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2016-06-28 貞子vs伽椰子 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-06-28

貞子vs伽椰子

監督 白石晃士
出演 山本美月/玉城ティナ/佐津川愛美/甲本雅裕/ 安藤政信/菊地麻衣/田中美里
ナンバー 155
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

そのビデオを見た者は48時間後に悲惨な死に方をする。その家に足を踏み入れた者は生きては帰れない。虐げられ傷つけられた末に殺された2人の女、彼女たちの恨みは強烈な呪いとなって人の命を貪り喰う。物語は、ビデオテープに潜む悪霊廃屋に巣食う悪霊と闘わせようとする女子大生霊媒師の奮闘を描く。張りつめた映像と神経を逆なでする効果音、ジリジリ追い詰めるような恐怖の演出はJホラーの定石を忠実になぞり、救いのない運命に取りつかれた人々の絶望リアル体感させてくれる。そして何より予想を裏切らない彼女たちのおぞましい姿。貞子はお約束通りTVから這い出してくるし、伽椰子もやっぱり四つ這いで階段を降りてくる。彼女たちの登場の場面はもはや千両役者の貫録、思わず膝を打ってしまった。

友人が“呪いビデオ”を見てしまった有里は、長年貞子を研究してきたオカルト教授相談する。一方、立ち入り禁止廃屋前に引っ越してきた鈴花は、小学生4人がそこで行方不明になったと聞き、中に入ってしまう。

教授呪いを解くために悪霊祓い儀式巫女に依頼するが、貞子のパワーは巫女はるか凌駕し、霊媒師経蔵に事後を託す。経蔵は貞子と伽椰子がお互いの力で呪いを打ち消し合うことに望みをつなぎ、有里と鈴花が伽椰子の家で呪いビデオ再生させる作戦を立てる。ほどなく現れた貞子は伽椰子の息子・俊雄を苦も無く始末し、伽椰子との一騎打ちに臨む。このあたり、2人の邪悪能力を最大限発揮したバトルを期待したが、霊体である貞子と実体を持つ伽椰子の攻防はかみ合っていなかった。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

結局狭い家の中では決着がつかず、経蔵は裏庭の古井戸悪霊を封じ込めるプランに変更、有里を囮に貞子と伽椰子をおびき寄せる。いずれにせよ勝負がつかないのは最初から分かっている。「フレディvsジェイソン」や「エイリアンズvsプレデター」を知っていれば結末の見当もつく。それでも、貞子と伽椰子世界観ギリギリ守りながら“恐演”させる楽しさは損なわれていなかった。

オススメ度 ★★*

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2016-06-27 TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ このエントリーを含むブックマーク

otello2016-06-27

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

監督 宮藤官九郎
出演 長瀬智也/神木隆之介/尾野真千子/森川葵/桐谷健太/清野菜名/古舘寛治/皆川猿時/古田新太/宮沢りえ
ナンバー 154
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

安産祈願」に込めた気持ちは大好きなあの子に伝わった。なのに答えを知る前に地獄に落ちてしまった。きちんと確かめるまでは現実を受け入れたくない。ならば現世によみがえって聞きだしてやる。そう決心した高校生は何度も転生して彼女を探す。だが地獄の1週間は人間界の10年、様々な動物に生まれ変わるうちに家族も知人も彼女も、ずっと早く年を取っていく。物語は、修学旅行中に事故死した高校生地獄ロックバンドの助けを借りて、叶わなかった願いを届けようと奮闘する過程を描く。個性的地獄の面々はディテール豊かに再現され、彼らが絶唱するヘビメタには熱い魂が注入されている。さら小ネタを出し惜しみせずに最後まで連発するサービス精神には恐れ入る。そしてひとりの少女への一途で純粋な心。死んでも思いは生き続けると信じさせてくれる作品だった。

地獄で目覚めた大助は赤鬼ロッカー・キラーKに指導され、閻魔様の裁きを受ける。インコになって人間界に戻りクラスメートだったひろ美にメールを送るが、彼女の安否を確認できず地獄に帰される。

その後も転生を繰り返すが、キラーKの妻子の暮らしぶりは分かってもなかなかひろ美の消息はつかめない。思い出の場所でやっと再会したときには、すでに高校生の娘がいるおばさんになっている。でも犬の姿の大助は、ひろ美に、目の前にいるのが自分だと理解させられない。そのもどかしさを腰を振る下品な動作で表現するなど、笑わせることでより大助の切なさを強調する洗練されたテクニックが冴えを見せる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ところがキラーKの妻子に気を取られた大助はやっぱり地獄に逆戻り。もはや己の目的よりも他人心配をするまでに大助は成長している。ひとりではなかったと気づき矛盾した言い方ながら“地獄にいても誰かと助け合えば有意義に生きられる”と学ぶ。何より、老婆となったひろ美の人生をお守りに象徴させ大助の努力と苦労が報われるシーンは、愛し愛された記憶こそが人間の生きた証であると教えてくれる。

オススメ度 ★★★*

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2016-06-26 好きにならずにいられない このエントリーを含むブックマーク

otello2016-06-26

好きにならずにいられない FUSI

監督 ダーグル・カウリ
出演 グンナル・ヨンソン/リムル・クリスチャンスドッティル/シガージョン・キャルタンソン/マーグレット・ヘルガ・ヨハンスドッティル/アルナル・ヨンソン/フランチスカ・ウナ・ダグスドッティル
ナンバー 153
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

デブハゲゆえに自信が持てず職場はいつもからかわれている。家に帰れば同居の母が恋人を連れ込んでいる。模型作りとヘビメタ電リクが生きがいの独身中年男、最近階下の少女と親しくなった。そして母の恋人からもらったダンス教室の受講チケット物語ルックス性格もイマイチな主人公がふと知り合った女に胸をときめかせる姿を描く。ジョークも返せない自分笑顔で話しかけてくれる。部屋に招き入れてドリンクをふるまってくれる。ところが女性経験のない彼はどう扱ったらいいのかわからず戸惑うばかり。失敗が怖くて言葉が出ない、嫌われるのを恐れて大胆になれない。でもこんなチャンスはもう二度とこないのも理解している。待っていてはダメ能動的に動かないと人生は変わらないとこの作品は訴える。

ダンス教室に参加する勇気がないフーシのクルマに、シェヴンという女が乗り込みアパートで送ってくれと頼まれる。翌週のレッスン後、シェヴンが旅行好きと知ったフーシは、早速彼女のためにツアーを手配する。

だが花屋で働いていると言っていたシェヴンをゴミ回収車で見かけたフーシは、「勘違いさせた」と門前払いされる。どこかおかしいシェヴンの態度、彼女を知る人々も口を濁す。それでも初めて外見を気にせず接してくれたシェヴンをフーシはあきらめられない。シェヴンが苦悩がどんなものかは見当がつかないが、その痛みが想像できるからこそフースは彼女を立ち直らせようとする。このあたり、抑制を利かしつつもやさしさの中に繊細さをにじませたフーシの感情が切なく、恋の成就を願わずはいられない。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

やがて心の傷に耐えられなくなったシェヴンのために、室内を掃除食事を作り代わりに清掃工場に出勤するフーシ。おかげでシェヴンは健康回復する。しかし、普通美的感覚を持った女ならば、やっぱり友人としてしか付き合えないフーシの容貌。見守るだけでは足りない、愛とは時に強引にならなければ手に入らないとフーシの背中は教えてくれる。

オススメ度 ★★*

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2016-06-25 シュガー・ブルース 家族で砂糖をやめたわけ このエントリーを含むブックマーク

otello2016-06-25

シュガーブルース 家族砂糖をやめたわけ SUGER BLUES

監督 アンドレア・ツルコヴァ
出演 アンドレア・ツルコヴァー/キャシー・ドルジン/アデルベルト・ネリセ
ナンバー 143
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

糖尿病だけではない、心臓にも悪影響と主張する医師もいる。妊婦が過剰摂取すれば胎児肥大し、生まれてきた赤ちゃん幼児にも継続して与えるとADHDになる可能性が高くなる。その上統合失調症アルツハイマーの原因になりうるとまでいう。にもかかわらず大人子供も甘い誘惑に負けてしまう。そして食品飲料メーカーは様々な製品に忍び込ませ、消費者中毒状態にする。カメラはそんな“砂糖漬けの暮らし”にレンズを向ける。最初は疑問から始まった。だが調べていくうちに、社会の隅々にまで張り巡らされた砂糖の罠から抜け出せなくなっている人々の多さに気づく。啓蒙活動企業妨害され、世間にはなかなか声は届かない。それでも警鐘を鳴らし続けるディレクターの執念は“SUGER CAN KILL”の言葉に凝縮されている。

映像作家のアンドレアは第三子の妊娠中に“妊娠糖尿病”と診断される。彼女故郷チェコでは製糖業が盛んで、国民はみな幼少時からスイーツに囲まれた食生活を送っていた。

まず手を付けたのは砂糖がもたらす弊害を取り除くこと。自分はもとより家族健康を考えると、オーガニック作物で自炊するのがいちばん。まともな料理が作れなくても、そのうち体が砂糖なしの味に慣れ、体調がよくなっていく。またNY運動家ジュース炭酸飲料いかに大量の砂糖を含んでいるかをわかりやすく解説する。ただ、肉体や頭脳日常的に酷使する職業の人はカロリー制限しすぎると機能不全に陥るはず。あくまで適量を守るのが肝心という観点を取り入れるべきだろう。

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アンドレアはさらに、さまざまな砂糖規制圧力がかかっている事実を突き止める。運動奨励も、ソーダ税の廃案も、大企業の反対があったから。決定的なのはアフリカ飢餓地域で食料援助慣れした現地人が肥満になっている皮肉。粘り強い取材と反骨精神欧米のみならずアフリカにまで足を伸ばすフットワークの軽さこそ、ドキュメンタリー作家の命だとこの作品は教えてくれる。

オススメ度 ★★*

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2016-06-24 太陽のめざめ このエントリーを含むブックマーク

otello2016-06-24

太陽のめざめ LA TETE HAUTE

監督 エマニュエルベル
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ/ロッド・パラド/ブノワ・マジメル/サラ・フォレスティエ/ディアーヌ・ルーセル/アン・スアレ
ナンバー 151
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

我慢を知らず、感情を抑えられないまま暴走する。大人を敵視し誰に対しても敬意を払わず、怒りすら抱いている。家庭に問題を抱える典型的少年、だが判事教育係は根気よく彼を見守り、更生させようとする。物語非行に染まった少年が思いやりを学び、少しずつ変わっていく過程を描く。まともにペンを持てない彼が身上書を書けるようになり、誕生日を祝ってもらうと柔和な笑顔を見せる。怠惰母親でも非難されるとかばおうとする。本当は悪い子じゃない。愛されなかったから愛し方がわからないだけ。孤独だったから人との距離をつかめなかっただけ。ところがそう信じても期待はすぐに裏切られる。一歩前身二歩後退の後に成長していく主人公ロッド・パラドが迫真の熱演、人間の弱さと脆さを再現する。

育児放棄母親と暮らすマロニー窃盗逮捕され、フローランス判事から矯正施設行きを命じられる。教育係のヤンに励まされ一時落ち着くマロニーだったが、再入学面接で難色を示されキレてしまう。

その後も、心を入れ替えたかと思えば自制が利かなくなる事態を繰り返すマロニーヤン無断欠勤したマロニー説教するが、聞く耳を持たないマロニーの胸にあるのは決定的な不信感、自分が傷つく前に傷つけてやろうという防衛本能が働くのだろう。せっかくできたガールフレンドにもつれない態度を取ってしまう。マロニーがフローランスに召喚される度に同席する彼の母親の、手前勝手理論を振り回し不幸をすべて他人のせいにするバカ親ぶりが非常にリアルだった。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

やがてガールフレンド妊娠したことから、彼の中にも責任感が生まれる。衝動的にわが子を救い、積極的子育てしているのか赤ちゃんをフローランスに見せにきたりもする。しかしきちんと教育を受けていないマロニー貧困層予備軍。マロニー赤ちゃんを抱く手の危うさが、彼もまた親の徹を踏む可能性を予感させるのだ。

オススメ度 ★★★*

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