酒蔵開き

3月1日、サンレー 本社での総合朝礼、本部会議、昼食会などの諸行事が行われました。その後、15時から北九州市八幡東区景勝町に向かいました。小倉ロータリークラブの親睦活動行事として溝上酒造さんの「酒蔵開き」を見学したのです。


溝上酒造の前で

すでに多くの方々が到着していました



わたしは集合時間である15時の15分くらい前に現地に到着しましたが、親睦活動委員会の大迫委員長(ゼンリンプリンテックス会長)、村上副委員長(永照寺住職)、八木副委員長(リーガロイヤルホテル小倉総支配人)をはじめ、すでに多くの方々が待っておられました。最初に溝上酒造の溝上社長が御挨拶をされました。
溝上社長はもうすぐ50歳になられるとのこと。それを聞いたわたしは「おお、同級生やん!」と思って、一気に親しみが湧いてきました。


挨拶をされる溝上社長



溝上社長からは、同社の沿革などについてのお話がありました。
溝上酒造さんは、景勝町にある日本酒の蔵元です。創業は弘化元年(1844年)、当初は大分県中津市で酒造業を営んでいました。天空に舞う鶴を吉兆とし、「鶴天心」を銘柄としていました。昭和6年(1931年)、北九州市八幡の「皿倉山」の麓に、酒造りの命である清らかな湧き水を発見し、気温の低い谷間という自然環境も「寒造り」に適していることから、この地に酒蔵を移すことになったとか。同時に銘柄も「天心」と改め、脈々と受け継がれる技と清らかな湧き水をもとに、北九州の地酒として現在に至っています。
「天心」は、新鮮な果実を思わせる豊かな香りとまろやかな口当たりに定評があります。



溝上社長によれば、この景勝町の酒蔵は井戸水を4つ備えておられるそうです。
米は福岡県産のものを使用しています。今年は酒造りが順調で楽な年だそうで、すべて米の品質次第なのだとか。水に溶けやすい米か、溶けにくい米かによって酒の仕上がりがまったく違うそうです。日本酒は「米」と「水」と「菌」のバランスが大事で、並行複発酵によって旨い酒が生まれるのだとか。その後、溝上社長のお父上である溝上会長からも御挨拶があり、「うちは、とにかく“品質第一”をモットーにしています」とおっしゃっていました。


酒蔵で説明を受ける



それから、わたしたちは酒蔵のほうへ案内されました。
気温が低く保たれた大きな空間に、巨大なタンクがいくつも並んでいます。
酒造りは冬にやるもので、11月から3月がシーズンだそうです。
なぜ冬かというと、空気中の雑菌が少ないからだそうです。
わたしが「pm2.5とかは影響しませんか?」と質問したら、溝上社長は笑って「それは関係ないですね」と笑っていました。そして、いわゆる「三段仕込み」について説明してくれました。この「三段仕込み」によって、外部からの雑菌を完全にシャットアウトできるそうです。


タンクから一番搾りを掬い出す

タンク内のようす



溝上社長によれば、日本酒の発酵温度は10度だそうです。
普通酒は20日、吟醸酒は30日から40日ぐらい発酵に時間がかかるとか。
溝上社長は溝上酒造さんのブランドである「山田錦」や「吟のさと」などの樽から一番搾りを掬い出して下さいました。わたしたちはそれを回し飲みしました。とても香りが良くて、美味しかったです。溝上会長から、この酒蔵から5種類の酒が5万本製造されるとお聞きしました。


ずらりと並んだ5種類の美酒



その後、酒蔵を出たわたしたちは、5種類のお酒を試飲させていただきました。
どれも口当たりが良くて非常に飲みやすいのですが、アルコールが18度もあるので、あまり飲み過ぎると酔っ払ってしまう感じです。溝上社長によれば、醸造酒で高い20度ものアルコールが出るのは日本酒のみだそうです。5本の中で、わたしは「にごり酒」が一番気に入ったのですが、それを全員にお土産に頂けると知り、嬉しかったです。


売店のようす

父のために求めた「北九州名所徳利」



それから、わたしたちは酒蔵に隣接した溝上酒造さんの販売店に寄りました。みなさん、日本酒をたくさん買われていましたが、わたしはバラエティに富んだ商品の中で、天心の「北九州名所徳利」が目に止まりました。この徳利には、関門橋門司港駅小倉城、河内、高塔山、戸畑祇園山笠などの絵が描かれています。わたしは長らく北九州市観光協会の会長を務めた父へのプレゼントとして、この美しい徳利を求めました。


安倍首相の「國酒」の書



売店のレジの上には、安倍晋三首相の「國酒」という書が2枚も飾られていました。
「國酒」というのは良い言葉ですね。そう、相撲が「國技」なら日本酒は「國酒」です!
売店の入口脇に飾られていた立花がとても美しかったです。


立花がとても美しかったです



同社HPには「日本酒造りへの思い」として、以下のように書かれています。
「昨今、日本酒は長期的に生産量、消費量が減少しています。 しかし、日本で地酒を飲んで日本酒を支えている飲み手の方、日本酒を飲み慣れている方は40歳以上がほとんどだと思います。20代・30代の方には、ほとんど飲まれていないと言ってもいいでしょう。
もちろん普段日本酒を飲まれる方向けの通好みの酒造りもよいですが、今、20代・30代の方、つまり、日本酒を飲み慣れていない方や初めて日本酒を飲む方に、『うまい』と言わせるお酒を造らないと、人口減少の時代に入っている中で、日本の食文化の一つである日本酒を継承することはできないのではないでしょうか? 溝上酒造では、日本酒好きの方だけでなく、20代・30代の方、初めて日本酒を飲む方でも『うまい』と言えるような、そして、2杯、3杯と杯が進むような酒造りをしています。弘化元年の創業から続く『うまい酒造り一筋』を守りながら、地元の方々に愛される日本酒を造り続けます」


なお、溝上酒造さんの本当の「酒蔵開き」は2月22日(土)、23日(日)に行われ、多くの方々で賑わったそうです。このたびの溝上酒造訪問により、わたしは日本酒の素晴らしさを再認識しました。溝上会長、溝上社長をはじめ、溝上酒造のみなさんに心より御礼を申し上げます。また、酒蔵見学の労を取って下さった八木副委員長、この日の担当委員だった古賀敬三さん(西日本産業貿易コンベンション協会専務理事)にも感謝いたします。


2013年12月6日「朝日」「毎日」「読売」「西日本」新聞朝刊



ブログ「和食の世界遺産登録」にも書いたように、昨年12月4日、和食が世界遺産無形文化遺産)に登録されました。ユネスコ(UNESCO、国連教育科学文化機関)が登録を決定したのです。昨年は、20年に1度の伊勢神宮の式年遷宮、60年に1度の出雲大社の大遷宮が重なり、空前の神社ブームが起こりました。また、6月22日には富士山が世界文化遺産に登録されました。そして、2020年の東京オリンピック決定に続いて、和食の無形文化遺産登録。まさに、日本の美しさ、日本文化の素晴らしさを世界にアピールしました。
和食、和婚、和装・・・・・日本人には和が似合う! 時代のキーワードである「おもてなし」の流れで、和食が見直されるなら、当然ながら日本酒も大いに見直されることでしょう。和食に一番合うのはビールでもワインでもなく、絶対に日本酒だからです。



和食の中でも、特に日本酒が合うのが新鮮な魚介類です。
ブログ「ブランチリーダーの会」で紹介した北九州商工会議所主催の講演で、わたしは各企業の支店長さんたちに「北九州はグルメ都市です!」と宣言しました。そして、「旨いもの」に満ち溢れた北九州においても特に白身の魚の旨さは日本一だと申し上げました。
「酒蔵探訪の後は、旨い魚を食べに行こう!」ということで、わたしたち小倉ロータリークラブ一行は、若松の岩屋にある「割烹旅館かねやす」に向かいました。



*よろしければ、「一条真也の新ハートフル・ブログ」もどうぞ。



2014年3月2日 佐久間庸和