鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<176>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<176>
2013年8月27日「信仰の世界を垣間見る」


聖書の言葉
道を歩きながら、あなたがたが拝むいろいろなものを見ていると、「知られざる神に」と刻まれている祭壇さえ見つけたからです。それで、あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう。世界とその中の万物とを造られた神が、その方です。この神は天地の主ですから、手で造った神殿などにお住みにはなりません。
使徒言行録17章23-24節)



 横浜市立大学のエクステンション講座「イスラームの歴史と教義(イラン映画に見る女性と社会)」が8月24日に開催された。全6回の講座で、この日が最後になる。7月と8月の土曜日、三回ずつ開かれていた。横浜市立大学京急線金沢八景駅の近くにあり、自宅から歩いても30分くらいである。午後3時から始まるのであるが、2時には家を出る。従って30分前には着くのであるが、早めに行ってよい場所を確保する必要があるからだ。40名位の人が受講しており、毎回ビデオ映画を見せられるので、見やすい場所が必要である。開講時間の間際に教室に入ったことがある。着席した場所はビデオが見にくく、その時は移動して見たものである。それ以来、早めに行き、ビデオ鑑賞には良い場所に座ることにしたのである。受講者は若い人も数人いるが、多くは年配者であり、何かと世界を揺るがすイスラム教の理解を求めているのであろう。
 イスラム教の世界に関心を寄せるようになったのは、今年の3月から三ヶ月間、マレーシア・クアラルンプール日本語キリスト者集会のボランティア牧師として赴いてからである。マレーシアはイスラム教の世界である。しかし、諸宗教には寛容であり、仏教、キリスト教ヒンズー教等、それぞれの信仰に生きる人々が住んでいる。しかも釈迦、キリストの生誕日も国民の休日になっているのだから、イスラム教の国とは思えなくなる。しかし、イスラム教のモスクは各地にあり、礼拝の時間は確実に守られている。キリスト教もかなり浸透しているようである。日本語のキリスト教集会は他にもあるようで、折に触れてそちらの情報を聞かされるのであった。
 「イスラム教」と理解していたが、正式には「イスラーム」と言わなければならないのである。「イスラム教」といえば、一つの宗教にとどまるのであるが、個人の救いにとどまらず、共同体そのものを「イスラーム」と称しているのである。従って、今後は「イスラム教」とは言わず、「イスラーム」と称することにする。この講座を受講することによって、今までは「イスラーム」についての知識は間違いだらけであることを知る。イスラームと言えば、テロ、狂信、聖戦、恐ろしい世界であると思っていた。かと思えば、「月の砂漠」、「アラビアン・ナイト」のようなエキゾチックな世界も心に持っている。いずれにしてもイスラームの世界は、我々とは異質であると言うことである。そのような誤解と偏見から解放されなければならないと思わされたのであった。実際、マレーシアと言うイスラームの世界で三ヶ月間生活し、人々と接する中にも、異なった思いがほぐされたのである。
 クアラルンプールの生活を始めて10日後にスペインから羊子がやって来た。こちらでチャペルコンサーの開催が企画され、羊子のピアノ演奏が予定されていたのである。それについてはブログ「常夏の国にて」で報告している。羊子の滞在中、マラッカ見学をしたりクアラルンプール市内見学をしたりする。市内見学をして、帰りはタクシーで帰ろうとすると、法外な料金を提示する。行きはタクシーでRM20であったが、市内のタクシーはRM50だと言うのである。それで羊子がバスを捜しまわり、ようやく牧師館前を通るバスを見つけ、乗り込んだのであった。何と三人でRM6であった。そのバスに乗ったものの、果たしてこのバスが牧師館の方面に向かっているのか、不安げに話している。すると私の後ろに座っていた、ヴェールを被っている若い女性が日本語で声をかけてくれる。マレー人であるが、日本語学校に通っていると言うのである。しかも、我々と同じ牧師館のあるコンドミニアムの7階に住んでいると言うのである。その後、時々その女性と外で会うと、親しく挨拶してくれるのである。帰国が近づいたので、その日を告げておいた。帰国の数日前にその若い女性が牧師館を訪ねてくれ、マンゴーと言う果物を下さったのである。帰国の日、女性が住んでいる部屋に行く。しかし、たまたま帰宅中で不在であり、一緒に住んでいる二人の若い女性に、スミさんは残り物の食べ物等をあげている。私は殆ど使っていない上質A4コピー紙ひとしめをあげたのであった。イスラームの共同体の中にいる若い女性との触れ合いの中にも、イスラームへの関心が高まってきたのである。
 横浜市立大学のエクステンションで「イスラームの歴史と教義」と言う講座を知るのは、マレーシア滞在中、5月頃であった。時々、メルマガとしてパソコンに案内が送られてきている。その案内を見て、マレーシアから申し込んでおいたのであった。今回の受講で学んだこと、他にいくつかの書籍で知ったことを次回に報告しておくことにしよう。



エクステンション講座の案内書



クアラルンプール市内のモスク。
丁度、礼拝の時間でモスクの前には多くの車が停まっていた。



帰国の日、お友達になったマレー人の部屋を訪れる。