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2018-09-18 プーと大人になった僕 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-09-18

プーと大人になった僕 CHRISTOPHER ROBIN

監督 マーク・フォスター
出演 ユアン・マクレガー/ヘイリー・アトウェル/ブロンテ・カーマイケル/マークゲイティ
ナンバー 210
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

気の合う仲間と無駄話をしながら、好奇心のおもむくままに森の中を歩き回る。楽しいこと珍しいことに遭遇しては寄り道し、飽きるまで離れない。ワクワクとドキドキに満ちた長い一日、子供にとってはかけがえのない冒険物語は、仕事漬けで妻子との関係が壊れそうになった男が愛玩していたぬいぐるみに再会、忘れていた気持ちを思い出す過程を描く。忙しさのあまり約束の休暇はキャンセル、でも家族を養うためと割り切っている。そこに現れた、まったく変わらないぬいぐるみの友人たち。効率ばかり追求してきた主人公は、彼らに苛立ち時に冷たい態度を取ってしまう……。なにもせずに愛する人たちと過ごす、そんな時間こそが心に余裕を持たせ人生を豊かにするとこの作品は訴える。

上司から経費節減策の提出を求められたクリストファーは週末のバカンス予定を返上して出勤、リストラ案を練る。帰宅前に公園で一息入れていると昔一緒に遊んだプーが迷い込んでくる。

あの頃の思い出は小箱封印したはずだった。それを見つけた娘のマデリンがふたを開けてしまった。再び開いた100エーカーの森への扉、しかしクリストファーは懐かしさを覚えるどころか、むしろプー邪魔者扱いして森に追い返そうとする。永遠友達だと信じていたクリストファーに拒絶されたプー。その瞳は黒いガラス玉なのに、湛えられた悲しみは底なしに深い。繊細な感情表現ができるぬいぐるみたちの造形が、彼らが本当の生き物かのような躍動感を与えていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

他のぬいぐるみたちとも旧交を温めるまでもなく会社に戻ろうとするクリストファー。それでもぬいぐるみたちは彼が作成した大切な書類を届けるために後を追う。そして人をコストしかとらえない上司に嫌気がさしつつも、クリストファーに逆転の発想がひらめく。これが現実だと周囲に流されていないか。皆が納得できる方法を考えるのを怠っていないか。他人の満足が自分幸せにつながると、クリストファーのアイデアは教えてくれる。

オススメ度 ★★★*

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2018-09-17 ヒトラーと戦った22日間 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-09-17

ヒトラーと戦った22日間 Sobibor

監督 コンスタンチン・ハベンスキー
出演 コンスタンチン・ハベンスキー/クリストファー・ランバート/フェリスヤンケリ/ミハリナ・オルシャンスカ/ファビアン・コチェンツキ/ウォルフガング・キャニー/カツペル・オルシェフスキ
ナンバー 209
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

機関車にけん引された客車ホームに入ってくる。歓迎の弦楽四重奏、長旅の疲れが濃い乗客たちは、これから始まる新生活に馴染もうとしている。その先にガス室が待っているとも知らず……。収容所ドイツ兵がユダヤ人不安を払しょくするための小細工が驚きだった。物語第二次大戦中のドイツ占領ポーランド絶滅収容所作業囚人ロシア人の指揮の下、反乱を起こす過程を描く。役に立つ職人作業場に駆り出されるが、それ以外の者はすぐに死刑。金歯を抜かれると焼却処分される。作業員も看守の機嫌次第でいつ処刑されるかわからず、ギリギリの緊張状態で日々生き残ることだけに集中する。やがて、どうせ処分されるのならと蜂起を決意、甘んじて死を受け入れるよりはわずかな希望に命を懸ける。そんな人間意志が美しい。

ソビボル収容所に送り込まれたユダヤ人たちの中で脱走の機運が高まるが采配を執る人材がいない。ソ連軍人で戦争捕虜だったサーシャは体力精神力の強さを買われ、仲間からリーダーに推される。

西欧ポーランドのほかにもミンスクから移送されてきたユダヤ人作業員に与えられた仕事は、ガス室に送られた同胞から奪った貴重品の管理遺体処理。彼らをいたぶるドイツ兵は当然としてドイツ軍に協力するウクライナ兵が残虐な行為に手を貸している。収容所内ではさまざまな言語が入り乱れ、ドイツソ連の2つの独裁強国に蹂躙された東欧の複雑で過酷運命が凝縮されていた。そしてロシア人グループが中心になって抵抗の準備が進められていく。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

もちろん史実に基づいてはいるのだろう。だが、もう生き証人はおらず、一次記録もあまりない。事実インスパイアされた創作もある程度は許されるが、SS隊員が屋外宴会ユダヤ人を慰みに殺しまくったなどというのは本当なのか。韓国での “慰安婦” や中国での “南京大虐殺” 同様、政治利用しようとする “被害者” の誇大妄想のような気がする。クライマックスの安っぽいヒロイズムにも鼻白んだ。

オススメ度 ★★

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2018-09-15 人魚の眠る家 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-09-15

人魚眠る

監督 堤幸彦
出演 篠原涼子/西島秀俊/坂口健太郎/川栄李奈/山口紗弥加/田中哲司/田中泯/松坂慶子
ナンバー 196
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

意思のない少女の体を、運動神経電流を流すことで動かす。最初は足、次は手、刺激を受けた筋肉は反応し、ぎこちない動きを示す。物語は、脳死の娘を持った母が、愛を暴走させていく姿を描く。臓器移植寸前に指を握り返した娘は生きたいと訴えている。そう感じた母は、彼女の夫の会社研究が進む最先端技術希望を託し、肉体的には新陳代謝するわが子の世話を続ける。技術提供する研究者は成果が出始めるとますますのめりこむ。夫はそんな状態に疑問を覚え始める。その過程で、意識のない人間は生きていると言えるのか、それを第三者判断できるのか、なにより命とはなんなのかを問う。娘の幸せを願う思いは同じ、だが答えは立場によって違ってくる。むきだしになるエゴ人間の哀しさと愛おしさを象徴していた。

脳が損傷した娘・瑞穂を自宅で介護する薫子は、別居中の夫・播磨経営する会社エンジニア星野担当するテクノロジー瑞穂に応用する。瑞穂の肉体は装置が発する電気信号で動き出す。

心臓が止まっていないわが子の死を認めたくないと、親ならば誰しもが思う。医師には回復の見込みないと言われても奇跡を信じたい。目の前に有効手段があれば縋りつきたくもなるだろう。ところが、延命措置を続けるうちに、播磨薫子星野気持ちがずれ始め、狂気が理性を蝕み始める。星野が開発した装置のカチカチという音とともに瑞穂の口角が上がるシーンは、踏み込んではならない領域に足を入れた人間傲慢に対する悪魔の微笑のように見えた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

瑞穂が生きているかのごとく振舞う薫子彼女車いすに乗せて小学校や近所を徘徊するが、世間の目には “死んでいない死体” を見せびらかしていると映る。一方播磨心臓移植を待つ子供が死んだと聞き、瑞穂の “生かし方” を考え直す。そして長男親族もそれぞれに心の澱を吐き出す。ヒステリックで異常だと感じられた薫子情動こそがもっと尊い感情だったと理解されるシーンは、愛は理屈正論を超えると教えてくれる。

オススメ度 ★★★★

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2018-09-14 累 かさね このエントリーを含むブックマーク

otello2018-09-14

累 かさね

監督 佐藤祐市
出演 土屋太鳳/芳根京子/横山裕/ 筒井真理子/檀れい/浅野忠信
ナンバー 208
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

唇に塗ってキスすると相手と顔が入れ替わる魔力を持つ口紅。口から頬まで裂けた醜い傷跡にコンプレックスを抱き続けてきた女は、新進女優アイデンティティを奪い新しい人生を手に入れていく。物語は、演技力不足の女優と顔を取り換えた娘がオーディション合格女優の顔でのし上がっていく過程を追う。最初は戸惑っていた。怯えてすらいた。ところが他人に注目され期待されるうちに、経験のない世界が見えてくる。それは傷のある顔では決して得られない羨望と称賛。やがて彼女の胸に黒い欲望が芽生えていく。怒りと嫉妬、憎しみと愛etc. 情念がこもったコンテンポラリーダンスから、目を見開いた上にタメを作ったセリフ回しなどの芝居がかった演技まで体当たりでこなす。そんな、土屋太鳳俳優としてのポテンシャルが一気に開花する舞台シーンは圧巻だった。

ニナになりすました累は演出家の烏合に認められ「かもめ」の主役を射止める。だが口紅魔法が効くのは12時間、夜9時までに稽古を終えなければならない日々に焦りといら立ちが募っていく。

有名な女優だった累の母もまた口紅を使ってスターの座に就いた過去がある。事情を知るマネージャー羽生田は “口紅意図” を継承し、累をサポートしていく。いつしか累とニナの立場は逆転し、ニナの顔をした累は売れっ子になっていく。そうなると累にとってニナは邪魔者、相変わらず高飛車な態度でマウンティングするニナを、累は罠に嵌める。このあたり、不本意ながらキスせざるを得ない2人の、微妙に歪んだ心が繊細に再現されていた。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ビジュアルシャープ女優達も熱演、ライティングカメラワーク編集も洗練され、映像クオリティは高い。にもかかわらずディテールを描きこむほど、設定のバカバカしさが浮き彫りにされていく矛盾。ニナと累のマッチングから入念な計画を立て、彼女たちがきちんと納得した上でチームを組み、その先で感情的な綻びが出始めるという展開にしていれば、もう少し楽しめたはずだ。

オススメ度 ★★

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2018-09-13 ブレス しあわせの呼吸 このエントリーを含むブックマーク

otello2018-09-13

ブレス しあわせの呼吸 BREATHE

監督 アンディ・サーキス
出演 アンドリュー・ガーフィールド/クレア・フォイ/トム・ホランダー/スティーブン・マンガン/ディーンチャールズ・チャップマン
ナンバー 207
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

から下が麻痺した。死にたいと思うほどに絶望した。だが、献身的な妻の愛が生きる勇気を、ひとり息子が希望を与えてくれた。物語は、ポリオに罹った男が家族や友人の支えで、己の人生のみならず障碍者世界までも変えていく姿を描く。正常なのは頭部だけで病院にいる限りは寝たきり状態、見る聞く嗅ぐ話すことはできるが人工呼吸器が止まると2分も持たない。ところが電源さえ確保すれば自宅で介護できると知った妻は、買い取った屋敷改装して夫を引き取る。そしてひらめいたバッテリー付き車いすアイデア。もはやベッドに縛られている必要はない。設備と装備が整えばどこにでも行ける。やがて彼は自動車航空機構造だけでなくホテルの受け入れ態勢にまでも問題提起する。実際に行動し、不便を訴え続けなければ世の中の仕組みや人の考えに変化は起きないのだ。

ケニヤ赴任中に体が動かなくなったロビン英国帰国後も入院余儀なくされる。妻のダイアナ主治医の反対を押し切ってロビン退院させるが、声が出せないロビンは人工呼吸器のコンセントが抜けても助けを呼べない。

ベルダイアナが気付ける工夫した後は、友人の手作り車いすで自宅周辺を散歩するようになる。リフト付きワゴン車でドライブに出かけ、さらにはワゴン車ごと輸送機に乗ってスペインにまで足を延ばす。その間、ひとつずつトラブル解決していくロビンダイアナたち。実践してみると課題が浮き彫りにされ、それを克服して介護ソフトハード面ともに洗練させていく。前例がないからこそ、現場意見福祉を充実させるとこの作品は教えてくれる。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

重度身体障碍者シンポジウム出席のためにドイツに呼ばれたロビン。そこで彼が目にしたのは、清潔な部屋の壁から患者が頭を出している異様な光景。角度をつけた鏡で入室者とコミュニケーションをとっている。機能的ではあるが、患者気持ち無視した病室は衝撃的だった。ロビン活動が彼らを解放したと信じたい。

オススメ度 ★★*

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