ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

こんな映画は見ちゃいけない! このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-08-17 かごの中の瞳 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-08-17

かごの中の瞳 ALL I SEE IS YOU

監督 マーク・フォースター
出演 ブレイク・ライブリー/ジェイソン・クラーク/アナオライリー/ウェス・チャサム/ダニー・ヒューストン
ナンバー 172
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

光を取り戻した瞳に映った世界は思っていたよりも色あせていた。街も、花も、そして面倒を見てくれていた夫も。物語は幼いころの交通事故視力を奪われた女が手術に成功、新しい人生真実に目覚めていく姿を描く。見えていたのはぼやけた輪郭だけ、あとは想像で補ってきた。めくるめく快感に満ちたセックス妄想を掻き立ててくれたのに、夫では物足りなくなった。一方で、自分は美しく、まだまだ美しくなれると認識する。確かに夫は幸せにしてくれた、目となり手足となり動いてくれた。だがそれは隷属させるためのやさしさ。やがて小さな齟齬が大きな溝に広がっていく。夫婦がお互いに相手裏切りに気づいた上で、相手に気づかれていることをも知りながらなお平静を装う。ふたりの繊細な心の襞がリアル再現されていた。

右目の視力が0.4まで回復したジーナは夫のジェームズともに南欧旅行する。その後ジーナの姉一家と合流、失った時間の穴埋めをしようとするが、ジェームズのノリが悪くジーナは不満を覚える。

ずっとジェームズそばにいた。白杖なしでは出歩けなかった。最初は幻滅したけれど、ひとりで町に出て人々に触れるうちに、現実は複雑で善意を持った人ばかりではないと学んでいく。同時に、極めて常識人であるジェームズは、いい人だけれど刺激がない。もっと己にふさわしい場所があるのではと考えるジーナとは裏腹に、そんな彼女が許せないジェームズ寝台車のベッドに縛り付けたジェームズに目隠しをした上で騎乗位になるシーンは夫婦パワーバランスの逆転を象徴し、ジーンの窯変を暗示していた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

本来自分に戻ったジーナは、バンコクの自宅に帰った後、服を捨て引っ越し新たな友人を作って過去一新しようとする。最大の障害ジェームズ、しかしジェームズジーナを手放したくない。壊れてしまったふたり関係夫婦の絆などわずかなきっかけでほどけてしまう。すぐに修復しないと手遅れになる。愛などしょせん幻想にすぎないとこの作品は教えてくれる。

オススメ度 ★★★*

↓公式サイト↓

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/otello/20180817

2018-08-16 菊とギロチン このエントリーを含むブックマーク

otello2018-08-16

菊とギロチン

監督 瀬々敬久
出演 木竜麻生/韓英恵/東出昌大/寛 一 郎/嘉門洋子/山田真歩/大西礼芳/渋川清彦
ナンバー 183
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

半袖短パン運動着の上から黒いまわしを締め、高々と足を上げて四股を踏む。取組が始まれば突っ張り、押し、吊り、投げ、無双まで切る。汗まみれ砂まみれ、それでも彼女たちは土俵に立ち続ける。物語大正末期、女大相撲力士たちとプロレタリアート革命を叫ぶアナーキストたちの恋を描く。家族故郷も捨て帰るところがない身、お互い相手に己の運命を重ね合わせる。叶わないとわかっていても夢を語らずにはいられない。ともに警官軍人崩れの自警団から目の敵にされているがゆえに、まったく違う世界に住んでいたにもかかわらず彼らは一種連帯感で結ばれていく。大震災から復興半ばの農村、いまだ社会不条理蔓延している。不安定不透明時代、体を張って懸命に生きる女たちの切実さと、イデオロギーにかぶれた男たちの浅薄さが対照的だった。ただ、あの程度の客の入りで商売が成り立つのだろうか。。。

ケチなゆすりで活動資金を得ていた中濱は摂政暗殺を企て、古田らと関東に潜伏する。ある村で女相撲の一団と出会い、中濱は朝鮮人十勝川に、古田暴力から逃げてきた花菊に惹かれていく。

巡業で転々とする女相撲も、逃亡中の中濱たちも社会アウトサイダー。明るい未来など望むべくもなく、中濱らはむしろ若くしての死を望み享楽的。そのあたり、刹那的だが自由な男たちに、女たちはいまでに経験したことのない胸騒ぎを覚えていく。軽やかに寄せ太鼓を叩きながら村中を練り歩いての興行の告知をし、寺のお堂に泊まってちゃんこを食べ、土俵入りと力自慢のパフォーマンスを見せ、男相撲と変わらぬ激しさでぶつかり四つに組み合う迫力満点の割まで、女相撲システムが細部まで再現されていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

一方で中濱ら活動家たちは暗殺テロといった社会を揺るがすような事件を起こしているのに、どこか牧歌的。命がけの緊張感も烈士然とした風格もなく、映画としてもはう少し劇的な盛り上がりが欲しかった。3時間以上の長尺なのだから

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/otello/20180816

2018-08-15 英国総督 最後の家 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-08-15

英国総督 最後の家 VICEROY'S HOUSE

監督 グリンダ・チャーダ
出演 ヒュー・ボネヴィル/ジリアン・アンダーソン/マニシュ・ダヤル/ヒューマ・クレシ/マイケル・ガンボン
ナンバー 182
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

宮殿のごとき壮麗な邸宅で数百人の使用人が忙しなく働く。すべては支配者のため、植民地統治宗主国にもたらした繁栄象徴するプロローグに圧倒された。物語は、インド人主権譲渡するために最後総督となった英国人の苦悩と、動乱の中で翻弄される若い恋人たち運命を描く。相容れない3つの宗教勢力統一会派分離派は主導権を争って一歩も譲らない。非暴力抵抗シンボルとなった聖人理想論を説くが誰も耳を貸さない。そんな中、総督は穏便かつ速やかに独立させなければならなず、数億人の民衆政治家たちのパワーゲームに振り回される。宗教が違うだけで昨日までの同僚が諍いを始め、隣人同士が殺し合う。愛し合っていても引き裂かれる。70年前の悲劇再現することで、異民族宗教対立煽り立てる人間の愚かさを浮き彫りにする。

1947年インド植民地から撤退を決めた英国マウントバッテン卿を総督に任命、独立後の協議に入る。総督の世話係として採用されたジートは邸宅内でアーリアと再会するが、彼女には父が決めた婚約者がいた。

総督の妻・エドウィナは非常に進歩的で、教育水準の向上から難民キャンプへの人道的支援まで積極的現場に出て、貧しい人々のために汗を流す。まだ女性地位が低かった時代彼女活動総督邸に雇われたアーリアら他の現地人女性啓蒙したはず。搾取ではなく文明恩恵も受けさせるという博愛に満ちたエドウィナの姿は、高位の者が背負う義務責任体現していた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

分離独立が決まると総督邸内の食器から蔵書まであらゆるものが4対1の比率インドパキスタンに分配される。機械的な分け方は、割り切らないとトラブルが発生する懸念からだろう、為政者たちの苦労がしのばれる。一方で、イスラム教徒のアーリアはパキスタンに去り、ジートは失意のままインドに残る。そして届いたイスラム教徒虐殺の報せ。ふたりに起きた奇跡は、現実には多くの人が絶望と哀しみに打ちひしがれたと逆説的に訴えていた。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/otello/20180815

2018-08-14 オーシャンズ8 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-08-14

オーシャンズ8 OCEAN'S EIGHT

監督 ゲイリー・ロス
出演 サンドラ・ブロック/ケイト・ブランシェット/ヘレナ・ボナム・カーター/サラ・ポールソン/ミンディ・カリング/リアーナ/オークワフィナ/アン・ハサウェイ
ナンバー 181
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

買ってもいないコスメいちゃもんをつけて返金を迫り、チェックアウトした客の予定を勝手に変更して高級ホテルに泊まる。あまりにも堂々とした態度に接客業従業員はあっさり騙されて、彼女に便宜を図ってしまう。プロローグヒロインの鮮やかで華麗な手口が洗練された世界観にいざなってくれる。物語は女詐欺師ループが世界最高級のジュエリーを盗み出す過程を追う。警備は厳重、あらゆるところがカメラ監視されていて、トイレ以外に死角はない。綿密に計画を練り、仲間を集め、周到な準備の上実行に移す。集合したメンバーはみな女、脛に傷持つ個性豊かな女たちはそれぞれ他人を嵌めるという特技を生かして不可能ミッションに挑む。11人いた兄のチームとは違い、8人なので全員の顔と名前が覚えられた。

釈放されたデビーは旧友のルーと会い、服役中に熟考したアイデアを話す。デザイナー調達屋、ハッカー宝石職人スリの5人をスカウトし、巨大博物館セキュリティホールを見つけ出す。

ターゲットセレブが出席するパーティの目玉となる女優ネックレス。宝飾店の金庫から引っ張り出し、女優が身につけるように仕向け、さらに女優が気付かぬうちに偽物とすり替える。何度も思考実験を繰り返し、実地調査問題点を洗い出し、リスクを最小限に抑え、トラブルに備えた対処法を用意しておく。その間、身内同士の駆け引き裏切りといったややこしい設定はナシ、プロ矜持自分仕事を完遂し、機転を利かせてピンチを切り抜ける。人間関係の分かりやすさもまたこ作品を親しみやすくしていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

そして女優の首から外したネックレスの回収に無事成功容疑者別に仕立てるのも忘れない。それでも当事者全員を完全に欺けたわけではなく、からくりに気づいた者もいる。その、もうひとヤマ展開させる作り手のサービス精神が心地よい。なにより、犯罪ゲーム感覚頭脳戦として楽しむ彼女たちの姿がスタイリッシュだった。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/otello/20180814

2018-08-13 追想 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-08-13

追想 ON CHESIL BEACH

監督 ドミニク・クック
出演 シアーシャ・ローナン/ビリー・ハウル/エミリー・ワトソン/アンヌ=マリー・ダフ/サミュエル・ウェスト
ナンバー 180
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ベッドインを前にして、夫は妻をどう扱っていいかからない。妻も、知識としては知っているが心の整理がつかない。失敗するのが怖いのか、痛いのが嫌なのか、そもそも行為嫌悪感を抱いているのか。物語新婚旅行初夜を迎えたカップルが直面する問題を描く。付き合いは長く愛を確かめ合ってきたが、ふたりとも文字通り初体験。緊張している上に恥ずかしい。ぎこちない会話と不自然動作が続く。一方で、頭に浮かぶのは結婚式に至る楽しかった日々。傷つけたくないけれどそれ以上に傷つきたくない。そんな思いにますます気持ちがなえていく。あまりにも不器用でじれったいふたりに歯がゆさばかりが募っていく。まだ性に関する情報が乏しかった1960年代保守的若者たちセックス観がリアル再現されていた。

海岸の小さなホテルチェックインしたエドフロールームサービスのディナーの後、寝室に入る。ところがワンピースのファスナーを壊すなどその先の手順にエドはもたつきフローは冷めていく。

出会いから交際家族に認められて結婚意思を固めるまで、さまざまなできごとがあった恋人時代労働者階級エドブルジョアフローといったクラスに違いも克服して将来を誓い合った。家庭を持つとはどういうことかもイメージできていた。にもかかわらず、夫婦の契りを結べないふたり。誰も教えてくれなかった。性生活マニュアルは役に立たなかった。お互いに頼りっぱなしだった。ベッドに入る状況になって初めて見えてきた配偶者の素顔。こんなはずじゃなかったという期待外れ感が膨らんでいく過程は、1990年代日本でも流行った “成田離婚” を想起させる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

そのまま破談になってしまったふたりは二度と会う機会もなく齢を重ねる。でも、忘れられなかった。あの時もっと相手を思いやるやさしさを持っていたら別の人生だったと想像もした。それでも、つらく苦い記憶もいつしか美しい思い出に昇華されるとふたりの涙は訴えていた。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/otello/20180813