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2016-09-27 ぼくのおじさん このエントリーを含むブックマーク

otello2016-09-27

ぼくのおじさん

監督 山下敦弘
出演 松田龍平/真木よう子/大西利空/寺島しのぶ/宮藤官九郎/キムラ緑子/銀粉蝶/戸田恵梨香/戸次重幸
ナンバー 230
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

マンガ代をケチり昼飯代をせびる。万年床でたばこをくゆらせ、怒られても屁理屈で返す。運動神経ゼロ、一日中グータラしている。生活能力世間知もまったくないのに、根は善人なのでつい面倒を見てしまう。物語はそんな男が恋に落ち、願いを叶えるために奮闘する姿を描く。相棒小学4年生の甥、時に厳しく時に優しく主人公を見守る視線子供保護者役割が入れ替わったかのようだ。和室に積み上げられた大量の本と灰皿のシケモク、期限切れのクーポン中学生以下の英語力、それでも“役に立たないようで何かの役には立っている”おじさんを、松田龍平間延びした空気を醸し出しながら演じ、実社会ではほとんど無用学問である哲学研究者実態コミカル再現していた。

家族についての作文を宿題に出された雪男は、父の弟で家に居候しているおじさんをテーマに選ぶ。ユニーク怠惰なおじさんの日常活写した雪男の作文は先生の目に留まり、コンクールに推薦される。

早く家から追い出したい兄嫁はしきりに見合いを勧めるが、断られるのがわかっているからケチばかりつけている。ところが、ハワイ在住の写真家エリーを紹介されると、美しく気さくなう自分に興味を持ってくれた彼女に、おじさんはのぼせ上がってしまう。経験したことのない異性への抑えがたい感情、おじさんはエリーハワイ訪問約束する。悶々とした思いを昇華させるにはハワイに行かなければならない、そのチケットを手に入れるまでの熱意の無駄遣いは、“思索こそ人生”という哲学者の哀しい性が凝縮されていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

なんとかハワイエリーと再会したおじさんと雪男トラブルに見舞われながらもおじさんは着実にエリーの心をつかんでいく。だが事は簡単に進まず、恋敵の登場におじさんは生まれて初めて戦闘モードに入る。そして“エスイスト・グート”。思った通りの結末ではなくても現実肯定的に受け入れる、バカボンのパパのような達観ぶりを見せる。こういう生き方が羨ましくなった。

オススメ度 ★★★*

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2016-09-26 メカニック:ワールドミッション このエントリーを含むブックマーク

otello2016-09-26

メカニック:ワールドミッション Mechanic: Resurrection

監督 デニス・ガンゼル
出演 ジェイソン・ステイサム/ジェシカ・アルバ/トミー・リー・ジョーンズ/ミシェル・ヨー/サム・ヘイゼルダイ
ナンバー 229
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

次々と襲い掛かってくるチンピラたちは目にもとまらぬ格闘術で瞬殺し、銃口を向けてくる傭兵もの急所容赦なく銃弾をぶち込む。ロープウェイからハングライダージャンプしたかと思うと断崖絶壁からダイブし、超高層ビルを這い上ったり駆け下りたり、迷路のようなクルーザーの中を走り回った挙句救命ボートを利用して護衛を排除する。その精密機械のような身のこなしはいまだ健在、主人公は圧倒的な強さで立ちふさがる敵をなぎ倒していく。物語は、人質を取られ暗殺強要された殺し屋が、ミッション遂行しつつ反撃に転じる姿を描く。標的は武器商人難攻不落の“要塞”とボディガードに守られた彼らに近づき、事故に見せかけて殺し離脱する過程は、緻密さよりも派手さが強調され、“退屈はさせない”サービス精神に満ちている。

タイの隠れ家に身を潜めるビショップは知り合ったばかりのジーナさらわれ、彼女と引き換えに3人の男の謀殺を請け負う羽目になる。まず、1人目の男を消すために監獄島に上陸、鮮やかな手口で息の根を止め脱出する。

粗野な風貌ながら義理人情に篤く、鍛え上げられた肉体と洗練されたサバイバル術を自在に操るビショップはまさに憧れのマッチョ感傷的なトラウマもないし国家に対する忠誠を試されることもない一匹狼でもある。美女の命を助けるために戦う以外の余計な葛藤や苦悩は一切省きつつ、ハイテクや小難しい理論とも無縁、とってつけたようなどんでん返しなどもない。殺されて当然の人非人だけを確実に仕留めていくというシンプル構成にはかえって潔さを覚えた。

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もちろん、用心深いビショップ簡単ジーナの話を信じたり、3人目のターゲットがあっさりビショップに協力したりと、説得力に欠ける場面も散見する。クルマバイクを使ったスリリングな追っかけシーンもない。それでも許せてしまうのは、ジェイソン・ステイサムハンサムな女たらしではなくハゲ頭のオッサンだからなのだろうか。。。

オススメ度 ★★*

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2016-09-24 幸せなひとりぼっち このエントリーを含むブックマーク

otello2016-09-24

幸せなひとりぼっち EN MAN SOM HETER OVE

監督 ハンネスホルム
出演 ロルフ・ラスゴード/バハー・パール/フィリップ・バーグ/アイダ・エングヴォル/カタリナ・ラッソン
ナンバー 226
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花屋クーポンいちゃもんをつけ、通行禁止区間を走るクルマ力ずくで止め、たばこの吸い殻を拾い、分別ごみをチェックする。細かな規則に厳格で、従わない者には“ばか者”と悪態をつく。もはや文句を言うのが日常になってしまった男は、近所でも“小言ジジイ”と嫌われている。物語は定年直前にリストラされた主人公が、新たな隣人と交流するうちにやさしさを取り戻していく過程を描く。子供はなく、最愛の妻に先立たれて生きている意味がなくなった。ところが、こんな不機嫌な自分でも必要としてくれる人がいると気づいた時、彼の胸に意欲が芽生える。苦虫をかみつぶしたような表情が徐々に和らいでいく変化が愛おしくも共感を呼ぶ。日本にも同類の老人はいるが、寂しさを隠すために強がっているだけなのだろうか。

40年以上勤めた鉄道局を解雇されたオーヴェは自宅で首を吊るが、引っ越してきたイラン人・パルヴァ一家邪魔をされた上、駐車を手伝う羽目になる。その後も自殺を図るたびに妨害がはいる。

妊娠中のパルヴァネと不器用な夫のために、彼らに手を貸すオーヴェ。無遠慮なパルヴァネの態度に最初イラついていたが、気に掛けてくれていると知ると、少しずつ言葉を交わすようになる。他の顔見知りとも会話を始めるが、その間、新車競争エピソードスウェーデン人国産車に対する意識がうかがえて楽しい。そして、正直を貫けと教えてくれた無口な父と素晴らしい人生を送らせてくれた妻・ソーニャとの満ち足りた日々、オーヴェがずっと胸にしまっていた思い出をパルヴァネに語るシーンは、他人を寄せ付けない孤独な人ほど実は話を聞いてもらいたがっていると訴える。

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やがて明らかにされる、オーヴェが偏屈になってしまった理由ソーニャへの強すぎる愛ゆえに周囲を敵に回したけれど、理解してくれるパルヴァネのおかげで少しは心が軽くなった。ひとり暮らしでも決してひとりじゃない、やっと見せたオーヴェの笑顔がまぶしかった。

オススメ度 ★★★*

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2016-09-23 ある天文学者の恋文 このエントリーを含むブックマーク

otello2016-09-23

ある天文学者の恋文 LA CORRISPONDENZA

監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 オルガ・キュリレンコ/ジェレミー・アイアンズ/ショーナ・マクドナルド/パオロ・カラブレッシ/アンナ・サヴァ/イリーナ・カラ
ナンバー 227
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彼の事はすべて知っているはずだった。なのに、なんの前触れもなく姿を消してしまった。ところが残された彼女の元には何通もの手紙メールビデオレターが配達されてくる。物語は、亡くなった恋人からメッセージ意味を探して彷徨するヒロインの、深い喪失感希望を描く。彼女の行動を予見した彼の言葉は優しさと思いやりに富み、ふたりの絆がいかに強いものだったかを示す。一方で、彼の思いを受け止めるばかりの彼女は、自分気持ちを返信できないもどかしさにいらだちを募らせていく。講義中でもロケ中でも観劇中でもスマホの着信音をオンにしたまま便りを待つ、他人迷惑を顧みないほど彼の不在を受け入れられないヒロインの哀しみを、オルガ・キュリレンコが繊細に演じる。

スタントウーマンのエイミーは、恋人天文学者・エドの講演会場で公表された彼の急死に衝撃を受ける。エイミーは彼の自宅と周辺、思い出の場所を訪ねるが、行く先々でエドからタイミングよく連絡が入る。

爆発・消滅後もなお地球にいる我々に光を送り続ける恒星のごとく、命尽きた後もエイミーに寄り添うエド。死んだ人にはもう会えないという常識を打ち破り、いつもエイミーを見守っていると伝えてくる。さらに、お互いに秘密はないと約束していたのに、やはり話せなかった、命知らずのスタントに挑戦する理由。だがエドは、そういったことを含めてエイミーを包み込むように大切にしている。もはやだれも邪魔できないふたりだけの世界永遠の愛はきっと実在すると彼らの瞳は訴える。

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映画エイミーがエドの残像を追う過程ミステリー風の味付けで再現する。しかし、じっと見つめる黒い犬や誤配信されたビデオレターなど、何らかの伏線と考えられるショットが後半に生かされておらず残念。それでも、多次元宇宙理論IT機器の発達が、人間思念は肉体が滅んでもエネルギーとなって存在できると思わせてくれる作品だった。

オススメ度 ★★*

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2016-09-22 ヒトラーの忘れもの このエントリーを含むブックマーク

otello2016-09-22

ヒトラーの忘れもの Under sandet

監督 マーチン・サンフリート
出演 ローラン・ムラ/ミゲル・ボー・フルスゴー/ルイスホフマン/ジョエル・バズマン/エーミールベルトン/オスカーベルトン
ナンバー 225
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

腹ばいになって顔を近づけ、上部の蓋をゆっくりと回してはずす。極度の緊張に指先は震え、汗がしたたり落ちる。むき出しになった信管つまみ慎重に持ち上げ解体する。死は目の前にあるが、やり遂げなければ命はない。物語ナチスドイツ降伏後のデンマーク海岸線放置された地雷原を除去するために動員されたドイツ敗残兵と、彼らを指揮・監督するデンマーク軍曹葛藤友情を描く。祖国占領したドイツ人はもちろん憎い、だが彼らは年端もいかない若造ばかり。まるで奴隷に対するような威圧的な態度を取っていた軍曹が、彼らにも親兄弟がいると思いが及んだ時、感情が動く。過去の恨みにいかに寛容になれるか、それは人としての度量を試されているとこの作品は訴える。

スムスン軍曹から1時間に6個の地雷処理を命じられた11人のドイツ兵たち。食料も与えられずにこき使われるのに耐えかね、家畜のえさを盗み食いする。翌日、食中毒になった1人が地雷誤爆させ重傷を負う。

軍曹ドイツ軍家族を殺されていたのだろう。地雷解除は絶好の仕返しのチャンスと、ドイツ兵につらく当たる。ところが、命令するだけで話し相手もいない現場で、“終わればドイツに帰れる”という希望にすがりついて作業を進めている彼らと徐々に言葉を交わすようになる。その過程で、彼らのためにパンポテト調達する軍曹自身が、“こんなことをするなんて信じられない”と自分行為に驚き、心の奥に眠っていたやさしさを取り戻す。その背中は、憎悪するより理解し合う大切さを教えてくれる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

その後、軍曹の愛犬が爆死し、また元の主従関係に戻る。その間も次々と落命していくドイツ兵。兄を失い茫然自失になった双子の弟が、女の子を救った後、ふらつく足で故郷を目指す姿は、こんな少年人生まで狂わせる戦争残酷さを象徴していた。それでも、生き残ったドイツ兵に未来を託す軍曹勇気は、人間は信頼に値する存在である宣言していた。

オススメ度 ★★★★

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