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2018-04-23 レディ・プレイヤー1 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-04-23

レディ・プレイヤー1 READY PLAYER ONE

監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 タイシェリダン/オリビア・クック/ベン・メンデルソーン/リナ・ウェイス/サイモン・ペッグ/マーク・ライランス/フィリップ・チャオ/森崎ウィン
ナンバー 90
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ゴーグルを装着すると別の自分に変身する。スラムでのさえない暮らしも、煩わしい人間関係もすべてリセットして、チャンスをものにすればヒーローになれる、かもしれない。物語は、仮想空間に隠された宝物を求める若者たち葛藤と成長を描く。二重三重に仕掛けられた罠をかいくぐり、言葉の端々に仄めかされたヒントから謎を解き、資金力で人海戦術をとる巨大企業と闘いながら仲間との友情と信頼を深めていく過程冒険譚の王道、何でもありのVR空間をあえてコンピューターゲーム風のテイストにするこだわりが楽しい。それは、恐竜戦場未来社会などをディテール豊かな映像体験させてくれたスピルバーグの、“バーチャル” ぽさをリアル再現する皮肉アンチテーゼ。圧倒的なスリルスピード感に目くるめく興奮を、ちりばめられたトリビアに懐かしさを覚えた。

仮想空間オアシスの開発で巨万の富を築いたハリデーの遺産を手に入れるために日々レースに参加するパーシヴァルは、第一の鍵をゲット、一躍有名人になる。その後、アルテミスら4人の友人と協力し第二・第三の鍵を探す。

現実では家族も友もなく、孤独人生を送っているウェイド。だがパーシヴァルとしてふるまうオアシス内では同じ目的の同志がいる。ウェイドのみならずほぼ全人類が、生きづらい現実から逃れるようにオアシスに居場所を見つけている。しかしオアシス内でアバターが作った負債本体が肩代わりせねばならず、返済が滞れば強制労働が待っている。結局テクノロジーは人を幸せにするどころか格差助長しただけという設定が恐ろしい。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

鍵の横取りを謀る強欲な組織に正体がばれ、現実世界で命を狙われるウェイド。アバター仲間の本体に助けられ窮地を脱し逆転の策を練る。ただ、お互いに本性は知らないはずなのに、彼らはどうやって相手認識したのだろうか。また、仮想空間アバターライフ21世紀初頭に一瞬流行ってすぐに廃れた「セカンドライフ」そのものもっと斬新な価値観創造してほしかった。原作が古いのか。。。

オススメ度 ★★★

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2018-04-21 心と体と このエントリーを含むブックマーク

otello2018-04-21

心と体と Testrol es lelekrol

監督 イルディコー・エニェディ
出演 アレクサンドラボルベーイ/ゲーザ・モルチャーニ/レーカ・テンキ/エルビン・ナジ/ゾルターン・シュナイダー
ナンバー 89
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

立っているだけで人目を引く金髪の美貌だが、抜群の記憶力と潔癖症のせいで他人とのコミュニケーションがうまく取れず、肉体的な接触は拒否してしまう女。不自由な片手と判で押した日常に慣れ、もう恋など縁がないと思っていた男。物語はそんな男女がためらいがちに距離を縮めていく過程を描く。早く職場に馴染ませようと上司である男は女に気を配る。女はよそよそしい態度を崩さない。ところがメンタルチェックを受けたのをきっかけに、ふたりは急接近する。それは孤独な心と心が無意識のうちに結んでいた絆。偶然なんかじゃない、きっと意味がある。男は都合よく解釈し、女も頭では理解する。相手を好きな気持ち、抱きたい思いを持て余しつつ、なかなか次の一歩を踏み出せないふたりのまどろっこしいまでの奥ゆかしさにイライラさせられる。傷つくことを恐れていては人生は変わらないとこの作品は教えてくれる。

食肉加工場管理職・エンドレは臨時雇いの検査官・マーリアに声をかけるが軽くいなされる。家畜交尾盗難を機に全職員カウンセリング実施すると、マーリアとエンドレは同じ夢を見ていると判明する。

信じられずに検証すると、エンドレは雄鹿、マーリアは雌鹿となって冬の森でむつみ合っている。マーリアは警戒心を解き、エンドレも親近感を覚えていく。連絡先を聞かれたマーリアがケータイを持っていなかったり、夢の話を語り合おうと自室に誘っても結局朝までトランプに興じるなど、どこか浮世離れしているふたり特にマーリアの変人ぶりが、彼女トラウマ想像させる。思考を見透かすほどの視力と知性、並外れた能力は時に持ち主を不幸にするのだ。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

それでも少しずつ恋する女に変身していくマーリア。一方エンドレは欲望を抑えきれない。すれ違うふたり感情、夢の中では雌雄二頭の鹿に邪魔は入らないのに、現実問題山積。予想通りにはいかないけれど期待はずれにもならない展開は、不器用でもまっとうに生きようとするふたり未来を暗示していた。

オススメ度 ★★*

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2018-04-20 アメリカン・アサシン このエントリーを含むブックマーク

otello2018-04-20

アメリカンアサシン AMERICAN ASSASSIN

監督 マイケルクエスタ
出演 ディラン・オブライエン/マイケル・キートン/テイラー・キッチュ/サナレイサン/スコット・アドキンス
ナンバー 87
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

突然ビーチに現れ、無差別無慈悲自動小銃を乱射するテロリストたち。彼らに婚約者を惨殺された男は復讐を誓い、単身仇敵アジトに乗り込む。物語は、CIAスカウトされた主人公が厳しい訓練の後に現場に出て、壮大な陰謀を阻止せんと活躍する姿を描く。ごく普通若者が怒りと憎しみを糧に己を鍛え上げ、プロ集団にもできなかったミッション単独遂行する。だが、より大きな敵と戦うにはチームで臨まなければならない。一匹狼を貫きたい彼と命令に従わせたい教官は時に衝突し、時に協力し、時にお互いの命を救う。心を許しているわけではないが信頼はしている。そんな男同士の微妙距離感が新鮮だ。一度陥没した海面がすさまじい勢いで水蒸気を噴出し巨大な波を発生させるクライマックス核兵器破壊力を実感させる。

イスラム系テロ組織尋問されていたところを米国特殊部隊に救出されたミッチは、元ネイビーシールズのスタンからスパイノウハウを教わる。優秀だが精神面が未熟なミッチにスタン不安を覚える。

キャンプ場での特訓が終わると生活空間を模したセットでの実戦的練習に移る。ホログラムを使って敵を見分け素早く対処するVRシミュレーターリアルな状況を再現、対費用効果に優れ説得力があった。その後ミッチは盗まれたプルトニウムを奪還する初任務に就く。ローマに飛んだミッチとスタンは、事件の裏にゴーストと呼ばれる男が暗躍していると知る。ホテルや裏路地マンションの一室など日常的な場所で繰り広げられる諜報戦は、決して表には出ない工作員たちの地道な活動世界を守っていると教えてくれる。

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やがてゴースト核兵器を完成させる。それはひとりで持ち運べるほどコンパクトだが、大都市を壊滅させる威力がある。そして地中海に展開する米国艦隊ターゲットと察知したミッチはゴーストに挑む。ミッチもゴーストも、平気で人を殺せるようになった原因や動機が、政治的大義などではなく個人的な恨みだったあたりが、人間的で共感できた。

オススメ度 ★★★*

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2018-04-19 子どもが教えてくれたこと このエントリーを含むブックマーク

otello2018-04-19

子どもが教えてくれたこと ET LES MISTRALS GAGNANTS

監督 アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン
出演
ナンバー 81
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

リュック医療器具を忍ばせている子、包帯やサポーターで全身を覆っている子、鼻にチューブ差した度の強い眼鏡の子、左右の目の色が違う子、スキンヘッドの子。まだ10歳にも満たない子どもたち、それぞれ専門的なケア必要難病を患っている。映画はそんな彼らに密着、何を思いどう生きていこうとしているのかに迫る。物心ついたときには病魔に侵されていて、“健康自分” の記憶はない。症状が出ている時と出ていないときだけで、むしろ具合が悪いのが普通状態と捉えているのか、不運や不幸を嘆いたり卑屈になったりはしない。そして親や医師から言い聞かされているからなのか、5歳の子ですら己の病名を言葉にできる。きちんと伝えることで、子どもたちに自身の病状を知ってもらおうとするフランス人姿勢が好ましい。

アンブル、カミーユ、イマド、シャルル、テュデュアルの5人は、小児性疾病にかかりながらも子どもらしい日々を送っている。演劇サッカー宿題、でもそのあい間に憂鬱治療も受けなければならない。

長期入院者用に病院内にも先生がいて授業をしている。当然ながら勉強が得意な子もそうでない子もいる。大人たちは、外の世界にあまり触れる機会のない彼らができるかぎり子どもらしく過ごせるように腐心する。たまの帰宅を心待ちにする子、消防署見学笑顔を見せる子、学芸会プリンセスを演じる子、皆、精一杯かけがえのない子ども時代を楽しんでいる姿がまぶしい。皮膚が弱いシャルルが入浴後につらそうにするが、彼はそれもまた人生と割り切っている。なにより、カメラが彼らの闘病ではなく日常に寄り添っているところが心地よい。

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5人の子供たちに悲壮感はない。体への負担を伴う手術や副作用、涙の別れなどのセンチメンタリズム排除した映像希望にあふれている。だからこそ、成人前に命尽きる子どもや、成人できてもずっと病気と付き合わざるをえない子ども未来想像させ、彼らの苦悩や悲しみが浮き彫りにされるのだ。

オススメ度 ★★★

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2018-04-18 女は二度決断する このエントリーを含むブックマーク

otello2018-04-18

女は二度決断する AUS DEM NICHTS

監督 ファティ・アキン
出演 ダイアン・クルーガー/デニス・モシット/ヨハネス・クリシュ/サミア・ムリエル・シャンクラン/ヌーマン・アチャル/ウルリッヒ・トゥクール
ナンバー 86
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夫のみならず、最愛の息子まで奪われた。悲しみと怒り、受け止められない現実、心が整理できないまま彼女麻薬に手を出し、手首を切ってしまう。物語爆弾テロ家族を喪った女の戦いを描く。確かに夫は服役していた。外国出身でもある。非合法な裏人脈と繋がっている気配もあった。なるほど極右が嫌う要素はたくさんある。でも、それが殺されなければならないほどの理由なのか。容疑者が拘束されたと知ったとき、まっとうな裁きを受けさせるべく、自らを叱咤して法廷に入る。ヒロインに寄り添った映像は、時に混乱し、時に揺らぎ、時に緊張し、時に確固たる意志を持ち、彼女感情を代弁する。単独で行動するうちに謎が謎を呼ぶようなミステリー仕立てにはせず、意外な真犯人も登場しないし驚愕真実もない。そんなシンプル復讐譚はかえって心地よいテンポでまとまっていた。

夫の事務所に息子を預けたカティアは自転車を停めた女に声をかける。その後、爆破された建物から夫と子供死体発見される。カティアの証言実行犯写真作成され、犯人はほどなく逮捕される。

ネオナチ移民排斥爆弾製造etc. 裁判が始まると、さまざまな証拠物件証言のおかげで、被告・メラー夫婦犯行証明されていく。ところが、カティアが被告弁護士戦術にはまってしまい、証言有効性を疑われる。心象は圧倒的にクロ、だが100%ではない。そして下された判決。“正義” とは相いれないが “疑わしきは罰せず” を貫くドイツ裁判官は極めて民主的客観的証拠もなく被害者証言だけで有罪になった「それでもボクはやってない」とは大違いだ。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

自分で決着をつける決心をしたカティアは、メラー夫婦足跡を追う。その際も、特に洗練されたテクニックを使うわけではない。爆弾製造法もネットが教えてくれる。平凡な暮らしを営んできた女でも動機と固い決意があればテロリストになりうる現代社会の恐ろしさ。止まっていたカティアの生理が戻るシーンは、血は血でしか贖えないことを象徴していた。

オススメ度 ★★*

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