ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

映画

 今年初めての映画はキアヌ・リーブス主演の「地球が静止する日(The Day the Earth Stood Still)」。いくら平日の昼間とはいえ、これはないだろうというほど人が入っていない。「全席指定」しないで欲しい、というくらいだ。
 コンセプトは大変に素晴らしい。「神」のことなの?と思ってしまいたいくらいの地球外生物の断定。「もう人間という種によってこれ以上地球が傷つけられるのはまずい」ということで人間を排除しにやってきたというのはとても今らしい、説得力を持つ切り口で、いやいや、これは面白いことになったぞと思ったのだけれど、そこから先がなぁ。この種の映画は成功作だろうと失敗作であろうと家のテレビで見るよりはスクリーン上で見ないと損したような気がする。だから、見ることにした。他のストーリーで見せる映画はテレビで見た方が落ち着いて見ることができる。
 映画といえば「オーストラリア」は東宝系の配給で来月末から公開だけれど、今日の劇場では予告編が上映されなかった。ない訳じゃないだろう。どうなっているんだろうか。今週末に試写会に行けることになった。
 メリル・ストリープの「マンマ・ミーア!」は予告編を見た限りではホーム・コメディみたいでわざわざ見なくても止さそう。
 「シェルブールの雨傘」がまた公開されるらしい。45年前の映画だ。私は当時も見ていない。当時はフランス映画と云うだけで排除していたのである。あ、今もあまり変わらないか。
 「チェ・ゲバラ」の二本は興味あるけれど、劇場で見なくてもテレビでよいのではないかと思える。
 クリント・イーストウッド制作の「チェンジリング」は面白そうだ。1920年代にあった実話が下敷きになっているという話で、当時の様子が映し出され、多分当時の精神病院が登場する。change ringっていうのは何を意味しているのかと思ったら、これは「changeling」で、「すり替えられた子ども」を意味する。元はといえば欧州の民話で、妖精が可愛い子をさらっていって代わりにおいていく妖精の子どものこと(娘から教わった)。検索していて見つけたのは1979年に「The Changeling」という同名の映画が制作されていたと云うことだ。2008年のクリント・イーストウッド制作の方はタイトルに定冠詞がつかない。
 「ワルキューレ(Valkyrie)」:トム・クルーズヒットラー暗殺計画映画。史実らしい。ハリウッドはまだ、こうやってアメリカ英語で喋るドイツ軍、なんてことをやり続けるんだねぇ。「オクトーバーを追え」で、もうそんな映画は願い下げだったのだけれどね。
 渋谷のBUNKMURAで2月下旬に上映されるノルウェー映画「ホルテンさんのはじめての冒険」は面白そうだ。そして多分この映画はテレビで上映される可能性は相当に低そうだ。
 トム・ハンクスの「天使と悪魔(Angels & Demons)」はどきどきしてみてしまいそうだ。公開は5月の予定。ちなみにカリフォルニア州のporposition8(同性婚を禁止する内容の州法改正案)の投票に際してこれをバックアップしたモルモン教徒を「un-American」と評したトム・ハンクスは「人種差別」となると謝罪したんだそうだ。カリフォルニアでは裁判所の判決で同性間の結婚を禁止した州法は違反だという判決が出て、それ以来、様々な同性愛者がカミングアウトしていたのだけれど、今回のproposition 8によって「結婚は同性間によって行う」とされてしまったので、また騒ぎになっている。スタートレックHEROESに出演していたジョージ・タケイもそのひとり。トム・ハンクスが「un-American」と発言したのは先週のことで、モルモンの一夫多妻制の家庭を舞台にしたHBO人気ドラマ「Big Love」のプレミア会場でのことだったのだそうだ。Mormonは準州から正式に米国の州となるときに、一夫多妻制を止めることが条件となっていたのだけれど、実際は続いていることは周知の事実になっている。

本屋

 京橋に戻って「八重洲ブックセンター」に新書はいかになっておるかと探りに行く。

  • ネイティブ・アメリカン - 先住民社会の現在」鎌田遼 岩波新書 2009.01:最近アメリカ先住民について書いている人を殆ど見なかった。ワーナビーについても書かれている。町山智弘が越智道雄との共著で出した集英社新書の「オバマショック」が飛ぶように売れているらしいが、こうした真面目に真剣に取り組んでいる新書に目をとめて欲しいものだと心底思う。
  • ヴェルサイユ条約 - マックス・ウェーバーとドイツの講話」牧野雅彦 中公新書 2009.01:国際裁判を見る上でやっぱり知っておかなくてはならない最低限項目のひとつかも知れないと思って入手。
  • 「対談 昭和史発掘」松本清張 文春新書 2009.01:何もここでまでいうまでもなく今年は松本清張生誕100周年なのだそうだ。うちの死んだとっつぁんより3歳上だと聞いていたので、うちのとっつあんが生きていたら今年で97歳だと云うことになろうか。対談をしている相手がよい。城山三郎、五見川純平、そして鶴見俊輔とくると手に取らないわけにはいかないラインアップである。昭和五十年の対談だと云うからそろそろ今から40年も昔の話だということになる。楽しみである。(追記090130:後半には「政治の妖雲・穏田の行者」「お鯉事件」が掲載されている。)
  • 「イギリス型<豊かさ>の真実」林 信吾 講談社現代新書  2009.01:かつての大変豊かなシステムの象徴たる英国式福祉システムがサッチャリズムに毒されてすっかり疲弊しているんだろうと思って聞きにいったら、あにはからんや・・・という話になるんだろうか。
  • 雑誌「現代思想 2009年2月号」青土社 特集:ケアの未来 介護・労働・市場:上野千鶴子立岩真也の「討議:労働としてのケア」、市野川容孝+杉田俊介+堀田義太郎による対談「ケアの社会化の此/河岸」。

 最近銀座界隈を歩くと女性のホームレスの人を見かけるようになったような気がする。どうしているのだろう、と思いながらそのまま通り過ぎている日常がなさけない。そういいながら自分は明日のパンをまた買った。何もできないまま、やらないままのんべんだらりと暮らしている。思いだしたかのような罪滅ぼしに過ぎない、僅かばかりの募金をする程度でしかない。

映画「Garage Days」

 2002年・豪州・日本未公開の映画。今朝早朝に日本テレビで。たまたま猫がふざけているのにつきあっていたら午前2時になってしまい、一段落してテレビをつけたらやっていた。
 SydneyのNewtownを舞台にしたバンドデビューを夢見る若者たちのすったもんだ。エンディングが典型的なハリウッドと違っていてそれが良かったかもな。Sydneyらしい景色がいくらも出てきて、それがいわゆる観光的な状況でないところが自然だった。そんなもんだよ、都会ってのは。ドラッグの問題もいろいろ抱えているあの街の本来的姿かも知れないし。あぁ、見て良かった、とは思わないけれど、あぁ見なきゃよかったとも思わない。
 Kateをオージーが発音すると「カァイトゥ」になってしまう。日本語のスーパーも「カイト」と書いてある。普通の英米映画だったら日本語のスーパーも「ケイト」となるんだろうと思うのだけれど、これ、意識して翻訳をやられたんだろうか。