『冠婚葬祭入門』から45年

一条真也です。
東京に来ています。早朝、『永遠葬』の再校チェックでバタ狂っているはずの「出版寅さん」こと内海準二さんからメールが届きました。
今朝の「読売新聞」の記事を紹介する内容でした。


「読売新聞」6月26日朝刊



それは「読み解く」というコーナーでした。
読売新聞社の生活部次長である斎藤雄介氏が「『冠婚葬祭入門』から45年」という記事を書かれています。以下のような内容です。
「『冠婚葬祭入門』は、3月に亡くなった塩月弥栄子さんの大ベストセラーだ。1970年に出版され、部数は300万部を超えた。
昔、冠婚葬祭の儀礼は村ごとに違っていた。高度成長期に故郷を離れた人々は、共通の儀礼を決めなければいけなかった。そこで、この本に頼ったのだ。冠婚葬祭は、社交の基本だ。
それが近ごろ、『近親者で密葬を済ませた』という記事を見ることが増えた。告別式やお別れの会もしない。社会の中で営まれるものだった葬儀が、個人的なものになっている。失われたのは社交だ。火葬だけを行う『直葬』も増えている。火葬場でお見送りをして、お骨上げする。炉の前で読経する場合もあるが、通夜や告別式などの儀式はしない。葬儀情報サイトを運営する鎌倉新書が昨年11月、全国の葬儀社に聞いたアンケートでは、直葬の割合は全国で16%。もっとも多い関東地方で22%だった。故人と、見送る人の縁が薄かった場合に直葬が選ばれる傾向があるとも聞く。関東地方が多いのは、東京で人の縁が薄くなっているだめだろう。
昔、祖父が亡くなった時、台所に女性たちが集まりにぎやかだった。
「通夜振る舞い」をするために集まっているのだろう。
儀式はしめやかでにぎやかなものだった。
『冠婚葬祭入門』から45年、私たちは孤独になったのかもしれない」


決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社



わたしは、故塩月弥生子先生の大ベストセラー『冠婚葬祭入門』へのオマージュとして、昨年4月に『決定版 冠婚葬祭入門』(実業之日本社)を上梓しました。その約1年後、塩月先生はお亡くなりになられました。生前はわたしの妻が大変お世話になり、裏千家のハワイ研修にも連れていって下さいました。塩月先生の弟さんである千宗室先生もご一緒でした。
わたしは、冠婚葬祭とは「すべてのものに感謝する機会」であると思っています。七五三・成人式・長寿祝いなどに共通することは、基本的に「無事に生きられたことを神に感謝する儀式である」ということ。ですから、いずれも神社や神殿での神事が欠かせません。わたしは、「おめでとう」という言葉は心のサーブで、「ありがとう」という言葉は心のレシーブであると思っています。これまでの成長を見守ってきたくれた神仏・先祖・両親・そして地域の方々へ「ありがとうございます」という感謝を伝える(レシーブ)場を持つことが、人生を豊かに過ごしていくことにつながるのではないでしょうか。


『冠婚葬祭入門』から『決定版 冠婚葬祭入門』へ



冠婚葬祭のルールは変わりませんが、マナーは時代によって変化していきます。最近、情報機器の世界では「アップデート」という言葉をよく聞きます。アップデートによって新しい機能が追加されたり、不具合が解消されたりするわけです。冠婚葬祭にもアップデートが求められます。基本となるルールが「初期設定」なら、マナーは「アップデート」です。
決定版 冠婚葬祭入門』は、現代日本の冠婚葬祭における「初期設定」と「アップデート」の両方がわかる解説書だと言えるでしょう。そして、わたしはアップデートされた冠婚葬祭サービスの提供を通じて、斎藤氏が書かれているような「孤独」な社会を乗り越えたいと願っています。
今から、新橋で開催される冠婚葬祭互助会業界の会議に参加します。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年6月26日 一条真也