2016年上半期に見た新作映画ベスト10

さて今年も残すところ半分になってしまいました。たくさん映画を見たなーと思いながらも、案外見ていないかもなーなんて思ったり、日々の疲れがどっと出たり、日々暑いしで大変なシーズンです。じゃあ恒例の上半期ベストを。


  1. 中島みゆき 夜会VOL.18 橋の下のアルカディア
  2. ホース・マネー
  3. ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE in 台湾
  4. ロブスター
  5. ヤクザと憲法
  6. 同級生
  7. FAKE
  8. ブリッジ・オブ・スパイ
  9. 10 クローバーフィールド・レーン
  10. スティーブ・ジョブズ

こんな感じでした。ではそれぞれ雑感を。

恐らく今年のベストはこの作品になるだろう。自分のいちばい弱い部分をエグるだけ、エグられた驚異的な作品。『夜会』は「コンサートでもない、演劇でもない、ミュージカルでもない「言葉の実験劇場」」をコンセプトにされており、『夜会18』は、最新公演を記録して劇場公開したもの。中島みゆきの歌唱力は素晴らしいと事前にわかっていながら感動してしまった。物語も完全にイカれている。橋の下を舞台に過去と現在が交錯し合い、しまいには輪廻転生が絡み『神無月の巫女』やムックの音楽性(哀愁と痛み)との親和性を感じる。全ての痛みを内包した驚異の傑作。見ながら死ぬかと思った。

悲痛なまでの”痛み”を物語った大傑作/『中島みゆき 夜会VOL.18 「橋の下のアルカディア」−劇場版−』を見た(感想) - つぶやきの延長線上

孤独な男の記憶を巡る物語。はたしてこの映画はフィクションなのだろうか、ドキュメンタリーなのだろうか。それほどまでに「記憶」を見せつけられていた、とそんな気がしたのだ。まるでこちらも映画と一緒に迷宮にさまよったような感覚。最高のレイアウトとライティングによる強靭な画面の連続に、ただただウットリしてしまった。カメラが、音(靴音、電話の引きずる音、戦車…等)を捉え、暗闇から人物が現れる。ただただ、かっこいい映画だった。名古屋に来たらまた再鑑賞したい。

あの蛭子さんが大活躍するエンターテイメント・ムービー。今年これほどまでに映画に愛された作品はないんじゃないか?と、まるで劇映画のような奇跡的な瞬間にドキュメンタリーであることを忘れる。いや〜映画っていいね〜。

  • ヤクザと憲法(ひじ方宏史/日本/96分)

東海テレビドキュメンタリー枠。『ホームレス理事長』も驚異的な傑作だったけど、ドキュメンタリーといった体制にも関わらずフェイクドキュメンタリーのような瞬間も見られ、フィクションとドキュメンタリーの差はないんだな、と思った作品。

「拳銃とかどこにあるんですか?いざという時どうするんですか?」

スタッフが本物の方にぐいっと攻めるときに、まるでフェイクドキュメンタリー的なはぐらかしかたに見えてしまってめちゃくちゃ面白かった。

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とにかく悪意の塊みたいな映画。反体制のリーダー(レアセドゥ)の家で、カップル同士いちゃいちゃしているシーン最高だし、飛び降り自殺した女がギャーギャー騒ぐところを厭味ったらしく撮るシーン最高!それと横乳のほくろを撮る天才!最近のデ・パルマのお気に入り映画らしい。

  • 同級生(中村章子/日本/60分)

恋に落ちる瞬間を捉えた教室のシーン絶品!60分の上映時間のなか、コマ割り、画面分割などでグイグイとテンポを上げ駆け抜ける!あとは背景のちょうどよさかなー。

ふたりが出会うとき−−−『キャロル』から中村章子『同級生』について(感想) - つぶやきの延長線上

ゴーストライター問題でマスコミにボロクソにされた佐村河内守に迫った(?)ドキュメンタリー。テレビ局がフジテレビの特番に出演して下さいと迫った時の「真剣なのにバカバカしい」感じってのは絶品。「現実/虚構」の揺らぎをかじるような瞬間を捉えるのが上手い。それとコメディ映画に落とし込まれているのがすごかったなー。あと、猫かわいいよね。

闇を照らしだす光の演出が冴えわたっていた。冒頭の真っ暗な部屋での目を疑うような入射光から、次のカットが昼間の濡れた路面と光を逃さない。また、カメラのフラッシュ、橋のシーンの巨大なライト、飛行機の巨大なレンズ…攻めまくった姿勢に泣いた。

「逃げること」が追及されているが、最後に変化が起こる。雷の先に見える、あの城のような存在に『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』を想起してしまいまんまとやられた。

アーロン・ソーキンの脚本の大勝利!はじめはあまりにものセリフの多さと、登場人物のキレまくりな演技に難色を示したが、見ているたびにどんどんとそれが楽しくなってしまった。完璧に飲まれた。そしてあのラストは泣くよ(泣いた)


【次点】

傷物語』はとにかく公開されたら、とかなりの覚悟で臨んで、結構面白かったのだけど、キマリまくっててちょっと引き気味だったのがフィーリングと合わなかったかな。でも、海のあの背景はすごかったし、何よりもキスショットちょーかわいい!『プリキュア』めちゃくちゃ面白かった!堀江由衣オンステージみたいになったところあったけど(笑)上記以外だと『貞子vs伽椰子』も丁寧な作りでよかったし、『父を探して』『パディントン』『アイアムアヒーロー』『ディストラクション・ベイビーズ』『心霊〜パンデミック〜フェイズ3』あたりもよかったですね。

【苦手だったの】

【最後に】
下半期はスコリモフスキの新作あったかな?あとは、ホンサンスの新作を待ち焦がれているのだけど、DVDスルーになる気がする。あとは傷物語がちゃんと公開されるか…