産経「主張」、混乱する。
なんかもう、突っ込もうとするだけで哀しくなってくる。
【主張】タミフル 改めて冷静な対応求める-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/shuchou/44439/
過度の注意喚起は、薬の安全性に疑問符を投げかけることになる。
最悪の場合、医療現場を混乱させ、患者とその家族の不安をあおる結果につながりかねない。
昨日の記事 id:pr3:20070322:1174529760 との整合性がまったく取れていないわけですが。引用部分2行目、混乱を招くのは矛盾したことを平気で言うメディアがあるからだ、という責任は感じないんでしょうか。1行目の理屈がまたひどくて、安全性に疑問符がついたから注意喚起がされたんですよね。ものごとの因果関係も理解できない人はできれば人前で発言しないでほしい。
3月2日付に続いて「主張」としては一貫しているんだろうけど、産経新聞としての一貫性はまったくありません。記事と無関係な社説の存在意義ってなんですか? 産経新聞にまともな対応を期待することはできないんでしょうか。できないのはもうわかってるんだけど、それにしてもあんまりだ。
古森義久氏、仮想戦記にハマる。
中国軍が尖閣諸島に?!?−−アメリカの近未来小説です。-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/138647
産経新聞出版から出る仮想戦記小説の宣伝です。仮想戦記というのはおおざっぱに言うと、太平洋戦争前にベストセラーになった「日米もし戦わば」みたいな小説のことです。レーガン&パパブッシュ政権で国防総省幹部だった二人による共著で中国の軍事力に関して綿密なシミュレーションをしている、というのが売り文句らしいですが、仮想戦記小説というのはあくまで小説、フィクションであって、シミュレーションの初期条件を少しいじるだけでどういう展開にも持っていける、ということを、古森さんは認識しているんでしょうか。まあ、小説を小説として読むことができない人は(特に軍オタ・メカオタには)多いので、たぶんそうなんだろうな、と思うわけですが。
古森さん、フィクションと現実の区別はちゃんとつけてくださいね。
官製の国民運動が作る「美しい国」。
安倍政権の広報紙である産経新聞に、わけのわからない記事が載っています。
「美しい国…」は国民運動 推進室と有識者会議を設置-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/44470
何が書いてあるのかよくわかりません。なんてゆーか、その、こう申し上げては大変失礼かとは存じるのですが、総理大臣閣下はついに気が触れたのかという印象が先に立ってしまって。「内閣官房に推進室を作って国民運動を起こす」とか「(安倍壺三が言い出した)『美しい国』はイメージが不明確なので有識者会議を作り広く意見を募集する」とか、書いてあることにかたっぱしから整合性がなくて、なんだかもう、びっくりしすぎて思考停止してしまいました。
まあ、この記事によって「美しい国」のイメージはある意味で明確になったと思います。
しかし、こういう手法をまた使うということは、安倍ちゃんはいまだに教育再生会議が失敗だったとは思っていないんですね。
古森義久氏、数え間違える。
慰安婦決議案 反日中国系団体主張に酷似
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/44544
ここんとこ古森氏が粘着的に続けている、「ホンダ議員は中国系団体と裏で繋がってるぞキャンペーン」の一環ですが、だいぶネタが苦しくなってきているようです。記事を引用しながら、どこが苦しいのか考えてみます。
古森氏がこの記事でまとめた範囲で、ホンダ議員の決議案を箇条書きで見てみましょう。
続いて、同じく古森氏による、連合会の「要求」文書を見てみます。
なんでこれが「ぴたりと合致しています」なんでしょうか。古森さんは3と4の区別もつかなくなってしまったんでしょうか*1。
また各個の項目を見ても、たとえば「決議案」は「要求」にある『言論の禁止』なんか求めていません。ていうか米国下院がそんなものを求めてきたらえらいことです。その他の文章もかなり異なっているのは、ご覧のとおりです。
両方とも、ものすごく要約すると「ちゃんと頭を下げて『間違ってました。悪かった』と謝れ。謝ったらそのことを忘れるな」という、謝罪要求としてはごく普通のことを述べているだけです。これを「酷似」とか「ぴたりと合致」と呼ぶのは、かなり悪意のあるプロパガンダと言われてもしかたないのではないでしょうか。
……それにしても、意訳でそっくりな内容に置き換えて並べるならわかるのですが、なんでこんなに違う文章を並べて「そっくり」と言い張るんでしょうか。それとも、おもいっきり意訳して箇条書きマジックを駆使しても、このぐらいにしか似せられなかったんでしょうか。わけわからん。
ついでに2点ほど。
中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)
「抗日戦争」というのは中国語で一つの単語であり、たとえば「太平洋戦争史実保存連合会」を「太平洋連合会」と略すのと同じぐらい馬鹿げているんですが。「抗日戦争」という(現代中国史を少しでも調べた人なら知っているはずの)単語を知らずに区切って読んでしまったのか、わざと誤解を招く区切り方でプロパガンダを狙っているのか、どちらかでしょう。どちらにしても、あまり誠実な態度とは思えません。*2
とくに謝罪や責任の認知に関して「unequivocal」(明白な)という共通の形容詞の使用が目立つ。
そりゃ、今までの日本政府の対応が、あまりに「equivocal」(あいまい)だったからでしょう。河野談話にしろ、内容は比較的unequivocalですが、形式としては「官房長官」の「談話」にすぎません。英語としてのニュアンスはわからないのですが、あるていど共通の形容詞が使われるのが、そんなにおかしいでしょうか。