特殊相対性理論の話題として,あと二つほど触れておきたいと思います
special relativity5.wxm
【タキオン】
v : 粒子の相対速度
c : 真空中の光の速度
m : 静止質量
m*c^2 : 静止エネルギー
相対速度vで運動する自由粒子の相対論的エネルギーEは%o2式で表されます(相対性理論 その5参照)
いま横軸をcで無次元化したv,縦軸をm*c^2で無次元化したEとして%t5にプロットします
青線は(正の実数の)静止質量を持つ粒子を表します
- v = 0 でE/(m*c^2) = 1となる(静止エネルギー)
- どんなに加速してもcには達しない
- エネルギーを失うにつれて減速する
一方,赤線は虚数の静止質量を持つ粒子を表します
- どんなに減速してもcには達しない
- エネルギーを失うにつれて加速する
このような粒子をタキオン(tachyon)と呼びます
ちなみにタキオンは仮想上概念上のもので,観測はされていません
SF作品にしばしば登場します(スタートレックとか宇宙戦艦ヤマトとか)
【光円錐】
4次元座標sを%o6式に示します
sの原点から出発した光子の位置をsとすると%o7式を満足します(光の球面波)
上式を変形すると%o8式となります
変数が4つだとプロットできないので,z = 0 として変数を1個減らします(%o9)
これで ct, x, y の3変数の方程式となるのでグラフによる可視化が可能です
gnuplotによる描画例を示します
(wxMaximaをインストールするとgnuplotも一緒にインストールされます)
set size ratio 1 set ticslevel 0 set isosamples 80,80 set zlabel "time" splot [-1:1] [-1:1] [-1:1] -(sqrt(y**2+x**2)) title "past ", sqrt(y**2+x**2) title "future"
縦軸を時間(ct),これに直交する面を空間(x, y)としてプロットすると上のような2組の円錐となります
これを光円錐(light cone)と呼びます
- ct = 0 の平面は現在(hypersurface of the present)
- ct < 0 の赤色の円錐は因果的過去(causal past)
- ct > 0 の緑色の円錐は因果的未来(causal future)を表します
cに比べて十分遅い粒子は,ct軸をほぼまっすぐ(下から上へ)移動します
光子等の質量を持たない粒子だけが,円錐表面上を移動できます
粒子が移動した経路を世界線(world line)と呼びます
余談ですが,この世界線の書換をテーマとしたSF作品としてJ.P.ホーガン「未来からのホットライン」が有名ですヽ( ´ー`)ノ
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