幼女先輩・プリパラおじさん・プリパラカップル

 主に女児を対象とした、アーケード版のリズムゲームと聞いて、皆さんは何を想像しますか。
最近はスーパーの小さなゲームコーナーから大きなゲームセンターまで、「アイカツ!」はどこに行っても見掛けます。

一ゲーム百円で、服や靴の絵の入ったカードが一枚出て来ます。歌とダンスを披露する舞台の雰囲気に合せて、トップス(Tシャツやジャケットをはじめ上半身の服)+ボトムス(スカートやズボン)+シューズ、またはワンピース+シューズをうまく組合せ(組合せ次第で得点が高くなる)、その後、「太鼓の達人」や「初音ミク Project DIVA」に似た要領で、音楽に合せてリズム良くボタンを押していくゲームです。
この種の女児向リズムゲームの元祖は、2004年に稼働開始したセガの「オシャレ魔女 ラブandベリー」で、こちらは髪型+服+靴のカードの組合せでしたが、「ストリート」「ディスコ」「舞踏会」等の状況に応じて適切な服をコーディネートした後、画面に表示されるタンバリンが叩かれるのと同じタイミングでボタンを押していくものでした。登場人物のラブやベリーは、最初は寝起きの「寝癖にパジャマにスリッパ」の状態で登場しますが、そのまま外に出るのはみっともない事や、場所に合った適切な服がある事を子供に楽しく教育出来るゲームだったかも知れません。


このゲームの大ヒットにより「女の子はトレーディングカードで遊ばない」とする「常識」が誤りだった事がわかると、その後は類似のゲームが雨後の筍の様に登場しました。同名の漫画が原作の「きらりん☆レボリューション」、白雪姫・シンデレラ・かぐや姫をモチーフにしたアイドルが活躍する「リルぷりっ」などです。「データカードダス プリキュア」やサンリオの「まほうのエプロン」シリーズは現在も時々見掛けるかもしれません。


2010年に登場した(アイカツ!は2012年なので、その2年前)のが、フィギュアスケートに似た「プリズムショー」を舞台にしたリズムゲームプリティーリズム」で、今日の本題である「プリパラ」の前作になります。

YouTubeに上がったプレー動画を見てみると、子供向けどころか大人っぽいクールな曲、レベルによっては大人でも難易度の高い本格的なリズムゲーム、そして3DCGもより自然な動きと、決して子供騙しでないしっかりとした造りです。これは名作だと今でも語り継がれるゲームで、大人(特に成人女性)の隠れファンも多かったと聞きます。
上の動画では、ハート型の何かをテーブルにセットしてましたが、これは「プリズムストーン」といって、服や靴などの絵の入ったプラスチック製のストーンを組合せてコーデする様になってます。

「幼女」なのに「先輩」?

この種のゲームのファンは、メインターゲットである女児だけではありません。成人男女(特に女性の比率が高いらしい)のファンも存在します。ゲーム関連のネット掲示板によると、先に挙げた「ラブandベリー」の頃から、少数ではあるものの大人のファンも居たらしいです。
しかし、大人のファンの存在がネットで大きく注目され始めたのは、2012年に稼働開始した「アイカツ!」の頃かも知れません。どうして大人が女児向けリズムゲームに興味が湧いたのかは、人それぞれかも知れませんが、アニメ版が面白かったのでそこから興味を持った可能性や、青年をメインターゲットにしたアイドル育成ゲーム「アイドルマスター」(アーケード版は2005年から2010年まで稼働、家庭用ゲーム機にも移植された)のファンが流れた可能性があると聞きます。
何はともあれ、「アイカツ!」をプレーする成人男性に「アイカツおじさん」なる呼び名が付いた事で、「実は存在した大人のファン」にスポットが当たることとなります。*1
アイカツおじさんとは - ニコニコ大百科
アイカツおじさんとは【ピクシブ百科事典】
それに対し、本来のプレーヤー層である女児は「幼女先輩」と呼ばれる様になりました。何故「幼女」なのに「後輩」ではなく「先輩」なのか。それは、「女児は『女の子文化』の先輩」で、我々成人男性はその点ではまだまだ未熟な「後輩」だからです。そして、大型スーパーのゲームコーナーや、ゲームセンターで子供の入れる日中は、飽くまでもちっちゃな「先輩」が優先。「ガキ」「チビ」と呼んで邪魔者にするなんてもってのほか。「アイカツおじさん」の多くは、なるべく「先輩」の来ない夜にプレーしたり、日中でもなるべく「先輩」に席を譲ったりと、結構気を遣ってたりします。

プリパラとプリパラカップ

先に挙げた「プリティーリズム」の後継となるアイドル育成リズムゲームが「プリパラ」。

※この動画は開発中の画面らしく、現在のものとは細かな相違があります

プリズムストーン」の代りに、プレー後にQRコード*2の入った「プリチケ(プリパラチケットの略)」が毎回プリンタで印刷されて出て来る(プリクラのプリンタを想像していただければ話が早い)のが特徴。ゲットした服や靴はもちろん、プレー時のコーデやチームメンバー、そして顔写真を撮った時はそれも印刷されます。*3上部のマイクロミシン目で半券を切り離す事が出来、下部は「ユーザ認証(最新のプリチケを使用)」と「使用したい服や靴」を兼ねた「マイチケ」、上部は「トモチケ」(自分のアバターとプレー時のコーデ、写真撮影した時は写真が印刷される。詳しくは後述)「アクセチケ」(ヘアアクセサリ)「アゲアゲアイテム」(ボーナスポイント加算)のどれか。
このゲームの大きな特徴の一つが、先に挙げた「トモチケ」。自分をセンター、それにプラス二人まででチームを組んでプレーするのですが、そのもう二人はどう決めるか。それが先に挙げた「トモチケ」で、これは他のプレーヤーにあげる事で、その人自身のアバターと自分のアバターが一緒のチームに入ってプレーする事が可能になります。プレー後に印刷されるプリチケにも、その三人の名前と姿がマイチケ部分に印刷されるので、プレーのいい記念になります。
ちなみに、プリパラをプレーしてる友人が居ない場合でも、イベントをクリアする事でゲーム内のキャラクター(らぁら、みれぃ、そふぃ等)のトモチケを入手して同様にチーム編成出来ますし、トモチケがない場合でも一応ゲーム内キャラクターがレッスン着(Tシャツにショートパンツにスニーカー)で参加してくれますので、心配ご無用です。
普段着や大人っぽいコーデの多かった「プリティーリズム」と異なり、J-POPのアイドルのステージ衣裳みたいなコーデの多い「プリパラ」は、とにかくふりふり多めの可愛い衣裳が多いのも特徴。*4そんな衣裳を集めるだけでも、大人でも、そして男ですら、何だか心がわくわくしてくるものです。
プリティーリズム」の大人のプレーヤーが「プリパラ」に流れた*5だけでなく、アニメ版は明快なギャグ路線だが実は奥深いしっかりした造りで、アニメからゲームに流れた人も(私もその一人)。プリパラの成人男性のプレーヤーは、「アイカツおじさん」に倣って「プリパラおじさん」と呼ばれる(その女性版は「プリパラおばさん」「プリパラお姉さん」)様になりました。


夜六時以降の、「プリパラ」のあるゲームセンターの様子を見ると、様々な人が来るのが興味深いものです。独りで来る大人の男性や女性。そして成人女性の二人組。ここまでは容易に想像出来ますが、更にビックリするのが、成人男女のカップルで交互にプレーする様子を私も時々見掛けます。女性が主体で男性は付き合ってるだけ、ではなく、二人ともプリチケを入れたケース*6を持ってるので、二人の共通の趣味になってる様で、端から見ても仲良しカップルでうらやましい。本当、時代は変ったものですね。
(大人だと写真を入れないのが多数派だが)自分のアバターとコーデの印刷されたトモチケをせっせと作って友達と交換する。これは、子供の頃に友情の証としてプリクラで撮った写真を交換し合った世代にとって、同じ様に親しみの持てるシステムなのかも知れません。

新刊「プリパラおじさん日記」


はなごよみ公式ブログには既に書きましたが、新刊「プリパラおじさん日記」を先の冬コミで頒布開始しました。プリパラのアーケード版に出会ってからの出来事を日記風に綴ったエッセイです。
通販もありますので、ご興味のある方は「はなごよみ」の同人セクションをご覧下さい。
ちなみに、購入者にはおまけとして「プリチケ風のPDFダウンロードカード」および「プリパラで使用可能な本物のトモチケ(通販では、コーデはランダム)」が付いてきます。また、「300円」の代りに「1トモチケ」でも入手可能(つまりトモチケを一枚くださるとタダ)です。

追記

プリキュアについて載ってないとのコメントをいただきました。ごめんなさい。「データカードダス プリキュア」「まほうのエプロン」についてちょこっと追加しました。(1/20)

*1:成人女性のプレーヤーは「アイカツおばさん」「アイカツお姉さん」と呼ばれるらしい。

*2:一般的なQRコードとは異なり、白黒反転されたもので、テキストではなく特殊なバイナリデータとして記録されてるらしい。また、セーブデータがそこに記録される事で、数百円するICカードを購入する必要が無くなったのも興味深い。

*3:ただし、幼女先輩も含め、写真撮影を飛ばす人の方が多数派だったりしますが。

*4:スケートではなくなった分、衣裳の自由度が増したかも知れません。

*5:プリズムストーンをプリチケに変換する機能があるので、既存のストーンも無駄にならないのも好印象。

*6:男性側はゲーム内ブランド「Holic Trick」のゴスロリ調ケースの所持率が何だか高い……