐きよみ)休日に椎名誠エッセイを読み終え味わうビールの旨さ

053:波

沼谷香澄)小刻みに波打つ髭を左だけ出して寝ており正午のねこ

(五十嵐きよみ)久々に書棚の奥から抜き出せば岩波文庫の文字の小ささ

061:版

mukuデコボコの想いにインク流し込み 版画に刷れば君が浮き出る

062:歴

(八慧)過ぎた日の着信履歴見返して削除をいくつ繰り返す夏

muku)手にとって確める術無き愛を メールの履歴読み返し探す

063:律

中村成志)新緑の楓の幹に調律をするごとくまた額を当てる

069:枕

(八慧)枕絵を見せて誘えば逃げもせず素知らぬ顔で握り返す手

070:凝

中村成志)短針のあゆみは遅く取り皿の煮凝りのまた溶けゆく真昼

(八慧)目を凝らし見つめる振りのあぶな絵にふたりの想い重なっていく

muku)溢れ出る駅の人波目を凝らし たったひとつ笑顔を探す 

072:還

田中彼方)さまざまな分子に還り今、君はたぶんここにも居るのだろうね。

沼谷香澄)日に一度午前三時は還りきてほらまたねこが遠鳴きをする

079:釈

(はこべ)解釈は自由なりとう能楽の断定避ける言の葉ゆかし

082:棺

櫻井真理子)眠るがにみえて朽ちゆく石棺につひの日の来ぬチェルノブイリ

083:笠

櫻井真理子)わだかまり少なき基地のまちとして三笠の浮かぶ海の辺はある

084:剃

櫻井真理子)あふのけのこころ死にたり剃毛を好めるひとのまなかひにゐて

085:つまり

櫻井真理子)煮つまりし林檎のごときひとときの黙をたのしむ夜ごとの電話

088:宿

櫻井真理子)泊まりえぬひとをかへしてふたりぶん手足をのばすひとよの宿に

093:拍

櫻井真理子)ひそやかな拍動のあり傾ぎゆくなみうちぎはに憩ふまひるま

096:樽

櫻井真理子)ひそやかなときを熟れにし樽柿はほほ笑みゐたる老いびとのごと

097:停

田中彼方)子どもたちは台風みたいと喜んで、スマホの灯りをかこむ停電。

099:品

櫻井真理子)ヒバクシャの遺品にむかふひとときを望みしと聞くバラク・オバマ

田中彼方)手品師は指を鳴らして、観客をひとり残らず消してしまった。

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2016-04-30 題詠100首選歌集(その9)

        選歌集・その9(3・31〜4・30)


014:タワー

(昔乙女)62年経ても呉爾羅(ごじら)が恋をする 東京タワーは夜を燃えてゐ

018:荷

(湯山昌樹)熊本の避難の人らそれぞれにわずかな荷物を持ちているのみ

020:含

(中西なおみ)含め煮がしみ入るまでが料理だと遺せし祖母の短(みじか)さいばし

028:脈

(五十嵐きよみ)大家族の洗濯物を干しながら母が歌いし「青い山脈

032:村

沼谷香澄)村雀ふくふく集う朝の庭みて幸せになるねこもいる

034:召

沼谷香澄)召還。と伸ばす手つきも厳かにねこの毛布を畳んで敷きぬ

036:味噌

(五十嵐きよみ)社会派と呼ばれた推理小説のどこか味噌汁めいた味わい

038:宇

(周凍)やや深き澪に朽ちゆく網代木の日にひを遠み宇治川の月

039:迎

沼谷香澄)お迎えは一号二号連れだってねこのゆうぐれ食事が近い

040:咳

(五十嵐きよみ)楽章の合間をねらいいっせいにホールの客ら咳払いする

041:ものさし

(五十嵐きよみ)この国の「普通」を測るものさしがだんだん右に傾いてゆく

043:麦

田中彼方)もうどこもかくすことなどないのだが、麦わら帽子をかぶってみせる。

044:欺

muku)目を引かれ買ったお菓子の上げ底を 詐欺だと言いつつ全部食べきる

(阿部定一郎)不夜城の灯に欺かれまっすぐに飛べぬのが蛾で立てぬのがぼく

046:才

muku)振り袖に腕を通して一人笑む 樟脳の香の二十才の思い出

045:フィギュア

muku)母になる娘が残したフィギュアたち 幼き日想い棚に並べる

048:事情

(周凍)地にはつちの天にはあめの事情あらむ月ふる夜に聞く虫のこゑ

055:心臓

(八慧)再会に動きはじめた心臓が止まったままの時を求める

056:蓄

Hoshi Takasawa)春の夜のでんしんばしらに巻かれたる蓄光テープはヒトガタに立つ

057:狼

櫻井真理子)亥の刻をふと振り返る街にゐて天狼星の傾ぎゆく、春

058:囚

(はこべ)囚われし二十余年の観能の歳月があり余生を彩る

059:ケース

(はこべ)謡本のケースに並ぶ200曲老後の糧にと言いし友逝く

Hoshi Takasawa)革製のちひさな赤いペンケース窓際の彼の席に光りぬ

060:菊

(八慧)枯菊を焚くとほのかな香が流れあなたのいない季節(とき)が過ぎさる

061:版

新井蜜)寒卵かすかにうるむ冬のあさ青きインクの謄写版刷る

062:歴

櫻井真理子)齢(よはひ)ふるパソコン弱者は切らるるやワードファイルに埋める履歴書

064:あん

(はこべ)あんなことこんなことなど混ぜ合わせ粗大ゴミの日袋に詰める

066:瓦

新井蜜)死は前後左右にひそみ家々の瓦の下のぬるき団欒

067:挫

田中彼方)分かりあうことに、早くも挫折する。「ねこのきもち」を読んでみようか。

095: 生涯

松本直哉)変声を迎へぬままに生涯ををへにし君の通夜の花冷え

096:樽

松本直哉)仄暗き蔵に麹の香の満ちて醤油熟れゆく杉樽のなか

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はこべはこべ 2016/05/02 12:07 お久ぶりです。1ケ月ぶりでうれしいです。

はこべ様 西中はこべ様 西中 2016/05/02 13:02  コメントありがとうございます。投稿があまり増えませんので、選歌の方もあまり捗りません。お能を題材にしたものが多いようですが、ここまでテーマを絞るのは、短歌のお力とともに、お能に関する素晴らしい蓄積をお持ちなのだと感服しております。もっとも、私はお能のことはほとんど知りませんので、あるいはピント外れの鑑賞をしているものがあるのかも知れませんが・・・。
 このコメントを拝見して、これまでの御作をざっと眺めてみましたら、これまでにもお能をテーマにしたものが結構あることに気付き、あらためて敬服した次第です。

2016-03-31 題詠100首選歌集(その8)

         選歌集・その8(3・21〜3・31)

003:超

mikiひとつだけ超能力が今欲しいガンを根絶させる力を

006:及

(みち。)追及もされないままに許されてわたしの罪が行き場を失くす

008:製

(Mamiko Kuwahara)既製品着ているマネキン人形も夜明けに涙を流しているよ

011:平

(湯山昌樹)平坦な道などなしと言い聞かせ教師生活三十年目

014:タワー

(井関広志)上からの逆光のなき夜のタワーに下から響く光の音符

(湯山昌樹)「タワー」でも古い語感のする時代 「札幌テレビ塔」へと上る

022:御

橋本和子)街道の「御宿」傾き雀いる二階の手すりに揺れる手ぬぐい

023:肘

(沼谷香澄)あたたかな場所に寄り来て仕舞われたねこの肘から夜がはじまる

027:どうして

(五十嵐きよみ)戒めにむしろ心は揺れまどうしてはいけないことほどしたい

032:村

(由子)嬉々としてネコらに振りまわされている猫馬鹿ブログ村を覗きぬ

037:飽

櫻井真理子)いはれなく飽きゆくものと知りつつもこよひ受話器のこゑの愛(かな)しき

040:咳

櫻井真理子)目に染みる南天のいろ咳(しはぶ)きのひとつをいとふ君おもひけり

042:臨

櫻井真理子)ベランダゆ海を臨まぬ部屋にゐてソーダの泡のわづかに苦し

043:麦

櫻井真理子)「愛の園」を教へ給ひしひとありき復活の日麦の穂の揺る

(muku)縁に掛け指先で食べた麦焦がし 幼き友の笑顔が浮かぶ

045:フィギュア

Hoshi Takasawa)母を連れてフィギュアスケート観たること孝行のうちのひとつとなりぬ

047:軍

(はこべ)花軍(はないくさ)の扇もちたる春の舞い能『杜若』からころも色

049:振

(はこべ)振り返る仕草美し能『海女』の海中の舞い追っ手を伝う

052:せんべい

(はこべ)公園鹿せんべいを捕られた日薪御能『春日龍神』

053:波

(はこべ)夕波の寄する汀には相生の松の精おり能『高砂』は

056:蓄

新井蜜)あざらけし童貞の冬、蓄へし髭茫々に枯れゐたりけり

070: 凝

(松本直哉)透明度とりもどしつつオリーブの油の凝固解けて春立つ

080: 大根

松本直哉)吐く息の白き厨の歳晩に大根を炊き蒟蒻を炊く

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2016-03-22 題詠100首投稿(平成28年)

 五十嵐きよみさんという歌人の方が主催されているネット短歌の催しに、この10年ばかり参加して投稿している。毎年1月末に100の題が示され、その順に添って11月末までに投稿するという催しである。なお、私の勝手な思いつきで、毎年私のブログに、私の気まぐれによる選歌集を掲載し、会が終わったところで、勝手な百人一首を選んで来ており、これは今年も続ける積りである。

 去年までは、それぞれの参加者のブログからのトラックバックを通しての投稿というシステムだったので、半ば自動的に私の作品もこのブログに掲載していたのだが、今年からブログからではなくフェイスブックによる投稿というシステムに変わったので、このブログに私の作品を掲載する直接のきっかけがなくなった。それはそれで良いのだが、これまで自作をブログに載せていたのを取り止めるのも物足りないので、投稿した作品を今日のブログに纏めて載せることにする。なお、去年までは、投稿の中には未公表の在庫品もあったのだが、今年は気が変わって、すべて新作によることにした。それだけに、作品のレベルが多少落ちているかも知れない。


       題詠100首投稿作品(平成28年)

001:地 人類地球を壊しつつあるか我も小さな一員として

002:欠 テレビドラマ見つつ居眠りしたるらし一瞬意識の欠落ありて

003:超 マジシャンは超人的な技見せていと慇懃に一礼をせり

004:相 相当な人物だよと友の言いし人のあしらいにやや惑いおり

005:移 古き日に祖母の縁者が移住せしハワイにもはや知る人もなし

006:及 老いとともに詩藻乏しくなりたるか及第と思う作の減りたる

007:厳 「厳寒」と書きし便りを出さぬうちに五月はじめの気温となりぬ

008:製 製鉄所の煙突が吐く黒煙を頼もしと思いて見し時期もあり

009:たまたま 歩き疲れたまたま入りし食堂にわれの好みの絵の掛りおり

010:容 容量の小さきことに気付かぬまま権力を弄ぶ人あり

011:平 平成元年生れなるかとからかえり平一という名の先輩を

012:卑 滔々と自説を述べる政治家の目許卑しとわれは見ており

013:伏 伏線に気付かぬままの最終章 小説ならばそれでも良いが

014:タワー スカイツリー出来たることも知らぬげに東京タワー悠然とあり

015:盲 「盲」というは差別用語であるとして歌詞を変えたる歌もあるらし

016:察 ご明察とひとまず褒めておいた上で次のセリフを考えており

017:誤解 誤解だと言い切るには疚しき面もありて歯切れの悪きこと言いており

018:荷 畠より荷車引きて帰りたる海辺の道には陽の差していき

019:幅 幅広のネクタイ流行りし時期もありて箪笥の隅にまだ残りいぬ

020:含 そこここに白梅きぬひそやかな彩りを持つ紅を含みて

021:ハート ハートのクインと念じて引いたが出て来たは似ても似つかぬスペードの3

022:御 御影石が特産なるという島を左に見つつ船は進めり

023:肘 肘当てをしたセーターを恰好良いと見ていた時期が我にもありき

024:田舎 少年期は田舎暮しの日々なるを我がささやかなプライドとせむ

025:膨 日差し強き光の春の午後なりて梅のつぼみもはや膨らみぬ

026:向 雨降れば少し萎れた向日葵が畠の隅にただ立ちている

027:どうして どうしてもやらねばならぬと焦りたる夢より覚めて手洗いに立つ

028:脈 人事記事は遥か後輩ばかりにて我が人脈もあらかた失せり

029:公 公園の芝生で遊ぶ幼ならの声の響きて春とはなりぬ

030:失恋 好きだとも言わず離れた遠い日々これも失恋と呼ぶべきものか

031:防 国防との語にきな臭さ抱くのも戦の記憶持つわれゆえか

032:村 似た文字は 祟る・崇める 役人・投入 鷽(うそ)と鶯 「蕪村」は「無料」

033:イスラム いまひとつ馴染めぬ気持も抱きつつイスラム寺院の前を過ぎたり

034:召 「大君に召され」し兵士ら次々に失せたる南の島静まれ

035:貰 マイナンバーカード貰いに行く道のそこここに梅の花咲きており

036:味噌 古き日の記憶辿ればふるさとの自家製の味噌は水気の多き

037:飽 以前より飽きやすくなったと思うのも喜寿を過ぎたる齢のゆえか

038:宇 「八紘一宇」は死語になりしと思いいしにこれを讃える質疑ありとか

039:迎 母親の迎え待ちいる園児らの声甲高くここまで聞こゆ

040:咳 「咳をしても一人」と詠みし俳人の寂しさ思えり旅の雨の宿

041:ものさし 言わでものさし出口とは知りながらつい口走るも老いたるゆえか

042:臨 日の当たるベンチで電車待ちおれば臨時列車が音立てて過ぐ

043:麦 汽車行けば麦の穂は黄に連なりて日は西空に傾かんとす

044:欺 時折は威嚇と誇張を繰り返し政権は詐欺商法に似る

045:フィギュア フィギュア選手滑ればむずかしき技もたやすき技巧に見える

046:才 既に亡き人賑やかにはしゃぎおり昭和の漫才テレビに見れば

047:軍 違和感と郷愁ともに抱きつつ旧軍港の街を歩めり

048:事情 事情通の友にてあれどそのことの顛末は彼も知らぬとのこと

049:振 幼き日小暗き座敷で鳴っていた振り子時計の時鐘懐かし

050:凸  凹凸は日本の月と変わらぬままパリ満月テレビに映る

051:旨 その趣旨は理解できないではないがもうひと工夫できないものか

052:せんべい 山小屋せんべい布団にくるまって若き夢見しこともありたり

053:波 風強き海岸通の日の低さかすかに波の音の聞こえて

054:暴 暴走を止めるブレーキなきままに政権右にハンドルを切る

055:心臓 心臓に悪い話と前置きしさほどでもなきことを言いおり

056:蓄 昨夜よりの風も次第に収まりて石油備蓄基地に夕日が沈む

057:狼 省みる姿勢を持たぬ政権に狼藉者と叫んでみたし

058:囚 人はみな社会という名の枠の中に囚われいるやそして我もまた

059:ケース 新婚のころに使いしスーツケース古びて納戸の片隅にあり

060:菊 古き日は菊人形で名をはせし坂のあたりに住みしことあり

061:版 出版の意欲はあれどフトコロと相談の上まずは見送る

062:歴 それぞれに異なる歴史を経て来たる友ら集いて酒呑む今宵

063:律 自らを律する姿勢薄きまま断定口調の答弁続く

064:あんな あんなことこんなことなどあったねと冬の夜更けて昔語りす

065:均 スーパーもコンビニ百均も近ければチラシ並べて妻が思案す

066:瓦 トンネル出れば川の流れの向き変わり赤き瓦の家並み続けり

067:挫 挫折というほどではないが失敗は年経るほどに積み重なりぬ

068:国歌 このところ違和感あるはニッポンコール国歌斉唱、万歳三唱

069:枕 明け方の浅き眠りは覚めやすく枕を少しずらしておりぬ

070:凝 凝結材入れてイザナギ掻き回しオノコロ島を産み給いたり

071:尻 ことば尻とらえるは本意ではないがお粗末発言飛び交う世相

072:還 「還浄」との札を掲げし家のあり古き家並みの潮待ち港

073:なるほど なるほどと納得できる政策の少なきままに政権続く

074:弦 漫然と月見ておりぬ上弦と下弦の違い怪しきままに

075:肝 肝腎な話題は避けてお互いに迂遠なことのみ話しておりぬ

076:虜 俘虜虐待の罪に問われし人もありし彼の日は無限の彼方となりぬ

077:フリー フリースペースと名付けし部屋に日が差して使われぬまま月日が経ちぬ

078:旗 旗立てて小さき汽船の入り来る今日の港は晴れて穏やか

079:釈 釈明をいまさらするのも億劫でそれじゃこれでと靴履きており

080:大根 大根が名産ですねと言う人あり練馬区人口七十二万

081:臍 晩秋マラソンコースに日は差して女子選手はみな臍出して走る

082:棺 亡き人は微笑んでいるように見ゆ棺の中の花に埋もれて

083:笠 笠地蔵が連れ立ち訪ねて来る話 雪の降る夜はほっこりあったか

084:剃 剃り後の青々とした尼なりて常の人よりなまめきて見ゆ

085:つまり 更けたれば互いの疲れも手伝いて話そろそろ煮つまりて来る

086:坊 達人を自負するわれが「とっちゃん坊や」をこれまで逆に解しておりぬ

087:監 安全とプライバシーの間に立ちて監視カメラは悩んでおらむ

088:宿 畳敷きの廊下やさしく連なりて宿の夕餉の部屋に向いぬ

089:潮 島に渡る橋より見れば渦潮の流れに抗して船進みおり

090:マジック マジックもここまで来れば魔術にてテレビの前に茫然と居る

091:盤 紙製の野球盤にて遊びたる幼き日々の我にもありき

092:非 「非国民」「反日」などという言葉生き返りいることの怖さよ

093:拍 遠くより火の用心の拍子木の音流れ来て月冴えわたる

094:操 世論をば操縦するに長けた人右旋回を強めんとする

095:生涯 毎日が生涯はじめての日なること知りつつ怠惰な日を送りいぬ

096:樽 バーレルは樽の意味とは知りつつもその体積は忘れ果てたり

097:停 停車場という趣の駅舎にて一日五便の列車待ちおり

098:覆 俯瞰すればこの列島の上空はどす黒き雲覆いおらむか

099:品 昨今の為政者見ればあらかたは品格のなき顔が並べり

100:扉 「どこでもドア」を中国式にいうならば「随所扉」とでも書くべきか

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2016-03-21 題詠100首選歌集(その7)

選歌集・その7(3・12〜3・21)



002:欠

(Mamiko Kuwahara)満ちた月より欠けている月が好き 確かな未来を手にする予感

006:及

睡蓮。)過ぎたるは及ばざるよりなお悪し花もワインもお金も愛も

013:伏

(有櫛由之)うまさけの三輪、否伏見 龍伏して朦朧とあかときを違へり

019:幅

(由子)悲しみをある振幅に詠ませらせ繰りかえし見る凍夜の記憶

田中彼方)「この幅や」小さく前にならえして、そのままニトリへ棚を見に行く。

020:含

沼谷香澄)湿り気を含んだ声で鳴いたあとねこは目覚めにシフトうつ

021:ハート

田中彼方)君はまたハートの女王のまねをして、「首をはねよ!」と、魚をさばく。

024:田舎

(五十嵐きよみ)『イギリスの田舎暮らし』のページから花も緑もこぼれんばかり

025:膨

(五十嵐きよみ)スカートを四月の風に膨らませ夢見た未来はもうすでに過去

026:向

櫻井真理子)短文のメールかなしき離(か)るまでを向き合ふことのなきままにゐて

028:脈

(周凍)なかぞらに天河かすめて月ひとつ水脈引く衛星(ほし)の静かなるかな

029:公

(周凍)公達の昔をさそふ月かげやふちにかそけきおもだかの花

032:村

(影山光月)ダム底に沈んだ村を辿る地図桜前線間もなく北上

櫻井真理子)くちずさむ「私の村は水の底」 かへれぬひとの今にあること

033:イスラム

櫻井真理子)身にまとふマララのことば茜さすイスラム柄のスカーフを買ふ

034:召

(八慧)制服にお召替えしたお姫様幼稚園には桜満開

035:貰

(八慧)貰い泣きするひとがいてそのままに閉ざされていく桜咲く路

038:宇

(八慧)霧深き宇治の恋読む春の宵去りゆく影が朧ろにとける

041:ものさし

中村成志)川の字のすきま広がる春の夜の子の肩幅をものさしとして

043:麦

Hoshi Takasawa)一粒の麦なるわれを運びたる四月の江ノ電海辺の高校

048: 事情

松本直哉)こどもにはこどもの事情 ハロウィンの仮装の相談秘め事めきて

049: 振

松本直哉)一振りの刀身としてよこたはるつめたくあをき秋刀魚ひかり

055: 心臓

松本直哉)わが胸に顔をうづめて眠る心臓に息ふきこむごとく

056: 蓄

松本直哉)咲くためのちから蓄へ冬薔薇はかたくつぼみをとぢてねむれる

057: 狼

松本直哉)狼の異名をとりし関取醜聞の記事よみさして捨つ

059: ケース

松本直哉ヴィオロンの形をしたるヴィオロンのケースおかれてあかるき窓辺

060: 菊

松本直哉)あたらしき骨壺に読経つづく夜供花の白菊ひとひら落つる

063:律

松本直哉)調律師かへりしのちのピアノあけ展覧会の絵を弾くゆふべ

069: 枕

松本直哉花柄スカートの膝枕して花野にあそぶ夢を見しか

070:凝

田島映子)テーブルの端からじっと目を凝らす紅さす母を疑るように

077:フリー

田島映子)太陽の匂いをさせてフリージア八丈はいま春から夏へ

083:笠

田島映子)網笠を目深にかぶり女らはえらいやっちゃと艶の字を書く

086:坊

田島映子)陽の匂いさせて何時まで走るやら坊主頭は寄りて離るる

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Mamiko KuwaharaMamiko Kuwahara 2016/03/28 21:44 私の拙歌を選んでいただき、ありがとうございます。
完走を目指し、マイペースで詠んでいければと思っています。

Kuwahara様 西中Kuwahara様 西中 2016/03/28 22:33 御丁寧なコメントありがとうございます。これからの御作拝見するのを楽しみにしております。

2016-03-19 高浜原発仮処分への疑問

     高浜原発仮処分への疑問

 

 先般、大津地裁により、高浜原発に関し運転差し止め仮処分が決定された。原発の安全性については、さまざまな意見があり得るところではあろう。しかし、仮処分という形で運転を中止させることに馴染むものなのかどうかには疑問が残る。仮処分というのは、本来の訴訟まで待っていられない緊急性に基づく暫定措置という性格が強いものだと思う。例えば、建物が壊された後で壊すことを禁止する判決が出ても無意味であり、とりあえず壊すことを禁止しておくといった手法が、仮処分の本来の趣旨だと思う。我が国の司法が三審制を布いているにもかかわらず、地裁の決定だけで強制力を持つという例外的な制度が設けられているのも、その緊急性にウエイトを置いているからだと思う。

 本件の場合、原子力規制委員会という公的機関で許可を出された施設であり、一応の安全性と合法性は推定されるものだし、本来の訴訟を待つことなく、運転中止という新たな措置を求める仮処分という形でふりだしに戻すことは、制度の性格に馴染まないものなのではないか。また、その理由を見ても、安全性に不安があるという漠然としたものであり、仮処分の緊急性の説明としては説得力を欠くものだと思う。

 また、本決定が、原子炉の所在地ではない大津地裁でなされたことにも、疑問が残る。本件の申立て人は、多分滋賀県在住の人だと思うが、原発の30キロ圏内に居住する滋賀県民はゼロとのことであり、大津地裁仮処分を求めるほどの緊急性の高い案件と言えるのかどうかには、基本的な疑問がある。極論をすれば、多少なりとも不安を抱く人がいれば、その人はどの地裁にでも仮処分を求めることができ、また、その地裁裁判官の判断次第では、仮処分の決定をすることにより、運転を差し止めることができるということにもなり兼ねない。

 最後の砦として司法に期待することは大きいし、また、司法もその期待に応えるべきであることは当然だが、本件の場合、制度の趣旨を逸脱した司法の勇み足であり、司法の権威をかえって損なうものになるのではないかという疑問を抱かざるを得ない。

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2016-03-12 題詠100首選歌集(その6)

          選歌集・その6(3・6〜3・12)

001.地

(うなはら 紅)地の塩になれとばかりに説く人の背中を照らす日の暖かさ

003:超

睡蓮。)日が少し長くなったと君が言う時差を飛び超えとつ国も春

005:移

(由子)愛嬌をふりまくのちの移ろう目 ショップの子犬の旬は短く

007:厳

田中彼方)時として厳しい父の、時として無垢な子供のふりをしている。

(井関広志)せせらぎを絶つ厳冬のアムールの香(か)をつつみこむ流氷の群れ

009:たまたま

(湯山昌樹)あの人の交際をたまたま知った夜ただこんこんと眠った私

015:盲

沼谷香澄)雨の音 灯りの落ちた天井を夜盲ならざるねこは見ている

016:察

沼谷香澄)察するにねこは遊んでほしいのだ時間はすぐに消えてゆくから

017:誤解

橋本和子)積み上げた誤解まとめて固めれば正解といふ不思議さに酔ふ

019:幅

kei緑青の甍の幅に流れ出す春の香りを抱きしめている

021:ハート

(五十嵐きよみ)演技後のスケーターたち投げキスをしたりハートを手で作ったり

022:御

(五十嵐きよみ)モーツァルトの余韻に浸りつつ歩く公園を抜け御徒町まで

031:防

Hoshi Takasawa)水温むわれしかゐないこの夜に消防団の鐘が鳴るなり

032:村

Hoshi Takasawa)夕暮れの満月がわれを見送りぬさよなら蕪村の菜の花

(八慧)茶の里の又一村に立ち寄って恋の味する抹茶を啜る

034:召

Hoshi Takasawa)われはわれの召使ひなり早春の抗ひとして長髪を切る

037: 飽

松本直哉)出来あひの思想に飽きてはつなつに金時豆をふつふつと煮る

038:宇

松本直哉)その眉宇にあはき愁ひをただよはせ阿修羅立像黙して立てり

(はこべ)宇治十条復曲能の『橋姫』は泥眼の面(おもて)悲しさささる

039:迎

新井蜜)弟といへども羞(やさ)し橿原の宮の鳥居に我を迎へぬ

中村成志)なきごえが泣き声を呼び送迎のバスよりこぼれくる春の風

040:咳

(はこべ)咳ひとつすることはばかる演目は老女ものなり『関寺小町

042: 臨

松本直哉)臨終に遅れてわれのとびのりし車窓のそとの連翹の黄

044: 欺

松本直哉)みづからを欺くことに飽きはてて退職の朝沈丁香る

045: フィギュア

松本直哉)小夜更けて樹脂のフィギュアのトテチテタおもちやのおまつり子の眠る間に

048:事情

田島映子)傷つけもするやもしれず知ればまた君の抱えし別れの事情

058:囚

田島映子)抱かれたままの姿よ吾はいま愛することに囚われたまま

060:菊

田島映子)春菊の香り食むものゆかしくて転がすようにちさくかみをり

063:律

田島映子)哀愁なかにひと粒朱き実と歌うがごとく自由律詠む

065:均

田島映子)山々は青く均しく連なりて巷のことは遠くに見たり

095:生涯

(京子)霧雨の降る窓辺にてなぞりしはセネカの言葉からの生涯

099:品

(京子)品質の保証などない愛をただ受け入れている夕暮れの空

[] 23:14 を含むブックマーク

田島映子田島映子 2016/03/14 21:55 ありがとうございます(..)
・・感激!!です!(^^)!
・・ お叱りもいただきたく よろしくお願い申し上げます(..)

田島映子様 西中田島映子様 西中 2016/03/14 22:16  ご丁寧なコメントありがとうございます。素敵な御作を拝見するのを楽しみにしております。これからもよろしくお願い致します。また、私の作品に「いいね」を多数クリックして頂き、ありがとうございます。
(去年まで参加しておられた「映子」さんとは別の方なのでしょうか?)
なお、同文のコメントが2通ありましたので、1通は削除させて頂きました。

映子映子 2016/03/15 10:12 ありがとうございます(..)
去年までは 映子 で参加させていただいていましたが今年はフエイスブックということで登録してある名前で参加させていただきました。・・コメント送信できたかなぁ?? と心配になって ・・ つい重ねて送信してしまいました。
今年の100首ももうあと少しになってしまいましたが どうぞよろしくお願い申し上げます。<(_ _)>

映子様 西中映子様 西中 2016/03/15 12:01  やはり映子さんでしたか。後になって気づいたのですが、「台所の貴婦人」というアドレスは共通でしたね。引き続きよろしくお願い致します。

2016-03-06 題詠100首選歌集(その5)

          選歌集・その5(2・25〜3・6)

002:欠

(みち。)欠けたなら欠けたかたちで生きていく わたしのために吹け南風

003::超

(井関広志)自らの暗い重みに耐えきれず内へと崩れゆく超新星

015:盲

(五十嵐きよみ)懐かしい昭和のドラマ主題歌として思い出す「恋は盲目」

019:幅

櫻井真理子)はるかなる谷の匂ひす。身の幅にあまれるシャツのふふみたる風

清水 淳史)揺れ動く心の幅に困惑すこれが男の更年期なのか

(五十嵐きよみ)以前なら眉をひそめた考えが幅を利かせて昭和も卒寿

023:肘

(八慧)語りたいことはあるのに見つめ合い片肘ついて煙草吸ってる

024:田舎

(八慧)啜り合う田舎汁粉は身を焦がす花見茶屋夕焼けを呼ぶ

025:膨

小春まりか)膨らんだほっぺをつつくと少しだけめり込んでから空気が抜けた

(八慧)老いる身も花咲く春の日の夢を膨らませつつ一日(ひとひ)千秋

026: 向

松本直哉巻向の山の辺はるか 金色稲穂は熟れてまどろむ真昼

029:公

(影山光月)公開はしないつもりの恋だった斜め四十五度が眩しい

031:防

(はこべ)堤防の土手に並びて見る夕陽能『盛久』の見し陽はいかに

032:村

(はこべ)舞いおるは松風村雨姉妹の恋行平の影海に探すや

033:イスラム

新井蜜)鶉割きてその花いろのヒジャブ被るイスラムの子はおほき眼瞠る

松本直哉)顫音のギターラ幽か イスラムの栄華燦たるアルハンブラ

035: 貰

松本直哉)顔と顔溶けあふムンク「接吻」の葉書貰ひぬ髪ながき子に

041:ものさし

田島映子)背中からときどき浮いて跳ねてたねランドセル着た竹のものさし

042:臨

田島映子)ましてゆく不安はいつかかき消さる臨月の腹君がさすれば

059:ケース

(京子)春の日の秘密はすべて風色のクリアケースに入れておきます

073:なるほど

(京子)あゝ遠くなればなるほど近くなる切なさありて夕陽に染むる

075:肝

(京子)肝心なことはいつでも伏せてあり落ち葉の下に思い出を飼う

081:臍

(京子)一枚の夏の終わりの忘れもの ビキニの臍と水色の空

082:棺

(京子)別れ花ほのかに香り棺なる船にてハルは旅立ちにけり

084:剃

(京子)風呂場にも春は訪れハミングと色とりどりのT字剃刀

089:潮

(月丘 ナイル)潮騒のような寝息を聞きながら今日の終わりの夢に潜ろう

091:盤

(ひじり純子)春近い女性専用車両では岩盤浴の話沸き立つ

095:生涯

(月丘 ナイル)生涯の在り方までも決められて虚ろに笑うリカちゃん人形

(ひじり純子)生涯をかけてなし得たものも無く中国産の干し芋食べる

097:停

(ひじり純子)雨の日は大きな傘を用意してトトロの影をバス停で待つ

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2016-02-25 題詠100首選歌集(その4)

      選歌集・その4(2・19〜25)

001:地

睡蓮。)角曲がり地面に伸びた君の影冬の朝日に背中丸める

003:超

(五十嵐 仁美)百年を超えて私に辿り着きし小さな古布に誰かの匂い

005:移

佐藤和司)声をかけ呼吸を合わせ組みあいて車いすへと身体を移す

010:容

(五十嵐きよみ)美容室の椅子に座って二か月に一度だけ読む「オレンジページ

(中西なおみ)容れものの記憶なくした空き缶が波打ちぎわで眠る冬の夜

013:伏

橋本和子)五百羅漢極彩色で並び立つ伏し目がちなる母に似た顔

016:察

松本直哉)頬紅く染めて無口になれる子のからだ寄せ来ぬ診察待つ間

(八慧)水色の診察室のディスプレー水草分けて鱗がひかる

017:誤解

松本直哉)生は比喩 愛とは誤解 うぐひすのさへづりやまぬ花野の夕べ

(八慧)狂乱の時代の錯誤解きほぐす正気が戻る朝はもうない

018: 荷

松本直哉)荷ほどきのいまだをはらぬせまき閨からだよせあひ初夜をねむりき

(八慧)ほんのりと薄荷が香り若い日の口づけの味思い出す朝

019:幅

松本直哉)をさなごの歩幅にあはせあゆみつつともにひろへり黄の葉赤の葉

021:ハート

新井 蜜)夷狄てふ言葉ぞありし涼やかなハートジャックの眼はうすみどり

022:御

(はこべ)花頭巾白さかがやく三人の雅びの舞台能『大原御幸

新井 蜜)六月の紺のみづうみ 風のなか御者は葦毛の馬を鞭打つ

023:肘

(はこべ)肩肘をはらずうっとり時ながれ能『松風』を万三郎が

松本直哉)六本の肘やはらかにをりまげて阿修羅立像夕闇のなか

026:向

藤野 恵子)「向こう向いていてとさっきもいったでしょ!」怒られたくて何度でも向く

027:どうして

(木村美映)だうしても解けぬ予想のいくつかを整数論の教科書に見き

田島映子)「どうして」も後ろに並ぶ「あいして」も最近どうしてイワナイノカナ

028:脈

(はこべ)水脈をひく白鳥の舞い春の午後能『羽衣』に思いかさな

040:咳

(京子)くしゃみとも咳ともつかぬブチ猫の音符を君は書き添えており

044:欺

(京子)黒猫のひっかき傷よ欺きし恋にも似たり春の夕暮れ

045:フィギュア

(京子)氷上の『パリジャン・ウォークウェイ』青く流れ麗しフィギュアとなりぬ

050:凸

(京子)凸凹の道で小石に目をやれば小さき花の菫なる青

054:暴

(京子)喜々として暴れまくれば猫たちが記事にまみれる古い新聞

070:凝

(月丘 ナイル)深呼吸ついでに空のはしっこの一番星に瞳を凝らす

071:尻

(月丘 ナイル)嘘をつく時に眉尻が動くのを知っているからあなたを見ない

073:なるほど

(ひじり純子) 物分りよい振りしてる若者は大人になるほどわがままになる

074:弦

(月丘 ナイル)春の香がバルコニーまで立ち込めて上弦の月ワインに酔えり

078:旗

(月丘 ナイル)もう二度と訪れぬ幸せとしておこさまランチに立つ万国旗

080:大根

(月丘 ナイル)まざまざと己の闇を見つめおり例えば大根すりおろす時

081:臍

(ひじり純子)因縁は臍の緒により繋がって流れるように親子となりぬ

(月丘 ナイル)あんぱんの臍に桜が乗るころはきっとあなたはここにはいない

082:棺

(月丘 ナイル)山盛りの花が次々吸い込まれ棺の中は意外と広い

084:剃

(月丘 ナイル)髭を剃る君と産毛を剃る我をまんまるい目で見つめてる猫

086:坊

(akari)赤ん坊ひとり生き抜く術はなく愛らしさのみ贈られており

088:宿

(akari)貧乏性 生涯続くものらしく宿は決まってビジネスホテル

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田島映子田島映子 2016/03/05 11:12 ありがとうございます、子どもが足元にまつわりついて…どうして…を繰り返していた頃を詠んでみました。ありがとうございました

田島映子様 西中田島映子様 西中 2016/03/05 19:26 ご丁寧なコメントありがとうございました。これまでと会のスタイルが変わりましたので馴染めないところもありますが、投稿と選歌をボチボチと進めております。今後ともよろしくお願い致します。

2016-02-19 題詠100首選歌集・その3

      選歌集・その3(2月11日〜19日)

007:厳

(いまだなつき)ベートーベンとりわけ厳しい顔をして音楽室のピアノを見てた

008:製

松本直哉)その目にはいかなる空を夢むらむ翼ひろげし剥製の鳥

(木村 久昭)明日からフェリーは行かぬおほちちの拓きし北の製鉄の街

009:たまたま

中村成志)うるおいが多めの化粧施せばたまたまの恋 なかなかの唇(くち)

011:平

松本直哉)平等院出づれば氷雨ふりやまず世を宇治川のくれなゐの橋

012:卑

松本直哉)卑金属婚式めでたや 春浅き人造湖上の錆色の月

013:伏

新井 蜜)繭煮つつゑまふいもうと床に伏すわれに残されたるものありや

muku読みかけた本に顔伏す黒髪に 天使の輪光る春色の午後

014:タワー

新井 蜜)獨活(うど)刈ればあをきにほひを タワーより京都盆地の春見はるか

015:盲

新井 蜜)コルドバ牝牛よ花は向日葵か盲目の恋に惑ひ乱れぬ

Hoshi Takasawa)盲愛の対象となる生きものたち並ぶショップの小さき窓・窓

松本直哉)盲ひても意気おとろへず口述のフーガながるる楽興の時

016::察

(木村美映)察せよとふ目配せありてシャンシャンと総会議事は流れてをりぬ

017:誤解

(はこべ)誤解解く親子の情の熱くして能『仲光』はのどこしの良き

Hoshi Takasawa)自分には何かあるつて幸せな誤解をしてた頃 十七歳

018:荷

(はこべ)禅寺の池の荷葉がひとつ咲き早起きの報おつりがありぬ

(阿部定一郎)荷役終え眠る重機のかたわらで土竜も同じ夢をみている

田島映子)お荷物になりますがって母さんは断り切れない愛を持たせる

Hoshi Takasawa)一生涯青春である荷風忌に銀座カフェーで待ち合はせせり

019幅:

(木村美映)幅員は二車線切りてこの夜も解除されざる大雪警報

020:含

田島映子)湿り気に少し血の色含まれて病棟の夜はさらに更け行く

025:膨

(京子)二つ三つ白き蕾の膨らみてためらいがちに巡りくる春

027:どうして

(京子)どうしてもゆれてかなしい春があり逆光線のひとひらがある

028:脈

(京子)戯れに互いの脈に触れし日の袖の記憶が白くときめく

034:召

(京子)召しあがれ春を愛をと食卓でお浸しの菜の花がささやく

037:飽

(月丘 ナイル)美人なら3日で飽きると言うけれど君はいいねと言われて黙る

039:迎

(京子)迎えつつあるも終わりの冬となり夕日にそっと置手紙する

041:ものさし

(月丘 ナイル)勝ち組と呼ばれておりぬ内定の数を一つのものさしとして

043:麦

(月丘 ナイル)10分後ホットケーキになるはずの小麦粉はまだ夢をみている

047:軍

(月丘 ナイル)何色が咲くかわからぬチューリップ軍手ごしにも春が息づく

049:振

(月丘 ナイル)眠れないわたしを独りにしないため振り子時計もまだ起きている

051:旨

(ひじり純子)旨かったとヒゲくるりと撫で上げて猫はまあるくなってしまった

054:暴

(月丘 ナイル)暴発する好きのかわりにチョコレート選ぶわたしは少しかわいい

060:菊

(ひじり純子)様々な種類の菊を等分に分けて二軒の墓に供えん

064:あん

(ひじり純子)もし過去に戻れたならばどうしたかあんなこととかこんなこととか

065:均

(ひじり純子)百均で購いし物とは言えず夫が誉める器であれば

068:国歌

(ひじり純子)ゆっくりと皆立ち上がり口閉じたままの人もいて国歌斉唱

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2016-02-11 題詠100首選歌集・その2

      選歌集・その2(2月8日〜11日)

005:移

松本直哉)園丁のもはや歌はぬ薔薇園に移植鏝ひとつ春の陽を浴ぶ

008:製

(八慧)寄り添って二人座れば春の日にゆるゆる軋む木製の椅子

010:容

(はこべ)楽しみを容赦ない雨に邪魔されて独り見ているテレビで『俊寛』

011;平

兵站戦線)時にして風に吹かれてゐたいものこの平らぎの中のコスモス

(はこべ)兼平は粟津原にて果てたるを能は謡いおり琵琶湖に佇ちて

013;伏

兵站戦線)みづからは伏兵なれば草となる蒼氓動く月黒き夜

(はこべ)伏し目なる表情うつくし小面でたおやかに舞う能『楊貴妃』を

018:荷

(月丘 ナイル)換気扇つけて煙草をすう君の横顔に似た薄荷の匂い

兵站戦線)手土産に昔と同じ薄荷飴酒との縁(えにし)捨てて八年

019:幅

馬場浩通) 慎重に幅を読みつつすれ違ふ旧国道バスが来たりて

020:含

(月丘 ナイル)少しずつ空が広がる心地して春の気配を含むスカート

021:ハート

(京子)知りそめし乙女心のはじらいひをハートの型にくり抜きし日も

022:御

(京子)風呂敷を畳む指先しなやかに夏を届ける御中元です

023:肘

(月丘 ナイル)私だけが私にやさしい0時すぎ保湿クリームを肘に塗り込む

024:田舎

(akari)「だからこうなったんだね」と君は言う初めて我の田舎に来た日

(京子)稜線を田舎の山になぞりつつ君はポツリと「母に会いたい」

025:膨

(ひじり純子)少しずつつぼみ膨らむ樹の枝の中で作られゆく桜色

(月丘 ナイル)少しずつ膨らんでゆくパン生地の中で私は夢をみている

026:向

(ひじり純子)必ずしも同じ方向見ていない項垂れてるのもあって向日葵

(akari)パソコンの画面にいつも阻まれて向かいに座る君が見えない

027:どうして

(ひじり純子)どうしても諦められぬ恋ひとつ赤いリボンで結んで捨てる

029:公

(月丘 ナイル)いつまでも待つとメールをした後はハチ公の目して君を待ちおり

031:防

(ひじり純子)円卓に次々運ばれる料理を防風林のように囲みぬ

033:イスラム

(ひじり純子)神戸の町イスラム寺院を行き過ぎて生田神社に出会う道のり

034:召

(ひじり純子)お召し物はお脱ぎください良いにおいのクリームもしっかり塗ってください

038:宇

(ひじり純子)幾回もぬばたまの夜繰り返し宇宙の果てに星座のできる

041:ものさし

(akari)ものさしに わたしの名前 亡き母の美しい文字 話がしたい

044:欺

(門哉彗遥)いくたびも繰り返すのか同じよな過怠おのれを欺くばかり

046:才

(門哉彗遥)もうあとは抱きあうための時間しか残っていない五十六

047:軍

(ひじり純子)右手だけ等間隔に落ちている軍手はずっと左手を待つ

050:凸

(ひじり純子)凸凹ジャガイモを剥くソラニンのことをちょっぴり考えながら

053:波

(門哉彗遥)地下鉄をたった四駅乗るだけで文化が変わる難波梅田

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2016-02-08 題詠100首選歌集・その1

 選歌集その1をお届けする。これまで10年間やって来たことだが、今年はフェイス・ブックということで随分勝手が違ってしまった。まず、フェイス・ブックには全く馴染みがなく、入ること自体にも抵抗があったし、この際取り止めにしようかとも思ったのだが、これまで10年続けて来たことを止めるのにも抵抗がある。そんなわけで、恐る恐る新しいスタイルに挑戦してみることにした。

 投稿自体は格別の問題はないのだが、選歌ということになるといろいろ問題がある。選歌のために、いったん私のドキュメントにコピーしているのだが、それがなかなかうまく行かない。フェイス・ブックのことを全く知らないせいもあるのかも知れないが、四苦八苦した挙句、小刻みにコピーすることにやっと成功し、この選歌集その1に辿りついたわけだ。(もっとうまい方法があるのかも知れないが・・・。)ついでに言えば、投稿者があるたびにメールで知らせが入って来る。これは相当煩わしいので、投稿関係は「迷惑メール」に分類して、原則として削除することにした。

 選歌の段階でも、今までと画面のスタイルが違うし、コピーにエネルギーを使ってしまうだけに、ついつい作品を見る集中力が欠けてしまいそうな不安がある。また、これまではトラック・バックの件数ということで全貌がつかめたのだが、今度はそうも行かないし、やり方は試行錯誤で変えて行くしかない。これまでと違う点が多いだけに、それやこれやで気に入らない点は多々あるのだが、「唯一の正解」があるという性格のものでもないし、新しいことに挑戦するのも老化防止に役立つかとも思い、これまで通り、選歌と終了後の百人一首を続けてみたいとは思っている。

 これまで見た限りでは、投稿者もこれまでとはかなり変わって来ているようだ。ブログを作る必要がないということで参加しやすくなったために新しい方が増えたのだろうが、同時にこれまでの参加者で取り止めた方も多いのではないかと思う。結果が吉と出るのか凶と出るのか、当然のことながらまだ見当が付かない。

 以上、「その1」に先立ってのご報告まで。


題詠100首選歌集・その1(2月1日〜8日)

001:地

(小張久美)後悔と決意はいつもうらおもて広げた生地に鋏を入れる

新井蜜)スパゲッティふたりで食べて地下街を出ればあなたの街に雪降る

muku)地に揺れる微かな春の足音を 確かに感じ空を見上げる

kei平和っていったいどういうことだろう人差し指で回す地球儀

兵站戦線)地の塩になれとばかりに説く人の背中を照らす日の暖かさ

(月丘 ナイル)月面から見上げる地球の青さより立春の空の果てしなき青

清水 淳史)約束の地はここですか春ですか あらぶるつばきのくれないに染む

田島 映子)長靴でジャンバーだったね母さんと買い出しに出た築地の師走

002:欠

(門哉 彗遥)箸で摘む父の欠片を骨壺に足から順に積み上げてゆく

新井蜜)街に出て遊んだあとは欠けた月見上げて帰るひとりの部屋へ

(ひじり純子)欠けていく月のひとひら猫たちが舐めて朝には知らん振りする

muku)日向ぼこ猫の欠伸に誘われて 窓を開けば春吹き抜ける

(五十嵐きよみ)対話する気持ちを欠いた宰相のどこまでも突き進む強弁

Chie Miyoshi)親しさで欠伸は移りやすいもの夫の横顔見上げてみる午後

(湯山昌樹)半分に欠けたる月が富士山の頂に沈む明け方もある

矢野 伎理子)わたくしに何ができると爪を噛むニュース見るたび酸欠の日々

(五十嵐 仁美) 夢を見ることさえ多分罪なのだ 月の欠片をパリンと齧る

003:超

櫻井 真理子)わたつみの底ひのこゑのよを超えていま寄せかへす波音ばかり

(月丘 ナイル)超音波が我の内部を写し出すハロー腎臓ハロー肝臓

(五十嵐きよみ)二十一世紀は超過料金を払って生きている心地せり

005:移

(京子)おそらくはブックエンドのその本を移しただけの気分転換

(月波 与生)空いているきみのとなりにいきたくて瞬間移動すこしだけする

(はこべ)移転先地図をたよりに訪ねしは『夕顔』匂う垣の東屋

(木村 久昭)二十年(はたとせ)の移ろひ識らず降り立てば学生街居酒屋はなく

(月丘 ナイル)楽しみのひとつもなくて灰色の雨が心に色移りする

006:及

(京子)沈黙もやさしさとなる距離がありあのフリージア開花に及ぶ

(木村 久昭)及ばぬと悟り羽生は傍らの茶碗に白湯をわづかに注ぐ

007:厳

(ひじり純子)ペンを取り「厳寒の候」と書き始めそこで言葉に逃げられてゆく

馬場浩通) 午後六時のエレベーターに人ひとり分のすき間を探す厳しさ

(木村 久昭)フェリーより降りしわれらをとり囲む巌島神社の鹿のひと群れ

(はこべ) 水に映え厳島神社ゆれており能『羽衣』を風にものせて

008:製

(ひじり純子)鳩居堂謹製とある便箋に向かいて少し姿勢を直す

(京子)ひざ上のパソコンもまた寡黙なる我が一日もアルミ製です

(阿部定一郎)ラベルにはあなたについたささやかな嘘の製造日時を記す

009:たまたま

(ひじり純子)よくあることたまたまミスで縁ができウェディングとはマンガのような

(京子)たまたまという偶然に必然が見えた気もする渚の調べ

(月丘 ナイル)春が来るたまたま寄ったスーパーで君によく似たひとを見かけた

010:容

(京子)もうこれで四度目となる一夜漬けやはり気になる記憶容量

(Akari Moriyama)プライドと自己卑下 妙に混じり合うこの容れ物に宝を宿す

011:平

(ひじり純子)鬼平を真似て蕎麦屋で酒を呑む未だ叶わず還暦を過ぐ

(京子)描きかけの地図でやがては道になるはずの平行線だけ残る

013:伏

(京子)うららかな日差しに愁う春もあり開いたままの本を伏せます

014:タワー

(京子)名も知らぬ街の風景写真にて靄のベールのタワーに恋す

(Akari Moriyama)おそらくは一回きりの二人旅 祖父とスナップ東京タワー

015:盲

(ひじり純子)ご主人の座席の下に控えてる盲導犬の静かな瞳

016:察

(京子)開花には至らず紅い山茶花の白い表紙の観察日記

017:誤解

(ひじり純子) 美しき誤解重ねて連れ添えばそれでひとつ歴史ができる

(Kyoko Matsushima)ささやかな誤解にふっとほころんで季節外れの花になります

023:肘

(門哉 彗遥)肘掛けの左右どちらも使えずに肩をすぼめて一人映画館

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田島映子田島映子 2016/02/08 22:36 今年もどうぞよろしくお願いいたします(._.)
フエイスブックはわからないことばかりですが。。トラックバックで皆様に迷惑をかけないだけでも・・いいかな??などと思っております(^_-)-☆

田島映子様 西中田島映子様 西中 2016/02/08 22:55 コメントありがとうございます。本文でも書きましたように、私もフェイスブックは判らないことばかりで、試行錯誤を繰り返しております。今年もよろしくお願い致します。(なお、田島さんのコメント、同じものが2通入っていましたので、1通は削除させて頂きました。)

田島映子田島映子 2016/02/09 08:15 ありがとうございます(^.^)(-.-)(__)
送信…されたかな?されてないかな…?と、いじっているうちに続けて送信してしまったようです(><)ありがとうございました!!

湯山昌樹湯山昌樹 2016/02/09 15:49 今年もご参加、しかも選歌まで続けていただけるとのことで、うれしく思っています。また、早速一首選んでいただき、ありがとうございました。
ブログ形式ですと、前後の題が見えるのですが、フェイスブックでは見えないので、より個々の歌のクオリティを上げなきゃいけないのかな、と思いますが、思って上げられるほどの力はありませんので、例年通り、システム手帳に下書き・推敲した歌を淡々と投稿しております。
今年もよろしくお願いいたします。

湯山昌樹様 西中湯山昌樹様 西中 2016/02/09 22:40 コメントありがとうございます。何とかやってみようという気になりました。もっとも、まだこれまでと違う気分で、なかなかペースに乗れませんが、今年もよろしくお願い致します。

門哉彗遥門哉彗遥 2016/02/10 22:17 はじめまして。選んで頂きまして、ありがとうございます!

門哉彗遥様 西中門哉彗遥様 西中 2016/02/10 22:30 コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

2016-01-30 語彙・読解力検定

 1月1日のブログ(年賀状)に書いたのですが、去年11月、朝日新聞とベネッセが共催している語彙・読解力検定を受験し、1級に合格しました。その合格体験記が、今日の朝日新聞の夕刊に載りましたので、お笑い種までに御披露します。(1月1日のブログと、かなり重複しています。)



   私の合格体験記(1級) 

         西中眞二郎さん(78歳)

  いまさら何かの資格が欲しいという年齢でもないのですが、現在の自分自身の立ち位置や頭脳の老化の程度を知りたいとも思い、1級に挑戦してみました。辞書語彙は、年の功もあって割と簡単でしたが、新聞語彙は、時事用語などで頭に入っていないものも多く、自信はありませんでした。どのような問題が出るのか全く予備知識がないまま臨んだ読解力は、難解な長文が多く、頭が固くなっていることを痛感しつつ、60年も前になる大学受験の際の現代文の試験を思い出しました。

 「1級取得はまず無理だろうな」と思いましたが、かなり余裕を持っての合格でした。合格ラインが私の予想より低かったせいもあるのでしょう。試験を受けるのは久々で、心地よい緊張感も味わいました。(東京都・無職)

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2016-01-27 総理の対野党の姿勢には問題

 安倍総理施政方針演説の直後、先週の土曜日に書いて朝日新聞「声」に投稿したものだが、どうも載りそうにない。しかも、今日の社説の一部に、これと似たようなことも書かれている。そうなると、これが「声」に載る公算はいよいよ小さいので、このブログに載せようと思う。

 一昨年までは、スペース・マガジンというローカルタウン誌に毎月原稿を書いていたので、それに転用する手もあったのだが、同誌からは去年以来手を引いたので、言いたいことはこのブログに載せるしかないという事情もある。

         * * * * *


       総理の対野党の姿勢には問題

 安倍総理施政方針演説を読んだ。納得できる部分もできない部分もあるが、私が最も基本的な異論を抱いたのは、野党に対する総理の姿勢だ。 演説では、冒頭で、幕末の小栗上野介の言葉まで引いて、「批判だけに明け暮れ、対案を示さない態度」は「国民に対して無責任」であると言い切っており、また、末尾でも重ねて、「ただ反対と唱える、政策の違いを棚上げする。それでは国民への責任は果たせません」と断定している。いかにも政府与党だけが国民に対して責任を果たしており、野党は無責任だと決めつけているに等しい。

 果たしてそうなのだろうか。野党政府に対して批判的立場に立つことが多いのは当然であり、議会民主主義をとる以上、それは野党としての当然の責務ですらある。もちろん、「反対のための反対」は否定されるべきかも知れないが、基本的に問題のある政策に対して「全面反対」を唱えることは、野党としての当然の使命であり、国民に対する責任だと思う。総理演説は、野党に対する故なき誹謀中傷であり、野党の存在理由の否定にもつながるものだとすら思う。

 野党の言い分のみでなく国民の中にある異論に対してすら聞く耳を持たず、政府与党の言い分のみを貫き通そうとする安倍政権の姿勢こそ、国民に対して真摯に責任を負っているとは言えないのではないか。

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2016-01-07 慰安婦問題の決着

 年末に朝日新聞「声」に投稿したのだが、どうも載りそうにないので、こちらに回す。一昨年くらいまでは、「声」打率は結構高かったのだが、去年あたりからボツが続く。もっともそれほど投稿しているわけでもないが・・・。


        慰安婦問題の決着

 日韓の慰安婦問題が一応決着した。妥協の産物と言えばそれまでだが、まずは喜ぶべきものだと思う。安倍総理政治姿勢には基本的な疑問を持っている私だが、このたびの決着は安倍総理の決断による要素が大きく、高く評価したい。

 もちろんさまざまな評価があり得るところではあろう。「弱腰」との批判もあり得るだろう。しかし政治的な利害得失の視点から見れば、これにより安倍さんが失う支持よりも、これによって得る支持の広がりの方が意味が大きいと思うし、安倍政権にとって不利な選択ではなかったと思う。右寄りと見られがちな安倍さんだからこそ出来た決断だとも言えるだろう。

 むしろ問題は韓国朴政権を取り巻く環境だろう。韓国は被害者の側であり、今回の妥結に対する反発は、日本側よりも強くかつ深いことが予想される。朴さんの負う政治リスクは、安倍さんのリスクを大きく上回るものだと思う。

 このことを十分念頭に置いて、我が国側の強硬論などによって朴政権を追い詰めることにならないよう、今後の我が国として謙虚さと節度を持って対応すべき点が多いと思う。

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湯山昌樹湯山昌樹 2016/01/20 19:39 今年の題詠はフェイスブックでやるそうで、私も「参加表明」とやらをしてきました。フェイスブックでやると、どうなるのか、始まってみないと分からない感じですが。
西中さんはどうなさいますか? 私自身も、人に聞きながらやっているような状態ですが。
昨年の会場のトップページに、今年の会場へのアクセスが載っています。

湯山様 西中湯山様 西中 2016/01/20 22:17  コメントありがとうございます。一応フェイスブックに加入(?)はしてみたのですが、どういうことになるのか、さっぱり判りません。どんな形で投稿するのか、それがどういう体裁で掲載されるのか、わからないことばかりです。2月に入ってもうすこし様子が判ってから、できれば参加したいと思ってはいますが、果たしてそういう状況になるのかどうか、とりあえず眺めてみるしかありません。
 せっかく長年続けたものをやめてしまうのも残念ですが、そうなる公算が大きいような気もしています。

湯山昌樹湯山昌樹 2016/01/21 20:08 フェイスブックに加入なさったとのこと。それならば、「会場」のど真ん中にある「何か書く」とかいうところに「参加表明」を書けばいいと思います。その後の投稿も、すべてそこに書き込めばいいと思います。
五十嵐さんは、比較的参加者を絞りたい方向のようですが、西中さんのような方をはじいては、五十嵐さんの意図にも合わなかろうと思います。ぜひ、ご参加をお待ちしております。

湯山様 西中湯山様 西中 2016/01/21 22:24  御親切なコメントありがとうございます。投稿の仕方などは大体見当がついていますし、いざとなれば試行錯誤をやるだけのことだと思っておりますが、投稿がどのように整理されてどのように掲載されるのかが良く判りません。その結果次第で、「選歌」などをどういう風にすれば良いのかも良く判りません。そんなわけで、2月に入って掲載のされ方などが見えて来てから考えようかと思っているところです。

2016-01-01 平成28年年賀状

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 年頭に当たり、皆々様のますますの御健勝と御発展をお祈り申し上げますとともに、今後とも変わらぬ御厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

[近況]何かとストレスや不安を感じることの多い昨今の世相ですが、家内ともどもまずは元気に過ごしております。家内とのザル碁のほか、ブログの作成その他あい変わらずパソコンの前に坐っていることが多い日常です。なお、やや詳しくはブログに記載致しております。

  平成28年元旦                 西中眞二郎(毛筆にて署名)

                             住所・電話番号(略)

                     E-mail nisinak001@@ybb.ne.jp

   URL http://d.hatena.ne.jp/nishinaka/ 

*  *  *  *  *  *

以上が今年の私の年賀状です。本物はタテ書きです。年賀状を省略した方々や、このブログを通して御面識(?)を頂いた皆様にも、この場を利用して、上記年賀状により新年の御挨拶を申し上げます。なお、親戚や共通の知人あてのものは、文面を少し変えて家内と連名にしております。また、機械的に送られる迷惑メールを避けるため、このブログに転記したメールアドレスには「@」を一つ余計に記載しております。

 以前から申し上げておりますように、宛名と私自身の署名は、数年前まではすべて筆で書いておりましたが、宛名は一昨年から全面的にパソコンに頼ることに致しました。高校生のころから毛筆による宛名書きを続けておりましたので、何だか手抜きをしたような「罪の意識」も感じておりますが、相当の負担軽減になったのは事実です。

ところで、上記年賀状で、「詳しくはブログで」と書いておりますので、以下その「詳しく」を書かせて頂きます。

    

<「詳しく」の中身> 平成28年1月1日現在

 早いもので、通産省を退官してから28年半になります。考えてみれば、役所勤めの年月よりも、退官後の年月の方が長くなったということで、だんだん骨董品の域に近付いているのかも知れません。最後の職場の南関東自転車競技会会長の職を退いてからでも12年半になりますが、まずは元気に、さほど退屈もせずに日を送っております。いろいろ気が多いものですから、自分なりに結構忙しくしていると申しても良いのかもしれません。

 ワープロからパソコンに切り替えてから12年強、ブログをはじめてから11年弱というパソコン歴ですが、いまや、パソコンブログのない生活は考えられないような状況でもあります。

以下、年賀状の補足として、少々近況報告をさせて頂きたいと存じます。

仝渊粛鬚よみさんという歌人の方が主宰しておられる「題詠100首」というネット短歌の催しに、11年にわたって参加しているのですが、去年は参加者の方の作品7,759首を勝手に順次選歌し、このブログに28回にわたって選歌集を掲載しました。また、その締めくくりとして、催しの終了後、全く勝手・気ままな試みとして、「題詠100首・百人一首」を作り、12月6日のブログに掲載しております。これも昨年で11年目になります。

 もっとも、去年は参加者の数がかなり減ったので、正確な意味での「百人一首」の作成は困難になりましたので、一部の作者の作品は2首採ることに致しました。したがって、去年に関して言えば、「似非百人一首」です。

11月、朝日新聞とベネッセが共催している「語彙・読解力検定」なるものを受験致しました。いまさら何かの資格が欲しいという年齢でもないのですが、現在の自分自身の立ち位置や頭脳の老化の程度を知りたいとも思い、1級に挑戦してみたものです。久々の「受験」で、心地よい緊張感も少々味わいましたが、終わった時点での感想は、「まず無理だろうな」というものでした。中身は3種類あるのですが、「辞書語彙」は、年の功もあってほとんど正解だったと思います。「新聞語彙」は、時事用語等で頭に入っていないものも多く、自信は持てませんでした。「読解力」は、どのような問題が出るのか全く予備知識がなかったのですが、難解な長文が多く、頭が固くなっていることを痛感しつつ、大学受験の際の現代文の試験を思い出していました。

 結果は、かなり余裕を持っての合格でした。合格ラインが私の予想していたものよりも低かったせいもあるような気がしますが、終わったときの印象は「会心の成果」とはほど遠かったような気がします。

5酣は5年に1度の国勢調査の年でした。市町村の人口等を整理するのは若いころからの道楽であり、「市町村盛衰記」(平成16年・出版文化社)という著書もあり、また、昭和60年調査以来、通産省機関誌である通産ジャーナルという雑誌に、毎回その結果を寄稿していました。前回の平成22年調査につきましてもその積りでいたのですが、同誌が廃刊になったため、自治実務セミナー(第一法規)に掲載させて頂きました。これまでのペースだと、年内に速報値が出て、原稿をまとめているのですが、昨年調査につきましては結果が出るのが遅れているようで、まだ整理することができません。また、何かに掲載するあても、目下のところはありません。いずれにせよ、数字が公表されれば、従来通り整理して、せめてこのブログに載せたいものだと思っております。

 もっとも、昨今の「億劫病」からすれば、なかなか執筆する意欲が湧いて来ないということも考えられないではありません。

ぃ卸鄰羹棔久々に沖縄旅行に行って来ました。家内は沖縄は初めてということで、家内孝行の積りで、パック旅行を申し込んだものです。ところが、出発前後から風邪をこじらせ、かねてからの膝痛も加えて、旅先ではかえって家内に心配を掛けてしまいました。

日立市で刊行されている「スペース・マガジン」というタウン誌に、ある御縁で「愚想管見」というコラムを持たせて頂き、一昨年まで毎月思いつくままに勝手なことを書いて参り、このブログに毎月(10日前後)転載して参りました。早いもので、一昨年で丸10年になりましたので、そろそろ退き時かとも思い、一昨年末で退場することに致しました。

 それまで、何か書きたいことがあったときには、まず同誌が頭に浮かんでいましたので、このブログには同誌からの転載が多かったのですが、去年からはその選択肢がなくなりましたので、このブログを重用することになるのだろうと思っていました。ところが実情は、定期連載というノルマがなくなりましたので、かえって何も書かないというのに近い状態になってしまいました。

数年前から、「ねりま演劇を観る会」という会に参加し、2月に1回、家内ともども近くの練馬文化センターでさまざまなジャンルの観劇をしております。余計な選択や判断をすることなく、いわば自動的に見る機会が与えられるということがメリットかと思っております。

Ф仁山口県の「東京東和町人会」の会長を11年間、同じく「東京大島郡人会」の会長を2年間務めた後、平成22年に次の方にバトンタッチ致しましたが、両会とも引き続き顧問を務めております。また、歴代九州経済産業局長(私の在勤当時は福岡通商産業局長)の会の、代表世話人を務めておりましたが、今年から若手に後をお願いすることに致しました。

┿笋僚仗塙盥擦里△広島県呉市の委嘱を受けて、ここ数年、「くれ観光特使」なるものを仰せつかっております。呉市から頂いた観光特使の名刺の裏が、市内の各種施設の無料入場券になっていますので、私のその名刺の裏側は有価証券(?)です。ご希望があればお送りしますので、お申付け下さい。

平成18年5月に「日本語雑記帳―――ことば随筆」(新風舎文庫)を、平成22年11月に「第三歌集・古希前後」を北溟社から刊行しましたが、このところ新著の出版のタネもなく、おとなしくしております。

ザル碁の話になりますが、私の棋力は弱い4段といったところです。目下の手近な碁敵は家内であり、家内は私に4子くらいですから、級位の上の方といったところなのでしょうか。特別のことがない限り、ほとんど毎日2〜3局くらい打っていますから、局数だけで言えばギネスブッククラスだと思いますが、お互いにあまり上達しているとも思えません。家内との碁のほかに、プロの先生に打って頂く会にも、参加しております。ついでに家内のことに触れておきますと、相変わらずささやかな庭いじりに没頭しており、近所の方から褒められるのが最大の喜びのようです。

年齢のせいか、何かと億劫になり、雑文書きも減り、長年にわたる道楽である短歌も、質量ともに下り坂にあるようです。また、やらなければならない雑事も、なかなか手を付ける気にならず、「億劫病」に罹ったかなと思っているところです。体力気力ともに少し活性化を図らねばとも思い、他方、まあこれが老いというものかという下り坂エンジョイの気持も抱いているところです。

 

 この1年の近況をやや詳しく申し上げれば、以上のようなことです。こうして整理してみますと、従来にも増して「余りたいしたことはしていないな」ということを、改めて感じます。この歳になれば、「夫婦ともに元気で、さほど変わったこともない」というのが何よりの朗報なのかも知れませんし、ニュースが年齢とともに減って来るというのも自然な姿なのかも知れません。

 読み直してみますと、去年の焼き直しが多くお粗末な話ですが、どうかご勘弁下さい。

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2015-12-07 似非百人一首・後の祭

            似非百人一首・あとの祭

 昨日12月6日のブログに、「題詠100首・似非百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、先が見えない中で、何が出て来るかと思いつつの楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、3日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、去年書いたもの(昨年12月6日付け「あとの祭」)の焼き直しの部分も多いことを、まずお断りしておきたい。

  

 これまでにも触れたように今年は参加者の数が大幅に減ったので、正確な意味での「百人一首」の作成は不可能に近く、かなりの数の作者の作品は、2首採ることにした。その辺の検討の過程や釈明は前夜祭でも書いたので、重複は避けたい。それだけに、多少無理なところが出ていないかどうか、少々心配もした。何とかなったのは事実だが、数が少ないだけに層の薄さを感じる題も散見された。

 作成の過程について、例年通り少し御説明をしておこう。

 百人一首の前提として、選歌集を28回(去年は39回)にわたってブログに掲載した。この催しの全作品7,759首(去年は10,286首)(注:主催者ブログトラックバック件数として記載された件数である。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち、選歌集に掲載した作品数は、780首(去年は1,270首)である。残念ながらいずれも去年をかなり下回っている。

 以前は完走者の作品に限っていたのだが、作品数の減少のためこのところ完走者に限らないことにしたので、この780首を選考の対象とした。なお、例年同様、私の作品(上記の全作品数には含まれている。)も、補欠あるいはDHとして潜り込ませて頂いた。

 マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、比較的迷わずに選定できる題や作者(多くの場合、候補作の少ない題や作者)の作品を順次選ぶといった方法で、次第に絞って行った。

 一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。落とした方は他の題で入れなければならないし、その結果落ちる方がまた出て来る。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。とは言いつつも、なるべく満足できるものにしたいと思い、何度かの「玉突き」は行った。それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構あると思うが、最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。なお、例年に比べて候補作の数が題、作者ともに少ないので、従来以上に玉突きに限界があったのは正直なところである。

 

 先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラス(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)のものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。

 選歌というもの、作品の評価と同時に、選者の力量と感覚を問われているものだと思い、いささか恐れを抱いているところでもある。

 

 至って素朴かつ正直な感想を書き加えれば、数が少ないということは、やはり大きな問題だと痛感した。層が薄いだけに選歌に苦労するということもあるし、「1人2首でも良い」という縛りの緩和により、選歌の際の緊張感が薄れたという面も否定できない。それに、喜寿を過ぎた年齢のせいもあってか、これまでのような高揚感がやや薄れたことも否定できない。話は少し横道に逸れるのかも知れないが、例年だと百人一首を掲載すると、かなりの数のコメントが寄せられるのが通例だったが、今年はコメントがさっぱり出て来ない。「似非百人一首」になってしまったということが最大の理由なのだろうが、選者たる私自身の高揚感の薄れが、読者の方にも伝わってしまったのではないかという気がしないでもない。

 話を戻す。選歌集に載せた作品数及び投稿の全作品数は、以下のようになっている。(全作品数については、上述の注参照)

001:呼(選歌数19/全投稿数137)002:急(14/132) 003:要(11/128) 004:栄(10/128)005:中心(7/124) 006:婦(17/126) 007:度(15/124)008:ジャム(18/121) 009:異(11/119) 010:玉(11/115)

011:怪(9/112) 012:おろか(11/107) 013:刊(14/104) 014:込(11/107) 015:衛(8/101) 016:荒(19/98) 017:画面(9/96) 018:救(11/96) 019:靴(11/94) 020:亜(7/95)

021:小(16/88) 022:砕(8/84) 023:柱(12/86) 024:真(7/81) 025:さらさら(12/83)026:湿(9/88) 027:ダウン(6/86) 028:改(8/87) 029:尺(6/82) 030:物(11/80)

031:認(3/80) 032:昏(13/82) 033:逸(9/78) 034:前(10/80) 035:液(5/80)036:バス(14/78) 037:療(10/77) 038:読(13/79) 039:せっかく(8/75) 040:清(6/76)

041:扇(9/80) 042:特(13/84) 043:旧(14/76) 044:らくだ(8/74) 045:売(10/76)046:貨(14/74) 047:四国(8/75) 048:負(9/75) 049:尼(8/75) 050:答(10/73)

051:緯(11/70) 052:サイト(3/70) 053:腐(10/68) 054:踵(7/70) 055:夫(9/68)056:リボン(11/67) 057:析(4/67) 058:士(8/66) 059:税(6/66) 060:孔雀(10/72) 

061:宗(9/62) 062:万年(4/63) 063:丁(6/63) 064:裕(4/63) 065:スロー(6/65)066:缶(13/62) 067:府(5/64) 068:煌(9/66) 069:銅(5/64) 070:本(9/64)

071:粉(5/65) 072:諸(8/64) 073:会場(6/63) 074:唾(8/67) 075:短(7/62) 076:舎(7/62) 077:等(4/62) 078:ソース(8/60) 079:筆(7/60) 080:標(7/60)

081:付(8/61) 082:佳(7/61) 083:憎(8/59)  084:錦(5/59) 085:化石(7/57) 086:珠(6/57) 087:当(5/56) 088:炭(8/56) 089:マーク(6/56) 090:山(5/56)

091:略(9/59) 092:徴(8/58) 093:わざわざ(4/61) 094:腹(6/59) 095:申(5/57) 096:賢(5/57) 097:騙(9/57) 098:独(7/57) 099:聴(8/59) 100:願(6/56)

 以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。来年も私の気力と体力が続く限り、皆様にお目にかかれることを楽しみにしているが、作品数によっては、百人一首をギブアップすることもあり得ないことではない。なお、これでこのブログ短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。また来年お目にかかりましょう。

注:後の祭り(インターネットの「大辞林」より)

[1]祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ

[] 16:35     を含むブックマーク

はこべはこべ 2015/12/31 11:07 西中様
今年も大変なお力をいただきまして、題詠ブログを楽しませていただきました。
どうぞ 新しい年にもお続けいただけますように願っております。
ありがとうございました。

はこべ様 西中はこべ様 西中 2015/12/31 12:40 ご丁寧なコメントありがとうございました。どうかお元気で新年をお迎え下さい。またお目に掛かれる(?)ことを楽しみにしております。

2015-12-06 題詠100首・似非百人一首

     題詠100首・似非百人一首


001:呼(映子)

思い出を呼び出してみるあのころの畳のにおい暮れてゆく音

002:急(梅田啓子)

縁側にひなたぼっこのおばあちゃん 急須をみてたら会いたくなった

003:要(睡蓮。)

要点をまとめきれない幼さが言葉を増やす親子の会話

004:栄(JINRO

蝉しぐれ栄えしときうたかたの 泡と消えゆく風の残像

005:中心(キョースケ)

自転車を颯爽とこぐスカートが風に流れて春の中心

006:婦(蓮野 唯)

妊婦ではなくなった日が誕生日子供と同時に母も産まれる

007:度(鮎美)

我が親は我が姉の親でもありて二度とは帰るものかふるさと

008:ジャムわんこ山田)

トーストの上なるジャムの輝きを許せず齧る朝だってある

009:異(紫苑)

たつきの手ふと休むれば異界への出口のやうなしろ満月

010:玉(kei

二階からこぼれ手元に来る音符ザクザク一緒に刻む玉葱

011:怪(さくら♪)

虫かごと麦わら帽子セミの声 みんなが怪獣だったあの夏

012:おろか(泳二)

豹柄はおろかひまわり柄さえもいない商店街に佇む

013:刊(久野はすみ)

病室の夕餉は早く父はまた夕刊のなき地方紙を繰る

014:込(短歌はじめます、さざなみ

飲み会は桜の下でケーキ付あの子も込でお願いします

015:衛(たえなかすず)

すこしだけさみしい 気象衛星は雨を探すの、ひまわりなのに

016:荒(金井二六時中)

若さゆえ鼻息荒く語った夢を下方修正しながら生きる

017:画面(さくら♪)

青空を光る画面に変える夏 虹の向こうで白が弾ける

018:救(美裕)

なにげない友の言葉に救われた気がして秋刀魚丁寧に喰う

019:靴(さわか)

底知れぬ靴の重みをいぶかしみ午前0時のタクシーに乗る

020:亜(只野ハル

光速まで加速して振り返り確かめて見る赤方偏移

021:小(ほし)

箪笥のうへの小人の人形の数がたまには合はなくなりぬ

022:砕(はぼき)

万華鏡いつか作ってみようかな砕けた夢のカケラ集めて

023:柱(志稲祐子)

二歳児は酔っ払いだね電柱にぶつぶつ言ったりするところなど

024:真(千原こはぎ)

ちっぽけな心の澱を溶かしてもいいかこんなに真っ青な空

025:さらさら柚木ことは)

さらさらと星が流れていく町で今宵も誰かが願いをかける

026:湿(ドルチシマ・ミア・ヴィタ)

濃き蔭をもとめてすわるしきものに湿りをおびて芝生のあをき

027:ダウン(原田 町)

仕舞いかけのダウンまた着て花冷えの街に豆腐や長葱を買う

028:改(大島幸子)

かあさんが徹夜で編んだふるさとのあみものブック改稿二版

029:尺(有櫛由之)

尺蠖は伸びつつ吾は蹲みつつ五月 愁ひをうらがへしをり

030:物(影山光月)

「物欲はさらさらない」と言いながら君が見ているテレビショッピング

031:認(牧童)

認印ひとつ押すごと母の死が 戸籍の底で風化していく

032:昏(中村成志)

日輪は垂直に落ち 昏れなずむなどという語を 海が蔑む

033:逸(るいぼす)

常識を逸脱してる価値観のベクトルを5度傾けてみる

034:前(西藤定)

三月をうつむきがちな僕の上かけぬけていく桜前線

035:液(西中眞二郎

液体はやがて静かに固まりて夏の和菓子の形をなしぬ

036:バス大島幸子)

自宅より徒歩圏内のバス停に余白ばかりがある時刻表

037:療(只野ハル

療養所木々が色付く高原の片隅に臥す音のない午後

038:読(尾崎弘子)

ふるさとの小径歩みし日もはるか月読の碑の由来思ひて

039:せっかく(千原こはぎ)

せっかくのお昼休みが消えてゆく沈黙だけが這う通話口

040:清(しま・しましま)

清潔なガラスのむかふ清潔なあかんぼみんな等間隔に

041:扇(美穂)

行列に並べば斜め後ろより扇子の風の届く真夏日

042:特(青山みのり

特技とはいえないけれど可哀想なオンナのふりで散歩できます

043:旧(遥)

亡き母と弟嫁と旧姓が何故か同じでちょっと悔しい

044:らくだ(春原千花)

胸なんてただの脂肪よついてればいいのらくだの瘤と同じよ

045:売(海)

半額の札を貼られた焼売が規則正しく並ぶスーパー

046:貨(睡蓮。)

長々と貨物列車の数かぞえやっと踏切上がれば夕日

047;四国 (ドルチシマ・ミア・ヴィタ)

甲州街道四国屋の夜の更けゆけば三惚れうどんたまごをくづす

048:負(ますだたつろう)

新年の抱負を書いた手帳ならどこかになくしてしまったばかり

049:尼(佐藤紀子)

尼寺の写経の会に参加する白きあやめに雨の降る午後

050:答(諏訪淑美)

答案の裏に私の似顔絵を描いてた生徒親になったか

051:緯(諏訪淑美)

己が住む緯度をたどって地図の上日がな一日旅する雨の日

052:サイト(天野うずめ)

窓辺から雪の冷たさ感じつつエロサイト見た履歴を消そう

053:腐(RussianBlue)

昆布出汁であっさり炊いた湯豆腐の滋味染み渡る師走の夕げ

054:踵(春原千花)

君となら踵の低い靴でいい背伸びしないで新緑を行く

055:夫(コバライチ*キコ)

夕暮れの雷門は賑わひて人力車夫は声張り上げる

056:リボン(湯山昌樹)

耳にリボンつけたる猫をかき分けてその土地らしき土産をさがす

057:析(杜崎アオ)

かさかさと薄まるそらの分析をすれば一枚いちまいが秋

058:士(牧童)

友同士語り広がる風聞は 母とは別の女の葬儀

059:税(柊かいう)

内税の店にて惑ふこともありほかより安き人参を買ふ

060:孔雀(美穂)

いつ開くつもりか羽をたたみ込む孔雀の前のベンチは満席

061:宗(横雲)

孟宗を春の驟雨が濡らしゆき人偲ぶ身を風が吹き抜く

062:万年(志稲祐子)

滲むとき空の彼方を想うから万年筆は青色インク

063:丁(杜崎アオ)

手続きのひとつのような死であれば丁寧にパンケーキ焼く午後

064:裕(わんこ山田

お財布に少し余裕がある時の私をわたしは覚えていたい

065:スロー(文乃)

鮮やかなフリースローでゴミ箱にシュートを決めて今日も快晴

066:缶(廣珍堂)

ガシャコンと缶コーヒーが落ちてきて君はいきなり夏服になる

067:府(ひじり純子)

日本都道府県白地図四色定理で塗り分けてみる

068:煌(のんちゃん

煌々と闇夜を照らす赤提灯とうげの茶屋を丸く抜き取る

069:銅(横雲)

銅羅の音の響く御寺に春浅く経読む僧の遠ざかる影

070:本(御糸さち)

婚姻届と離婚届の記入見本 横浜太郎に何があったの

071:粉(中村成志)

両の手は肘まで白く 粉を練る少女の朝よ 酵母のにおい

072:諸(原田 町)

捨てたきもの諸々ありてもそのままに長梅雨の日を家に籠もれり

073:会場(コバライチ*キコ)

冬ざれの試験会場みな黙し共通一次受けし雪の日

074:唾(辺波悠詠)

幽霊が夜な夜な出ると眉唾な話の種になる我が実家

075:短(ひじり純子)

昼下がり短編小説読み終えて片頬だけの笑みを浮かべる

076:舎(土乃児)

斎宮に野の花一枝献ぜむと若き舎人は結界侵す

077:等(青山みのり

寸分も狂わぬように等分に切りわけてみた今日の青空

078:ソース(湯山昌樹)

厚き肉をステーキソースで焼いていく姪の背中に自信が見える

079:筆(佐藤紀子)

穂を揃へ小さき土筆が群生す風の涼しい夏のゲレンデ

080:標(小春まりか)

標的に定めてもなおトリガーが引けないでいる恋愛ゲーム

081:付(五十嵐きよみ)

もう何のために貼ったかわからない黄ばんだページの付箋をはがす

082:佳(はこべ)

顔佳花(かおよばな)うつくしき名を教え給う百三歳の師の訃報きく

083:憎(はぼき)

萌えキャラが言えば憎まれ口でさえツンデレとしてもてはやされる

084:錦(しま・しましま)

夕焼けが雲を錦に染め上げて 今日のこと全部うそだつたんだ

085:化石(雪)

秋ごとに記憶の地層を掘りかえしこわれぬように取り出す化石

086:珠(文乃)

数珠つなぎにちょこちょこ並ぶ一年生少し曲がった整列をする

087:当(西中眞二郎

土地の香りする食堂は見当たらずミスタードーナツで昼飯を食う

088:炭(きむろみ)

燃えさしの炭で描けばどの山も太郎眠らす冬の尾根なり

089:マーク(映子)

初めてのワンポイントは高三の傘のマークの白いポロシャツ

090:山(五十嵐きよみ)

噴火まで半日 古代ポンペイ舞台ドラマは山場へ向かう

091:略(紫苑)

略奪の大地にありてなほつづく人のいのちの重さのちがひ

092:徴(はこべ)

自治会の会費徴収その都度によも山話あつめておりぬ

093:わざわざ(雪)

遠くまでわざわざ買いに行ったあと見つけてしまったお手頃価格

094:腹(海)

悩みには鈍感なのに腹の肉の増加はすぐに気がつく夫

095:申(遥)

いそいそと確定申告する君を思い描いて書類揃える

096:賢(みちくさ)

黒板に「畑ニイマス」と書き置いて消えた賢治を追いかける風

097:騙(天野うずめ)

騙されて気づくぬくもり君をまた好きになりたい暖かき午後

098:独(由子)

レンタ猫レンタ彼氏もあるらしい独り者にもニセのイヴの夜

099:聴(廣珍堂)

山ノ辺に神楽の音の立つを聴くいよよ霞のふかくなるころ

100;願(いまだなつき)

願わくば明日は上手く眠れるよう羊がうまく柵越えるよう

[] 17:11 を含むブックマーク

わんこ山田わんこ山田 2015/12/07 23:17 百人一首(似非ですか〜)、今年もありがとうございました。
本当にお疲れ様でした。
今年もギリギリになってクオリティ無視で爆走しましたので、二首も選んでいただいて心苦しいです(>_<)
(でも嬉しい〜)
これからも続けて百人一首を選んでいただけるよう、来年はもっとたくさんの歌が集まりますように(祈)

わんこ山田様 西中わんこ山田様 西中 2015/12/07 23:39 コメントありがとうございます。今年はコメントが全く入って来ず、少し拍子抜けしていたところです。それだけに、山田さんのコメント、例年以上にありがたく、厚く御礼申し上げます。来年もぜひお目に掛かりたい(?)ものです。

映子映子 2015/12/08 10:56 百人一首へ載せていただけて・・嬉しいです!ありがとうございます(..)
2015の会場へ行ってみても寒々しさを感じてしまい どか いつまでも続いてほしいと祈るばかりです。
来年はもっと選歌の中へうかがえるよう感じる心をとがらせたいと思います。
ありがとうございました_(._.)_

文乃文乃 2015/12/08 11:13 西中様、ありがとうございました。今年も選歌集を毎回楽しみに拝見してきました。百人一首にも、二首も入れていただき恐縮しています。どれほどの時間と苦心の末に選ばれた百首かと思うと、改めて感謝の気持ちがこみ上げてきます。ありがとうございました。
昨年、題詠blogで初めて短歌を詠み、西中様の選歌集にとりあげていただくのが嬉しくて、それを励みに続けることができました。昨年の百人一首に私の歌が入っているのを見た時「もう後には引けない」と思ったのを覚えています。拙い歌であっても、必ず読んでくださる方がいらっしゃるのだということが有り難く、身の引き締まる思いでした。
選歌でお疲れになったことでしょう、どうぞお体を大切にお過ごしください。次回も西中様のお歌を拝読できるのを楽しみにしております。

映子様 西中映子様 西中 2015/12/08 11:14 コメントありがとうございます。来年もよろしくお願い致します。

文乃様 西中文乃様 西中 2015/12/08 11:17 コメントありがとうございます。始められて間もないということ、こなれた御作からは想像もできません。来年もよろしくお願い致します。

湯山昌樹湯山昌樹 2015/12/10 19:32 載せていただき、ありがとうございます。二首選んでいただきましたが、いずれも姪がからんでいるところが、何とも不思議な気分です。来年も、多少形は変わっても、短歌を詠み続けられそうですので、ありがたく二月を待つことに致します。

湯山様 西中湯山様 西中 2015/12/10 22:14 コメントありがとうございます。「リボン」も姪御さん関連とは気付きませんでした。きっと素敵な姪御さんなのでしょうね。来年もよろしくお願い致します。

千原こはぎ千原こはぎ 2015/12/17 02:26 西中さま。今年も百人一首に入れていただきましてありがとうございました。
こうしてお読みいただけることを何より嬉しく思っております。

千原こはぎ様 西中千原こはぎ様 西中 2015/12/17 13:21 コメントありがとうございます。まだ学生さんなのでしょうか。いつも素晴らしい青春の香りのする作品を楽しませて頂いております。

土乃児土乃児 2016/01/08 19:08 遅くなりましたが、一首お選び戴き有難うございます。
完走叶わぬ無念が救われました。今年はもう一度気持ち新たに挑みます。
今年も宜しくお願い致します

土乃児様 西中土乃児様 西中 2016/01/08 22:19 コメントありがとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。

コバライチ*キココバライチ*キコ 2016/02/08 14:21 西中さま
はじめまして。
百人一首で取り上げてくださり、どうもありがとうございました。毎年詠みっぱなし、走りっぱなしで、西中さまがこうして選歌されておられたことに気づかずにおりました。失礼いたしました。
今年も題詠100が始まりましたね。fbという場で心機一転、参加者倍増となればよいと思いますが、西中さまが懸念されておられるように、どうなりますか。私自身、題詠準備室には登録したものの、参加表明は躊躇しています。個人的に題詠は詠みたいと思っていますが、fbではどうしたものか・・・fbは便利に利用してはいますが、題詠の場としては???かな、と思案中です。
遅ればせながら、まずはお礼を申し上げます。

コバライチ*キコ様 西中コバライチ*キコ様 西中 2016/02/08 16:49  ご丁寧なメールありがとうございます。コバライチさん(どこまでが苗字なのかよくわかりませんので、違っていたら申し訳ありません)の御作、お気づきかと思いますが2009年以降、百人一首に採らせて頂いております。
 今年についての私の感想は、私のブログかあるいは「題詠準備室」でご覧になったのだと思いますが、ブツブツ言いながら、試行錯誤で選歌を開始致しました。できれば、ぜひ御作を拝見したいものです。

2015-12-03 題詠100首百人一首前夜祭

  題詠100首・百人一首前夜祭(又は前々夜祭又は前々々夜祭)

 この1年間、題詠100首の勝手な選歌を続けて参りましたが、それを土台にしてこれまで同様百人一首を作る積りだということは、既に申し上げた通りです。発端は2005年ですから、今年で11年目になります。余計なお節介だとお感じの方もおられるかとも思いますが、御関心をお持ちの方もおられるようですし、我ながら良く続いて来たものだとも思います。

 11年目と申しましたが、一昨年以来随分様子が変わりました。と申しますのは、それまでは完走者の数が、100人をかなり上回っていましたので、その中から選んでいたのですが、一昨年以来完走者が100人をかなり切りましたので、私なりに考えた末、完走にこだわらないということに致しました。以上が一昨年までの経緯です。

 ところが、今年はより根本的な問題が出て参りました。参加者の数が全体で137名に減り、このうち私の選歌集で採らせて頂いた作者の数は101名に減ってしまったのです。100のお題から100首を選ぶのは当然の前提だと思いますし、ある程度のレベルを保持しつつ百人一首を作るためには、これまでの経験では、選定の母体として120名程度の作者が欲しいところです。そうなると、101名から百人一首を選ぶのはまず不可能です。そんなわけで、「百人一首」の選定自体をやめようかとも思ったのですが、これまで続けて来たものだけに未練もあり、妥協策を模索致しました。結論を申せば、厳密な意味での「百人一首」はギブアップし、何人かの方には再登場をお願いして2首選ぶという方法を採ることに致しました。それがベストの選択かどうかには迷いもありますが、「百人一首」らしきものを続けるには他の方法が思いつかなかったというのが、正直なところです。

 実は、まだ実質的な作業にはほとんど入っていませんので、以上の方針でうまく出来上がるのかどうか自信はありませんが、ある意味ではルールを緩めたわけですから、これまでの経験からすれば、何とかなるだろうとは思っております。なお、これも例年同様、私の作品も、1首潜り込ませて頂きたいと思っております。

 

 最後に、これまでと全く同じセリフですが、さまざまな方々にお詫びと弁解を申し上げなければなりません。

 第1に、参加者全員の方々と短歌神様にお詫び申し上げます。私より優れた方々も多数おられる中で作品を選ぶという甚だ不遜な振舞いにつきましてのお詫びです。私のあそび心ということで、お許し頂きたいと存じます。

 第2に、選ばれなかった方にお詫び申し上げます。あくまでも私の「独断と偏見」に基づく選歌ですから、ほかの方が選歌すれば全く違う結果になったと思います。また、何分多くの作品からの選歌ですから、素晴らしい宝石を見落としている可能性もあろうかと思います。

 第3に、選ばれた方へのお詫びです。題と作者のマトリックスという関係で、参加者のベストの作品が選ばれず、御不満の方も多いと思います。この点は、「選者」たる私にも多分不満が残るのだろうと思いますが、マトリックスという制約に免じてお許し頂きたいと存じます。

 そして、新たなお詫びは、「百人一首」という看板に偽りが生じ,いわば「似非百人一首」になってしまったというお詫びです。選ぶ母数が減ってしまったという事情に免じてお許し頂きたいと存じます。

 以上、お叱りを被る前に、予防線を張っておく次第です。これでも相当の労力の産物ではありますので、その労力と、私のあそび心に免じてお許し頂きたいと存じます。

 ただいま申し上げたことは、現物と一緒の欄で申し上げても良いことですが、本体がゴチャゴチャするのも気に入りませんので、前夜祭ということで、本日の欄に載せる次第です。それでは、あまり期待なさらずにお待ち下さい。

[] 15:06 を含むブックマーク