DOOMが発売中止になったり、JURASSIC JADEが延期になったりと、なんだか不穏なムードすら感じる例のエクスプロージョン再発ですが、今回の僕の目当ては、GROUND ZERO一本。理由は簡単。これだけアルバムでは聴いたことがなかったから(笑)、というのは半分は冗談で、SKULL THRASH ZONEで始めて聴いたとき、曲だけはかなり気に入ってたから。演奏はもうドッタンバッタンっぷりが泣けましたけどね・・・。

"Gate of Death"GROUND ZERO

というわけで、このバンド唯一のアルバム音源"Gate of Death"が、ボーナス付きでついに再発です!残念ながら、SKULL THRASH ZONE収録の2曲は入ってませんが、これもまだ廃盤になってないようで入手は容易(X JAPAN効果で結構安く中古転がってますよ!!)。逆に言うなら、この2枚を買えば、GROUND ZEROの歴史の全てが網羅出来るわけですよ!!・・・って、ホントか?(笑)マニヤがレアなシングルとかデモとか持ち出してきそうで怖い・・・。

音の根っこには明らかにSLAYERがあります。しかし、緩急やキメをこれでもかと盛り込んだ楽曲こそが、このバンド最大の魅力。SLAYERフォロワーの域は脱してるんじゃないかな?と個人的には思います。どっちかというと、4人編成時のDESTRUCTIONを思わせたりも。

SKULL THRASH ZONEのときのドッタンバッタンぶりは、さすがに大幅に改善されてはいるものの、あまりタイトなビートを期待するとやはりキツいかも。あそこまでではないものの、VENOM的。初期DESTRUCTIONよりはマシというレベルか。ただ、このバンドの出自が元々ハードロックである事を知ると、それもこのバンドならではのビート感なんだと受け取る気になりますし、所謂初期スラッシュファンには、このドラムだからこそ味わい深いかもしれません。パワーヒッターですしね。

なお、ボートラは、"World War 3"のライブと、初期シングル3曲。ライブはアルバム以上にタイトなリズムを実現しており、やはり当時の日本のメタルバンドの典型であった「ライブでこそ本領を発揮出来るバンド」だったことを伺わせます。まあそれは、良くも悪くも、だったんですけどね・・・。初期シングルは、ヴォーカルがなんとハイトーンスタイル!!その歌いまわしや日本語詞もあってか、サタニックメタルを早回しして聴いてるようです(笑)。

リマスタリングされているとはいえ、あくまで当時の零細インディのバジェットの音なので、人様には資料価値的観点以外では中々薦め難いものがあります。2500円と若干お値段張りますし。しかし、所謂初期スラッシュにある程度馴染んでいる方で、1987年当時の日本のスラッシュシーンに興味のある向きならば、一聴の価値はあると思われます。僕は買ってよかったですね。

SKULL THRASH ZONE Vol.1

ついでにこいつもえいやっと。

X(JAPAN)の、Hide加入前の音が聞けるというところで知名度の高いアルバムですが、実際は当時、神楽坂エクスプロージョンで活動していたスラッシュメタル系バンドを集めたサンプラーであります。言わば、メジャー版HEAVY METAL FORCE。

僕が国産の本格的なスラッシュメタルに初めて触れた音源であると同時に、「日本のスラッシュってショボいなぁ・・・」という認識を植えつけてくれたA級戦犯でもあります。で、同様の人は絶対に多いはず。だって・・・音がスッカスカに軽いんですもの。綺麗なだけは綺麗に録れてるの。しかし、おそらくそれを重視したあまりか、重量感の欠けた音作りとなっててしまい、特にSHELLSHOCK、JURASSIC JADE、GROUND ZEROといった剛直系のバンドが大変キツいことになってしまってます。特に凄みが完全に封殺されてるJURASSIC JADEは本当に可愛そう。1990年半ばあたりまでの国産メタル界隈って、「ライブはヘタな外タレよりも凄いくらいなんだけど、音源が激ショボ」というのが非常に多かったけど、これはもうその代表格かもです。

そんな中で、唯一かつ、圧倒的なオーラを放っているのが、DOOMですね。イギリスのではありません。当然日本のです。バジェットの貧しさを、卓越した力量で乗り越えているのは、もう凄まじいの一言。日本にも初期MEGADETHやVOIVODあたりと同じベクトルを向いたバンドがいたことは、もっと知られてもいいと思います。フレットレスベースがうねうねと絡む変則ビートには、とことんやられます。やっぱアルバム再発中止は惜しまれるなぁ。

あと、ROSE ROSEは、パンク寄りであることに加えてプロデュースに森脇美貴夫氏が絡んでるおかげか、難なく魅力を発揮出来てます。ジェットコースターのように2曲あっという間に駆け抜けるサウンドは一聴の価値あり。

曲だけなら、やっぱGROUND ZEROだなぁ。"Death Train"ではデスっぽいドスの効いた声で攻める。ただ、やはりドッタンバッタンしてる(笑)。事前にVENOMでも聴いて、耳を慣らしておいた方が良いかもしれませぬ。

本作のセールスポイントと結果的になってしまったXは、ギター弾いてるPATAが、確か本作レコーディングの1週間前に声かけられたという逸話があったはず(笑)。シングルギターに加えそういう経緯もあってか、アレンジはレスポールのてらいのない音色がひたすら刻むという非常にシンプルな仕上がり。それでも"Stab Me In the Back"は、"JEALOUSY"収録バージョンよりも格好いいと思う。"No Connexion"では、なんと後のブラックメタルばりのファストビートが炸裂!!こういう曲があと1曲あるんですよね、Xは。その意外な先見性には驚かされます。

DOOMだけでも、500円くらいの価値はあります。あと青春時代にXジャンプに命をかけた人なら、プラス300円くらいで、中古で買うか買わないかの基準にすると良いんじゃないかと。個人的には、GROUND ZEROだけで1000円は出す覚悟でしたが(笑)。まあ、結果として約700円で落札。美品だし。良かった良かった。

メタル休業(笑)

本日のレビューをもって、メタル系の話題を取上げることを一端止めたいと思います。既にソレ系のCDも、物置にしまいました。上記のGROUND ZEROとSKULL THRASH ZONEも、この後封印いたします。

ありがたいことに、度々スターを頂いたりと(そちらのblogもいつも観てますよ!!)、幾人かの方には御愛読いただいているようですので、こうしたケジメのステートメントはしといた方が良いかな、と。

私事で恐縮なのですが、僕は20代後半より精神面が度々著しく不安定になる状態に陥り、以降ほぼずっと精神科への通院を続けています。で、病状は良くもならず悪くもならず・・・という状態が続いていたため、業を煮やし、カウンセリング中心の診療を少し前からお願いしているのですが・・・。

そこで心の絡まりを一つ一つ丁寧に解きほぐした結果分かったのが・・・音楽、それもヘヴィメタルやパンクに熱をあげるあまり、それに心を蝕まれている面は間違いなくある、ということなのです。

僕は時折、激しく攻撃性をむき出しにした態度に陥ることがあります。これでもって、今まで沢山の人をイヤな気分にさせたり、悲しませたりしてきたと思います。しかし実のところ、それをヤバイとかマズいとか大人気ないとか思ったことはなく、むしろ明日へ突き進む糧だと喜ばしく思ってすらいました。

よくよく考えなくとも、全ての元凶なんですよね、それが(汗)。でもって、それをどこから引っ張ってきてたかってったら・・・間違いなくメタルやハードコアパンクの高揚感やアグレッションなんです。

これらの音楽が、辛い日々をずっと支えてきてくれた側面もあるんで、決してマイナスだけをもたらしたわけではありません。実際、これらに出会わなかったら・・・僕は間違いなくどこかで自殺してたでしょう。そんな日々を奮起してこれまでやってこれたのは、メタルやパンクのおかげです。間違いなく。しかし・・・時はうつろいゆくものです。もう睨み効かせて突き進む年齢でもありません。勝つだの負けるだのより、自分の今の立位置で、どれだけ世や人に貢献出来るかが求められる年代でもあります。

そうしたことをはっきりと自覚し、攻撃的な音楽から離れてみると・・・途端に、心に穏やかさが戻って来ました。こんな気分は、10年、いや、20年近くぶりでしょうか。単なるゲームオタクでいじめられっこだった高校1年生の頃に戻れた心境です。これこそが、本来の「自分」なんです。

これからは、少し前に少し書きましたが、「楽しい」音楽を文字通り楽しんでいきたいです。とりあえず、当面はやっぱ産業ロック関係になるかな?あ、その辺の延長で、時折北欧メタル等メタルと名の付く音について書くことはありえますので、御容赦を(笑)。あと、トランスかな。メロディックで美しいものを探してるのですが・・・中々。

まあ、心が変に影響されることなく、純に楽しめるという確信が出来れば、またヘヴィメタルもハードコアもまた聴いていきたいな、と考えてます。いつの日か分かりませんが・・・でもその日のために、今回CDは決して処分することなく、物置にしまったんです。