久しぶりにガイシュツです

とはいえ夏休み、つうもんがないので5日分の青春18きっぷというのはどう考えても使い切るとは思えません.多分1日か2日しか使えないだろうなあ、しかも天気予報が「一日曇りがち、ところにより雷雨」とろくでもない予報を出しています.いやあどうしようかなあと思いながら眠りにつきました.

そういう状況だと必ず寝すごすわけで、起きたらもう7時.まあいいや、とりあえずのんびり房総半島一周してきました.

新橋から総武線、千葉に着いたのは9時すぎ、時刻表を見るとここで1時間くらいの空時間になっています.おやおや、房総半島って電車少ないのね.全然いったことが無いので感覚がありませんでした.とりあえず駅の中をぶらぶらします.すごい昔ながらの駅で、そこここに昭和の香りが残っているのですが、コンコース内に無印良品と大きな本屋があるのは最近らしいですねえ、ずいぶんにぎわっていました.
ここから113系にがたがたと揺られてゆきます.だんだん田園が広がってきて、五井で小湊鉄道気動車を見て、緑はいっそう目にまぶしく・・・って目が覚めたら保田駅.一駅乗り過ごしたので交換列車に乗って一駅戻って浜金谷.

千葉の風景


木造の駅舎では年配の駅員さんが一人、一時間に1本の普通電車を送り迎えするだけで、電車がいってしまうとまたしんとした駅前が戻ってきます.港から潮の香りが上ってきて、駅前には自転車に乗った地元の中学生が3人、なにやら集まっています.駅前には釣り餌屋、食堂、入り口は開け放してありますが人気はありません.
路地を通っていくと、古びたコンクリート作りの鋸山ロープウェイの山麓駅.

鋸山は房州石の切り出しで栄えた山なんですが、今は日本寺を擁する観光地になっているとか.山頂の展望台から内房線を一望できるので上ってみました.駅舎はコンクリ作り、改札口の横には小さなお菓子くらいを売っている売店があるだけ、コスモスのおもちゃの自販機がまだ現役だったりスーパーボール売ってたり、これまた昭和の香り、しかも50年代の香りがそのまま残ってるんですけど.これって大手グループ*1の中に目立たないまま取り残されているがゆえなんでしょうかねえ.自動販売機も無く、改札で乗車券を購入.



カチャン、ダッチングマシンの小気味よい音を立てて硬券乗車券が出てきました.地紋は「けいせいでんてつ」.見てると大人・小児・往復・団体とすべてそれぞれの硬券乗車券がそろっているようです.なんとまあ.
これまた昭和の香りの古びたコンクリホームから古びたゴンドラに乗り、うーん、いまどきガイド乗務なんですなあ.石切の跡を見ながら数分で山頂駅.なんかこっちもメダルゲームがあったり、すごいなあ.



やはり冬の早朝じゃないときれいには見えないようです.目を凝らすと普通電車ががたがたと走ってゆきました.ぼーっとしてると、眼下で東京湾フェリーの汽笛が聞こえます.国道をツーリングのバイクが走ってゆき、15分おきにロープウェイは上ってきます.静かだけれど漁船が行きかっていたり、活気はあります.
ここから保田の方に降りたいのですが、下山道は日本寺の境内を通るものしかないので、ロープウェイで下山します.相変わらず昭和の香りの山頂駅の待合室は、なぜか焼き団子を売る初老の駅員と、なぜかやたらと猫だらけ.のどかな風景です.

その後は保田のあたりで2時間程たんぼの中をぶらぶらしながら撮影.ふと後ろを見ると鋸山がすっかり雲に覆われていました.むっとする暑さ、もしかしたら雷雨がきそうな気配です.細い畑へと分け入る道、蝉の声が降ってくるよう.

あとは房総半島をのんびりと

夕方の普通電車を待つ保田の駅はいつもに無く、10人ほどの人でにぎわっていました.半分ほどが上下の普通列車と東京行きの特急電車に乗り込み、どっと人が降りてきました.地元の高校生に混じって、都会から来たのか大家族の一団.駅にいる人は迎えの若者だったようです.いやいやおひさしぶり、お世話になります、そういうこれからお盆まで日本中のあらゆる田舎で交わされるだろう挨拶が交わされ、駅前の車へと消えてゆきました.夏休み、遊びに来たんでしょうか.いいなあ、夏らしい風景だなあ.
そのあと乗り込んだのは内房線周りの安房鴨川行き.もうこの辺まで来ると乗客もまばらです.夏休みになって補習か部活か、お客は高校生ばかりです.ふととまった小さな駅でもホームでカップヌードルを食べる男子高校生の一群.いいなあ、静かだなあ.
ぼおっとしていると規則正しいジョイント音だけが響きます.千葉の駅って昔ながらの色を残したものが多いですね.琺瑯の駅名表示、軒先に下がる「歓迎」の堤燈、安房鴨川ですぐ外房線の千葉行きに乗り換え、安房天津あたりでは夏祭りの真っ最中、若いのが山車でしょうか神輿でしょうか、引き出しているところでした.

一日晴れこそしなかったものの薄日が所々さしてきます.やがて薄暮が訪れるころ、車窓にはカインズホームコメリ、パチンコ屋のネオンとだんだんにぎやかになってきて、上総一ノ宮で東京行きの快速に接続.千葉を過ぎるともうすっかり首都圏のいつもの風景になって、東京駅着.

ま、あまり写真は撮りませんでしたが、久々にのんびりした一日でした.