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2018-06-19 メイズ・ランナー:最期の迷宮 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-06-19

メイズ・ランナー:最期の迷宮 THE DEATH CURE

監督 ウェス・ボール
出演 ディラン・オブライエン/カヤ・スコデラリオ/トーマス・ブローディサンスター/キー・ホン・リー/ローササラザール/ジャンカルロ・エスポジート/ナタリーエマニュエル/エイダン・ギレン/ウォルトン・ゴギンズ /バリー・ペッパー/ウィル・ポールター
ナンバー 136
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

疾走する列車オフロードから飛び移り連結器を破壊さらに迫りくる追っ手に反撃しながら空に逃げる。圧倒的なスピード感と重量感は前二作を上回り、立ち止まったら死んでしまうこの作品世界観を印象づける。迷路に送り込まれたとき少年だった登場人物たちも今や立派な戦士、自らの生きる意味を求めて戦い続けるのだ。物語は、巨大組織さらわれた仲間を救出するために警備厳しい近代都市に潜入した若者たちが、世界を救うために何をすべきかを問う過程を描く。謎の疫病で人類は滅亡寸前、救世主となる運命主人公は己の能力をいまだ自覚していない。そして抵抗しなければ利用され使い捨てにされるのは確か。何が正しいのか、どれが進むべき道なのかはわからない。それでも友情を信じ良心に従って行動する姿は、困難に挑む者だけが未来を切り開くと訴える。

ミンホを奪還するためにWCKDの本部がある町に向かったトーマスたちは、レジスタンスの助力を得て城壁の内部に入る。そこで裏切り者テレサと再会、彼女は血清を作るためにトーマスの血を必要としていた。

クリスタルに輝く超高層ビルが立ち並ぶ町と、人口過剰のスラム化した城外。格差デフォルメした光景は、負け組生存権すらないがしろにされる現代社会鏡像レジスタンス扇動搾取された労働者革命を叫ぶのに似ている。一方でWCKDの中にもトーマスの血を独占して権力を握ろうとする者と、治療薬を開発して文明崩壊を防ごうとする一派が主導権を争っている。だがトーマスにとってはどちらに与しても道具にされる。それよりも目の前の友を助けたい。そんな青臭い正義感が “ヒーロー” とは一線を画していた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

感染したニュートが徐々に理性を失い、トーマスに襲い掛かる。制止しなければ殺される。ふと格闘中にニュートの意識が戻る瞬間が来たりもする。友達を傷つけたくないが、リーダーになるためには時に冷酷になることを迫られる。最後まで葛藤を抱えるトーマスはあくま人間臭かった。

オススメ度 ★★*

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2018-06-18 ワンダー 君は太陽 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-06-18

ワンダー 君は太陽 WONDER

監督 スティーブン・チョボスキー
出演 ジュリア・ロバーツ/オーウェン・ウィルソン/ジェイコブ・トレンブレイ/マンディ・パティンキン/ダヴィード・ディグス/イザベラ・ヴィドヴィッチ/ダニエルローズラッセル/ナジ・ジーター/ノア・ジュプ
ナンバー 135
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

初めて会ったときはつい二度見してしまった。でも話すとユーモアもあり頭の回転も速い。なにより一緒にいて楽しく、友達にするにはサイコーの奴。物語遺伝子疾患でかなりユニークな顔で生まれてきた少年学校に通い始め、さまざまな経験をするうちに友人たちを変えていく過程を描く。ずっとママ教育を受けてきた。おかげでクラスメートよりも勉強が進んでいる科目もある。それでもやっぱり言葉をかけてもらえず寂しい。カメラはそんな主人公に寄り添うだけでなく、彼が家族や友人たちに与えた影響を深く掘り下げ、普通ではない人が身近に現れた場合いかに振舞うべきかを問う。興味があるけど素直に聞けない、友達になりたいのに反対の態度をとってしまう。まだまだ大人対応はできないけれど、子供たちは他人気持ち忖度できるまでになる。思いやりとやさしさが人生を豊かにするとこの作品は訴える。

5年生になったのを機に私立学校転入したオギーは好奇の視線に耐える日々。一方で姉のヴィアは、ママがオギーにつきっきりなのが不満な上、親友ミランダに冷たくされたりと複雑な思いを抱えている。

オギーはジャックと仲良くなったり避けたりしながらも、少しずつ友達を増やしていく。慣れないうちは近寄り難かったけれど、打ち解けると同じ価値観を持っている。外見なんかその人のほんの一部分でしかなく、オギーを見下していた自分バカみたいだったとクラスメートは思うようになっていく。周囲の人々も成長させるオギーの存在はまさに太陽、悩み傷つき苦しみながらも運命に立ち向かう姿は、未来自力で切り開いていくしかないことを教えてくれる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ただ、オギーは比較的恵まれた環境なのも確か。貧困地域公立学校だったら苛烈いじめにあっていただろう。むしろシングルマザーに育てられ奨学金をもらっているジャックのほうが、金持ちの子弟ばかりの中で気苦労が絶えないはず。オギーよりもジャック応援したくなった。

オススメ度 ★★*

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2018-06-16 1987、ある闘いの真実 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-06-16

1987、ある闘いの真実

監督 チャン・ジュナ
出演 キム・ユンソク/ハ・ジョンウ/ユ・ヘジン/キム・テリ/ソル・ギョング/カン・ドンウォン/パク・ヘスン/イ・ヒジュン/ヨ・ジン
ナンバー 122
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

組織法体系も縦割りの管轄関係ない。アカアカにつながる者は全員逮捕し、罪を認めるか仲間を売るまで拷問にかける。物語は、軍部出身大統領による長期間圧政に耐えかねた民衆が、自由を求めて立ち上がる姿を描く。きっかけはひとりの大学生の死。真相隠蔽されたことから反政府運動燎原の火のごとく広がっていく。なんとしても大統領を守ろうとする特務機関の所長、口裏を合わせる警察幹部、彼らの欺瞞を見抜く検事、切り捨てられた刑事、そして当局の目を盗んで市民運動を盛り上げようとする反体制グループ。変革の巨大なうねりが、ひとりひとりの個人意思で紡ぎ上げられていく過程は圧巻だ。催涙弾飛び交う街頭で出会った若い男女が、片方をなくした靴の代わりに白いスニーカーをお互いにプレゼントしあうシーンが、歴史には人の思いがこもっていると教えてくれる。

取り調べ中に突然死した大学生火葬許可書に疑いを抱いたチェ検事は、刑事に解剖と死因の究明を命じる。だが反共特務機関のパク所長は、部下を従えて強硬な態度を崩さず、チェと対立する。

警察幹部をしのぐ実権を持つパク所長は、その権力を盾にやりたい放題。反共名目暴力も辞さず、邪魔する者は力づくで排除しようとする。忠誠を誓う部下のために奔走するなど人情の濃い一面も見せる。彼を演じたキム・ユンソクの憎たらしいまでのふてぶてしさは、まさしく “仇役” の名にふさわしい。

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その他、拷問死を報道しようとする新聞記者、匿われている反体制派動指導者との連絡係を務める監守と彼の姪、デモ隊学生活動など、時代を動かした人々の様々なエピソードディテールかに綴られる。民主化を願う者、息子を悼む者、司法とは何かを問う者、登場人物はみな自らが信じる “正義” に忠実に生き、たとえ身を危険さらしても信念は曲げない。ダイナミックな映像からは、激動の'80年代を生き抜き本気で世の中を変えようとした人々の熱意がほとばしるようだった。

オススメ度 ★★★*

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2018-06-15 希望の樹 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-06-15

希望の樹 Drevo Zhelaniya

監督 テンギズ・アブラゼ
出演 リカカブジャラーゼ/ソソ・ジャチブリアニ/ザザ・コレリシビリ/カヒ・カブサーゼ/セシリアタカイシビリ
ナンバー 128
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

革命足音は遠くから聞こえているはずなのに村人には届かない。人々は伝統因習にとらわれているが、自由の風も少しは吹いている。物語全体主義に呑み込まれる直前のジョージア、まだ近代化されていない山間の小さな村の出来事スケッチする。土壌は豊かで作物の実りもよさそう。広場に集まった主婦たちは井戸端会議に花を咲かせながら内職に余念がない。一方で戦争に駆り出される青年たちもいる。そこに美しい少女がやってきたことから悲劇が起きる。グータラな失業者乙女心を忘れていない白塗りの老婆、色香をまき散らす巨乳女と彼女セクハラを仕掛けてあしらわれる男など、どこにでもいそうな一般人人間性丸出しの行動がほほえましい。独裁者のいない時代を懐かしむ映像映画作家としてできる最大の抵抗なのだ

父親とともに村に引っ越してきたマリタに惹かれた牧童のゲディアは、何度か彼女に声をかけるうちに距離を縮めていく。だがマリタの父と村長は、彼女金持ちの男に嫁がせようとする。

マリタは一挙手一投足を住人に見られている。その視線快感に思っているのか、マリタも臆せず自分の姿を人前にさらしている。ゲディアはそんな彼女に対し、勇気を奮って接近し、マリタもまんざらではない。そして、丘の上から雄大景色を見せたりセンスのいい靴を贈ったりするゲディアに、いつしかマリタも好意を抱き始める。そのあたりのふたりの初々しい交際は、恋こそが若者を動かすエネルギーであると訴える。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

人妻となったマリタの家に忍び込んだゲディアは思わず彼女を抱きしめ、マリタも身を委ねる。しかし村人の知るところとなり、マリタは不名誉刑罰を受ける。村中を引き回しにされるマリタに泥を投げつける女子供、ひとり巨乳女だけは抗議の叫びをあげる。その声は、ソ連共産党苛烈支配に比べればマリタが背負った理不尽運命ですらマシと思わせる。テンギズ・アブラゼと同時代アーティストの苦心がにじみ出る作品だった。

オススメ度 ★★★

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2018-06-14 2重螺旋の恋人 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-06-14

2重螺旋恋人 L'AMANT DOUBLE

監督 フランソワ・オゾン
出演 マリーヌ・バクト/ジェレミー・レニエ/ジャクリーン・ビセット/ミリアム・ボワイエ/ドミニク・レイモン
ナンバー 121
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

穏やかな表情で耳を傾ける男と高飛車な態度で不愉快な思いをさせる男。女は同じ顔貌をした2人の男のはざまで、封印したはずのもうひとりの自分に操られる。物語は、原因不明の腹痛治療のために心療内科受診したヒロインカウンセラーと恋に落ち、彼の秘密を知るうちに異常な事実に直面していく姿を描く。愛した相手は一卵性双生児、絶縁状態なのに髪型ヒゲ型も酷似した兄がいる。だが彼は兄のことを隠し、話題にもしない。一方の兄は横柄なのに不思議な魅力で彼女気持ちをもてあそぶ。弟といるときは、安らぐけれどどこか冷めている。兄といるときは、嫌悪しているのに肉体が反応してしまう。己が何を求めているのかわからない、その答えを彼らは知っている。妄想現実が時に交差する映像は鏡の迷路にいざなわれたような感覚に陥る。

ポールのカウンセリングで心の澱が取れ、腹部の痛みも引いたクロエは、そのまま彼と同棲を始める。ところが、ポールとそっくり精神科医・ルイを街中で認め、偽名を使ってルイの診察を受けるが、初回から嘘を見抜かれる。

話を聞いてもらうだけで大抵の悩みは解決する。しかし、どうすべきかの指針は示してくれない。クロエの身の上話にただ相槌を打つだけのポールと違って、命令調のルイはクロエの考えを見透かしているような鋭さで、彼女はかえってルイの技量を信用してやがて言いなりになってしまう。自由でいたいのに束縛を望んでいる双子兄弟との三角関係に悩む女。ありふれた設定ながら、家族関係にも職歴にも不安定人生を歩んできたクロエ矛盾した心理が、繊細なショットで紡ぎ出されていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

その後セザンヌという女の存在を教えられたクロエは、ポールの黒歴史を疑い始める。何を信じるべきか、誰を頼ればいいのか。その問いの答えは彼女自身の出生にも関わってくる。もはやすべてがクロエ幻覚ではと思わせる展開は、人は見たいものしか見ないという真実をついていた。

オススメ度 ★★★*

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