児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

起訴猶予でも懲戒免職

 結果は児童買春ということでしょうね。
 18歳以上の売買春は不問なのに。

ポルノ販売の教諭を免職
2009.12.09 共同通信 (全277字) 
 同教委は、17歳の女子高生とわいせつ行為をしたとして同法違反容疑で逮捕された奥尻町立中の男性教諭(32)=嫌疑不十分で不起訴=も懲戒免職。家庭ごみ計35袋を道路に捨てた稚内市立中の男性教諭(30)は停職1カ月の懲戒処分とした。

強姦+撮影行為の法令適用

 処断刑期の上限くらいの量刑が予想される場合は、罪数を減らす主張もしましょうよ。
 例えば

被害児童A(10)に対して
1/1  強姦 撮影
1/10 強姦 撮影
1/20 強姦 撮影

という場合、6罪立てられちゃうと思うんですが、10歳を姦淫する際に伴う乳房もむ・陰部弄ぶという行為を強制わいせつ罪として評価する場合は、「強制わいせつ罪+強姦罪=強姦一罪」として、評価されます。
 だとすれば、姦淫の際の撮影行為についても、従前は、わいせつ行為とされていたのですから、強制わいせつ罪として評価する場合は、「強制わいせつ罪+強姦罪=強姦一罪」として、評価されるはずです。

判例コンメンタール刑法ⅡP303(池本判事) 
7 他罪との関係及び罪数 
強姦目的のわいせつ行為は、強姦姦未遂のほかに強制わいせつが成立し、両者は法条競合で強姦未遂1罪となる(大判大3. 7 ・21 刑録20 . 154 1)。同一被害者に対する強制わいせつと強姦とは、包括一罪として強姦一罪が成立する(東京地判平元10 ・31 判時1363 ・158)

東京地方裁判所判決平成元年10月31日
判例タイムズ729号228頁
判例時報1363号158頁
判例タイムズ738号69頁
判例評論388号201頁
(法令の適用)
 被告人の判示第一の一、第四の二の各所為はいずれも刑法二三六条一項に、判示第一の二、第四の一の各所為はいずれも同法一七六条前段に、判示第二の所為は同法二四一条前段に(なお、強盗の目的で、判示のとおり、被害者二名に暴行、脅迫を加えても、本件のように、その奪取しようとする財物が一個の管理下にあると認められる場合には一個の強盗罪が成立するにすぎないから、右被害者二名のうちの一名(C女)を強姦したときは、強盗強姦の一罪が成立するにとどまると解すべきである。
更に、本件のように、強制わいせつとこれに接着して強姦が行われた場合はこれを包括して一個の強姦行為と評価すべきであること、強盗強姦罪が成立する場合において、犯人がその強盗の機会(あるいは強姦の際)に加えた暴行により生じた傷害はもとより強盗強姦以外の別罪を構成するものではないが、強盗強姦罪の重要な量刑評価の対象となるものであり、右傷害の点を判示すべきことも多言を要しないところである。)、判示第三の所為は同法二四三条、二三六条一項にそれぞれ該当するところ、判示第二の罪については所定刑中有期懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇年に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数中五〇日を右刑に算入し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととする。
(裁判長裁判官反町 宏 裁判官高麗邦彦 裁判官山田 明)


 そしたら、同一児童に対する数回の製造は包括一罪だから、製造罪で串刺しにして、一見6罪にみえる行為を科刑上一罪とする余地もあると思います。

http://www.news24.jp/nnn/news867846.html
今年6月から8月にかけ、携帯電話のゲームサイトで知り合った県内の小学生の女子児童に性的暴行を加えるなどしたとして、強姦などの罪に問われています。初公判で佐藤被告は起訴事実を全面的に認めました。検察側は冒頭陳述の中で、被告が未成年の女の子の裸に興味を持っていたことや、ゲームサイトで知り合った中学生3人を含む女性15人に対してわいせつな行為をしていた事を明らかにしました。公判には、「被害者参加制度」を利用して被害者の代理人の弁護士2人が参加しました。この制度では、被害者やその代理人が被告人に質問したり意見を述べたりすることが出来ます。

http://mainichi.jp/area/tokushima/news/20091210ddlk36040555000c.html
起訴状によると、6月10日から8月6日の複数回にわたり県内のホテルで、県内在住の小学校高学年の女児に性的暴行をしたとしている。また、6月24日ごろにも、同ホテルでこの女児にわいせつな行為をしたとしている。
 検察側は冒頭陳述で「女児にわいせつな行為をするなど、自己の性欲を解消したいと考えていた」などと指摘した。

「第28期東京都青少年問題協議会答申素案」

 あちこちから反論が出ていますが・・・
http://www.tca.or.jp/topics/pdf/comment20091210.pdf
http://www.mcf.to/images/opinion_091210.pdf
http://www.ema.or.jp/pbc/fromema/opinion_20091210.pdf

非出会系の被害の統計が出ています。

http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/28toushinan.pdf
メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について答申(素案)
平成20年中の出会い系サイト等に関係した事件の被害児童数(全国)
    出会い系 非出会い系
児童買春  364 102
児童ポルノ  23 102
青少年条例 232 545
強姦     15 15
強制わいせつ 2  2

 出会い系では児童買春、非出会い系では青少年条例違反・児童ポルノ製造という感じです。
 強姦は13未満が多いと思います。

 EMAはここを突かれると弱い。要するに、TDLとかキッザニアとかは安全に見えるが、事件は起きているということですよね。

http://www.ema.or.jp/pbc/fromema/opinion_20091210.pdf

第三者機関(EMA)による認定を受けたコミュニティサイト等を利用した青少年が犯罪に巻き込まれる等の被害が発生しているが、この背景には、第三者機関が考える『青少年にとって健全なサイト』と、実際に『青少年にとって安全なサイト』との違いがあるものと考えられる。」
↑↓
上記記載は、「青少年にとって安全なサイト」の内容に関する検証がされないまま、第三者機関の認識が異なる旨指摘しているものであり、誤解を招く表現であるため、修正を求める。

弁護人奥村徹が関与したことがばれている事件

 これを業績というかは別として、ばれたら隠してもしょうがない。
 掲載誌のなかには弁護人名・被告人名まで載せてるのがあるわけだが。事件特定の記号なんだから被告人の実名は勘弁してください。
 弁護人名を部内誌で公開するのは、この弁護士を見かけたら慎重に審理せよということか。ややこしいから追い払えということか。

係属部 判決日 掲載誌
阪高裁 H12.10.24 高等裁判所刑事裁判速報集平成12年146頁
阪高裁 H14.6.13 刑集 57巻3号293頁
新潟地裁長岡支部 H14.12.26 刑集 60巻5号413頁
最高裁 H15.3.11 刑集 57巻3号293頁
東京高裁 H15.6.4 刑集 60巻5号413頁
横浜地裁川崎支部 H15.8.14 判タ 1151号316頁
阪高裁 H15.9.18 高等裁判所刑事判例集56巻3号1頁
名古屋高裁金沢支部 H17.6.9 刑集 60巻2号216頁
名古屋地裁 H17.12.22 刑集 62巻3号85頁
東京高裁 H17.12.26 判時 1918号122頁
最高裁 H18.2.20 刑集 60巻2号216頁
最高裁 H18.5.16 刑集 60巻5号413頁
名古屋高裁 H18.5.30 刑集 62巻3号85頁
名古屋高裁 H18.6.26 高等裁判所刑事判例集59巻2号4頁
札幌高裁 H19.3.8 札幌高裁刑裁速報167号
東京高裁 H19.11.6 東京高裁刑裁速報3369号
最高裁 H20.3.4 刑集 62巻3号85頁
最高裁 H20.11.4 判タ1285号80頁
東京地裁 H21.1.28 westlaw
最高裁 H21.7.7 最高裁web
最高裁 H21.10.21 最高裁web

児童ポルノ取り締まり強化へ省庁連絡会議 海外からの批判に対応

 現行法でも義務化されている被害者保護とか調査研究も外圧で押してやってもらいましょう

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091211/crm0912111317018-n1.htm
現行の児童買春・ポルノ禁止法は個人が趣味で画像などを持つ「単純所持」を禁じておらず、欧米からの「日本はポルノ供給国」との批判を受け法改正への圧力が高まっている。しかし国会での議論が決着するめどが立っておらず、政府は警察を中心に現行法の枠内での取り締まりを強めている。

第14条(教育、啓発及び調査研究)
国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
第15条(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
第16条(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
第17条(国際協力の推進)
国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。