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2017-03-24 パトリオット・デイ このエントリーを含むブックマーク

otello2017-03-24

パトリオット・デイ PATRIOTS DAY

監督 ピーター・バーグ
出演 マーク・ウォールバーグ/ジョン・グッドマン/ケビン・ベーコン/J・K・シモンズ/ミシェル・モナハン
ナンバー 62
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

パニックになった群衆の中で逆方向に顔を向ける男がいる。別の場所から撮られた動画で男の足跡を追い、どこからやってきてどうやって爆発物を仕掛けどこに逃げようとしたかを推測する。爆発の瞬間をとらえた防犯カメラ映像を徹底的に分析し、怪しい人物に迫っていくのだ。犯罪者のみならず、一般市民も常に監視されている不快感を伴って。物語ボストンマラソン爆弾テロ事件にかかわった警察官の奮闘、犠牲者の痛み、市民勇気犯人たちの焦燥を多元的に描く。彼らは別にガチガチ正義を振りかざさないし、狂信的な大義を口にもしない、見た目はごく普通の人々平和だった人生がこの日を境に一変し、驚きが怒りに変わりやがて一体感になる。その危機感は息詰まる緊迫感を生む。

ゴール地点の警備を任されたトミーは2件の爆発をすぐ近くで目撃する。多数の死傷者が出る中、陣頭指揮を執り救急活動を手伝い、選手・観客を避難させるうち、FBIリックが到着、テロと断定して捜査本部を開設する。

リックは巨大な倉庫を借り現場再現、町に詳しいトミーも呼ばれ捜査に協力する。圧倒的な物量作戦をとるFBIに、米国内でのテロ絶対に許さない決意がうかがえる。一方で犯人モスレム兄弟は訓練された戦士ではなく、ネット知識で作った爆弾犯行に及んだだけ、背景も動機も明確ではない。行き当たりばったりで銃やクルマを奪う素人同然の計画性のなさも露呈する。このあたり、隣人はテロリストかもしれない恐怖が現実感とともにスクリーンからにじみ出す。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

その後、警官隊に囲まれた犯人は手製爆弾で応戦、1人は数台のパトカー自動小銃隊を蹴散らして逃走する。住宅街舞台戦場さながらの銃弾の雨と爆裂が展開されるという、暮らしのすぐそばに暴力存在する危険。だが、それよりも恐ろしいのがテロ対策名目政府機関による国民プライバシー侵害正当化されることだ。「ボストン勝利」が民主主義の終わりの始まりにならなければいいが。。。

オススメ度 ★★★*

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2017-03-23 イップ・マン 継承 このエントリーを含むブックマーク

otello2017-03-23

イップ・マン 継承 葉問3

監督 ウィルソン・イップ
出演 ドニー・イェン/マックス・チャン/リン・ホン/パトリック・タム/マイク・タイソン
ナンバー 21
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

チンピラを苦も無くひねり倒し、数十人の荒くれ男たちを残らず片づける。エレベーターで襲い掛かるキックボクサーは柔軟な体術でかわし、ヘビー級ボクサーハードパンチは肘で受けて衝撃を消す。物語は、中国最強と呼ばれる武術家が街を再開発しようとする外国人資本家と戦いつつ、忘れかけていた妻への愛を取り戻す過程を描く。その名声に治安活動を期待され、抗争が激化するにつれ家庭を顧みなくなる。自警団から離れられなくなったた主人公は、妻の異変を目の当たりにして初めて一番大切なことに気付く。強いばかりでは恐れられるだけ、大きな慈愛を持つがゆえに尊敬される。武術師匠である前にひとりの夫、「伝説」となるには人間的な奥深さも必要なのだ。そんな彼がブルース・リーの“弟子”になるシーンが、愛妻家の顔を垣間見せる。

1959年香港、イップ・マンは息子のケンカを機にチョンと名乗る詠春拳の同門と知り合う。チョンは地上げ屋の襲撃から校長を救出するほどの達人、アングラ格闘技大会に出場して自前の道場を開く資金を稼いでいた。

チョンを買収した地上げ屋はイップ・マンを罠に嵌めるが、義に目覚めたチョンは窮地のイップ・マンに加勢する。その後もイップ・マンは資本家が放った刺客を倒したり資本家本人と直接対決に向かったりする。一方で詠春拳の正当継承者と自認するチョンはイップ・マンに公開挑戦状を送る。このあたりの展開に緻密さはないが、アイデアあふれる格闘シーンで理屈をねじ伏せる力技は1970年代香港映画を見ているようで懐かしい。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

妻の病状を知ったイップ・マンは、彼女幸せに寄り添う決意をする。いまや己のプライドなどどうでもよい、ただ残り少ない命を安らかに過ごさせてあげたいと願うのみ。それでも、武術家の妻としての彼女矜持に応えるためにチョンとの決戦に挑む。もはや自分のためではない、妻の思いを胸に秘めてチョンと拳を交えるイップ・マンの背中は、男が人生でやり遂げるべきは何かを教えてくれる。

オススメ度 ★★*

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2017-03-22 ひるね姫 知らないワタシの物語 このエントリーを含むブックマーク

otello2017-03-22

ひるね姫 知らないワタシの物語

監督 神山健治
出演 高畑充/満島真之介/古田新太/釘宮理恵/高橋英樹/江口洋介
ナンバー 66
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

シンクロする夢と現、タブレットに隠された秘密コード、亡き母からのメッセージ。昼間でもつい眠りに落ち、自由を求めて戦うお姫様の夢を見る女子高生は、父の逮捕きっかけに冒険の旅に出る。物語は、自動車自動運転プログラムを巡るヒロインと男たちの争奪戦を描く。敵は日本有数の巨大企業、味方はVRオタク大学生ひとり。そんな状況で、追われながらも答えを探す彼女勇気と行動力が魅力的だ。窮地に立てば夢に逃げ込んで解決策を探る。そこでは確かに両親に愛されているという実感が持てる。そして、運命に導かれてたどり着いた場所は、夢を実現させた未来ネコ目象徴される彼女好奇心の強さと意思の固さ、なにより自分を信じる気持ちが、不可能に見えることでも可能すると教えてくれる。

自動車修理工の父・モモタローと暮らすココネの家に男たちがやってきてタブレットを奪う。幼馴染のモリオの協力でそれを取り戻すが、モモタローの自動運転サイドカーでひと眠りするうちに大阪に着いてしまう。

男たちが東京自動車会社人間と知ったココネたちは支援者に助けられて新幹線に乗る。謎を解く鍵は睡眠中にあると気づいたココネとモリオはふたりの夢を同期させる。夢の中の大災厄と目の前の大ピンチ、その関連が解き明かされたときコネは父と母が伝えたかった真実を受け取る。いかに大きな夢を抱いて努力していたか、それ以上にどれほどココネを大切にしていたか。ココネには母の記憶はない、それでも母が残したものをしっかりと受け継いだココネの成長は、誰もが誰かの思いを受け継いで生きていると訴える。

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コネの夢はリアル出来事を再構築したもの。王と家臣、幽閉された姫と抵抗する若者、さらに姫に魔法をかけられた自立運転ロボット。それぞれが現実世界対応し、ココネ危機脱出のヒントを与える。では王国を滅ぼそうとする巨大な鬼は「東京オリンピック」そのものなのか。五輪後確実に訪れる不況自動運転車ブームが吹き飛ばしてくれればいいのだが。。。

オススメ度 ★★★

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2017-03-21 3月のライオン 前編 このエントリーを含むブックマーク

otello2017-03-21

3月のライオン 前編

監督 大友啓史
出演 神木隆之介/有村架純/倉科カナ/染谷将太/清原果耶/佐々木蔵之介/加瀬亮/板谷由夏/伊藤英明/豊川悦司
ナンバー 65
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

上を目指すならば恩人でも蹴落とさなければならない。早熟天才ゆえ負けた者の気持ち忖度する余裕はなく、つい同情の視線を向ける。ところが、その優しさが余計に相手を傷つけてしまい、家族同然だった人々とも深い溝ができてしまう。物語は、感情を押し殺して生きてきた高校生プロ棋士三姉妹交流を描く。周囲は同じ道を志す仲間であるとともに倒すべき敵でもある。複雑に絡み合う友情と愛憎のなか、対人バランスを良好に保ちながら勝ち続ける難しさと、敗者には冷たい現実リアル再現されていた。そして強くなるにつれ無表情になっていく。賞金で食っていけるのはごく一部の強豪のみ、タイトルを失い下部リーグに降格されれば生活さえ危うくなる。そんな弱肉強食世界を選んだ主人公孤独に、勝負師人生が凝縮されていた

交通事故で一人生き残った零は幸田家に引き取られ、中学生にしてプロデビューを飾る。だが、幸田の娘・香子の夢を壊したことから一人暮らしを始める。ある日、酔いつぶれた零は通りがかったあかりの世話になる。

あかりの家に出入りするうちに胸の重荷を下ろしていく零。一方で香子は零を許せず彼に付きまとう。その間も対局は続き、若手の中では抜群の戦績を残しても、手練れのベテランには星を落としたりもする。ライバルの対局も逐一観察し癖を研究する。一応学校には通っているが、会話を交わすのは担任だけ。まさに将棋漬けの日々、周りは年上の大人ばかりの狭い人間関係の中で、家族という理解者を持たない零の成長しきれていない心が切なくも哀しい。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ただ、やたら冗長ショット連続はいたずらに上映時間を長引かせて、いつまでたっても映像は低空飛行のまま。対局シーンも俳優クローズアップに終始しくどさしか覚えない。さらにいちいち観戦中の関係者の反応をグダグダと挿入する。おかっぱデブの大げさなリアクションなどまったく逆効果だ。「原作映画化」としては合格でも、映画として疑問符が付く。

オススメ度 ★★

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2017-03-20 わたしは、ダニエル・ブレイク このエントリーを含むブックマーク

otello2017-03-20

わたしは、ダニエルブレイク I, DANIEL BLAKE

監督 ケン・ローチ
出演 デイブジョーンズ/ヘイリースクワイアーズ/ディラン・フィリップ・マキアナン/ブリアナ・シャン/ケイトラッタ
ナンバー 64
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

スキルもやる気もあるのに働かせてくれない。ならばと給付金申請しても要件を満たしていないと却下煩雑お役所仕事翻弄される男は我慢を重ねるが、2児を抱えるシングルマザーまでがまともに対応してもらえない現場を見て、ついに感情を爆発させる。物語休職中の男が若い母親を助ける姿を通じ、切り捨てられていく英国貧困層現実を描く。だれにも迷惑をかけずに生きてきた。正直に税金も納めてきた。なのに、福祉を受ける条件は厳しい。確かに学歴もなく不器用。ただ人間らしく生きたいと願っただけなのに、なぜこんな惨めな思いをさせられるのか。フードバンクで空腹に耐えかねて缶詰を貪る女の涙に、格差底辺で暮らす切迫感が凝縮されていた。

心臓病で大工仕事を奪われたダニエルは、国の援助を申し込むがなかなか受理されない。ある日、申請窓口で困っていたケイティに手を貸したことから彼女子供たちのアパートを修理してやる。

真面目で正義感が強いダニエルだが、書類作成ITは苦手。それでも、精一杯頑張っているケイティのために心を砕くうちに2人の子供たちにも懐かれるようになる。職安に指示された作業にも真剣に取り組むようになるなど、ケイティ一家との付き合いはひとり暮らしダニエルにも日々のモチベーション。だが、ケイティの裏家業を止めようとして気まずくなる。このあたり、女のセイフティネット日本と同じ、ケイティのような女が他人を傷つけずにカネを稼ぐ手段は少ないという共通点が切ない。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

結局、公的支援は得られず堪忍袋の緒を切らすダニエル。彼の行動を道行く人々が支持するシーンは、相互扶助恩恵に与れない民衆の不満が今や危険水域であると気づかせてくれる。そしてその先にあるのは、保守的政治家による不法就労移民排斥。怒りの矛先をさらに弱い立場の人々に向けさせようとするのだ。そんな暗い未来を見ずに済んだダニエル幸せだったかもしれない。

オススメ度 ★★★

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