不連続的差異論の構想を振り返る:不連続的差異論の新たな開展の可能

不連続的差異論の構想を振り返る:不連続的差異論の新たな開展の可能性について


今は簡単に触れるが、不連続的差異論の誕生時に、私は、華厳経宇宙の、個と個との調和のイメージを浮かべていて、その個が、不連続的差異になったものを想起したのである。
 不連続的差異論の基本的概念は、実に単純である。つまり、不連続的差異であるイデアが、ある事態により、連続的差異(メディア)となり、それが、同一化して、現象界、目に見える世界になるということである。プラトンイデア論に、不連続的差異イデアやメディア界を付加して、いわば、不連続的差異イデア論を創ったのである。

 メディア界の連続化とは、量子力学の世界、量子・素粒子の世界と考えるのが正確である。ここでは、連続的時空間、時空相対性が成立していると考えられるのである。つまり、メディア界において、アインシュタイン相対性理論量子力学とは結びつくと考えられるのである。(このことは、既述であるが。)換言すると、不連続的差異が連続化して、共振するのである。
   
 差異の共振は、どうして起こるのか。ゼロ化・ゼロ度において、差異と差異とが接すると考えられる。このとき、極性が生じるのだろう。即ち、−差異1+− 差異2+−・・・−差異+となるだろう。この極性が、共振ということではないだろうか。つまり、ここでは、ゼロ化・ゼロ度の力が発生すると考えられる。このゼロ化・ゼロ度の力が、共振を起こす力だろう。ゼロ度空間において、差異が共振すると考えられよう。共振する差異、これが、量子であり、光であろう。そして、共振する差異はエネルギーをもつ。E=hνである。この共振する差異の「宇宙」は、原時空間の宇宙であろう。まだ、時間、空間が分化していないだろう。
 時間/空間は、現象化において、発生するのだろう。差異1・同一性・差異2、差異1=差異2において、相補性を否定する。粒子であり、波動である共振する差異(共振差異と呼ぼう)の相補性が、同一性によって否定されると、差異は同一性体となり、また、波動は、統一力に変換されるだろう。同一性体は、原子、分子等であろう。統一力は、おそらく、物理学の基本的な4つの力に関係するのではないだろうか。時間/空間であるが、同一性体が空間を、統一力が時間を形成するのではないだろうか。
 では、相対性理論はどういうことになるのか。それは、現象界というよりは、メディア界における事象を意味しているのだろう。それは、量子力学と一致するはずである。

p.s. 以上の箇所は、問題がかなりある。物理学の4つの力とは、量子・素粒子に関わるものである。しかし、上記では、4つの力を現象界の力と考えようとしている。
 ここで、もう一度、メディア界の共振する差異を考えよう。イデア界の差異が、垂直/水平性をもっているならば、つまり、絶対的直交力をもっているならば、それが、ゼロ化で、連続化するとき、直交的共振的差異となるだろう。ここで、構築/脱構築(+と−)性あるいはヌース理論の双対性の考えを取り入れると、水平構築/脱構築性と垂直構築/脱構築性の、いわば、四重の構造となる。これが、メディア界の共振する差異の構造である。そして、これが、同一性によって、統一化されて、現象界を形成するということかもしれない。この四重の構造が、物理学の基本的な4つ力に関係するのかもしれない。
 とまれ、このように考えると、メディア界は直交する四重の時空間であり、現象界は、このメディア平面に、同一性の捩れとともに、直交軸が加わり、時空四次元となるのだろうか。即ち、同一性の捩れが、水平同一性、垂直同一性、そして、それらに直交する高さの同一性を、時間の同一性とともに、形成して、時空四次元の現象界を形成するのだろうか。
 時間の同一性とは、何だろうか。差異1・同一性・差異2ないし差異1=差異2を考えると、同一性の志向性が時間の同一性ではないだろうか。これは、同時に空間の同一性でもあるだろう。つまり、同一性の力、無の力、三回目の1/4回転の力が、時間の同一性であり、また、この同一性の力によって形成される差異の同一性が、空間の同一性ではないのか。即ち、三回目の1/4回転である同一性の力が、時空四次元現象界を形成するということではないだろうか。
 
 さて、以上は、作業仮説であるが、問題として、光速度の問題があるだろう。思うに、メディア界は、差異と差異との関係がゼロ度であるから、差異1☯差異2の関係、あるいは、差異2☯差異3と関係が、等価になるだろう。これが、光速度一定に関係しているのではないだろうか。つまり、ゼロ度・相補性において、差異は等価になるということではないか。換言すると、差異の共振性、これが、光速度一定を意味するだろう。共振する差異が、光とも言えるだろう。

 では、イデア界における不連続的差異は、どういうことになるだろう。それは、いわば、絶対的不連続性をもつだろう。ここで、D.H.ロレンスが、「星の均衡」という言ったことを想起する。不連続的差異の均衡があるのではないだろうか。絶対力の均衡だろうか。不連続的差異の絶対力の均衡。思うに、不連続的差異1→不連続的差異2の→であるが、これは、絶対的志向性ではないか。また、不連続的差異1↑不連続的差異2↑・・・↑不連続的差異nも考えられる。つまり、不連続的差異の絶対力の直立・垂直性が↑で、関係・水平志向性が→ではないだろうか。換言すると、不連続的差異の絶対的直交力(十字力)が、イデア界にあるということではないだろうか。この絶対的直交力が、1/4回転を生むのではないだろうか。


p.s. ならば、イデア界は、

差異1⊕差異2⊕差異3⊕・・・⊕差異n

と図式化できるだろう。


p.p.s. 全体を図式化し直す。

イデア界:差異1⊕差異2⊕・・・⊕差異n

メディア界:差異1☯差異2☯・・・☯差異n

現象界:差異1╬差異2╬・・・╬差異n

尚、╬の記号は、時空四次元を生む同一性化を意味する。