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2016-07-25 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-07-25

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 TRUMBO

監督 ジェイ・ローチ
出演 ブライアン・クランストン/ダイアン・レイン/エル・ファニング/ヘレン・ミレン/ルイス C.K./デヴィッド・ジェームズエリオット/ ジョン・グッドマン/マイケルスタールバーグ/アラン・テュディック
ナンバー 179
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

スタープロデューサー監督といった大きく名前クレジットされる人々は大金を手にするが、無名エキストラスタッフには十分な分配がない。そんな現状に異議を唱える男は、脚本家という“上の階層”に属しながらも共産主義に傾倒し、「夢の工場」と呼ばれたハリウッド反旗を翻す。だがその行為国家に対する反逆とみなされ、彼は仕事を干された挙句投獄される。物語反共運動盛んな1940年代後半〜50年代米国で、議会での証言を拒んだ罪で映画から追放された主人公の反骨の半生を追う。業界団体圧力にも権力による脅しも跳ね返すヒーローである一方、己の才能には自信を持ち協力者や家族には絶対的振る舞うカメラは不屈の闘士であると同時に尊大父親だった彼の素顔にも迫り、奥行きのある人物像を描き切る。

米ソ冷戦が激しくなるなか、共産党員だったトランボは転向を勧められるが、良心に従う道を選ぶ。その後有罪判決で服役、出所しても大手撮影所では誰も相手にしてくれなかった。

B級映画脚本で糊口をしのぐトランボは他人名義で書いた作品オスカーを受賞、カーク・ダグラスオットー・プレミンジャーから大作の執筆依頼を受ける。その間、反共旗手を務める女コラムニストの怪気炎やジョン・ウェインボンクラぶりは、凋落期のハリウッドいかに閉鎖的だったかを象徴していた。もはやメジャースタジオは新たなカルチャー価値観を生み出すのを止め、プロパガンダの道具に堕している。だからこそトランボにも復活のチャンスがあったのかもしれないが。

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やがて「スパルタカス」で復権、ケネディ大統領お墨付きも得たトランボ晩年活躍映画史に書かれているとおり。風呂場にタイプライターを持ち込み、娘の誕生日も気にせず、アンフェタミンを服用してキーを叩き続けるトランボ。打ち終わった原稿を切り張りし納得いくまで推敲を重ねる姿は、思想信条など関係なく映画に魂を奪われた一人の男の職人としてのこだわりが凝縮されていた。

オススメ度 ★★★*

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2016-07-23 太陽の蓋 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-07-23

太陽の蓋

監督 佐藤太
出演 北村有起哉/袴田吉彦/中村ゆり/郭智博/大西信満/神尾佑/青山草太/菅原大吉/三田村邦彦
ナンバー 177
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

錯綜する報告、秘匿された事実無責任役人他人事のような電力会社、そして迷走する政権。あの日、未曾有の事態に直面した人々は、何を考えどんな行動をとったのか。あえて火中の栗を拾いに行く者、言い訳に終始する者、苦渋の決断を下す者。ダイナミックな演出臨場感に満ち、当事者の苦悩を浮き彫りにする。物語は、東日本大震災原発事故対応に迫られた政府幹部たちの数日間を描く。もちろんすべてが想定外出来事で参考になる前例はない。だからこそ迅速かつ正確な情報必要なのに、原子力の知識のない者が管轄機関トップを務めていた皮肉が滑稽だ。問い詰められ“東大経済出身”と言い放つ無神経さが保身に走る役人の卑しい心情を象徴していた。

宮城県沖が震源大地震発生と共に、内閣関係省庁からなる首相直轄の危機管理センター招集される。福島原発津波に襲われると、課題原発の停止と放射能の影響に移っていく。

官邸内外のエピソードはすでに報道されてはいるが、セットやCGの作り込みおよび実名登場人物たちが圧倒的なリアリティ再現し、当時に引き戻された気分になる。建物内のシーンがほとんどだが、数十人いるオペレーションセンターから10人ほどの政府首脳会議まで、隅々にまでディテールがいきわたった映像も大がかりかつ丁寧で、もはやメジャー会社製作した「大作」の風格すら漂っていた。

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そんな中、総理官邸詰めの新聞記者鍋島は先輩ジャーナリストから原発安全性の不備について聞き出し、官邸中枢に近い秘書官からウラを取ろうとするが、確信が持てない。書きたいのに書けないジレンマさらに彼を苛立たせていく。結局、真実など誰にもわからない。それぞれの立場人間が各々の視点で見聞きしたことが、どういう伝わり方をするかで受け取り方も変わってくる。ならば、鍋島が見た「3.11とその後」という構成にしていれば、もっと切れ味の鋭い作品になったはずだ。

オススメ度 ★★★

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2016-07-22 AMY エイミー このエントリーを含むブックマーク

otello2016-07-22

AMY エイミー

監督 アシフ・カパディア
出演 エイミー・ワインハウス/ミチェル・ワインハウス/ジャニスワインハウス/ジュリエット・アシュビー/ローレン・ギルバート/ニック・シマンスキー/タイラージェイムズ
ナンバー 175
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アルコールドラッグセックス。。。ティーンエージャーにしてスター階段を駆け上ったヒロイン孤独を癒すために悪習に溺れていく。心配してくれる親友もいた。守ってくれるマネージャーもいた。だが激情に任せて結婚した男は彼女付加価値しか興味がなかった。なのに彼女はそれを愛だと信じていた。映画はメロウでビターな歌声世界を魅了した英国人シンガーソングライターの短すぎる半生を追う。切ない恋と日常のやるせない風景を切り取った歌詞はたちまち同世代共感を呼んだ。しかし早すぎた富と名声は世間の荒波にもまれる心の準備を彼女に与ええない。後はなすすべもなく流されていくお決まりの転落コース。何度もやり直しの機会を持ってもそのたびに挫折し、周囲の期待がさらに彼女を追い詰めていく。何気なく撮影されたプライベート映像の中に人間の弱さが凝縮されていた。

16歳で音楽活動スタートさせたエイミーはすぐにレコード会社と巨額の契約を結び、20歳の時に出したアルバム評価される。その後も作詞作曲を続けるが、ブレイクという男との出会いを機に運命は暗転していく。

マヨルカ島に出かけたころは、まだ成功をおさめたことに実感が持てずに戸惑っているよう。新作を生み出すための苦悩にも必死で耐えているが、やがて酒に手を出し、ついには依存症になる。次々と増えていく全身のタトゥーブレイクの悪影響を物語っていた。カネはあるけれど寂しい、刺激が欲しいけれど勇気がない、そんな彼女気持ちに巧みに取り入ったブレイクの貧相な顔が象徴的だった。

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酒やクスリの力を借りて作った楽曲は出来がよかったのか、とりあえずエイミーはヒットに恵まれる。ところがグラミー賞ノミネートされても米国入国させてもらえず、受賞式は中継参加。もはや自分は利用されているだけ、そう誤解したエイミーは自暴自棄になっていく。己を傷つけながら生きているような彼女の姿が痛々しかった。

オススメ度 ★★*

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2016-07-21 ロスト・バケーション このエントリーを含むブックマーク

otello2016-07-21

ロスト・バケーション THE SHALLOWS

監督 ジャウム・コレットセラ
出演 ブレイク・ライブリー/オスカルハエナダ/アンジェロ・ロザーノ・コルソ/ホセマヌエル・トルヒロ・サラス
ナンバー 176
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ジャングルの奥にある秘密のビーチ。ひとり小さな岩礁に取り残された彼女必死で助けを呼ぶが、声は虚しく響くだけ。傷口を縛っても完全には止血できず、血のにおいをかぎつけた怪物が巨大な口を開けて襲い掛かってくる。物語は、人食いザメの海で孤立したサーファーが、知恵と勇気を振り絞り危機脱出する過程を描く。水中から見上げる“ジョーズ目線”は次に起きる惨劇を強烈に予感させる一方、予期せぬタイミングでサメが現れる古典的演出はいまだに衝撃的。同時にヒロインが感じる恐怖をリアル再現するとともに、絶望的な状況を切り抜けようとする不屈の精神力を謳いあげる。あきらめたら確実に死ぬリスクは高くても動かなければ活路は見いだせないと彼女の奮闘は教えてくれる。

人里離れた入り江でサーフィンを楽しむナンシーは、沖でクジラの死骸を発見、それを貪っていたホオジロザメに太ももを噛まれる。彼女クジラの上に避難し自ら応急手当てをする。

一緒にサーフィンいた2人組は帰ってしまった。ナンシー不安定クジラの死骸よりもわずかに海面に顔を出す岩の上に移動し、夜明けを待つ。水も食料もなく寒さが体力を奪う上に、傷ついた左足から感覚が薄れていく。さらに翌日になってナンシーに気づいた男たちが次々とサメの餌食になっていく。それでも医学生らしく現状を分析し、生き残れる確率いちばん高い方法を選ぶ彼女の姿は、冷静な判断と大胆な行動がサバイバルの基本であると訴える。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

やがて標識ブイに移ったナンシーは、そこでも血を滴らせたためにサメに居場所を知られる。もはや空腹を満たすためではない。人間に対する憎しみを晴らそうとしているかのごとく、サメ執拗ナンシー攻撃してくる。その執念深さはにわかに信じがたい。だが、水面を切り裂く鋭い背びれと、鋭く尖った三角の歯が二列に並んだ上下のアゴは、そんな疑問を粉砕するほどの迫力があった。

オススメ度 ★★★

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2016-07-20 ファインディング・ドリー このエントリーを含むブックマーク

otello2016-07-20

ファインディング・ドリー FINDING DORY

監督 アンドリュー・スタントン
出演
ナンバー 173
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

数秒前の出来事も思い出せない。その上、忘れたこと自体を覚えていない。それでも、心の片隅にわずかに残っている愛された思い出と、時折浮かぶおぼろげな言葉の断片が、彼女がひとりで生まれてひとりで育ったのではないと示している。物語は、記憶機能障害を持つ子魚が、生き別れた両親と再会するまでの長い冒険の旅を描く。経験に依らない分直感は鋭く、とっさの判断はいつも正しい道に彼女を導く。先入観がないから恐れや迷いもなく思い切った行動がとれる。そんなヒロインの姿は、ひたむきな願いが周囲に伝染すればきっと誰かが手を差し伸べてくれると説く。一方で認知症患者徘徊を繰り返すかのような目が離せない危うさは、元気な肉体を持ちながら理性が通じない者の無謀な行為が、いか当事者のみならず見守る者までを危険さらすかを示唆している。

両親の言いつけを守らなかったせいで孤児となったナンヨウハギのドリー。成長してからマーリンニモ父子と仲良く暮らしている。ある日両親にもう一度会いたい気持ちを抑えきれずマーリンたちと共に海流に乗る。

人間捕獲されて海洋生物保護センターに入ったドリーは両親が別の区域にいると聞く。そこで知り合ったタコのハンクと取引して両親が待つ水槽を目指すドリー。他にもジンベエザメシロイルカなど様々な水棲動物がドリー背中を押す。困ったときは見知らぬ他者でも良心を信じて助けを求めてみる、そうすれば頼られた側はできる範囲で力を貸してくれるはず。ドリー彼女の協力者の関係は、リアルなつながりこそが信頼と友情を深めると教えてくれる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

やがて両親を見つけたドリーは、世話になった仲間がピンチに陥っているのを知ると、身の安全を顧みずに救出に向かう。全編、理屈よりも感情に訴える構成はいかにも幼児向けで、やはりどれほどかわいらしいキャラでも魚というだけで共感できなかった。この作品を楽しむには年を取り過ぎてしまったようだ。。。

オススメ度 ★★

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