児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強要罪の勾留理由開示の法廷で、被害者の実名が朗読された事例。

 忠実にやってる裁判官を非難するのもねえ。
 勾留理由開示で被害者特定事項が開示されるというのは、立法段階では考慮されてませんね。被害者からの申出の制度もありません。被害者側の弁護士も何も注文付けてない。
 罪名が「強制わいせつ罪」ではなく「強要罪」なので、配慮しなかったのかもね。

白木功他2名「『犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成19年法律第95号)』の解説(1)」法曹時報 第60巻9号

法制審議会 刑事法(犯罪被害者関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_keiji_higaisha_index.html

条解刑事訴訟法第4版
P177
勾留理由開示制度の趣旨に関しては,見解が分かれている。本制度は勾留理由の公開を要求するに止まるという立場と,不当勾留からの救済を目的とするという立場とに大別することができるが,裁判実務は,前者の立場をとっていると思われる。
P182
開示の程度
犯罪事実および60条1項各号の事由を具体的一一通常は単抗告審の判断中で示されるものとほぼ同じ程度の具体性をもてばよいーに告げればたり,証拠資料の存否と内容まで示すことは,理由開示の目的とするものではない。被疑者の場合はむしろ捜査の秘密との関係で,証拠資料の内容を明らかにすることは許されないというべきであろう。





 弁護人は、被害者名を秘匿したことにクレームを付けるのが仕事だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013012602000101.html
勾留理由開示の法廷が二十五日、横浜地裁で開かれ、吉岡正豊裁判官が被害女性の氏名を読み上げた。法廷は公開で約十人が傍聴した。
 昨年十一月の同県逗子市のストーカー殺人事件を受け、兵庫県山梨県の性犯罪事件では、被害女性の氏名を記さない逮捕状の請求を裁判官が認めるなど、刑事手続きの過程で被害女性のプライバシーへの配慮が始まったばかり。裁判官の対応が問われそうだ。
 法廷では、吉岡裁判官が事件の概要を説明した際、被害女性の氏名を複数回朗読した。森容疑者の弁護人に「プライバシーへの配慮に欠けるのでは」と問われると、吉岡裁判官は、容疑者の反論する権利を守るために読み上げた、と答えた。
 横浜地裁は「個別事件に関する裁判官の判断であり、取材には答えられない」としている。県警は十九日の森容疑者らの逮捕発表では、被害女性を匿名にした。
◆裁判官も配慮必要
 元東京高裁判事の木谷明弁護士の話 容疑者に容疑の内容を正しく伝えることは必要だが、日時や場所、被害者の年齢などで特定すればよく、公の法廷で氏名を読み上げる必要はない。裁判官にも被害者のプライバシーへの配慮は必要だ。「裁判官の独立」の問題はあるが、問題意識を共有してもらいたい。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130125-OYT1T01091.htm?from=ylist勾留理由を開示する法廷が25日、横浜地裁であった。
 吉岡正豊裁判官が容疑内容の朗読で、女性警察官の氏名などを読み上げたことに対して、弁護側が配慮不足と指摘し、その後の手続きは匿名で行われた。
 女性警察官は、警察発表や報道では匿名となっていたが、吉岡裁判官は氏名や現所属の警察署名、直属の上司の氏名を読み上げた。弁護側が「プライバシーの配慮に欠ける。実名を明らかにした上で、これからの手続きを進めて良いのか」と指摘し、吉岡裁判官は「プライバシーを侵害する恐れがある」として改めた。
 性犯罪の公開法廷では、被害者名を匿名にするケースが多い。セクハラ問題などに詳しい楠元和貴弁護士は「容疑者と被害者は互いを知る仲で、公開の法廷で被害者名を明らかにする必要性は低い。慎重に判断すべきだった」と話している。
(2013年1月25日19時41分 読売新聞)

「JKリフレ」を「特殊の遊興的接客業」として労働基準法違反で捜索した事例

 既出の「女子高生見学クラブ」と同じ法条で摘発されました。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110518#1305697778
警視庁防犯部 福祉犯罪質疑回答集 昭和59年2月 
3 いわゆる「ノーパン喫茶」における労基法63条(危険有害業務の就業制限)適用の可否

 18歳未満の年少少女をいわゆるノーパン喫茶において、ウェイ卜レスとして就業させている店があるが、労働基準法第63条(危険有害業務の就業制限)を適用して取締りができないか。

 どのような営業形態か、ノーパンの程度等個々に検討して判断しなければならないが、労働省のこれについての、公式見解や、裁判例を紹介するので参考にしていただきたい。
1 労働省の公式見解
基監発第20号
年労発第34号
昭和56年8月11日
都道府県労働基準局長
各婦人少年室長
              労働省労働基準局監督課長
              労働省婦人少年局年少労働課長
いわゆるノーパン喫茶におけるウェイトレスの業務に対する労働基準法第63条の適用について
昨年来、いわゆるノーパン喫茶が全国各地で営業を開始し、社会的な話題となっているところであるが、最近、そのウェイトレスが年少者である場合に、ウェイトレスの行っている業務が労働基準法第63条に規定する年少者の就業制限業務、「女子年少者労働基準規則第8条第44号(酒席に侍する業務)又は同条第45号(特殊の遊興的接客業における業務)」に該当するかどうかという照会が各地の警察本部又は警察署から都道府県労働基準局及び婦人少年室あてになされているところである。
この問題については、別添のとおり見解を取りまとめたので、当面、警察本部等からの照会に対してはこれにより回答する等適切に対処願いたい。
1※「酒席に侍する業務」の該当性

いわゆるノーパン喫茶において年少者がウェイ卜レスとして働いている場合、ウェイトレスの業務が女子年少者労働基準規則第8条44号の「酒席に侍する業務」に該当することはあるか。

(1)女子年少者労働基準規則第8条44号の「酒席に侍する業務」における「酒席」とは、客の飲食、歓談等の席で酒等のアルコール類が供されるものをいい、「侍する」とは、酒席において一般に離し出される慰安歓楽的雰囲気を維持し盛り上げるため客の傍ら文は近くにいる状態をいうものと解される。
具体的には、酒席において、客の傍らにいて客と慰安歓楽的な会話を交わすこと、客の飲食の手助けをするととなどは「酒席に侍する業務」に該当するが、単に酒席にアルコール類を運ぶことだけではこれに該当しないと解される。
(2) ノーパン喫茶においても、アルコール類が客に提供されており、かっ、ウェイトレスが1にという「侍する」業務を行っている場合には、「酒席に侍する業務」に該当することとなる。
※「特殊の遊興的接客業における業務」の該当性

いわゆるノーパン喫茶において年少者がウェイ卜レスとして働いている場合、ウェイトレスの業務が女子年少者労働基準規則第8条45号の「特殊の遊興的接客業における業務」に該当することはあるか。

(1)女子年少者労働基準規則第8条45号の「特殊の遊興的接客業における業務」とは、「接客業」であって「特殊の遊興的」なものにおける「客に接する業務」(昭22・11・11発婦2号)をいうものと解される。
このうち「接客業」とは、労働基準法第8条14号の「接客業」と同義であり、料理店や飲食店とは異なって、個々の客に対し、飲食の手助けをする、談笑の相手となる、歌や踊りを共とするなどの「積極的なもてなし」行為を行うことを営業の主体とするものをいうと解される(風俗営業等取締法違反被告事件大阪高裁昭46・3・10判決参照)。
(2) ① いわゆるノーパン喫茶が「接客業」に該当するかどうかについては、喫茶店は、労働基準法の適用上は一般的には「飲食点」に該当するものであるが、ノーパン喫茶の場合には、ウェイトレスの服装、ウェイトレスの行うサービス等により種々の形態のものがあるようであり、ウェイトレスの服装、ウェイトレスの行うサービスなどにより、個々の客に対する「積極的なもてなし」といい得る行為を行うことを営業の主体としている場合は、「接客業」に該当することとなる。
ノーパン喫茶が「特殊の遊興的」なものであるかどうかについては、ノーパン喫茶は、一般的には、客に性的な慰安歓楽を与えることを一つの目的とするものであり、「特殊の遊興的」なものであると解される。
③ 「客に接する業務」とは文字どおり客に接する業務のことであり、ノーパン喫茶の場合には、ウェイトレス、レジ係等の業務がこれに該当するが、専ら飲食物の調製を行う者、ボイラーマン等の業務はこれに該当しないと解される。
(3) ノーパン喫茶のうちどのような形態のもの(どのような態様の行為を行うことを営業の主体としているもの)が「特殊の遊興的接客業」に該当するかについては、個別のケースごとに実態に即して判断されるべきであるが、一般的には、次のような形態のものはこれに該当するものと解される。
① ノーパンウェイトレス(「上半身シースルー、下半身ミニスカー卜着用、ノーパン」若しくはそれと同程度の服装のウェイトレス文はそれ以上裸に近い服装のウェイトレス。以下同じ。)が客の傍らに座り、客と会話を交わすもの
② ノーパンウェイトレスが客の傍らにいて、客がその身体にさわる(ボディペインティングをする、下着を脱がせる等を含む。)ことができるもの
③ ノーパンウェイトレスが客の傍らで客に積極的に陰部を見せる等の行為を行うもの
④ ノーパンウェイトレスが客の傍らで、あるいは客と一緒に踊りをするもの
⑤ その他①~④に準ずる形態のもの
なお、ノーパン喫茶のうち、ノーパンウェイトレスが、服装の点を除き、通常の喫茶店のウェイトレスとほぼ同様の態様で業務を行っているにすぎないものについては、ノーパンウェイ卜レスの服装(又は裸)の程度、その振舞、言動等によっては「積極的なもてなし」の意味あいをもってくる場合も考えられ、なお検討を要する点はあるが、当面は、「特殊の遊興的接客業」に該当しないものと解して取り扱うものとする。
また、ノーパンウェイトレスが一定の時聞に客席から離れたところで踊り等のショーを行うにすぎないもの等についても、同様に、一般的には、「特殊の遊興的接客業」に該当しないものと解して取り扱うものとする。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130127-00000561-san-soci
 「JKリフレ」は、女子高校生が個室で男性客に「肩もみ」や「添い寝」などのサービスをする店舗で、数年前から秋葉原や池袋を中心に拡大していた。
 店舗の形態は風営法の適用外だが、同課は提供しているサービスが年少者労働基準規則で未成年の就業を禁止した「特殊の遊興的接客業」にあたると判断し、強制捜査に踏み切った

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130127-00000029-mai-soci
 捜索されたのは秋葉原8店、池袋4店、新宿3店、渋谷と吉祥寺が各1店。警視庁はJKリフレで働いていた約100人を保護したが、18歳未満は約70人いたという。JKリフレはカーテンで仕切られた2畳ほどの個室で女子高校生がサービスする業態。会話をしながらマットの上で足や手をもんだり、パジャマ姿で「添い寝」する。基本料金は30分3000円程度。漫画喫茶やカラオケ店の個室を使うこともある。店の関係者によると「ハグ(抱きしめる)」「ビンタ」などのオプションもあり、一部で性行為をする女子高校生もいるという。
 同課によると、秋葉原では女子高校生の格好をした成人女性によるリフレ店はあったが、実際に女子高校生が働いている店が確認されたのは昨年から。1年で急増し、現在は都内に70〜80店ある。
 JKリフレは表向きは性的サービスがないため風俗営業法の規制外とされるが、同課は労働基準法が18歳未満に禁じる「有害業務」にあたるとみて家宅捜索に踏み切った。同課幹部は「女子高校生との触れ合いを主とするサービスそのものが違法の疑いがある上、エスカレートすれば女子高校生が犯罪に巻き込まれる可能性がある」と指摘している。