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2016-05-27 更年奇的な彼女 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-05-27

更年奇的な彼女 我的早更女友

監督 クァク・ジェヨン
出演 ジョウ・シュン/トン・ダーウェイ/ジャン・ズーリン/ウォレス・チョン
ナンバー 123
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

あんなに手ひどくフラれたのに、まだあの男に未練がある。鬱屈した恋心は肉体の老化を早め、20代半ばにして更年期の症状が出始める。物語は、そんなヒロインが、転がり込んできた男から介護を受ける姿を描く。彼女の心と体を蝕んでいるのは愛の欠乏、実は学生時代から彼女を密かに好きだった彼は無償献身こそが真実の愛と信じ、彼女のそばを離れない。イライラ、動悸、ほてり、だるさ。次第に感情が抑えきれなくなる彼女を根気よく励まし、なだめ、少しでも改善させようとする彼は、母親の面倒を見る息子のよう、一向に快方に向かわない彼女を見捨てはしない。映画ふたりのやり取りをコミカル再現しようとするが、エピソードや設定にリアリティがなく、笑いも共感もほとんど抱けなかった。

卒業式恋人プロポーズするもあっさり拒否されたチー・ジアは、4年経っても失恋の痛手から立ち直れず、ついには生理が止まってしまう。ある日、ホームレスに絡まれているところを元同級生のユアンに助けられる。

ユアンはそのままチー・ジアのアパートに住み着き、何とか彼女更年期障害の進行を遅らせようとする。さらにチー・ジアの元恋人結婚式に乗り込み花婿強奪作戦まで練って協力する。このあたり、コメディ必要な「日常体験デフォルメした面白さ」を追求するでもなく、不条理シチュエーションディテールの積み重ねでほんとうらしく見せるといった工夫もない。端正な構図のきれいな映像ではあるが、ストーリー合理的に展開させるという基本がおろそかになっているのだ。いっそのこと願いが叶い幸せに酔いしれるチー・ジアの笑顔を写し、それが彼女妄想だったくらいの飛躍があれば、その落差が悲劇として作用したはずだ。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

その後、大雨の中で友人のクルマに閉じ込められたふたりは、お互いへの思いの決定的な熱量の差を知る。それでもチー・ジアを忘れられないユアン。チー・ジアにとってあまりにも都合のよい話、彼女がもう少し魅力的だったら説得力も増すのだが。。。

オススメ度 ★★

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2016-05-26 ひそひそ星 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-05-26

ひそひそ星

監督 園子温
出演 神楽坂恵/遠藤賢司/池田優斗/森康子
ナンバー 125
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

蛇口から水が滴り落ちるだけの日もある。ガスコンロで湯を沸かすだけの日もある。箒と塵取り、雑巾がけなど、掃除するだけの日もある。20平米ほどの古いアパートを模した狭い空間時間はあり余っている。物語は、惑星宅配アンドロイドが見た人類終焉を描く。天災なのか人災なのか、破壊されたまま放置された人間居住エリアは終末感が濃厚に漂い、未来への希望をもてない人々はうつろ視線を泳がせている。もうこの人口では文明コミュニティも維持していけない、汚染された土地では食料も満足に手に入らない。そんな諦観支配されていても、人々は大切な人には自分気持ちを伝えたいと願っている。感情抑制されたモノクロ映像に込められた“人の思い”と“人への思い”は、人は他人との関係に縛られてこそ生きていけると教えてくれる。

とある惑星配達に寄ったアンドロイド鈴木洋子は、数日待った後にやっと戻ってきた家人荷物を渡す。他の惑星人間暮らし痕跡は残っていても人影はまばら、洋子はほとんど言葉を交わすことはない。

別の惑星で洋子は、踏みつけた空き缶を靴に嵌めたまま歩く男と出会う。彼の乾いた足音は無人の通りに虚しく響くのみ。男は洋子の気を引こうとするが洋子は彼の寂しさを理解できない。男に誘われても冷たく突き放す洋子の瞳は“心”とは何かを考えさせられる。その後、たどり着いた最後惑星では、人々が活気に満ちた生活を営んでいる。だがそれらはすべて影絵、失われた平和日常はもはや記憶の中にしか存在しないと訴える。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ただ、単調な繰り返しと恐ろしく間延びした展開は、退屈を感じないアンドロイドは平気だろうが、時間に限りある人間にとってはため息まじりの苦痛しかない。クローゼットのねじフィルムの断片、くしゃみ、その他もろもろの、思わせぶりに登場する小道具メタファーが忍んでいたのかもしれないが、結局その意味も分からなかった。。。

オススメ度 ★★

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2016-05-25 サブイボマスク このエントリーを含むブックマーク

otello2016-05-25

サブイボマスク

監督 門馬直人
出演 ファンキー加藤/小池徹平/平愛梨/温水洋一/斉木しげる/いとうあさこ/小林龍二/武藤敬司/大和田伸也/泉谷しげる
ナンバー 121
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

松岡修造よりもアツく、阿部サダヲよりもクドく、大泉洋よりもウザい。でも心の中では純粋に人々が笑顔になるのを願っている。たとえそれが独りよがりの押しつけがましさ満載でも、彼のエネルギーはいしか周囲に伝播し、少しづつ元気にさせてくれる。物語は、寂れた町のシャッター商店街活性化させようとストリートライブを定期的に開く歌手崩れの男の奮闘を描く。父の形見覆面を被って口ずさむ歌は時代錯誤的なまでに真正から人生の意義と目的を問い、ストレートに訴えかけるメッセージは新鮮。ネットを通じて配信された彼の動画は一躍話題になっていく。主人公KYぶりにコミカル演出を施さず、あくま正攻法でとらえた映像がかえって笑いを誘うというひねりの利かせ方がユニークだった。

サブイボマスクとなってミカン箱の上でマメカラを熱唱する春雄は、幼馴染のシングルマザー・雪の提案でその姿をネットに公開する。鳥肌が立つほどのサムさとイタさがウケ、アーケードに客が集まってくる。

数人だったギャラリーが数十人になり、サブイボグッズを売る店も出るなど商店主たちもやる気を取り戻す。ところが、ほどなく春雄は調子に乗り始め、行儀の悪い輩も現れるようになる。さら肉屋おっさん暴走族に殴られたり、マスクの男による空き巣放火が起きると春雄が疑われ、商店主たちが離れていく。このあたり、熱しにくく冷めやすい、他人任せで事なかれ主義蔓延する商店街と、“町おこし”を継続させる難しさが再現され、小市民本質をついていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

それでも、雪は春雄を応援することで失いかけていた生きる意味を見つめ直し、生活保護を受けていた矢島も娘の夢に希望を託そうとし、暴走族佐吉も人の役に立つ喜びを知る。うつむいてばかりで未来をあきらめかけていた住人がサブイボマスクのおかげで変わった。バカにされても迷惑がられても、迷いのない思いを貫き通せば人を動かせる、そう教えてくれる作品だった。

オススメ度 ★★★

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2016-05-24 ディストラクション・ベイビーズ このエントリーを含むブックマーク

otello2016-05-24

ディストラクション・ベイビーズ

監督 真利子哲也
出演 柳楽優弥/菅田将暉/小松菜奈/村上虹郎/池松壮亮/でんでん
ナンバー 124
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

怒りではない。憎しみでもない。ただ出くわした男にケンカを吹っかける。強そうな奴しか選ばない。ぶちのめされ踏みつけられてもすぐに立ち上がり、相手が音を上げるまで絡みつき、戦意を失ってもなお拳を振るい続ける。物語は、破壊衝動を抑えられない男の彷徨を描く。肉体的痛みはあまり感じないのかボコボコにされても笑顔を見せ、その不気味さにはヤクザでさえひるむ。完全にキレている、いやキレる以前に回路がつながっていないのか、箍の外れたターミネーターのように倒すべき敵と決めた人間はとことん付きまとう。彼の、理性も感情も超越し共感理解も拒絶した道を堂々と歩む姿は、孤高のヒロイズムすら漂わせていた。まったく新しい感覚の凶暴な衝撃に、身も心も震えた。

漁港から繁華街に出てきた泰良は誰彼かまわず殴りかかっていた。泰良にシャツを取り上げられた裕也は、何者も恐れない肝の太さにほれ込んで共闘を持ちかけ、“ノックアウトゲーム”と称して商店街の人々を襲い始める。

女か弱者しか手を出さない裕也。もはや反撃してきそうな通行人がいなくなった泰良。裕也は街のパニック状態動画サイトにアップし、彼らの狼藉拡散する。さら居合わせキャバ嬢を奪ったクルマ監禁して逃走を図る。だが、泰良はそんな裕也の浅知恵など眼中になく、ひたすら獲物を物色している。やり場のない不満の爆発とか、世間への歪んだ恨みとか、わかりやすい理由はない。泰良の行動原理を一切説明しない潔さが、血濡れの映像を至高のアート昇華していた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

やがて山間部に逃れた2人は拉致したキャバ嬢を加えて暴走する。テレビネットでは“通り魔”の話題で持ちきりになっている。ところが泰良は意に介さない。警察に追われているのも自覚しているだろう、それでもじたばたする様子はない。既成の価値観を徹底的にぶっ壊す圧倒的な存在感を示す泰良を演じた柳樂優弥は、'10年代日本映画における“暴力アイコン”になるにちがいない。

オススメ度 ★★★★

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2016-05-23 ファブリックの女王 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-05-23

ファブリック女王 ARMI ELAA!

監督 ヨルンドンナー
出演 ミナ・ハープキラ/ラウラビルン/ハンヌ=ペッカビョークマン/レア・マウラネン
ナンバー 122
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

斬新なデザインの服のみならず新たなライフスタイル提案し、第二次大戦後女性に圧倒的な影響を与えた実業家彼女は自ら先頭に立って働き続けて男社会から解放体現する。物語は、世界ファッションブランドを立ち上げた女の波乱万丈の半生を描いた演劇で、彼女に扮した女優内面の変化を追う。天才的ひらめきと行動力事業を拡大しつつ、一方で思い込んだら一歩も引かない頑固さで家族から見放されていく。そして、従業員すべてが幸せに暮らせる理想郷創設に奔走する姿は、壮大な夢想家でもあった彼女常人では計り知れない器の大きさを象徴する。そんなヒロイン同化していく女優の固い決意がこもったまなじりは、毀誉褒貶の激しい人生を追体験する期待と不安に満ちていた。

マリメッコ創業者アルミを演じるマリアは役作りに没入し芝居にのめり込んでいくうちに、アルミ人格を共有するようになる。それはビジネスでは成功しながらも夫や息子とは折り合えなかったアルミの苦悩だった。

夫の一族を嫌うあまり、夫に冷たい態度を取ったり当たり散らしたりとやりたい放題。特に愛人食事中に夫の不倫現場に出くわすと、自分のことは棚に上げて夫を責めるなど、客観的物事を観察できない精神不安定さを持っている。また従業員をクビにしたり再雇用したりと気分次第で経営方針も変わる上、稼ぐ以上の浪費癖も治らない。さら愛人に愛想をつかされると自殺を図ったりするなど、経営者であると同時に女の弱さも見せる。そのあたり、舞台から当然なのだが、アルミ役のマリアが芝居がかっていて、アルミの伝記映画として入り込めなかった。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

もちろんアルミが生きた時代再現するよりも、ミニマル舞台装置で見せたほうが安上がりかつスピーディなのは理解できる。だがそのメタ構造を前面に押し出し構成彼女の表層をなぞっているだけで、真実に迫る感情に訴えてくるものが少なかった。。。

オススメ度 ★★

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