- 作者: 宮尾登美子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1987/11
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
お金ない・・・なんて言いながら結局下巻もGET。
岩をも突き通す強い意志を持つ女性が出てくることが多い宮尾作品。
ここでも,天璋院は強い強い意志を持ってました。
お姑さんだったら結構キツイかもぉ。
天璋院の心の動きがとても細やかに書かれていて面白い。
少ない資料をベースにして,ここまで想像力を駆使できるのはやっぱり宮尾作品の魅力かと。
以下ちょっとしたネタバレ
印象に残ったのが,次期将軍に一橋慶喜を押すようにとの薩摩藩主島津斉彬の意向を受け13代将軍家定の正室となった彼女が,倒幕後に徳川本家の当主として御三卿の一つ田安家から数え年6歳で迎え入れ,そのときから自分が育てた徳川家達(いえさと:倒幕後の徳川本家の主)夫婦への遺言で,代々徳川本家の子孫は慶喜系の子孫と結婚してはならぬとしたこと。
これは,彼女が相当慶喜を嫌っていたという家達の娘からの話を宮尾さんが聞いてそれを元に書いているらしく。
反対に,大奥にいたときは,江戸風と御所風の違いから常に対立関係にあった和宮とは明治の代になってから親しく交際するようになり,度々和宮のつてで明治天皇にも会うこともあったとかいうくだり。
これはどこまでが史実なのかわからないけど。
ちょっと予想外だったのが,天璋院が江戸城を出る下り。
大奥の豪華さを官軍となった薩長連合軍に見せ付けるためにわざとほとんどの物を持ち出さずそのまま居間に飾って退城したという話もあるだけに。