捜査機関がやる気を出せば、適用法条はいろいろ出てきます。
他人の口座を譲り受けてくるというのは、当初から「極めて違法な商売」を目論んでいたことの有力な証拠になります。
リンクは「提供」か?
リンクは何罪かという伝統的なFAQがありますが、
定義からいくと、リンクも、urlのメール送信も「提供罪」と言えますね。
わいせつ図画罪(刑法175条)の議論とは切り離してくださいよ。
こっちは表現の自由がほとんど働かないところでの議論ですから。
「児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」法令解説資料総覧(第一法規、2004)
「提供」とは、電磁的記録その他の記録を相手方において利用しうべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償無償を問わない。児童のポルノを内容とする電磁的記録を電子メールで送信し、プロバイダ内で相手方の受信箱に入れる行為等がこれに当たる
福岡高等裁判所那覇支部平成17年3月1日
しかし,新法7条1項,2項,4項及び5項の「提供」とは,特定かつ少数の者に対する当該児童ポルノ等を相手方に利用しうべき状態に置く一切の行為をいい,有償・無償を問わず,必ずしも相手方が現に受領することまでは必要がないものであり,一方,旧法7条1項の「販売」とは,不特定又は多数の者に対する有償の譲渡をいうから,旧法の「販売」は,新法7条4項の「不特定若しくは多数の者に提供」したことをも含まれるのであって,旧法の「販売」の文言が新法において削除されたからといって,旧法において処罰の対象とされていた「販売」の行為が不可罰となったものでないことは明らかである。
〔警察学論集 第55巻第5号〕「サイバー犯罪に関する条約」について−その意義及び刑事実体法規定一瀧波宏文(法務省刑事局付)
(3)第9条 児童ポルノ関連犯罪
コンピュータによる児童ポルノの流布行為又はこれに密接に関連する行為の犯罪化を義務付けるものである。具体的には、締約国に対し、“権限なく、故意に、(a)配布目的での製造、(b)提供もしくは利用可能とすること、(C)配布もしくは送信、(d)自己又は他人のための調達、(e)所持”を犯罪化するよう求めている。
注釈書95によれば、(b)の“提供(offering)”は、“他人に児童ポルノを取得するよう誘うこと(soliciting)をカバーする”となっており、実態は‘勧誘罪’とでも称すべきものの犯罪化を求めているように解される。“利用可能とする(making available)”は、児童ポルノサイト設立や、そのようなサイトヘのリンク設立が当たるとされている。
95. Paragraph 1(b) criminalises the ‘offering’ of child pornography through a computer system.
‘Offering’ is intended to cover soliciting others to obtain child pornography. It implies that the person offering the material can actually provide it. ‘Making available’ is intended to cover the placing of child pornography on line for the use of others e.g. by means of creating child pornography sites. This
paragraph also intends to cover the creation or compilation of hyperlinks to child pornography sites in order to facilitate access to such sites.
児童ポルノ輸入禁止〜関税定率法等の一部を改正する法律
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9ACDA.htm
児童ポルノを輸入しようとして検挙された例はあったと思いますが、
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041105/1107047506
このたび明文化されたということですね。
これは、未遂罪がありますから。児童ポルノ法本体よりも適用範囲が広いです。
第一六二回
閣第二八号
関税定率法等の一部を改正する法律案
(関税定率法の一部改正)
第一条 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第二十一条第一項第五号を同項第九号とし、同項第四号中「物品」の下に「(次号に掲げる貨物に該当するものを除く。)」を加え、同号を同項第七号とし、同号の次に次の一号を加える。
八 児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項(定義)に規定する児童ポルノをいう。)
現行法
(輸入禁制品)
第二十一条 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚せい剤(覚せい剤取締法 (昭和二十六年法律第二百五十二号)にいう覚せい剤原料を含む。)並びにあへん吸煙具。ただし、政府が輸入するもの及び他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
二 けん銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びにけん銃部品。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。
三 貨幣、紙幣若しくは銀行券又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品並びに不正に作られた代金若しくは料金の支払用又は預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をその構成部分とするカード
四 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
五 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
国会審議はこれくらい。
005/081] 162 - 衆 - 財務金融委員会 - 11号 平成17年03月15日
○田島(一)委員 ありがとうございます。
この爆発物等に限らず、今回、模倣品、児童ポルノなども輸入禁制品として加えられることが提案をされておりますし、また、最近でも本当に大きな問題となっております偽造カード、それから育成者権侵害物品というものが対象に入ってきております。関税法での取り締まりというものを可能とするということでは、水際での税関の職員にとっても、それから、その姿勢が積極的な方向に向けられることとなり、その効果というものは私どもも強く期待をしていきたい、そんなふうに思っておりますが、この意味から申しますと、今回の措置を決して否定するものでもありませんし、これによって逆に生じる責任の重さ、言いかえれば現場での負担というものがかなり大きくなっていくのではないか、そんなふうに危惧するところでもあります。